2017年12月5日火曜日
インタラクティブ映画
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。
とは言っても、ゲームのようにコントローラーパッドを持たせようというのではない。映画という性格上、複数の人が一緒に見ているから、多数決で筋がどんどん分岐するようなインタラクティブ性を持たせるのはまずい。
ここでヒントになるのは、ウルトラマンのアトラクションだ。見たことのある人には分かると思うが、このアトラクションでは当然ながら怪獣とウルトラマンの戦い、そしてウルトラマンがピンチになり、最後には逆転して勝つ、という筋立てになっている。このピンチのときに、司会のお姉さんが会場の子供たちに声援を促すのだ。
声援が小さいと、ウルトラマンはなかなか回復しない。そこでお姉さんは更に声援を促す。そして声が大きくなるとウルトラマンは復活し、怪獣を倒すのだ。
今まで、映画ではこの仕掛けは使えなかった。その理由はもちろん、映画館には司会のお姉さんはいないし、会場の状況に応じてピンチの時間を調節することができなかったからだ。しかしここをCGで作ることで、また声援の大きさを機械で測定することで、ここを無人で調節することができる。
近年の映画館はデジタルでコンピュータ仕掛け、投影にはプロジェクターを使っており、ここを改造することは技術的に可能である。ピンチの場面になると声援インジケーターが画面の右に現れ、それに応じてCGで声援を促すメッセージや音声を被せ、場合によっては負けてしまうところまで作り込んでおく。ほとんどの場合は逆転までの時間が長引くだけだが、場合によっては負けてしまうと分かっていれば、自然と声援にも力が入るというものだ。
子供向け映画と戦闘シーンは相性が良いし、一定の市場規模もある。またアニメでも特撮でもCGは多用されるので、新たな機材の増加も少ないだろう。これで会場が大いに盛り上がるのなら、作る側にとっても大きなメリットになる。
他にも、ホラー映画において悲鳴が小さいと怖い画面が減るとか、スポーツ映画において歓声が小さいと引きの画面になってしまうとか、ストーリーにほとんど影響を与えないちょっとした使い方というのは色々考えられると思う。
更にこの先に行くと、例えば赤のペンライトと青のペンライトを使ってその多さと動きで筋書きが変わるとか、そのペンライトを劇場前で売るとかも考えられるが、これは少々商売っ気が強すぎて好きにはなれない。当面は声援のみで止めておいてほしい。
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