2017年11月14日火曜日
レインボーウェーブ無線電力伝送システム
鉄人28号は何度かアニメ化、実写ドラマ化されているが、このうちの一つで使われていた用語で「レインボーウェーブ」というのがあった。鉄人28号はリモコンで操縦するのだが、この電波を乗っ取られるのを防ぐために使われる、一種の暗号化兼ジャミング防止機構である。
7種類の電波を使うのでこう呼ばれるのだが、この7種の電波はお互いに干渉しない、という設定である。これを聞いてピンと来たのだが、電波がお互いに干渉するその基本原理は、波長が逓倍になっていることである。従って、干渉させないためにはお互いの波長が素数の関係になっている必要がある。
ここで、無線電力伝送に話は飛ぶ。無線で電力を伝送するには幾つかの方法があるが、多くは電磁波や電磁誘導の原理を使っている。実はこの方法には大きな問題がある。電磁波にせよ電磁誘導にせよ、受電する設備には金属線が使われるが、その金属だけが受電して周りにある他の金属に受電してしまっては大変なことになる。盗電くらいならまだカワイイほうで、下手をすると発熱発火してしまうからだ。
しかも、これは電力伝送なので、情報受信と違って信号の内容で選別するわけにはいかず、受電そのものを防ぐ必要がある。しかしこれは至難の業だ。なぜなら、同じ長さの金属なら同じように受電をしてしまうからだ。
至近距離ならまだ抜け道はあるが、10m程度の距離の電力伝送であってもこの問題は深刻になる。今の世の中、電線やコイルは電子機器の中に溢れている。どこにどんな長さの電線があるかは予想できない。それが例え1W程度の小さな電力であっても、機器を発煙発火させるには十分だし、今考えられているような10W~100Wクラスになれば、状況はさらに深刻になる。
ここまで来て、話は最初に戻る。もしそのような状況にあっても、送る電力が複数の、相互に干渉しない周波数に乗って送られるなら、一つの周波数に対応する電力はその分少なくなるので影響も小さくなるはずだ。そしてこの時の波長は素数になっている。
幾つでもよいが、例えば7つの素数(2,3、5、7、11、13、17)でこれを送ることで、関係ない金属が、たまたま波長が合って受電してしまう危険を、1/7にまで減らすことができる。これがタイトルの提案の内容だ。
もちろんこれだけで十分かと言えばそんなことはないだろうとは思うが、検討してみてほしいと思う技術だ。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
砂の船
免震構造については過去いくつか提案しているが、これの新しい版である。 以前、難燃性の油の上に浮かべた船の構造を提案したことがある。あれの砂版である。つまり、砂のプールを作っておいて、その上に浮かべるというものだ。砂が抵抗となって振動を軽減する。 ただし、油や水と違って砂の...

人気の投稿:
-
屋根に超音波振動装置を取り付けておく。これによって屋根と雪の間の結合が破壊され、雪が滑り落ちやすくなる。これが題記装置の原理だ。角度によっては放っておいても落ちるだろうし、そうでなくても楽に雪下ろしができる。 まあ超音波でなくて低周波でも良いのだろうが、超音波の方が簡単...
-
少子高齢化への対応として、行政コストを大きく減らすために有効なのがコンパクトシティである。街の範囲を限定してそこの行政サービスを充実させ、そこ以外の行政サービスを低下させるものだ。 インフラや警察消防など、行政が用意するインフラの保守コストは、サービス範囲に人が少ないほど割...
-
メタバースが主流の社会では、外出の機会が極端に少なくなる。これによって、大きなダメージを受ける業界が出てくる。それは大雑把に観光業と交通・運輸業、飲食業である。観光にはゲームセンターや映画館、大型ショッピングモール、スポーツ関係なども含まれる。また、雨具の需要も減るだろう。 ...
-
ディーン・ケーメン氏が発明した浄水器「 スリングショット 」の原理は、いわゆる蒸留である。つまり水を沸騰させて水蒸気にした後、冷やして水に戻す。汚水と蒸留水の間で熱交換を行うことで効率を上げている。 日本では、防災用の浄水器としては中空糸膜や逆浸透膜が殆どだ。これと蒸留式には...
-
自動翻訳があるのだから英語の勉強はいらない、というのは、英語の勉強が苦手な学生がよく思いつく疑問だ。これと同じように、AIが発達すれば何でもAIに聞けば良いのだから勉強全般が不要になる、という人もいる。もちろんどちらも(少なくとも当面の間は)間違いである。 その理由は二つあ...
-
ここで言うサーバレスとは、Amazon AWS Lambdaのようなファンクションサービスである。つまり、オンラインサービスに関数を登録しておいて、使いたい時に呼び出すというものだ。ここで、その関数はいくら呼び出しても構わない。つまり、サーバ資源の容量を気にする必要はない。故...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
-
近年の若年層からの近視の増加傾向は、生活スタイルの変化と関係があると言われている。つまり、外を出歩かず、窓も締め切り、外出してもスマホばかり見ているという、要するに近くばかり見ている生活がその一因である。これは学術的にも証明されていて、外に出歩く機会が多い人ほど軸性近視の確率は少...
-
深夜の通販番組などで、運動しないでも痩せられる!なんていう器具や下着などが多数売られているが、ときどきズッコケる説明が堂々と為されていることがある。 こういうものを見るとき自分が気をつけているのは、論理的に、統計学的に、納得できるものかどうか、ということだ。それには商品...
-
フリーズドライには、戻したときに食材の食感が変わってしまう欠点があった。代表的には、豆腐が高野豆腐になってしまう。じゃがいもがスカスカになってしまう。葉物野菜はしなしなになってしまう。これらの欠点を、「 CAS冷凍 」によって補うことはできないか、と考えた。つまり、冷凍には...
0 件のコメント:
コメントを投稿