2016年11月22日火曜日

放射能には安全な下限がない?


一部でそういう心配をしている人がいて、医者までも賛同していたりするが、これもトンデモの一つだ。その根拠は二つ。一つは自然放射線の問題。もう一つは他のDNA破壊要素の問題である。

まず前者だが、原発由来かどうかに関係なく、人は自然放射線を浴びている。また元々、自然放射線というのは地域によって量に大きな差がある。飛行機に乗ると多量の放射線を浴びるなど、高度でも異なる。これは、健康診断でレントゲンに何回掛かる、というレベルをはるかに超える変動量だ。

つまり、自然放射線と同程度(数倍レベル)の放射線を浴びた程度では、自然放射線の影響との区別はそもそもできない。では自然放射線の影響がどの程度あるのか、だが、地球上にそこから無縁で長期間生活できる場所はないので、事実上は分からない。分からないことを心配しても意味がない。

その二だが、放射線が生体に与える影響というのは、強い放射線による急性の影響は除くとして(下限の話なので)、弱い放射線についてはDNAの破壊、ということになる。

だが、よく考えてみてほしい。放射線が意志をもって、わざわざ特定のDNAを攻撃することなどあり得るだろうか。もちろん否である。放射線に意志などない。多数出る放射線のうちごく少数が偶然にDNAを破壊し、更にそれがたまたま上手い具合に(悪い具合だが)中途半端に生き残ることで、ガンをはじめ様々な病を引き起こす。それ以外の破壊は全て、免疫やアトポーシスの働きで排除される。

では、DNAの破壊は放射線だけが引き起こすものか。これも否だ。代表的には活性酸素が同じような働きをする。そしてこちらも、意志をもって特定のDNAを攻撃するわけではない。活性酸素も万病のもとというくらい様々な病気を引き起こすが、その本質は細胞の内部組織の破壊である点は同じだ。

であれば、それが放射線であろうが活性酸素であろうが(その他の何かであろうが)、エネルギーをもって細胞を破壊する類の影響を与えるものがどんな病気を引き起こすかは皆同じであるはずだ。つまり、放射線固有の病気など、そもそもあり得ないことになる。そしてその影響度は単純にエネルギーの強さ(密度など)によって決まる。

活性酸素は放射線があろうがなかろうが常に発生するものなので、放射線の強度が下がると共に何時かその影響度は逆転し、活性酸素が優位になる。その状況下では、(自然かどうか関係なく)放射線の影響は活性酸素に隠れて見えなくなる。

これも量的問題の議論の一つである。

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