2016年11月7日月曜日

ジョギングの科学

ランニング雑誌を見ていると色々と書いてあることはまあ知っているが、一冊買ってみて「見切った」と思ってからは参考にしていない。

元々競技に出るつもりはないので、細かいテクニックは必要ないし覚える気もない。一方で、フォームには気を付けている。これができていないランナーは意外に多く、近所のランニングコースでも、何年も走っているのにフォームの崩れが全然直っていない人の多いのには驚く。

ごく単純な話、ランニングというのは、重さ60kgの重りを如何に速く移動させるか、という競技だ。それを動かす原動力は筋肉であり、筋肉は部位によって方向と強度が違い、収縮という一方向の力しか出せない。ここから物理の法則で演繹をしていけば、理想のフォームは自然と明らかになる。

その基本原理は、余計なブレを出さない、ということだ。その重りをまっすぐ前に進めること。左右上下方向への移動、及び傾きをできるだけ少なくすることがその一。その二は、筋肉の収縮の方向の無駄をなくすことだ。

体の重心は丹田の付近にあるから、これが左右上下にぶれず、すーっと前に進むように走る。この方法論からいくと、ストライドよりピッチ走法の方が理にかなっている。腰をひねることで距離を稼ぐ、という方法は、進む方向に対して垂直な動きではないので、長期的にはエネルギーと酸素を浪費し、距離の割に早く疲れることになる。

また、腕を大きく振るのは無駄だ。腕の振りは前進への力とは関係ないから、重心のバランスをとる最低限の動きでよい。肩が大きく前後し、上半身をひねるような動きも同様、エネルギーの無駄になる。

前へ進む原動力は足の筋肉だが、これも左右方向の動きは無駄だ。着地にしても蹴りだしにしても、前後の方向に限定するような動きが必要で、斜めになったり捻ったりしている動きは抑えるようにする。もちろん重心は足の真下にはないから、左右のブレを防ぐために最低限の斜め方向の力は必要になる。

左右の動きが対称になっていない人も多いが、これも改めよう。もともと現代人は体の動きが少なく、例えば立っているときに均等に左右に体重をかける人は少ないなど、体が偏りがちだ。ランニングのとき位は意識して補正しよう。左右の筋肉のバランスが悪いと体に余計な負担がかかり、早く疲れることになる。

これらは結果的に、「ナンバ走り」に似てくる(腕の振りは逆だが)。甲野善紀氏の古武道の本を読んだことがあるが、結局あれも「科学的」な動きなのだろう。

また、ウォーミングアップやストレッチについても、一般論とは異なり何もしていない。体を激しく動かすサッカーやバスケットなどでは知らないが、一人でやるジョギングのような運動では必要ない、というのが自分の理論だ。

トレイルランニングならともかく、都会のアスファルトの上を走るのだし、自分でスピードを制御できるのだから、急に激しく腱が伸びる動作など考えられないし、例えばつまづいたり飛び出しに対応するような運動の程度でも体を痛めるというのなら、それは日常道を歩いていてもある可能性だ。

また、そもそもゆっくり走り始めればウォーミングアップを兼ねることができる。10分も走っていれば体は温まってくる。ウォーミングアップの目的は筋肉や腱を温めて血液やリンパ液などの流れをスムースにすることだが、これを走ることで行ってはいけないということはないはずだ。そもそもウォーミングアップ自体、運動なのだから。

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