2017年1月13日金曜日

「できること」と「やりやすさ」の差


一言で言うと、UIの話だ。
これはコンピュータシステムに限った話ではない。有名なところでは納税と還付の格差がある。納税は給料天引きなのに還付は書類やらハンコやら色々と書かされ、平日に窓口に行かなければならないとか、生活保護の申請に窓口でいちゃもんをつけられるとかいった類の話は山ほどある。
国や自治体は国民の味方であるはずだから、UIの格差はこの逆であるべきではないか。「制度としてできることになっている」と「事実上はやりにくくなっている」というのは、法的にもきちんと見てやるべきで、これがやりにくければ規制もかけてやるべきだ。これは法を変えずとも、充分に憲法の保障する範囲で裁判所命令が出せてしかるべきだと思う。
そして、その「やりやすさ」の判定は、専門家がこねくり回すのではなく、実際の行動に掛かった時間や問合せの多さなどから計測できるはずだ。これは例えば工場労働者の行動をビデオに撮ってAI解析するような手法があるし、あるいは脳波測定で混乱を表すような脳波(そんなものがあるのかどうかしらないが)が出ているとか、手法の候補はある。
AIやビッグデータ解析が進歩してくると、こういった「隠れたやりにくさ」が、客観的な形で表に出てくる。もちろん初期にはアプリケーションや機械(ATMなど)の操作改善に使うとして、そのうちこういった公的制度の計測に使われだすと、「制度としてできる」というだけでは大義名分としては足りないことが明らかになっていく。これは制度の改善に繋がる、良い使い方だ。
これはまた、役所だけでなく、裁判所の不公平さや報道の偏りなどにも応用ができる。これは例えば法律の適用に関して厳密さをどこまで追求するかや、同じ情報ソースがあるのに報道するかしないかといったやり方で使われる。その多くは公共で入手できるソースのみから判定できるので、誰でも知ることができる。
これ自体も一種の色眼鏡ではあるが、恐らくは誰もが納得するいちばん色の薄いメガネであろう。自分の感覚が世間から見てどの辺にいるのだろう、という目安としては、今までで一番信頼できるものになるのではないだろうか。

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