2017年12月25日月曜日

アルゴンビーズ断熱材


真空断熱材の解説記事を見るたびに思うことが幾つかある。

真空断熱材の面積は広くとれない。これは、芯材をアルミパウチで挟んで空気を抜く、という作り方でやる以上、芯材の大きさをあまり大きくできないからだ。大きくすると空気が抜けにくく、また穴が開いたときの被害が大きくなる。

そしてその周辺部は当然、アルミパウチ同士が圧着されており、ここの断熱性はない。ここの面積を小さくすることはやはりできない。しっかり芯材同士を離しておかないと、圧着が破れてやはり被害が広がるからだ。また、厚さも厚くはとれない。芯材を厚くするとつぶれ易くなり、厚さを保つのが難しくなるからだ。

このため、小さい面積の芯材を、比較的広い面積の圧着部が取り囲むような構造になる。芯材のある部分は確かに断熱性が高いが、周りの圧着部の面積が相対的に広く、また圧着部は金属であり熱を通しやすい。これではあまり意味がないのではないか。

これに対して提案したいのが、アルゴンビーズ断熱材だ。

空気に対して比較的断熱性が高いアルゴンを閉じ込めた中空ビーズを多数生成する。これを型に入れ、加熱しながら圧縮して板状にする。以上でお終いだ。

中空ビーズは既に工業製品として存在しており、断熱用フィラーとしても使われている。この中空ビーズの中身をアルゴンにするだけだ。作成時にアルゴン気中で作れば自然とそうなる(調整は必要だろうが)。アルゴンは空気に比べれば高いが、気体としては比較的ありふれており、電球などにもよく使われる。ガラスを扱う業者なら普通に買ってこれるだろう。

ビーズ内の気圧を大気圧より高くしておくと、ビーズは膨らむ方の圧力を受ける。これは断熱材の形状維持(潰されないようにする)に役立つ。また、アルゴン気中で作れば、ビーズとビーズの隙間もアルゴンであり、成型時の圧縮でここも密閉される。

真空断熱材と違ってカットも釘打ちも可能で、ウレタンフォーム代替として使える。しかもウレタンフォームなどより薄くできる。重ねることが可能、端まで断熱できる、などの特徴も、ウレタンフォームと同等だ。

ビーズを何で作るかにもよるが、もしガラスで作れるのなら、外壁材として考えてみても面白い。ウレタンフォームと違ってかなり硬く作れるだろうし、耐候性も期待できる。意匠的にも面白いものになりそうだ。

問題は製造法と価格で、アルゴンビーズ自体、上手く作れるかどうか、また幾らくらいになるのかが不明だ。値段は当然ウレタンフォームより高くなるだろうが、価格上昇と断熱性能の比が適切でなければ普及しない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注目の投稿:

ダイナミック租税とその指標

今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...

人気の投稿: