2018年9月10日月曜日

DAO批判


Decentralized Autonomous Organization(分散自律組織) だそうだ。DAOの記事を読んでいると、次世代の会社だ、という風潮があるのだが、どうもまだ黎明期における過剰な期待が解消されていないようだ。

現状でDAOが使い物になるのは、経理や庶務の一部、事務代行のような、明確に切り出してルールを定めプログラム化できるものだけだ。「判断もオンラインでやる」と言われているが、実際には主任レベルの判断すらまともにはできない。とても従来の組織を乗り越えるような大げさなものではない。

ユーザから見て、それがDAOかSaaSなのかはどうでも良いことだ。DAOにできてSaaSにできないことなど何もない。多少使い勝手が違うだけだ。これを整理してみると、

メリット:
  • 信用調査の必要がない(但し結果が所望のものかどうかはお試しが必要である)
  • 想定外の負荷変動に耐えられる(但し十分な顧客数がある場合)
  • 課金が自動である(踏み倒しや詐欺がない)
  • 多少は安いかもしれない
  • 事業継続性は高い(但し十分な顧客数がある場合)
  • スケーラブルなコードを書く必要はない
デメリット:
  • サーバを用意する必要がある(自分の仕事でない仕事をするための)、しかもサービス毎にプラットフォームが異なれば各々必要になる(但し多重化やUPSは不要)
  • 顧客数が十分に多くないと信頼できない(事業継続性、性能、負荷追従性、改ざん可能性等に不安が出る)
  • 「作る側」に従来と異なる高度な技術知識が必要
  • あまり大きなプログラムは乗らない
例えば、ブロックチェーンは全く使わず、二者間のスマートコントラクトができるのであれば、課金と信用の問題はないわけだ。従来のオンラインサービスに、それだけ載せれば済む話ではないか、という発想はあり得る。

DAOが流行る可能性があるとすれば、複数のサービスが同じプラットフォーム(ブロックチェーン)に載ることが保証される場合である。例えば国が準備する、大量のサービスが一気に登場する、などだ。

これは、今のアルトコインの現状を見ていると、望み薄と言えるだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注目の投稿:

超音波モーターの原理によるVR用トレッドミル

  VRにおけるリアリティ問題の一つに、その場で動くのではなく移動する場合、つまり歩いたり走ったりすることが挙げられる。実際にはその場にいるので、歩いたかのように足場を調節してやる必要がある。 これを実現する方法として、すり鉢状の滑りやすい足場を作っておく方法と、トレッドミルを使...

人気の投稿: