ブロックチェーンには個人的に不信感を抱いている。その理由は以前も書いたが、
- 合議によって不正を検知するとあるが、不正する輩が組織的に大量に入ってくれば負けてしまう
- 台帳たるブロックチェーンは永遠に長くなっていく仕掛け
- 大量のデータが全部の端末に複製され続ける膨大な冗長性
- 合議によりスピードが抑制される
- 一度投入したスマートコントラクトが訂正できない
- 全台数の合議などという冗長な確認方法ではなく、素早い確認ができること
- 全台数に同じデータをコピーするというような必要以上の冗長性をやめること
- 古いデータは捨てられること
- スマートコントラクトを訂正できること
以前、二重の輪の話をしたが、ここで考えるのは三重の輪である。最も内側の輪は、トークンとスマートコントラクトの実行の信頼性のみを保証するもので、極めて信頼でき、多量の資源を投入できる組織のみから構成される。
例えば、国、自治体、多国籍企業などのうち大きなところだ。いわば郵便やインターネットの提供と同じようなベースロードであり、トラストレスは保証するが中身には感知しない(どころか知り得ない)。
真ん中の輪のトークンは、金(ゴールド)ベースの仮想通貨であり、外側の輪からはこれで手数料を取る。基本的に手数料はリアルタイム変動はせず、合議で年に何回か変えることができる。
真ん中の輪は、具体的なサービスを提供する企業・個人であり、バックボーンとして内側の輪を使用する以外は通常のサービスプロバイダだ。これは仮想通貨のバリエーションやDAppsに相当する。
一番外側の輪は、サービスを利用するエンドユーザだ。外側の輪は、基本的に軽量である。スマートコントラクトを実際に行うのもここだ。
内側の輪の目的は、ブロックチェーンの制約を緩めることにある。例えば合議制だが、数が少なければ全員一致で認証することができる。半分が合意すれば、などというまどろっこしいことは起こらない。また、やはり合意の下、一定以上古い記録をアーカイブして切り離したり、スマートコントラクトのバグを訂正したりすることができる。
後から巻き戻しすることも含め、内側の輪が全員合意すれば、大抵のことは可能になる。だからこそこの輪の構成員は社会的信用が求められるわけだ。ここが既存のブロックチェーンとは決定的に異なる。
他、内側の輪の構成員の一部が結託するなどして悪巧みをしたとすると、残りの構成員がこれを締め出す仕掛けも必要だろう。対象以外の全員が合意する、といった安全策は必要だが、そうした上で締め出し前にさかのぼって巻き戻しをすることができれば、被害を救済できる。
このように構成すると、例えば新しいDAppsがICOをしたとして、実はそれが詐欺だった、というような場合に、内側の輪がそのDAppsの集金をロールバックする、ということが可能になる。これでブロックチェーン絡みの詐欺は、社会的なものも含めてほぼ阻止可能と思われる。
また、ブロックチェーンの大きな欠点である51%問題にも対応できる。信用できない輩は内側の輪に入れないからだ。また、その信用があるからこそ、チェーンをぶつ切りにしてアーカイブ化することも適う。
世界中の分散環境を全てこれに乗せることができれば、信用詐欺も裏金も、相当に押さえ込むことができるはずだ。例えば国家通貨をこれに載せることすら可能である。
ここまで来ると、もうブロックチェーンとは言えない。むしろ、ブロックチェーンを置き換える第二の(第三の?)分散環境と言えるのではないか。
0 件のコメント:
コメントを投稿