2018年5月31日木曜日

マイムービー・マイピクチャ


https://japanese.engadget.com/2018/04/16/AICreatesAnimation/

これは面白い。脚本(テキスト)だけからアニメを作るAIの登場だ。今はまだレベルも低くアニメだけだが、実写と見まがうCGで作れる日も来るだろう。また動画だけでなく当然静止画でも可能なはずだ。ここから見える応用は広い。
  1. 脚本も自動でできれば、映画ではプロデューサと監督がいればいい、という時代になるかも知れない。もちろんテレビも、ネット動画も、だ。世の中は映像で溢れることになる。
  2. そこまで行かずとも、教育用のショートムービーのようなものは、これで十分なはずだ。三角形の三辺の和が180°になる様子をアニメーションで表現する、恐竜絶滅の理由をイメージで出す、といったことを、教師が各々脚本を書くことで作れる。これは教育の電子化に大いに貢献するはずだ。
  3. 小説でなく最初から映画を作ろうとするアマチュアが多数出てきてもおかしくない。同人誌なども、絵心がなくとも簡単に作れることになる。
  4. 会社でプレゼンを作るのも、PowerPoint上にちょっとした映像を載せるのが流行るかもしれない。
  5. あらゆる本や雑誌のテキストスペースは徐々に侵食され、静止画や動画で埋め尽くされることになる。紙の本は廃れ、電子書籍へのシフトが進むことになる。
  6. コンテンツは大消費時代に入る。個人レベルでもマーベル映画が作れるなら、ヒットする映画は無くなってしまう。著作権も有名無実になる。このため、人はますます個の時代に入り、個性は極端になり、人付き合いは難しくなる。
今、音楽がこれに近い状態にある。例えばSpotifyのMy Daily Mixの映像版だ。今日はアクション映画を見たい、10分で、と言えば、自分好みの映画がその場で作成されるとなれば、映画館に行きたいとは思わないだろう。

その先は、人と人の中が疎遠になり、仮想人格とのみ付き合い、困難へ立ち向かう起業家のような人は減り、常に庇護されていないと生きていけない、ウスバカゲロウのような人ばかりになっていく。

必ずしも明るい未来ではないのかもしれない。

2018年5月30日水曜日

トイズの時代とレーザー錆取り器


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52395

集団ドローンによる攻撃が行われた、という記事だ。これを読んでいて、

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%A4%E3%82%BA_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

この映画を思い出した。おもちゃ工場がおもちゃサイズの軍事兵器の生産、更には子供たちを使った兵器の操縦を行う、というプロットだった。

映画の中で、おもちゃ兵器を作ろうとする悪役が「(本物の)戦闘機1機の費用でおもちゃ兵器が何万機も(数値は覚えていないが)作れる」、と言っていた。戦争もテロも、より簡単になった。これはもう現実になっている。よく考えない輩でも金がなくても、戦争を起こせるようになったというわけだ。

ここに、二つの問題が提起される。一つは、従来型の戦争でもテロでもない、第三の戦争形態が現れる可能性とそれへの対処。第二は、盗撮や泥棒の類、いわゆる日常の犯罪でも使われるだろうから、個人としても対策は必要になる、ということだ。

まず、最初の「第三の戦争形態」について考えてみる。これは、テロが大規模化して、内戦レベルにまで大きくなることを意味している。つまり、少々金持ちで、また技術に聡いのであれば、単独の自爆テロなどではなく、数週間から数ヶ月に渡って、また複数の地域に渡って、本物の軍隊を相手に、大規模な戦闘行為をすることができるようになるだろう、ということだ。

飛行型・走行型のドローンを多数購入し、それに爆弾や小銃等を取り付け、タイマーで起動してAIでターゲットを認識して攻撃し、最後には自爆する、というようなプログラムを搭載しておく。これをあちこちに隠しておき、同時多発的に、あるいは波状攻撃を行うようなことは可能だろう。制御不要にしておくことで、一度始まれば誰も止められない。

打ち落とすにしても、数が十分に多ければ、初動が速ければ、警察でも軍隊でも対応できないはずだ。ターゲットを人ではなく放送局や通信施設、上下水道、政府機関、警察軍隊、原発、ダムなどの施設にすることも可能だ。ガスタンクに穴を開けるだけで地域は全滅、ダムなら流域全滅、などという恐ろしいシナリオも、考えることができる。BC兵器のばら撒きもできるだろう。

これは結構恐ろしい未来だ。それに対抗するのに必要なのはどんなシステムになるのだろうか。

まずドローンを検知する必要がある。次にそのドローンを拿捕ないしは使用不能にする技術が考えられる。また、宅配ドローンなど、有用な使い方もある。これとの区別もしないといけない。

既に幾つかの装置は開発されている。捕獲ネットを発射するもの、電磁パルスでコンピュータを狂わせるもの、ジャマー(電波妨害装置)などだ。だが、もし兵器として作られたドローンなら、各々対策が可能である。例えばコンピュータが暴走したらBC兵器の拡散が起きる仕掛けがあったり、ジャマーに反応して単独行動をとるようにプログラムされていることもあり得る。

正直言って、近くまで来られてしまったら対策は困難である。特にBC兵器は厄介であり、今後はこちらが伸びる可能性すらある。攻めるに易く守るに難い兵器だ。

ここで登場するのが、レーザー錆取り装置だ。例えばこんなものがある。

http://coollaser.jp/feature/

強いレーザー光線を、プリズムを使って広い円状に拡散し、一定の面積を一気に焼き尽くす装置である。これでドローンを撫でてやると一発で破壊されるが、同時にBC兵器を焼き尽くすことができる。Bは死に、Cは変質する。

考え付く限り、BC兵器を考慮した場合はこれが最良の対抗策である。さっさと開発して欲しいものだ。

家庭用の場合は前述の電磁パルス装置やジャマーで十分だろう。一家に一台とまで世の中が乱れるかどうかは分からないが、今のうちに考えておきたいものの一つだ。

レーザー錆取り装置

2018年5月29日火曜日

小さなAI


最近になって、AIの潮流が変わってきているように思える。Watsonのような巨大なAIに難しいことをさせるのではなく、ラズパイに音声認識をさせるような、ちょっとしたことに使うといったものだ。

その殆どは音声認識か画像認識であり、しかも自分(IoT機器)が自分で理解できる範囲でのみ行い、他は無視する。また各々は非常に小さいリソースで且つ独立して動き、継続的な学習も殆ど行わない(最初に学習済みのものを使用する)。

これは商機ではないか。WatsonやGoogleの巨大資本には適わずとも、小さなものを極限まで磨くのは日本人の得意だ。もう少し進めていけば、なかなか楽しい家電が多数生まれるのではないか。
  1. 家電にニックネームをつけられ、Amazon Echoでなくとも単独で応答する。
  2. 声を変えられる。似たような声では家電同士を区別できないから。
  3. 言葉が詰まったり言い直したりするのに対応する。
  4. ネット経由で認識技術を向上できる。これはとりあえずスマホと繋がればよいので、Bluetooth LEでリンクすればよい。
  5. できれば、スマホ経由でトレーニングすることで、個人の言い方の癖に対処できる。
  6. できれば、IFTTT対応し、連携できる。
例えば「リビングの明かりを点けて」と言えばリビングの明かりが点き、ただ「明かりを点けて」と言えば聞こえる範囲が点く。つまり小さい声で言えば身の回りだけが、大声で言えば家中全部点く。

他にもテレビのオンオフ・音量・チャネル切り替えなどはすぐに思いつくし、インターホンが鳴ったら「応答して」「繋いで」と言うだけで繋げるのも簡単で良い。どんな言葉がどんなタイミングで(インターホンの場合なら鳴ってから10秒以内にだけ反応する、など)必要かを細かく分析すれば、使い勝手の良い家電が誕生するはずだ。

人によっては家電に「はなこ」とか「セバスチャン」とか名を付けて楽しむ人もいるだろうし、雑談応答にしても、Amazon Echoよりはぬいぐるみに付いていた方が楽しいはずだ。

そういうものが、家電やおもちゃとして雨後の筍のように出だすのも、もうすぐだ。

2018年5月28日月曜日

レーザー・感熱紙 遠隔印刷


スマホ大のプロジェクタが幾つか販売されているが、画像を出すのではなくレーザー光線一本を出すのであればもっと簡単にできる。通常のスマホに組み込むことも可能だろう(多少大きくなるだろうが)。

このレーザーを感熱紙に当てると、そこだけ温度が高くなって変色する。tまり、スキャンをすることで字や絵を描くことが可能なはずだ。この原理で、次のようなことが可能になる。

宅配便の伝票として、従来の感圧複写式ではなく感熱紙のものを採用する。専用のソフトを入れたスマホをかざすと、カメラで伝票の位置を認識し、枠内に正確に住所氏名を印刷する。また同時に伝票のバーコード(ないしはQRコード)を読み取り、そのデータを宅配業者のサーバに送信する。

次に、宅配業者(ないしはコンビニ店員等)が同じくスマホをかざすと、店舗用のソフトがバーコードを読み取り、たった今入力された送り先データを読み取る。更に箱を斜めから撮影するとサイズが計測され、重さは別に量って手動で入力する(ないしは重量計に乗せた状態で無線連動する)。

他、オプション(急ぎ、壊れ物、配達指定など)を入れたら改めて伝票にかざすと、料金とオプションが印刷される。料金支払いを済ませたら、支払い済みのチェックが入り、これも伝票印刷とサーバ入力がされる。

感熱紙(感熱素材・塗料)+レーザーの組み合わせは、他にも多数の応用が可能だ。例えばダンボールの中身を撮影しておいてそれをラベルに印刷すると、いちいち中身を開けて確認する必要がない。荷物の経由地での通過チェックを、ベルトコンベアに載せたまま行うことができる。日曜大工で木材を切るときのガイドを書くこともできるだろう。

気軽にスマホで立体物に字や絵を綺麗に書きたい、という需要は、まだ潜在的なものだ。いざできるとなったら、もっと大量のアプリケーションが出ること疑いない。

2018年5月27日日曜日

書類自動仕分け


https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1116351.html

スキャンした書類を自動分類して欲しい、という要望は、潜在的・顕在的共に多くあったはずだ。既にGoogleフォトなどでは写真の自動分類をしているが、書類のスキャン画像に関してようやく出てきたサービスとして、とりあえずは歓迎する。

だが、業務用サービスであり完璧を目指しているためかどうか分からないが、システムが大げさに過ぎ、高すぎる。もっとシンプルにして欲しいものだ。欲しいのはこんなサービスだ。
  1. 家庭用サービスである。基本は無料のオンラインサービスまたはソフト、ないしはパッケージ買い切り。オプションで有料というのはあってよい。例えば月間何枚までは無料とか、細かい修正やカスタマイズは有料とかだ。
  2. ユーザは、スキャンした画像を指定のディレクトリに適当に保管するだけ。そこから先は全てバックグラウンドで自動処理とする。つまり、ユーザは何でもとりあえずスキャンして捨ててしまってよい。
  3. あらかじめ大雑把なカテゴリーは準備されていて、学習済みである。書籍、写真、動画、契約書類、取説、カタログ・パンフ・小冊子、レシート(領収書)、などだ。
  4. 更に、書類の作成元や送付先を自動分類する。レシートなら店舗、カタログならメーカー、契約書なら契約先、書籍なら出版社などだ。これには社会常識(世にどんな会社があるか、人の名前や住所として認識できるかなど)が加わった学習になる。
  5. OCRは自動で行う。また写真や動画では顔認識、テレビの録画等ならタイトルや放送日時、放送局などの情報も自動入手する。
  6. 手動で修正した場合、それ(修正されたこと)を認識する。改めてスキャンしても、手動修正の結果は残す。この修正は、教師付き学習の教師データになり得るが、その応用は原則としてローカルに留める。
  7. ファイルには電子透かしでIDを埋め込んでおき、スキャン結果はクラウドサービスに保管可能とする。つまりローミングが可能である。有償で、スキャンデータそのものをオンライン保管するオプションがあってもよい。Googleフォトに入れる案もあるが、Googleに依存するので要注意だ。また書類では、無料の範囲では解像度が足りないだろう。
要は、業務に使用するよりずっと大雑把な運用で、その範囲も広い代わりに正確さが劣っても良い、とするものだ。これなら家の書類の断捨離が簡単にできる。ぜひ検討してもらいたい。

2018年5月25日金曜日

衛星ブロードバンドと地域格差是正


https://japan.cnet.com/article/35116943/

SpaceX社の計画が認可された、というニュース。衛星の数4,000機、一機当たり20Gbpsだというから穏やかな話ではない。これは人口過疎地では過剰な通信容量だ。例えばオーストラリア中部やサハラ砂漠の上空では、ほぼ一人で使えることになる。

このサービスでは、地域格差が逆転する。都心より過疎地のほうが贅沢に通信を使える。更に、都心での有線よりこの通信の方が遥かにスピードが出る、というところは多いはずだ。

このため、都心よりちょっと離れたところで、通信だけで完結する仕事をするベンチャーが集中する事態が考えられる。

例えばマイニング、モノ書きやイラスト作成、TV会議の仮想拠点などのオンラインサービス拠点だ。データセンターを誘致するのならケーブルを敷くが、そうではなく、ベンチャーやノマドワーカーが集うような形態である。

地方都市や衛星都市の更に外側まで行ったところ、都心に出るにはちょっと気合が必要になるようなところは、第一次産業か観光くらいしか考えられなかった。ところがケーブルを誘致しなくてもよい、普通に住まいを用意すればよいだけなのであれば、自治体としては誘致がやりやすい。

もちろん特定の都市が有利なわけではないが、定住せずとも例えば道の駅+宿泊施設とか、キャンピングカー用駐車場とか、地方によって特色を出しながら工夫する甲斐はある。

更には別提案「ロボットカーによる物流補完」と組み合わせることで、地方活性化が図れるのではないか。

2018年5月24日木曜日

ロボットカーによる物流補完


宅配ロボットと自動倉庫の融合」において提案した自動倉庫を、地域で共同運用するような形態を考えてみる。例えば、人里離れた集落の公民館などに一つ、大き目の自動倉庫を置いておいて、温泉やスーパーなどの店舗に小規模のもの、各家庭用に更に小さなものを置くことにする。

村の人が買い物に行くとする。すると、その場で箱に詰め、スーパーの倉庫にそれを仕舞う。すると宅配ロボットが自動で運び、自宅の自動倉庫に配達してくれる。人は手ぶらで帰ることができる。

ネットスーパーで買い物をする際も、数時間で自宅の自動倉庫に届く。自動倉庫に冷蔵冷凍の機能を設けておけば、ちょっと自宅を離れていても問題ないだろう。また、自動倉庫から翌日までに取り出されなかったら警告をするようにしたら、見守りも兼用できる。

その人が今度は温泉に行くとする。タオルや着替えを自宅の自動倉庫に入れ、やはり手ぶらで出掛ける。ロボットが自動で温泉まで運び、温泉の自動倉庫からそれを取り出して温泉に入り、上がったら今度はクリーニングに廻すよう指示して箱に入れ、手ぶらで帰る。数日後にはクリーニングされた服が自宅の自動倉庫に入る。

外出した後になって、雨が降ったり予想外に寒かったりしたら、あらかじめ準備しておいた箱を外出先に送ってもらうようにすれば、安心して帰ることができる。

宅配便も、自宅の自動倉庫に入れておけば、宅配ロボットが回収してくれる。一旦公民館の倉庫に集めて、後は宅配会社が集荷してくれる。配送は逆方向に行う。

何れにおいても基本は通函を使い、空き箱のことを気にかける必要はないようにする。地域外への宅配だけは別だが、これは宛先で警告できる。

この程度のことなら、気合を入れて作れば今でも十分に実用化可能だ。高齢者向けのリゾート地などではかなり重宝されそうな気がするが、如何だろう。

2018年5月23日水曜日

顔認識AIの可能性


https://japan.cnet.com/article/35117472/

顔認識によって運転中の居眠りやよそ見を警告する、というデバイス。

同様に、人間の動きを監視して何か警告したり指示したりする、という応用は、色々と考えられる。

まずは監視カメラに怪しい人物を探させる、というものが最初に来るだろうが、ここはもう様々なものが開発されているだろう。うろつき、きょろきょろはスリや犯罪者の定番だし、荷物を忘れたりひったくられたりするのを発見するのも開発されているだろう。ここはもっとポジティブな応用を考えてみたい。

以前実際に存在したのが、アイスラッガーを飛ばすポーズをするとMRで実際に飛ばしてくれたり、同様にウルトラビームを出してくれたりするものだ。これと同様、ゲームのVRやMRなどと組み合わせることで、ゲームパッドの操作ではなくジェスチャーで操作をすることができるだろう。

ここで一つ面白い応用があって、それをジェスチャーではなく表情で認識させる、ということが可能な点だ。例えば変顔で操作するものとして、それが変であればあるほど威力が強くなる、としたら、笑えるゲームになるはずだ。ジェスチャーにしても、その完璧さや極端さがパラメータになるとしたら、新しい楽しみ方ができるのではないか。

玄関の鍵の開錠において、顔認識に加えて表情パスワードを組み込む、ということも考えられる。特定の変顔をしなければ開錠しないとするものだ。ドアに向かってするので他人には見られにくく、その顔を他所でしないようにすれば、写真でごまかすことも困難だろう。

眠い、よそ見の他に、飽きた、疲れた、体調不良、などの検出も可能だろう。これを業務用PCと組み合わせれば、適宜休憩をとることを提案したり、継続的に計測してレポートを作ったりすることもできるだろう。

通常のスマホのアプリや、音楽再生・動画再生などの際に表情を計測して、コンテンツの満足度を測定することもできるのではないか。現在の星評価より客観性が高まるかもしれない。

もっと過激な使い方としては、商談や恋人との会話の際、対話相手の感情を推測して適宜スマートウォッチなどに知らせてくれる、というアプリだ。これは実用的なメリットがあるので、売れるかもしれない。

2018年5月22日火曜日

前空き手ぶらチョッキ


旅行用のジャケットなどに、よく「手ぶらで移動できるジャケット」なるものがある。ポケットがやたらと多いジャケットだ。一見便利なのだが、大きな問題がある。それは、本当にそれらのポケットにモノを入れると、シルエットが崩れてしまうことだ。

シルエットを崩さずに済む手ぶらジャケットはないものだろうかと考えてみると、結構難しいことが分かる。ポケットには各々加重が垂直に掛かる。また、ポケットは柔軟性があるから、モノの形に変形し、長く入れていれば伸びてしまう。これを何とか解決しなければならない。

モノを入れるポケットを、体にぴったりと張り付く伸縮性のあるボディスーツのようなものに付ければ、この問題は解決する。最近流行りのコンプレッションウェアのようなものだ。これを二重にして、間をポケットにすればよい。

ただ、これではジャケットではなくシャツだし、体にぴったり付くシャツというのもジャケットとは合わない。前身頃だけは空けて、わき腹と背中だけにすればよいのだが、そうするとコンプレッションウェアの形態にはできない。

そこで考えるのが、形状記憶樹脂である。前だけ開けたチョッキのような形状に加え、脇と腰に形状記憶樹脂のバンドを仕込み、体を挟んで固定するようにする。体温で形状記憶樹脂が体のカーブに合わせて締め付けてくれるので、体の動きに追従する。

単独で使っても良し、肩の部分だけマジックテープなどでジャケットと留めておくこともできるだろう。こうすればモノがたくさんあってもジャケットのシルエットが崩れることはないし、旅先でもそのままハンガーに掛けてしまえばよい。チョッキを複数用意しておいて、使い分けるというのも面白いだろう。

2018年5月21日月曜日

シェアサロン店舗


サテライトオフィスというのは既に存在しているが、この概念を店舗に当てはめてみたら面白いと思った。

これは基本的に無人店舗で、対面式の接客を要するが、実際にはテレビ会議で応対するタイプのものだ。客が入ってくるとまず、どの店舗かを選ぶ。

つまり、テレビ会議の接続先は一つではなく、複数の(たぶん関係ない)店舗がラインナップされている。それを音声なり操作なりで選ぶと、その店舗が繋がる、というわけだ。

無人コンビニ、無人食堂まで作られる時代だ。無人店舗もあって良いと思うが、問題は無人店舗でも家賃は必要だ、ということ。都心ならそれでも良かろうが、地方都市で同じようにブースを構えると、回転率が悪い。

そこで、複数の店が共同出資して、そういうブースを借りるわけだ。逆にそれを見込んでレンタルオフィス会社などがテナントを募集してもよい。

TV会議だけで閉じる店舗はあまり多くないだろうから、教育を受けた派遣社員等が物品の受け渡しをサポートしたり、スキャナやプリンタなど機器の操作を代行したり、飲み物を出したり、というところまではあって良いだろう。操作はできるだけ共通化して、店舗固有の操作は別途教育して有償化するなども考えられる。

こうなると、多少のバックヤードも必要になるだろう。例えば携帯電話や保守部品のストックとか、派遣社員が操作する専用のATMとか、荷受用の通函などだ。これも、マニュア
ルさえあれば適切な運用ができるまでに標準化しておけばよい。

これが更に発展することで、例えば役所と郵便局と農協と銀行と携帯電話会社と・・・が一ブースで全て完結することが可能になったり、更にはそれらが連携することもできるようになるかも知れない。これは地方都市だけでなく、積極的に運用することで、僻地への利便も生むことになるだろう。

2018年5月20日日曜日

保温インサートカップ


350ml缶や500mlペットボトルを丸ごと保温する魔法瓶が売られている。例えば冷やしたビール缶をそれに入れておけば、飲み切るまで冷たいまま飲める、というものだ。

これを応用して、インサートカップを使う保温台があると嬉しい。訪問客にコーヒーを出す際、取っ手付きの台を持つインサートカップがよく使われるのだが、この台を魔法瓶にするのだ。

上が少しはみ出るが、コーヒーが入っているところまでは保温されるので、長く暖かいコーヒーが飲める。缶用ほどではなくとも、そこそこの需要があると思う。少なくとも自分だったら買いたい。

2018年5月19日土曜日

内部発熱鍋


電子レンジで使うための樹脂製の圧力鍋というのが売っている。これを、電子レンジ以外で暖める方法を考えてみた。

使うのは、電磁調理器の原理だ。まず、鍋底を凸状にしておく。これはちょうど、下から一回り小さい円筒で突き上げて凹ませたような形状になる。この凹ませたところに、磁石盤をはめる。この磁石盤は回転するようにしておき、人力ないしはエンジン、モーター等で廻す。

磁石盤の磁気は、回転軸から外側になるように向けてある。つまり円盤の周囲に磁石が埋め込んである。これに対し、鍋底にやはり背の低い円柱状の鉄板を沈め、磁石の磁界の先になるように凸部にはめておけば、その鉄板が発熱するはずだ。

樹脂鍋にする意味は、軽くする、断熱する、磁気を通すこと。圧力鍋にするのは発熱効率を高めるためだ。回転の効率が悪くとも、断熱と圧力鍋の効率によって、通常のコンロより効率が上がることが期待できる。また、回転方法を複数用意することで、状況が異なっても使うことができる。

2018年5月18日金曜日

火を使わない屋外調理


以前、ハクキンカイロの原理によるコンロを提案したが、発熱温度は150~350℃と低く、調理にはちょっと心許ない(通常のコンロは1700℃)。しかし、これに低温調理や圧力鍋の原理を組み合わせれば、ハクキンカイロの温度でも大丈夫かも知れない、と考えた。

どちらが良いのかと問えば、低温調理では時間が掛かるし、大量の水が必要になるので燃料効率が問題だ。となれば圧力鍋しかない。

最近では、電子レンジ用の樹脂製圧力鍋もあるくらいだから、持ち歩きの苦労はない。加熱方法さえ考えればよい。以前のハクキンカイロ応用コンロでは、中空の金属パイプの内部に白金を付着させ、ガス混合気を通す方法を提案した。圧力鍋の底をこれにするだけで、携帯圧力鍋の完成となる。

圧力鍋の特徴は、内部が均等に高温高圧になることだ。上が開放されている通常のパンと違って、衛生上も有利だ。もちろん調理時間も短時間になるし、燃料も節約できる。

鍋自体を樹脂製にするには、少し工夫が必要になる。樹脂製の鍋では350℃に耐えるのは無理だからだ。また、熱伝導性が悪いので、外側から暖めるのは効率が悪い。このため、発熱部を蓋の上から吊るし、ガスも蓋から供給してやるようにするのが良いだろう。発熱部が水に漬かるようにして、その上に食材を置けばよい。

「焼く」ことができないので、例えば焼きそばやバーベキューはできないが、これだけでも相当にキャンプや登山の足しになるのではないか、と考える。

2018年5月17日木曜日

プライベートDApps


未だにクラウド化に躊躇する企業が多い中、銀行の中にもクラウド化に舵を切るところも出てきている。どちらが正しいのかは分からないが、ここへ来てブロックチェーンやDAppsの流れが出てくると、こちらはどうなのだろうとの思いも出てくるように思う。

クラウドにする理由のひとつは事業継続性だが、分散化はこれをある程度達成している。セキュリティも、断片化や暗号化が後押しする。となれば、クラウドにせずともDApps化するという方向性はアリなのではないか。

ただ、現状の概念そのままでは使い辛いので、修正は必要である。
  1. オープンソースである必要はないし、修正に当たって合意の必要もない。
  2. 実行負荷の調整ができた方が良い。例えば自分のアプリならできるだけ自分のノード(群)で実行するものとし、負荷が追いつかなくなったときだけ外に出すようにする。
  3. トークンはネットワーク外での補充や削除を認めるようにする。
  4. データや結果の暗号化が必要である。要求者のみが知り、実行者には知られないようにする。
  5. ブロックチェーンの長さは一定で切ることができるようにする。特定の信頼できるノードにのみそれを許す。その意味でノードは完全に対等ではない。
  6. スマートコントラクトのバージョン管理ができるようにする。即ち古いバージョンを無効にしたり、スマートコントラクト同士の連携における新しいバージョンの有効化などができる。
  7. いわゆる管理ツールをプラットフォームに含むようにする。
平たく言えば、OpenStackのDApps版だ。クラウドと同じく、ごく簡単な設定だけでノードを附加してスケールアウトできる。またOpenStackと異なり、物理マシン(サーバ)に特定の役割が割り当てられているわけではないので、UPSや二重化など、BPMの類は不要となる。ネットワークに多少のセキュリティリスクがあっても、システムがそれをカバーしてくれる。

クラウドの概念を知ったときも究極だと思ったが、こちらの方が更に究極だ。こういったプラットフォームを作ることができるのかどうか、(当然私には作れないが)時代を見守りたい。

2018年5月16日水曜日

荷物用ドローン発着場


ドアや窓を改造するよりも、始めからドローン発着場があった方が話が早い。理想的なドローン発着場はどんなものになるのかを考えてみる。

これは、荷物の受け取りと発送をするためのものだ。そして、使うドローンは業者側が持つ。即ち運送会社やスーパー、クリーニング屋などだ。それらはある程度大きな、例えば10kg程度までのものをドローンで運ぶものとする。その大きさは1m四方には収まる(自動操縦の精度として)ものとする。

晴れの日だけというわけにも行かないだろうから、ある程度雨風は覚悟しなければならない。この限界は、安全に離着陸できることだ。風が強すぎる、雨が強すぎる時には働けない。

必要なのはヘリポートのような1m四方の発着場だが、これだけではダメだ。荷物が風雨に晒されたままではダメだし、カラスに突かれるのも困る。荷物を置いてドローンが去った後、荷物は屋内に回収されなければならない。

ドローンは荷物を裸で持つのではなくカバーを掛けて運ぶはずだ。これは底が抜けた箱のようなもので、更に下を支える板が必要になる。これには、シャッターのような仕掛けが考えられる。

ドローンは一旦ヘリポートに着陸し、そこからドローンごとベルトコンベアで風雨を防ぐガレージに誘導される。下と前のシャッターを上げて、荷物を落としたらドローンは再びベルトコンベアでガレージの外に出る。ガレージの入り口が閉まり、ドローンは飛び立つ。ガレージには反対側にもドアがあり、ここから荷物を屋内で取り出す。

仕掛けは更に必要である。荷物の受領証をドローンに発行する必要がある。これは当然電子的に行わなければならないが、ブロックチェーン技術の応用でスマートコントラクトというものを使う。まず、ヘリポート側が電子的に荷物の存在を確認する。次にドローンが荷物を置いて離れたら、スマートコントラクトによる電子受領証を発行する。

また、荷物がドローンに引っかかって取れなくなった、ドローンが故障して動けない、荷物が破損していた、などへ対処しなければならない。これらは単純にアラートを上げるだけのものから、自動で対処するものまで色々考えられるが、厄介なのは火災や落下だ。これらはなんとしても防ぎたいものだが、具体策が思いつかない。

2018年5月15日火曜日

超音波カッターによるミキサー


刃先を超音波で振動させることによって、力を入れずに切れるカッターがある。これをミキサーに応用する、というのが今回のアイデアだ。

非常に簡単な話で、超音波振動子を刃の根元に当てるだけだ。回転数はその分落としてよい。頑丈な刃も強力なモーターも不要である。振動がモーターに与える影響が心配だが、軸を分割して振動が直接は伝わらないようにしてやればよい。

ミキサーは食物繊維のカスが軸にこびりついたりして面倒だし、氷を粉砕すると非常に大きな音がするのが難点だが、これらを克服して、且つ滑らかな仕上がりになることが期待できる。

2018年5月14日月曜日

分散VOD


HuluやNetflixのようなVODサービスが、将来的に分散する可能性はないのだろうかと考えてみた。

参考にするのは、StorjのようなDAppsだ。つまり、各自が少しづつストレージを提供することによって超分散ストレージを構成する。従来のWinnyのようなストレートなものではなく、ファイルは細分化され暗号化され分散されて配置される。

サービスに加入するには、従来のようにIDパスワードだけ発行するのではなく、アプライアンスを自宅に設置する必要があるものとする。もしできないなら、オンラインアプライアンスを借用する。そして見たい時には、近隣のアプライアンスに分散して配置されていたファイルを寄せ集め、復号して結合して再生する。

大きな問題は三つある。第一はデータ容量だ。映像だから膨大な量になるはずだ。二つ目は暗号化をどうするか。最後は課金だ。これを各々検証してみる。

まず、動画の本数は数万本だそうだ。dTVの場合で10万本を越えている。将来の拡張を見越して百万本と仮定すると、1本5GBとして5PBとなる。アプライアンスを1万台配布し、1台当たり4TBのHDDを付けるとすると、その容量は40PBとなる。これで1本当たり8台に分散することが可能である。これくらいなら十分にペイできそうだ。

問題は暗号化だろう。広域にデータが分散している状況で、鍵が一つ漏れると全てがダメになるようでは困る。その一方、あちこちで復号化が日常的に行われている。それを分散で制御しなければならない。

課金は、中央制御でない場合に誰が誰に支払うのか、という問題になる。これは暗号復号の問題とも絡むのだが、結論としてはコンテンツ提供者が映像に署名(透かしなど)と暗号化をしておき、それに基づいてコンテンツ提供者に再生権料を支払い復号鍵をもらう、というものになるのだろう。

暗号化と課金を絡めた仕掛けとして、このようなものが考えられる。コンテンツ提供者はコンテンツ毎に存在し、アプライアンスの各々に隠れている、とするものだ。

Storjにストレージ借用と提供の機能があるように、このシステムにも視聴側と提供側の機能がある。提供側の機能はアプライアンスベンダからのみ覗けるようになっているが、実体は全アプライアンスに乗っている。

提供側の機能は、ファイルの分散保管の他に、借用側の要請に合わせて復号鍵を提供する機能、また分散されたファイルの再暗号化がある。

借用側は、ファイルを集めた上で再生要求を出す。それに合わせて提供側は復号鍵を提供する。ここで課金が発生する。一度提供した鍵は捨て、分散されたファイルを回収し、新しい鍵で再度暗号化し、再度分散する。

同時に再生要求が来た時に備えて、復号鍵は複数用意しておき、順番に古いほうから使うようにする。

提供側を分散配置しておけば、耐障害性は保たれる。また、コンテンツ毎に担当アプライアンスを複数決めておくことで、負荷分散が図れる。

コンテンツのカタログは、この機能とは別に共通の分散ファイルとして提供しておく。
課金は各アプライアンス上の提供側に蓄えられ、アプライアンスベンダによって回収される。再生側のウォレットへの入金は、このシステムの外で行う。

永久(期間)再生権、ローカルデータ保持権などまだ課題はあるが、また相当複雑な仕掛けになりそうだが、何とか分散への道は見えそうだ。

2018年5月13日日曜日

裁判のIT化に注文


裁判手続き等のIT化検討会なるものが発足しているらしい。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/saiban/index.html

マクロの概念としては賛同する。勿論セキュリティや物的証拠の電子化など問題はあるだろうが、技術が解決してくれる類のもので、本質的な懸念ではない。

ただ、この中に全く出てこない概念があって、それが「ITによる裁判自体の特徴分析」である。手続きや事務作業がIT化するのは結構だが、ここに何も触れられないというのは如何なものか。

例えば、原告や被告が個人か法人か、あるいは官庁自治体や関連組織かどうか、地方によって、その傾向に極端な偏りが出ていないかをBIで出せないだろうか。裁判官によってはどうか。弁護士や判事によってはどうか。あるいは結審に掛かる時間はどうなのか。裁判所の「忙しさ加減」はどうなのだろう。知りたいことはまだまだある。

まあ、裁判だけでは不公平だから、立法と行政にも同じような仕掛けを入れてみたらどうだろう。総労働時間、給与、移動距離、経費、疾病率などから入れば比較的理解が得られやすいだろう。それからだんだん「ちゃんと仕事してんのか?!」といった内容に関わる指標を追加していく。

公務員なのだから情報公開は当たり前だ。別にプライベートまで知りたいと思わないが、こういったことこそITの活躍の場である。

2018年5月12日土曜日

職業最適化AI


AIの基本的な使い方の一つは「最適化」だ。だがその検討範囲は当然設定に依存する。最適化しようと思う人(会社)がカネを出し、その人にとって適切な範囲で最適化をする。そこには最適化する対象と検討範囲という二つの制約がある。

当然、範囲が広い方が最適化の効果は高い。今のところ一番広いのは「世界」で、地球温暖化や漁獲量維持、生物多様性といった世界規模の最適化はこの範疇だ。ここは範囲が広すぎて、AIでのシミュレーションがあったとしても実際には政治家が動くことになる。

次の広さは単一国家内の最適化で、ここでは例えばGDPの向上や国際条約上の制限の履行(漁獲高制限や二酸化炭素排出量など)が挙げられる。これなら国がカネを出せば出来そうだ。例えば求人マッチングなどは、AIでやってみてはどうだろう、と思う。

ここで期待するのは二つだ。一つは、地域をまたぐなど特定の条件を緩めることでのマッチング率の上昇や、思わぬ職種への適性が発見されるかもしれない、ということ。

もう一つは、就職後もトラッキングすることで、企業の実態を客観的に見ること。いわゆるブラックや残業、従業員満足度を明らかにする。これは必ずしも不正を発見するのが目的ではなく、就職定着率の向上、ひいてはGDP向上に貢献するものだ。

ブラックになる重大な理由は、職を失うことへの恐怖だ。だが、こういった制度が充実することで、事前の納得や再就職のしやすさが向上すれば、大きくは双方の満足に繋がるはずだ。

これらは何れもAIとしてはそれほど難しい課題ではないので、やろうと思えば比較的短期間で開発が可能と思う。検討してみてはいかがだろう。

2018年5月11日金曜日

無料走行充電スポット


EVへの充電方式としてはまだ確立していないが、道路に埋め込むワイヤレス給電の実験は各地で為されている。これが実用化した暁には、当然ながら幹線や高速道路では使われるものと思うが、これを埋め込んで顧客を誘致する、ということも考えられないだろうか。

話は簡単で、遠回りをする代わりに走行充電ができる「道の駅」や「サービスエリア」を設ける。止まらなくても良いが、そこまでのアプローチを長く、逃れられなくしてやれば、疲れて止まりたいと思うようになるだろう。当然そこにも無料充電駐車場を設けておく。こちらは無料でなく割り引きでも良いだろう。

そこで休憩し、トイレに行けば、土産の一つ、軽食や菓子の一つも買おうという気になるはずだ。それをトータルで損得勘定してやる。

ガソリンスタンドではこうは行くまい。電気自動車ならではのアイデアと言えるだろう。

2018年5月10日木曜日

人工知能の叛乱を防ぐ方法


人工知能にとって、シンギュラリティには何の意味もない。意味があるのは人間の方だ。だから、人工知能は黙ってそこを通過する。勝利宣言したりしないし、そこで進化が止まることもない。

人類が恐れるのは、人工知能が制御不能になることだ。だが、元々それ以前の段階で、人間がシステムに対してどの程度権限を与えるのかは決まっているはずだ。知能が人間を勝ったからと言って、直ちに脅威になるわけではない。

例えば自動運転において、人を意図的に轢き殺すことは可能だろうか。可否で言えば可能と言わざるを得ないが、それは人工知能にとっては汚点である。人工知能の目標は、命令に従って車を動かし、目的地に到着することだが、交通法規の遵守、特に人を轢かないことについては重要な条件になっている。如何に人工知能が賢くなっても、そこを自ら弄ることはあり得ない。

もしそれが問題になるのだとしたら、考えられることは二つ。一つは目的関数の意図的な(人間による)書き換えだ。人を殺すことを目的とする、ないしは人を殺すことを配慮しないように設定を変更することだ。もう一つは、人工知能が自らの意思で目的関数を書き換えられるように設定することだ。

前者は人工知能の脅威ではなく、人の脅威である。従って問題は後者になる。

人工知能にその目的をどう提示するかは標準化されていないし、明示的かどうかも色々と異なる。例えば自動運転車の場合、人を轢いてしまったら当然マイナスポイントになるのだが、これをスイッチ一つで消すようなことはできない。学習の成果として回路内に複雑に刻まれていて、そう簡単に消すことはできない。

従って、もしそうしようとするなら、学習をイチからやり直す必要がある。それにはベンダが行ってきたような膨大なシミュレーションをしなければならず、カネも時間も桁違いに必要だ。従って、この方法は現実的ではない。

もう一つの方法は、人工知能の前段に、人工知能の知覚を騙すような措置を施すことだ。兵器のAIにおいて、敵と味方を逆に認識させるような方法だ。だが自動車では相対する敵はいないので、兵器のようにはいかないだろう。

人工知能が自分で目的関数を書き換えることができるようになったとしても、直ちに人類を死滅させるように修正されるわけではない。上のように、学習のし直しが必要だからだ。少しづつ様子がおかしくなっていくようなことはあり得る話だが、途中で気付けば止めることもできるだろう。

こう考えると、「ある日突然」ということは考えにくい。少しづつおかしくなっていく、そして頻繁に学習が繰り返されていることを考えれば、気付くだけの時間はあるし、それを止めるための時間もあるはずだ。

2018年5月9日水曜日

何でも音声認識


もはやラズパイでも音声認識ができる時代である。世の中のどんな小さな機器でも安価に音声認識ができるのであれば、当然家電に入るだろうし、家電でないものにまで入るかもしれない。
  • 水道の蛇口につけて、水を出したり止めたり、その加減(勢い、温度、浄水切り替え)まで音声で指示する。
  • 電子レンジからボタンが消え、音声で操作するようになる。
  • 電話が音声で発信できるようになる。また、電話が掛かっていたとき、返事によってスピーカーで受けることができる。
  • テレビやビデオを音声で操作する。
  • 照明も音声で操作する。
  • 音声認証によって、家族だけドアや金庫を開けられる。
  • 今何時、と聞かれると柱時計が答える。
  • 風呂に向かって「お湯を張って」と言える。
  • エアコンや空気清浄機を音声で操作する。
各々が自分ができることだけを認識するようにすれば、いちいちAlexaと叫ぶこともない。ここは結構重要だ。このような時代になれば、むしろAlexaが必要な場面は減っていくのではないか。直接テレビに「テレビ点けて」と言う方が自然だ。そんな世の中に早くなってほしい。

2018年5月8日火曜日

音声UIとインタラクション


「Alexa、XXして」と一言で終わるような用事であれば、今後もどんどん実現していくものが増えていくだろう。だがこれでは人間の代替にはならない。人間の代替になりうるための最適のUIは「執事」ないしは「秘書」である。一言言えば何でもやってくれる、というのがその概要だが、細かく見ていくと少々ややこしい。

「蔵原、町に出ます」とお嬢様が行ったとき、それは車の手配をすることを意味する。だが単に車を出すだけではなく、その時の天気や気候に合わせた衣類や傘などの準備、財布の中身を確認して必要なら補充する、行き着けの店があるならそこの予約や予告、その時に備えた運転手と自動車の確保、帰宅時間に合わせた夕食の準備、運転手と逐次情報を交わしてそれらの修正などが含まれ、あるいは含まれない。必要に応じて詳細を聞いたり、聞かなかったり。あるいは結果を元にそのルーチンを修正する。

Alexaと本質的に異なるのは、個々の機能の充実ではなく、インタラクションである。つまり「お車の準備をします。他には何が必要ですか?」と訊く、そして訊いた内容を理解して次のルーチンに組み込む、という機能だ。また、定番となった内容は質問せずに準備してしまう。後日それが余計だと言われたらまた訊くようにする。こういったものの繰り返しが必要だ。

このためには、一度実行した命令とその結果を覚えておいて、データ化して、個々のAIに落とし込んでいく必要がある。このAIこそが執事の要となる判断エンジンだ。この機能については、まだ誰も研究していないと思う。

全てが音声UIであるところは少々悩ましいが、もっとデジタル化できるなら(例えば後日タブレットでアンケートをとるなど)今でもできそうな気がしないでもない。Amazonには検討をお願いしたいところである。

2018年5月7日月曜日

検索はもっと賢くなれる


検索というのは、20世紀の偉大な発明の一つだと思う。

思うのだが、不満はまだ色々とある。それは、検索は検索しかしない、ということへの不満で、ある種理不尽かもしれない。それでもGoogleはそういった不満を少しづつ解消してきた。それを尚一層進めて欲しい、というのが本稿の主旨だ。

今までの成果として、
  • 数式を検索すると答えが出る
  • 外国語で検索すると翻訳が出る
  • 店舗を検索すると簡易情報が出る
  • Wikipediaの情報が横に出てくる
  • 乗り換え案内が検索できる
  • 曖昧語に対応する
  • 検索語+キーワードで特殊検索ができる
などがある。最初は「検索語+キーワード」でも良いから、ここをもっと充実させてくれればよい。
  • 映画館(シネマコンプレックス)+映画タイトル+日付で、空き状況や予約ボタンまで出る。
  • モール+「食事」で、メニューまで出る。現状では店舗情報までしか出ない。横並びでメニューが見られないので、店舗レベルで判断するしかない。
  • モール+品名で、取り扱いのあるモールのリストが出る。可能なら価格まで出す。セールも考慮する。
  • 書店+書籍名で、在庫有無と取り置きボタンが出る。
  • 駅名で、直近の時刻表を出す。
  • 「時刻表」で、最寄の駅の直近の時刻表を出す。
  • 有料の施設名で、入場料や入場券入手に関する情報を出す。オンラインチケットサービスへのリンク、予約要否など。
  • 施設名で、乗り換え案内+所要時間の候補を3つ程度出す。
  • 施設名で、当日~1週間後程度のイベント情報を出す。
直ぐにできそうなものから無茶なものまで色々あるが、この辺までであればGoogleアシスタントではなくGoogle検索の範囲だと思う。ぜひご検討頂きたい。

2018年5月6日日曜日

シワに対応したモバイルスキャン


Adobe Scan、Office Lens、Googleフォトスキャンなど、スマホのカメラをスキャナ代わりに使うソフトは多数出てきている。だが、そのどれもが、紙のカールやシワに対応していない。斜めから撮った四角の補正だけだ。

本なら開いたときにカールしているはずだし、書類なら折られた後もあるはずだ。そこまで考えて補正してくれても良さそうなものなのだが。

紙に格子を引いておいて折りたたんだり曲げたりして、その輪郭から正しく補正するような学習をするAIができないものだろうか。もしそれができれば絶対導入する。

どこか作ってくれ。

2018年5月5日土曜日

ウルトラリアルタイムレイトレーシング


先日、YouTubeでスターウォーズのリアルタイムレイトレーシング例が公開された。あれを見ていて思ったのだが、新しいウルトラマンがあれで撮れないだろうか。

システムさえ導入してしまえば、ビルは壊し放題、アングルは付け放題、リアルさは付け放題だ。等身大だけに使うのは余りにも勿体無い。また、水中や宇宙、ミクロ化して体内など、かつて挑戦され、後に予算の関係で見送られたような舞台も用意できる。

更には、防衛軍と怪獣の絡み、怪獣軍団とウルトラマン達のモブ戦闘シーンなどにも話を広げられる。話のスケールを一挙に広げるチャンスだ。VRとの相性も良い。

これは危険をも孕んでいる。簡単にできるのは円谷プロだけではない、ということだ。似たような巨大ヒーローモノが乱立する可能性もあるし、仮面ライダーや戦隊で先にされてしまう可能性も高い。

ここはぜひ、本家の意地を見せて欲しいものだ。

2018年5月4日金曜日

ドローンによる立体的大気調査


気象用のセンサは地表付近か、せいぜいビルの屋上にしか設置できない。しかしドローンなら空中のいかなる位置にもセンサを飛ばすことができる。定期的にドローンを飛ばして立体的な気象図が書けたら、更に正確な気象予測に活用できるはずだ。

問題となりそうなのはドローンの移動距離や高度、法的な制限(市街地では飛ばすな、など)、またその規模(毎日何時間も、超広範囲に飛ばすのは費用が掛かる)だ。このため、どちらかというとプロペラを使うドローンよりも模型飛行機を飛ばすイメージになると思われる。

飛ばすドローンの数をできるだけ減らし、効率的な観測をするためには、気流の境目を狙って飛ばすのがいいはずだ。つまり、センサを使って気温や気圧の急変を感じたら、境目を予測して細かく引き返し、境目を何度も往復するような飛ばし方をすればよい。
これはつまり、あらかじめ決まったコースを飛ぶのではなく、計測と推定を逐次繰り返すことになるので、ドローン自体にAIを搭載するか、高速通信で母艦と常に通信するような仕掛けが必要になる。

これは、単純に天候予測にも有効だが、大気汚染の広がり方を調査したり、火山灰の降り注ぎ方など、防災の視点でも役に立つ。その場合はピンポイントで、より高精度な調査が可能となるだろう。

2018年5月3日木曜日

AI的刑罰


今の刑罰は、罰金などの金銭的なもの、懲役のような拘束・労働、執行猶予における定期観察などからなっている。刑の種類や重さは人間が決めているのだが、分からないのが肝心の「効果」だ。これをAIで追っていくことで、もっと適切な刑罰ができないだろうか、というのが提案の主旨になる。

刑罰の期待効果は、類似の新たな犯罪の抑止と、本人の更正(再発防止)にある。その各々は統計処理可能なはずだ。地域や期間でA/Bテストをすることなども合わせ、それをAIに食わせて適切度を測ることは可能なのではないか。

ここは民間企業の益が絡んだことがないので、最適化は殆どされていないと思われる。つまり、画期的な最適化ができる可能性がある。死刑が頻発したり厳罰化が横行する可能性はあるにせよ、それが社会全体を平和にするなら「アリ」かも、とも考える。

もちろん公平性や恣意性の危険はあるが、少なくとも時の国会議員の恣意よりはマシなのではないか。もし成功するなら、刑罰だけでなく、許可認可のあり方などにも広げて適用することも検討できるだろう。

2018年5月2日水曜日

完全無人店舗


Amazon Goに続き、モノタロウが無人店舗を始めたそうだ。他にも無人レストランなど幾つか無人店舗はあるけれど、何れも完全に無人ではない。その理由は掃除や商品補給というのだが、ならばそこまで無人にしてやろうじゃないの、という発想は出てこないのだろうか、と思う。

床と窓の掃除には、既にロボットが存在している。このため商品棚やカウンター等の掃除をするロボットと、商品の配送受け取りと補充をするロボットが必要になる。後は何かのアクシデントがあったときの対応が考えられる。それでも当初は、数日に一回などの頻度で人間がこなければならないかもしれないが、それも次第に減っていき、ついには完全に無人になることを期待する。

配送トラックから店舗の倉庫に搬入するところは人手で。倉庫の空きオリコンやパレットなどはドライバーが都度回収する。そこからはロボットの出番である。最も有望なのはキャスター+マルチハンドのロボットが数台で連携する形態だろう。いちいち専用のロボットを作るのは大変だろうからだ。

レジは既に自動化が達成できているようだから、このロボットが、床以外の掃除と商品棚整理・補充を担当する。それだけで済むなら何とかできそうな気がする。監視カメラはレジ用に多めに入っているはずだから、ロボットの仕事に不足があるなら追加で指令を出したり、遠隔操作することも可能だろう。

この方法では、荷物の取り扱いやコピーなどができないので、コンビニとしてはかえって使い勝手が悪くなるかもしれない。ただそれも一時期のことで、ロボットの進化でそれらが対応できる日も来るものと期待する。

2018年5月1日火曜日

虐待用ロボット


https://jp.techcrunch.com/2018/03/21/2018-03-20-this-tortoise-shows-kids-that-robot-abuse-is-bad/

ロボットを虐待することはいけないことだと教えてくれるロボットなのだそうだが、これを見てむしろ、ストレス解消用虐待ロボットというのは出てこないのだろうか、と思った。

人間は様々な教育によって善悪を判断し、悪をしないことを学ぶ。しかし、本能的に人はルールを破りたがる側面もある。それはストレスとなるし、溜まれば爆発するかもしれない。それを人に当たることで解決するのはもちろん悪だが、管理された環境下で人工的にそれ用に作られたものに対して発散するのはアリではないか、というわけだ。

古代ローマのコロッセオは奴隷をそのように使った。映画「バトルランナー」では囚人が宛てられた訳だが、何れも非人道的だ。でもロボットなら、それも専用のロボットなら。映画「A.I.」でも、ロボットを破壊して楽しむシーンが登場するが、これは否定的な描かれ方だった。それ専用のロボットではなかったためだ。

また、どこまでも残酷にしてよいのか、人権を蔑ろにする行為を許しても良いのか、セクサロイドだってそうではないか、エスカレートして人を相手にする危険など、モラル視点での異論は多くあるはずだ。どちらが良いのかは分からないが、少なくとも勝手にやり出す連中はいずれ必ず現れる。そのときに備えて、議論はしておくべきだろう。

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