2018年4月24日火曜日

食の3Dプリンタ


http://idarts.co.jp/3dp/open-meals-sushi-teleportation/

発想は面白いが、今のところ実現性は低い。問題となるのはボクセル要素の解像度、結合方法、素材、そして製造方法だ。小さく分割すること自体はまあ良いとして、個々のボクセルの味、栄養素、食感をどう再現するのか、何も具体的なアイデアが示されていないし、スキャンの方法も勿論書いていない。

最初は、スキャンは諦めて、素材そのものを指定して考えるのが良いだろう。例えば米一粒を3Dプリンタで作るにはどうするか、を考える。これを更に細分化して、味、食感、栄養素について各々考える。まずは食感と栄養素を外して、味について考える。

味については、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味を出す調味料を混ぜ合わせる、という手法が使えるだろう。ただ、ブドウ糖と果糖の比率を変えるような高度な技ができるのかどうかは不明だ。

次に栄養素を加える。調味料自体にも栄養素があるので、それを差し引いた上で足りない栄養素を加えるのだが、栄養素自体にも味があるため、調味料をそれで加減しなければならない。この栄養素と調味料の組み合わせは、いわばゴールシークで作ることになる。
栄養素には三大栄養素(脂肪、たんぱく質、炭水化物)とミネラル・ビタミンがあるが、例えば脂肪ひとつとってもさまざまな種類があり、上の甘味と同じような問題がある。また、ミネラルやビタミンは多種少量であるので、その制御が問題になるだろう。

最後は食感だ。この再現にはコラーゲンの合成が必要になる。コラーゲン以外で食感を出す方法もあるだろうが、まずはコラーゲンとその形状、結合強度などを調整するのが有力だろう。

素材の多様性の問題に目をつぶれば、似たような味、似たような栄養素、似たような食感のボクセルを作ることは、まあ可能だろう。ただその「似具合」は相当に酷いだろう。これを本物に近づけるには、食材をできるだけ本物と同じにしなければならないが、そうすると保存性の良い粉末や液体にしてパイプを何本も繋いで… という方法は採り辛くなってしまう。

そして極め付けがスキャンだ。これをリアルタイムで行う方法はとても思いつかない。例えば凍らせるなどして固定した後にカッターでさいの目に切り、各々の栄養素分析をすることはできるだろうが、この時点で食感の測定ができなくなるからだ。

そしてサンプルを複数用意するにしても、食感をどう測定してよいのか見当もつかない。例えば「口」ロボットと圧力センサ、ということは考えられるが、食感は測定できても、その原因がサンプルのどこのどういう構造からくるものかは測定できたことになっていない。

ここを解決できなければ、このプロジェクトの実現性は低いままで終わってしまう。何とか良いアイデアはないものだろうか。

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