2017年8月29日火曜日

二重ブロックチェーン


ビットコインの分裂が、2017年8月に発生している。ブロックチェーンに関する懸念は以前にもしたことがあるが、それとは違った懸念が表面化したように思う。今回の問題は処理性能の向上のための規格の変更に関するトラブルだが、他のブロックチェーンでも何れは直面する問題だ。つまり、
  1. 台帳の整理問題
  2. 性能問題
この二つは避けて通れない。改めて整理すると、前者は全ての取引(トランザクション)を永久に保存するのかどうか、保存しないのならどのように整理するのか、という問題。これは記憶容量とその効率の問題でもある。後者は、トランザクションの処理速度は、検証の速度との相関にあるため、時代(機器の性能)と共に増えていく性質のものではない、ということ。つまり、処理数が時代と共に増えていくことへの対処が簡単にはいかない、ということだ。また、性能が向上すれば記憶域消費のスピードが上がるから、この二つも相関関係にある。

この問題に対処するために、従来のブロックチェーンとは相反するようなシステムが提案できる。それは、ブロックチェーンの二重化である。銀行網のような、信頼性を社会的に担保した高速なブロックチェーンと、個人の口座のような、処理速度や記憶容量に様々な制約があるが取引回数が少ない一般ブロックチェーンがあり、各々を繋ぐシステムだ。

前者を銀行ブロック、後者を口座ブロックと呼ぶことにしよう。後者同士が取引をしようとするとき、その取引自体を銀行ブロックに検証依頼する。銀行ブロックはその検証をチェーン内でランダムな割り当てで行い、その後多数決などで承認する。銀行ブロックはその承認を受けて口座ブロックに取引の実行を許可する。このブロックチェーンと既存通貨との交換は、銀行ブロックが保証する取引所で行う。

銀行ブロックは、全ての取引台帳を共有し、将来的にシステム変更があった場合には協議した上で矛盾なく移行することを保証する。一方で口座ブロックは銀行ブロックのシステム変更を受け入れることを保証され、また取引台帳は自分の口座に関するものだけに限定できる。自らが検証をすることはない。

今のブロックチェーンがベンチャーなら、このブロックチェーンは政府公認ということになる。既存の通貨とは異なる仮想通貨での流通ということにすれば、為替相場は相対取引で自然形成されるから問題あるまい。この方式なら、多少怪しい口座が紛れ込んだとしてもブロックしやすいし、今のビットコインのように相場が荒れる心配も少ない。また、「採掘」の概念をなくすことで、新しく作った口座は必ず0円(単位は知らず)から始まり、取引所のレートは市場で決まるので、不正が入り込む可能性は低い。

結局これは今の銀行網と同じなのだが、従来の銀行網は、特に海外では意外とローテクで、処理は手作業で行うところもあったりする。振込みや送金が100%間違いなく且つ遅滞なくできる、それだけでもこのシステムに移行する価値はある。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注目の投稿:

超音波モーターの原理によるVR用トレッドミル

  VRにおけるリアリティ問題の一つに、その場で動くのではなく移動する場合、つまり歩いたり走ったりすることが挙げられる。実際にはその場にいるので、歩いたかのように足場を調節してやる必要がある。 これを実現する方法として、すり鉢状の滑りやすい足場を作っておく方法と、トレッドミルを使...

人気の投稿: