2017年12月8日金曜日

超高機能シーリングライト


http://tocana.jp/2017/11/post_14946_entry_2.html

将来なくなってしまう日用品のひとつにシーリングライトが挙げられていて、ちょっと驚いた。部屋に明かりは必要だろうし、床に置くのもなんだから、シーリングライトはなくならないだろうと思っていた。

だが、自分の過去の投稿を見返すと、シーリングライトの代わりにプロジェクタを搭載するアイデアが既にあって、ああなるほど、と思い直した。上の記事ではシーリングライトの代わりにLED電球が置き換わる、つまり巨大なシーリングライトではなく小さなものになるだろう、という予測だったのだが、そうすると天井のシーリングライト用のフックは無駄になる。冶具を生かし、それなりに重いものが置き換わるとすれば、多機能化が必要だ。プロジェクタはそれにフィットする。

さらに、それ以前でも「白い部屋の家」「家のOS」などでも紹介したように、カレンダーや時計などを投影で表示する機能は当然備えるだろうし、家族構成にあわせて何個でもテレビを出現させたり、PC画面を表示したりできるようになるはずだ。このように、シーリングライトを超高機能化することで、これだけ交換すればOK、という新ジャンルの家電を作れる可能性がある。「家のOS」では家を主体に考えていたが、シーリングライト単品という視点で考えたほうが製品化は早そうだ。

まず、機器構成を考える。シーリングライトに引っ掛けられる形状、重量もその範囲内、というのはまず最低限の条件である。次に、全方向へのプロジェクタ、マイク、カメラ、超指向性スピーカを内蔵するものとする。機器稼動のためのCPUは必要だが、恐らく大部分の計算能力はWiFiでホームサーバに委ねることになるだろう。つまりホームサーバとのセットになる。

次に機能を考えてみる。
  1. 壁から物理的なスイッチや操作パネルを取り去ることができる。すなわち、照明のオンオフ、冷暖房制御パネル、インターホンの親機などがなくなる。もちろんなくなった後は音声または投影による仮想パネルで操作する。そもそも操作パネルを壁に映す必要すらなく、手元に音声指示で表示したり、音声で直接指示したりできる。
  2. 家電だけでなく、あらゆるリモコンをこれで代替できる。リモコン画面の投影ないしは音声で操作できる。
  3. 防犯に使うドアや窓の開閉センサをなくすことができる。画像解析でできるようになるからだ。当然、不審人物の進入も、ガラスが割られたことも検知できる。
  4. 窓を開けっぱなし、鍵を掛け忘れ、などの通知に、その部分をハイライトする機能が加わる。直感的に動きやすくなる。
  5. タブレットの類はなくせるかもしれない。必要に応じて幾らでも大きさ自由なタブレットをテーブルに表示できるからだ。
  6. 壁に絵画、時計、カレンダーなどを表示することができる。スケジュールや天気予報、ニュース、株価まで、好きなものを同時に表示できる。
  7. 電話にその場で出ることができる。もちろん電話に出ている人だけに音が聞こえる。発信も当然可能だ。
  8. 当然テレビも投影で対応する。超指向性スピーカと連動することで、別の人が別のチャネルを同時に見ていても各々の音声は混じらないし、隣で電話を掛けている人がいても邪魔にならない。子供向けに用語規制をしたり、外国人向けに外国語で、また高齢者向けにスピードや音程や音量を調整した音を各々提供できる。補聴器が不要になったり、夜中に火事が起きても確実に通知できる。
  9. 何人と一緒に寝ていても、特定の人だけに目覚ましの音を聞かせて、あるいは目を照らして起こすことができる。
  10. 複数の人に同時に別々のBGMを提供できる。
  11. 音声に加え、ジェスチャーで機器を制御できる。例えば電話に出る際には親指と小指を伸ばした電話ジェスチャーで応答する。
  12. 近所に迷惑を掛けずに大音量大画面で映画を楽しめる。
  13. 部屋中をゲーム空間にしてゲームを楽しめる。
  14. テレビチューナーや録画機器はリビングに置かずに、普段は目にしない奥に設置するようにできる。これはホームサーバに内蔵させるのがシンプルだ。
  15. 火災報知機が不要になる。火事や煙は画像解析で分かる。ガス中毒だけは画像からは分からないので、ガスセンサが必要だ。都市ガスは軽いのでシーリングライトに設置してよいが、LPガスは重いので床近くに置く必要があり、別オプションになる。
  16. 留守でも人が部屋にいるような所作、いわゆる居留守モードが使える。明かりがついたり話し声が聞こえたりするような機能だ。
  17. 子供の危険動作、例えばコンセントにモノを突っ込もうとするとか、マッチや刃物をいじろうとするとかに対して、警告を出すことができる。
  18. 一度読んだ本は捨てられる。ページをめくるたびにカメラがそれを保存して、自動的にPDFを構築できるからだ。読みたくなったら再度投影させる。そのときには拡大や検索までできるようになっている。
  19. 映像で仮想人格を表示し、執事に話すように会話で指示を出せる。
  20. 緊急地震速報や自治体の避難情報などをリアルタイムで通知できる。
  21. 大画面でTV電話(Skypeなど)ができる。
  22. 環境表示(海岸や草原の動画を壁いっぱいに映すなど)ができる。寝るときには星空を映したり、花火大会の中継を自宅で見たり、プラネタリウム代わりにもなる。
  23. もちろん普通の照明としても使えるが、色温度を自由に変えたり、場所によって明るさを変えたりできる。食事をおいしくする、勉強をはかどらせる、夜中にトイレに行くときの最小限の照明、パーティーのミラーボール効果、映画を見るときに手元だけを照らす、などなど。
  24. 部屋に入れば全てはシーリングライト経由で操作できるから、事実上無線でつながるのはシーリングライトとホームサーバの間だけになる。これはセキュリティの向上に非常に有利に働く。そのうちシーリングライトに有線LANコネクタが付けば、それすら必要なくなるだろう。
こう考えると、超高機能シーリングライトは次世代の家電の要とも言ってよいほど将来性がある。テレビや防犯機器などを駆逐する可能性も高い。ただ、少なくとも初期には問題が山積みだ。高額になるのは仕方ないとしても、AIを駆使した高度なソフトウェアが必要なこと、重量が相当重くなりそうなこと、認識の精度が一定以上ないと使い物にならないこと、などが予想される。

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