2018年9月18日火曜日
地球連邦持続性管理委員会
成長を続けていた大会社が、成長が止まったと思ったらあっというまに凋落する、というのはよくあることだ。これは国でも同じで、奢れる者は久しからず。盛者必衰の理になる。
なぜそうなるのかも分かっている。拡大を続ける状態と拡大しない状態では、当然重点項目は異なってくるはずだが、どこが潮時かを見極められる経営者は皆無だ。過去、成功した会社は多数あれど、頂点で留まって維持し続けた会社はない。それだけ見極めと転進は難しいということだろう。
しかし、だ。会社や国ならまだしも、地球全体としてこれをしてしまっては大いに困る。そして正に、これから30年程度の間にそれは起こるはずだ。その際にソフトランディングができなければ、大規模な「死」が待ち構えている。それは戦争か飢饉か分からないが、いずれにしてもそれは避けなければならない。
考えてみれば当たり前の話であるが、地球の人口の拡大はどこかで止まる必要がある。資源の消費も、100%持続可能な方法に切り替えなければならない。そうなれば、文明の成長も止まるか、少なくとも大幅に緩むことになる。
今まではそれが遠い未来のことと思っていたが、実はもう目の前に来ているのかもしれない、あるいはもう行き過ぎているかもしれないのだ。そしてその見極めは極めて困難で、見極めに失敗すればSFのようなディストピアが待っているかもしれない。
これを解決する方法は一つしかない。人類全体として、厳しい自制心をもって長期的計画を立て、実行することだ。それは即ち、人口の抑制と再生可能資源への切り替えである。決して一国ではできないし、当然戦争などやっている場合ではない。そして残念ながら、この計画は当分実現不可だ。
「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」の中に、「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっととほしがること。」という言葉があるが、この「欲しがる心」を全ての国が捨てなければ実現できない。そしてこれは、囚人のジレンマのような構造になると考えられる。即ち、お互いが協力すれば良い結果をもたらすが、協力しない者がいたらその者が有利になる場合、全ての者が裏切る行動に出る、というジレンマだ。
どんな施策を考えたとしても、このジレンマが解消しなければ成功する望みはない。そしてこのためには、どうしても強制力が必要だ。
現在では、これに相当する組織は、安全保障理事会の国連軍や多国籍軍しかないが、この出動要件はあくまで軍事的脅威であって、持続性への脅威ではない。また経済制裁もあるが、これは軍隊のような強制力はなく、あまり有効とは言えない。
また、国連の常任理事国自体が持続性を破っている元凶でもあり、拒否権を発動されれば意味を成さないということを考えれば、国連に期待するのは無理筋だ。
結局これは、国連に代わる新しい国際組織(地球連邦)を作り、拒否権なしで発動できる強制力を持てる組織を作る、という案しか考えられない。やることはシンプルで、全ての地球環境の持続可能化に必要な国際協調を強制することだ。二酸化炭素排出量の制限、人口の抑制、とりあえずはこの二点で良い。
京都議定書のようなレベルではない。少なくともプライマリバランスをゼロにしなければ立ち行かないのは分かっているから、更に厳しい制限が課せられる。そしてそれが達成しなければ強制力を発動する。
これには当然、経済の縮小、文明発達の抑制といった厳しい現実が伴うことになる。もう「できる範囲で」なんて甘い言葉は通用しない。
宇宙人の侵略でもないと(それも成功しないと)、あるいは異常気象や天変地異が頻発しないと動かないのではないか、とも思うが、結局やることは一緒なのだ。そして気付いている人はとうの昔に気付いている。後はやる勇気、それだけである。
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