太陽光発電のコストが急激に下がっていて、従来の発電に比べても十分に競争できる時代になっている。それでもまだ太陽光発電に対する警戒感は強い。その大きな理由は、天気や季節に左右され夜間は発電できないことだ。
これに対して、EVの充電池をバッファとする案がある。この実現性について、量的な視点で可能なものなのだろうか、考えてみた。
- まず、一日の最大電力は、過去のピークで6430万kW、一日当たり1184百万kWh。つまり64GW、1.2TWhとなる。
- 日産リーフのバッテリ容量は40kWh。テスラ3は50kWh。他の電気自動車はこれより少ないようだ。テスラのトレーラーは推定800kWh。
- 自動車の保有台数は8千万台。乗用が6千万、貨物が千4百万。稼働率は5%。
大まかな数字が出たところで、検証してみる。日本の全ての自動車が電気自動車になったと仮定すると、その総バッテリー容量は、3.2TWh(全部リーフの場合)。稼働率5%と、その他接続していない車を合わせて8割がオフラインだとすると、0.64TWhとなる。これに対して一日当たりの使用量1.2TWhだ。つまり、一日の半分の量のピークカットができることになる。これは、太陽光発電の不安定さを補うには十分すぎる量だ。
事はもちろんこんなに単純ではない。平均的には大丈夫でも、部分で見れば過不足は発生するはずだ。それを近所で補完しようとすれば逆潮流になるから、それなりの設備が必要になる。
また、全部の自動車が電気自動車になるのは何十年も先の話であり、過渡期に立ち行かなくなればアウトだ。そうならないためには、ピークアウト対応充電プラグとEVの普及に合わせて太陽光発電を増設する、という政策連動が必要になる。
大規模な発電所はそう簡単に計画を曲げられないから、それに合わせてEVの普及率を調節するのがその原則だ。つまり、太陽光発電への補助金をEVにも割り当て、普及率に合わせて補助金の率を調節する。ある程度以上進めば補助金は不要になる。
上手くいけば、現状の太陽光発電の問題である新規開設認可の滞りまで含めて一挙に解決できるかもしれない。
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