2017年11月25日土曜日

AIと点数化


https://deeplooks.com/

これは、顔写真を投稿して、5点満点で点数を付けてくれる、というサイトだ。何の尺度なのかもはっきりしないけれど、恐らくは美人度なのだろう。バックグラウンドの仕掛けが分からないながらも、ある程度は信頼できる点数を付けてくれているようだ。

AIの機能の一つとして、こういった曖昧なものに一定の基準での数値化ができることが挙げられる。もちろん精度をどう評価するかというのはあるけれども、こういったことが瞬時に判定できることは、世の中の仕掛けとして新たな側面が出てくるように思う。例えばどんな数値化がされるのか考えてみると、以下のようなものが挙げられる。
  1. 職務質問をすべき人物の基準を与える。警官がライブカメラを胸や帽子に装着しておき、AIの指示によって職務質問をする。これは恣意の防止にもなるし、精度の向上にも繋がる。
  2. 論述試験に対する点数を与える。採用面接における合否を与える。
  3. 市場にてセリの値段を決める。鮮度の目利きをする。
  4. レストランの格付けを行う。個々の料理の味を評価する。
  5. 乱暴な運転と機敏な運転の評価をする。自動車に付けておいて、事故の際、量刑の参考にする。
  6. 個人の性格や能力を点数化して、適職マッチングを行う。
  7. 受験で、定期的に能力の向上を推定して、勉強の参考にする。
  8. 生活習慣病の危険を数値で指摘し、防止策も同じく数値で(量的にも)アドバイスする。
点数化は何らかの序列化をも生み出す。今まで曖昧だった序列が明確になると、迷惑もあるだろうが効率も生まれる。例えばスクールカーストなんてものもあったが、あれは単なる心理的な力関係。人間性や学力で恣意のない点数が付けば、カースト(乗り越えられない壁)ではなく単なる序列になる。何時でも追いつき追い越すことが可能であり、そうされないための一定の努力は真っ当なものだ。

また、AIのアドバイスが適切なバックグラウンドを持っていることは、一種の信頼になる。このため、例えば医者のアドバイスは聞かなくてもAIのアドバイスは聞くかもしれないし、メンターの言葉にしても、一般論ではなく自分にカスタマイズされ、効果が確率的に予想できるとなれば従うだろう。

そうなれば、不摂生の類は大きく減ることになるのではないか。「これをしなければ糖尿病になる、失明する、心筋梗塞で倒れる」という言葉にリアリティが生まれるからだ。それも、しなければその分確率が高くなり、危機が迫ってくる実感も出る。

不摂生と言っても健康上のそれだけではない。仕事をサボる、人間関係の構築や修復をサボる、キャリアプラン育成をサボる。あらゆる面で、「人間として好ましい状態」へのサボり具合が数値化されるわけだ。もちろん能力は加味されているので、純粋に個人のサボりたがり具合までが数値化される。これは結構恐ろしい世界だ。

だが、総じて言えば、これは全体的には人間性の向上に寄与し、極端な犯罪や歪んだ性格を抑制し、世の中を良くする方向に動くはずだ。また、能力だけでなく努力が正当に評価されれば、本人にとっても納得のいく評価や給与体系ができ、精神的にも不満の少ない社会が形成されていくのではないか。

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