2017年1月2日月曜日

マジックリープ


もう最初のニュースを聞いてから何年も経つ気がするが、未だにその実験機すら見ることができないのがマジックリープ社のディスプレイだ。HMDの一種だが、僅かに漏れ出る情報によれば、光ファイバーを振動させることがその原理らしい。
HMDで難しいのは、使える機器を小さくしないと重くて支えられないところだ。Hololensなどはもう始めから諦めモードとしか思えないのだが、マジックリープ社のそれは物凄く小さく軽いとのこと。だがそれが(どの程度)本当か、出てくる情報は皆無だ。
光ファイバーを振動させること自体は簡単だ。圧電素子に貼り付けてやるだけでよい。縦横各々に貼り付け、周波数を制御してやれば、簡単にスキャンできる。発光自体は既に三色LEDがあるから、後は制御だけだ。
最初のニュースが出て長い時間何も出ないのは、量産に問題があるからだろう。上の想像機構から推測すると、振動によるファイバーの触れ幅に誤差が大きく、個別に調節が必要、ないしは一度調節してもどんどんずれてしまう、ということが想像できる。何せ小さいので、ちょっとの誤差が致命的になる。
この調整の方法として王道が二つあって、一つは加工精度を高める方法。もう一つは常時モニターしてリアルタイムでフィードバックを得る方法だ。ただ前者は小さければ小さいほど難しくなり、後者はモニタリングの手法が必要になる。
モニタリング即ち正しい画像が出ているか、であるから、それにはカメラが必要である。つまりは撮像素子だ。これはファイバーより遥かにデカい産物であり、本末転倒と言える。また、ファイバーが網膜スキャンであるとすると、そもそもカメラによるモニタができるものか、怪しくなってくる。何処を写せばよいのか分からなくなるからだ。
マジックリープがどちらの方法でアプローチしているのかは分からないが、小ささを生かすなら前者だろう。そしてこれは日本人が得意な分野だ。「ファイバースキャンディスプレイ」という言葉だけを頼りに、ニュースを基に新たに日本人がアプローチしたとして、もう充分に追いつけるほど時間が経っているのではないか。
本家がうろうろしているうちに、日本のどこかである日突然発表があるかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注目の投稿:

ダイナミック租税とその指標

今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...

人気の投稿: