2017年8月26日土曜日

AIには絶対できないこと


以前の投稿「 AI寿司職人は美味い寿司を握れるか」と関連して、「AIには絶対できないこと」、とGoogleで検索してみると、出るわ出るわ。無名有名入り乱れ、色々な説が唱えられている。

だがどれも、技術的に不可能であることを証明・説明できていると言えるものはなかった。自分に言わせれば、上の投稿と同じく「人間の能力を過大評価している」あるいは「コンピュータの可能性を過小評価している」ように見える。
  1. 創造力
    • 上の投稿で示した通りだ。
  2. 発明
    • 発明も既存のモノの組み合わせだ。だからデータが既存のモノだけでも、発明をするように設計したシステムを作ることはできる。データの出し方が既存のAIとは異なるが、これも単用途AIの一種として設計すればよい。チャレンジブルではあるが、原理的にできないという証明はできないだろうし、途方もないというほど難しいとは思わない。
  3. ルールを破ること
    • ルールは学習のための一データに過ぎない、と位置付けるだけで可能だ。もちろん絶対に破らないように設計することもできる。
  4. 勘、直感、ひらめき
    • 勘の本質は、明文化できない、また厳密ではないルール(因果関係)で、これは深層学習における関連性推定そのものだ。既にできている。
  5. 感覚
    • IoTの時代に何を言っているのだろう。センサのパラメータ(及びその組み合わせ)だ。
  6.  臨機応変
    • 当然できる。臨機=外部パラメータだ。
  7. 感情
    • 表情などから感情を読み取るAIは既にある。いじめれば泣くロボット、おちょくりに怒るアバター、幾らでも事例はある。
  8. 個性
    • 学習データが全く同じでも別の結論を出すAIなど、造作もない。
  9. 忘れること
    • 深層学習は、最初に学習したことを徐々に忘れている。また、学習時刻に連動して影響を可変にするようなアーキテクチャも可能だ。
  10. 疲れる、間違える
    • わざわざそうすることに意味があるかはさておき、設計でそうすることは可能だ。
  11. 意思
    • これも定義の段階で曖昧だが、その定義に従って設計をすることは可能だろう。
  12. リーダーシップ
    • 音声やメールなどで人間の感情を制御(誘導)することは可能、課題を与え報酬を設定することも可能。もちろんそう設計する必要はあるが、可能だ。
  13. 少ない事例からの推察
    • 無論可能だ。精度が悪いのは人間と同じ。また他の学習結果をベースにして推察することもできる。
  14. 起業
    • 少なくともイチゼロで考えるなら可能だ。起業を目的とするAIを作ればよい。
  15. 普通の人(汎用AI)
    • 多数の目的別AIを束ねるAIを作ることは可能で、その目的別AIの種類が十分に揃えば、汎用とみなすことは可能だろう。ここでその種類が幾つかが問題になるが、人間だって無限ということはあり得ないから、それをもって不可能とは言えない。
ひとつひとつには細かな考察が必要だが、おおむね実現のための課題設定や解決方法などには光が見える。もちろん上の殆どは今存在していないし、「苦手」と言えるものもあるかも知れないが、「絶対にできない」あるいは「当分(原理的に)できそうにない」ものは一つもない。

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