2017年11月24日金曜日

ボストンダイナミクス


ボストンダイナミクス社がソフトバンクに買収されたのは、もうだいぶ前のことだ。この会社はロボットを研究していたのだが、最も有名なのはBig Dogという名の四足ロボットだ。蹴っ飛ばされてもけなげに起き上がる姿で有名だ。他にもすべる、くずれやすいといった足元の不安定なところを歩き回る技術が秀逸だった。

これは米国の軍での売り込みを狙っていたところ失敗し、ソフトバンクに買収された。ではソフトバンクでどんなことを狙っているのかといえば、当然ながら軍ではなくtoBやtoCの市場だろう。それも警備や応対とは違う、「悪路を含めての移動」が念頭にあるわけだ。

軍事目的においてもその用途は「荷物持ち」だったわけで、民間になっても主用途はやはり荷物持ちだと思う。高齢者が買い物を頼んだり、尾道のような坂の多い町で郵便を配達したりする姿は容易に想像できるが、もっとぶっ飛んだ応用を考えてほしいものだと思う。

個人的なことを言えば、それで真っ先に思いついたのが山岳救助犬だ。セントバーナードに酒樽をくくりつけて、というのと同じで、ヘリコプターやボットでは近づけない、風の強い雪山での遭難などに当たる。しかも、束で行ってその場でテントを設営したり、担架を担いで連れて帰ってくれたりということすら期待できる。もちろん登山時の荷物持ちとしても有用だろう。

大きさ的な話をすれば、アンデスのロバ、つまり乗り物としてもちょうどよい(これ以上小さいと不安)。もちろんアスファルトの平地では非効率だが、地方や新興国ではちょうど良い場面も多いのではないか。

また、足元が悪いという意味で言えば、都心にもそういうところはある。歩道など狭いところでは、例えば電柱を避けてとか、側溝を踏まないようにとか、3段だが段差があるとか、車輪型の乗り物では不都合があるところも多くなる。

例えば宅配なら、2、3台これを積んで近所まで行き、エレベーターのない低層アパートや坂の上の数軒の荷物を纏めて積んでいく、あるいは高齢者や障害者が、玄関からアスファルトの平地にある車に乗るまでの繋ぎに使う、ということはありうることだ。また、もし宅配業者が大量導入してくれれば、大規模災害時に何とか物流を途切れさせないためにも使えるだろう。

宅配はボストンダイナミクス自身も意識していると思うが、日本の国土の狭さ、玄関までのアプローチの多様さについてまで意識しているだろうか。この技術がブレイクできれば、人が多く道が狭い、高低差があるなどの国や地域ではずいぶん重宝するだろう。

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