2018年4月30日月曜日
ヒアリと人間の生物学的進化
世界の侵略的外来種ワースト100とかいうものがあって、ヒアリはそれに該当するらしい。先日、日本で初上陸が確認された。
外来種というのは、近年では貿易貨物に紛れ込んでくるから、本来は行けるはずのない遠方にまで侵出して被害をもたらす。このニュースを見ていて思ったのは、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、ニュージーランド、カナダ、これらの国々の「人間」種としての外来種、つまり白人の侵出だ。
多くの場合、そこにいた現地人(種)を蹴散らして絶滅、あるいはその寸前にまで追い込み、膨大な土地を自分のものにした。その多くは武器をもって実際に殺したり脅したりした。これって、侵略的外来種と言えないだろうか。
まあ、日本人だって言えた義理ではない。南方進出、日韓併合、満州国、樺太、沖縄北海道、何れも「侵略」だと言える。このうち沖縄北海道はまだ侵略したままだ。他は返還したが、これだって反省して変換したのではなく、戦争で負けた結果として返還したのだから、別に褒められることではない。
ただ、それは非難されるべきなのかと言えば、必ずしもそうではない。強い種が生き残り、弱い種が滅ぼされるのは生物の基本、弱肉強食に則っている。日本人が失敗しアメリカ人が生き残っているのは、アメリカ人の方が強い、というだけのことなのかも知れない。それにもっと根本的なところで、他の生物を圧倒して人間が地球を侵食していると言える。
ただ気になるのは、この「進出」(侵略)の成功は、必ずしも生物学的な強さによるものではない、ということ。確かに米国人の多くは日本人より体格が良いが、それを使って進出したわけではない。武力や政治力といった知力とその派生物がもたらしたものだ。
その何がいけないのか。他の外来種は、凶暴だったり毒を持っていたり、といった、生物学的な強さで進出(侵略)してきたわけだが、人間は弱いまま広まっていった。つまり、人間以外の生物が生存競争によって生物学的にどんどん強くなっているのに、人間はそうなっていない、しかもそうなっていないのに地球を覆いつくすほど繁栄しているところだ。
つまり、人間の生物学的進化が止まって(遅々として)いる間に他の生物が進化して、ある日気がついたら猿の惑星になっていないだろうか、つまり他の生物に襲われて絶滅させられてしまわないだろうか、というのがその心配の主旨だ。
もしそうなれば、人類とて安泰ではない。人間は世界中に一杯居るし、生物学的には弱いから、餌としては申し分ない。伝染病などは度々人類を脅かしているが、こういったものがある日突然に(あるいは密かに)人間を侵食し、人類の大部分が死滅させられたり、あるいは寄生虫のように体を乗っ取られてしまう日が来るかもしれない。
これに対抗するには、人間が生物学的に、他の生物よりも速く進化するしかない。幸いにも人間には知恵があるので、遺伝子操作のような手法で「スーパー人間」を作り出し、風邪も引かず予防接種も不要、熊と戦っても勝てるような生物に変化する必要があるのかもしれない。
そういえばそんな話がTNGにあったっけかなあ。
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