2017年11月23日木曜日
わけが分からないまま病気が治る
従来の医療が演繹的だとするなら、帰納的な病気の治し方というのがあるかもしれない。それは、多数のセンサに囲まれた健康な人と病気の人のさまざまなギャップを埋める、という施策である。
病原菌やウィルスが直接的な原因だとしても、免疫の強さで発症したりしなかったりという違いがある。そこにはもちろん遺伝的な違いがあるだろうが、同じ年齢性別体格であってもなる人とならない人がいる。その人たちの違いは従来は分からなかったが、もし大量のセンサと24時間監視があったとして、更にAI的な分析が加われば、違いが分かるかもしれない。
例えば食事の間隔や量、栄養素の違い、騒音や職場ストレス、運動などだ。こういったことは、単独でイベント的にされる研究を除けば、常時計測されることはなかった。そしてそれにしても、計測されるのはせいぜい1種類か2種類だったろう。可能な測定を全部且つ常時することで、複合的な原因が分かるかもしれない。例えばストレスと特定の栄養素の不足と運動の疲労が重なったときに発症の確率が三倍になる、などだ。
その因果関係さえ分かれば逆を行えば良い訳だから、AIからそのように指示をすればよい。条件のうち二つは変えられないが残り一つはコントロールできる、というのであれば、それを改善すればよいわけだ。そういった組み合わせが病気毎に多数あり、日々AIの指示にしたがって生活をコントロールしていけば、健康で長生きできるようになる。
それは世知辛いかもしれないが、基本的にはストレスがなく規則的でバランスの良い生活をすればよい、ということになるのではないか。従来の問題は、どの程度それを外すとどの程度病気になりやすくなるかが分からなかったことだ。だから上手くすれば、糖尿病や高血圧などの成人慢性病の多くが防げるかもしれない。
従来は漫然と「タバコはいけませんよ」「野菜を取りましょう」だったのが、「昨日あなたはタバコを何本吸ったので、今日は2本にしましょう」「野菜をあと20g多くとりましょう」といった指示に変われば、更にそれを守らないと「昨日も指示に従わず5本吸ったので、今日と明日は禁煙しましょう」「一昨日と昨日に野菜不足が続いているので、野菜ジュースを1週間毎日コップ1杯飲んでください」といった具体的指示に変われば、人は守るようになっていくのではないか。
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