2018年4月7日土曜日
曖昧さを許すXXエンジン
近年では、コンピュータソフトを全く一から作るということは殆どない。何らかのライブラリやPaaS、データベース、ミドルウェア、フレームワーク、などと言われるものを駆使することで、大いにその労力を低減することができる。
だが、そのインターフェースは言語と同様に醜悪である。マニュアルを読み、想定した呼び出し方をしなければまともには動かないばかりか、その手法はパーツによって全部異なる。
プログラマにとって今までそれが当たり前だったのだが、考えてみればそれは極めて不親切なのではないか、と思うのだ。人間の技術者だったら日本語で説明すればやってくれるのに、RPAになるととたんにプログラミングになってしまいプロが必要、というのが今の状況だ。
かつてSOAPというプロトコルはあったが、それでもまだ圧倒的に不足だ。自然言語による記述であって、更に曖昧さを許した上でもプログラムとしては正確に動く、という仕掛けにする必要がある。ツールが増えれば増えるほど、その問題は深刻になっていく。
例えば、時刻を返すライブラリがあったとする。そこには例えば「XX月YY日は何曜日?」といったメッセージを送ると「水曜日です」と返す仕掛けがあるはずだ。だがここには落とし穴がある。そう、年が指定されていないのだ。Excelで年を省略した日付を入れると年を補完してくれるが、そのような仕掛けが入っていることが必要なのだ。また、よく見てみれば日本語で問うていることがわかるだろう。これも今まではなかったことだ。
ファンクションにおいては「デフォルト値」のようなものがあるが、この例ではその程度で済む。だが事情はもっと複雑だ。例えば太陰暦と太陽暦では日の勘定の仕方が違う。
「XX月XX日とYY月YY日は何日離れている?」としたときに、太陰暦で聞いていたとしたら。しかも太陰暦で計算していることは文脈から分かり、その時々では指示されていないとしたら。あるいは「何日」と言っておきながら時間まで暗に尋ねているかもしれない。うるう秒まで含めた正確な秒数まで求めているかもしれない。
受け取り手にしても、答えが過度に正確だったら途中で切り捨てたり、勘違いしていると思ったらそれを指摘して問い直したりする、ということも考えなければならない。もちろんそれに答える技量が、ツール側にも必要だ。
一つのツールに対しての呼び出し方が多数あり、その曖昧さ加減は文脈まで含めて大きい。内部コードはツールそのものより呼び出し方の方がはるかに複雑。これが将来的なツールのあり方だと思う。
これは、例えば「Hey, Siri」といったような音声インターフェースと同じようなものであろう。プログラムは自然言語で、話し言葉になっている。記述は適度に曖昧で、それが人間にとっての読みやすさを生んでいる。ツールが賢くなればなるほど記述は簡潔になり、読みやすくなる。
従来の自然言語解釈とプログラミング言語との間を結ぶ新たなXXエンジン(意味解釈エンジン?)として開発し売り出せば、相当なヒットになりそうだ。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
こんなキュレーションメディアがほしい
SmartNewsやGunosyなど、いくつかのキュレーションメディアをインストールして使ってみて、やっぱりダメだと削除する、ということを、数カ月毎にやっている。なぜ数ヶ月毎にやっているかというと、進歩しているかもしれない、使えるようになっているかもしれない、と淡い期待を寄せ...
人気の投稿:
-
骨梁とは、骨の内部に存在する網の目ないしはスポンジのような構造のことだ。この構造によって、骨は頑丈なのに軽量でいられる。類似の構造としてはアルミ発泡材があるが、あれはどちらかと言えば消音や軽量化が目的であり、骨のような(建築用語で言うところの)構造材としての用途とは少し違う...
-
書籍「糖質疲労」「脂質起動」がベストセラーになっているらしいというので、少し読んでみた。そこに書いてあったことでいくつか気になったことがあったので、これをネタに生成AIをイジメてみようと思い、会話してみた。 その疑問とは、いわゆるベジファーストへの反論である。 まずベジファー...
-
高市新総理がかつて主張していた「スパイ防止法」。巷でもスパイ防止法の制定を望む声は強いのだが、調べてみるとそんなに単純な話ではない。特に、世間のイメージと実態はかなり異なっていることが分かったので、ここでメモしておく。 まず、「スパイ防止法がないのは日本だけ」とよく言われて...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
屋根に超音波振動装置を取り付けておく。これによって屋根と雪の間の結合が破壊され、雪が滑り落ちやすくなる。これが題記装置の原理だ。角度によっては放っておいても落ちるだろうし、そうでなくても楽に雪下ろしができる。 まあ超音波でなくて低周波でも良いのだろうが、超音波の方が簡単...
-
ディーン・ケーメン氏が発明した浄水器「 スリングショット 」の原理は、いわゆる蒸留である。つまり水を沸騰させて水蒸気にした後、冷やして水に戻す。汚水と蒸留水の間で熱交換を行うことで効率を上げている。 日本では、防災用の浄水器としては中空糸膜や逆浸透膜が殆どだ。これと蒸留式には...
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
免震構造については過去いくつか提案しているが、これの新しい版である。 以前、難燃性の油の上に浮かべた船の構造を提案したことがある。あれの砂版である。つまり、砂のプールを作っておいて、その上に浮かべるというものだ。砂が抵抗となって振動を軽減する。 ただし、油や水と違って砂の...
-
あるいは家庭用自販機、とでも言おうか。自宅のすぐ脇にあって、品揃えが少数多種、単に飲み物だけでなく、生鮮品や惣菜などもラインナップに加え、複数台並べて簡易コンビニ的に使用する。 自販機コンビニと似ているが、大きく違うのは次の通りだ。 品揃えはカスタマイズできる。 ...
-
通常のマットレスのコイルは円柱状に展開されるが、これを山型に展開するようにすると、潰れるときは渦巻状になり、完全に潰すことができる。キャンプに使われる簡易マットにこれを使うと、持ち運びに際しては薄く、使うときは快適なマットが作れるのではないか。 キャンプ用のマットとして...

0 件のコメント:
コメントを投稿