2017年1月4日水曜日

うがいは有効か


以前、マスクとゴーグルと感染経路という投稿をしたのだが、その後テレビを見た。曰く、
  1. マスクは有効でない。なぜなら隙間が空くから。
  2. うがいは20分おきにやると良い。なぜなら、ウィルスが粘膜に付着してから感染が成立するまでは20分掛かるから。
  3. でもこの間隔でうがいするのは大変なので、水を飲む。一口でよい。
「ほう、そうか」と思って暫く注意して水を飲んでいたのだが、よく考えてみればこの理論はおかしい、と気付いた。
マスクに隙間が空く、というは、厳密に密閉するのは困難だとしても、隙間が小さくなればなるほど感染する確率は比例して(厳密な正比例ではないだろうが)小さくなるのだから、有効でないというのは言い過ぎだ。
だがむしろ、問題は水を飲む方だ。その先生は患者の前でもマスクしてない、でも風邪ひいてない、と自慢していた。それは結構な話なのだが、大きな問題がある。それは、水を飲むことで喉の粘膜のウィルスは洗い流せるとしても、粘膜は他にもある、ということだ。即ち鼻と目である。
元々、鼻にも目にも液体が少量づつ流れていて、ある程度はその効果が期待できるはずだが、それは喉でも同じ話だ。普段鼻から息をしている人は、当然喉だけでなく鼻の粘膜にもウィルスが付着するはずで、喉だけ洗い流しても鼻は流せない。目の場合は何処にも流れる先がない(厳密にはともかく)から、その場に留まり続ける確率は高い。
では鼻には殆ど付着せず喉にこそ付着するのか、と言えば、そんな話はされていなかった。実際のところ、殆どが喉ということはなくて、半々とか、せいぜいその差は倍半分程度しかないのではないか。目は呼吸をしない、面積が小さいという優位点がある一方、洗い流せる期待がなく、マスクもできない。
というわけで、①マスクは有効であり、着け方が正しければその分効果が高く、正しくなくてもそれなりに効果がある②うがいには意味が全くないとは言わないが、せいぜい何割という効果しかない、ということになる。ちなみにマスクは、隙間を考慮すれば半分くらいか、と推測する。二つ合わせれば感染確率は1/4程度になる、と推測される。
N95マスクをしっかり着けるとかなり息苦しい、というのも番組で紹介されていたが、N90マスクをしっかり着けても苦しさはない。N90マスクの周囲にソックタッチないしは弱い両面テープを貼っておけば、長時間着けても苦しくないマスクが作れる。これだけで感染率は9割減らすことができる。厳密に言えば、N90の隙間は飛沫に関しては100%に近いはずだから、付け外しと手洗いに気をつければほぼ100%防げることになる。(目は防げない) そしてこれならうがいや水飲みは必要ない。
この番組では他にも幾つかのネタを披露していた。ウィルスの大きさはマスクの目より遥かに小さい、という事実は、実際その通りではあるのだが、ウィルスは単独で空中に漂っている訳ではない。ここで「空気感染」と「飛沫感染」の違いが曖昧になってしまっている。現在、空気感染をすることが確認されている病気は殆どなく、飛沫感染のことを間違って伝わっていることが多い。マスクの網の目は飛沫より充分小さく、またマスクに触ることで吸い込まれるので、粗い目のマスクであっても充分に有効である。
唯一最後まで納得できたのは、手についたウィルスが数日生きていた事例がある、という話。これは当然事例だから確率に置き換えて考える必要はあるが、要は「手洗いは重要」という結論であり、これは従来と変わらない。
ただ、ここでも疑問が残る。目を擦ることは、目からウィルスが侵入する可能性があるのでダメだとしても、手を経由して口から入るのはどうなのか。水を飲むことでウィルスが洗い流されて云々というのなら、口に入ったとしてもそれは水と一緒に流れてしまうことになる。口の中には唾液があるから、唾液を飲み込むことで影響がなくなるという論理になる。
結論からすると、普通のマスクをソックタッチでくっつけ、目には花粉防止用のゴーグルをつけておけば、うがいも手洗いも必要なく、感染の確率を95%以上減らすことができる。但し手で目を擦ってはいけない。ちょっと常識とも医師の推奨とも異なるのだが、論理を積み上げるとこうなってしまう。

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