2019年12月24日火曜日

マンション専用共同自動倉庫


マンションには、トランクルームがあるところもある。あれは季節の大型のもの、例えばスキー板やスタッドレスタイヤを入れるのには便利だ。しかしあれは抽選になるだろうし、多くの隙間は空いている。ここで考えるのは、もう少し小さい荷物ではあるが簡単に出し入れできる、荷物の預かりサービスだ。

業務用の大型の自動倉庫ではなく、新たにマンション用に小型の自動倉庫を開発する。それは、定格サイズの通函を個数単位で借りるイメージになる。上蓋式の密閉できる衣装ケースがイメージとなる。大きさとしては、50リットルサイズが適当だろう。これは引っ越しに使う段ボールとだいたい同じである。これを、共同スペースに設置する。

倉庫自体は見えなくなっていて、出し入れ口のみが解放されている。パネルを操作するなどして指定し、取り出し手続きをしてしばらくすると、受け取り口に荷物が出てくる。預けるときはその逆である。

借りるにはクレジットカード登録等を必要とする。例えば函一つにつき一か月100円、等として、出し入れの手数料や基本料金はナシ。台車の貸し出しもアリとしてやり、これは盗難防止のためにデポジットにする。

この通函に合わせた棚を用意してやれば、部屋に持ち込んでからもその函をそのまま使える。季節のモノをやり取りするには、これは便利だろう。

自動倉庫であるので、スペース効率は高い。これなら部屋が多少狭くても補完できるし、荷物を積極的に通函サイズに納めようとするだろうから、モノの整理にもなる。フリマとのやり取りなどもしやすくなるはずだ。

この自動倉庫を外とも連動させることによって、例えば宅配荷物のやり取りにこれを使う、ということができる。宅配業者が自動倉庫に荷物を預け、そのことを通知すればよい。こうすれば、宅配ロッカーと同等以上の効果を得ることができる。他にも、デリバリーは無理だが、クリーニングくらいならこれでやり取りできそうだ。将来的にはロボット配送との連動も出来るようになるだろう。

既存のトランクルームがあるマンションなら、その二つ三つを潰して入れれば、数倍の効率で荷物を預けられるようになるだろう。新築なら郵便室の隣に設置すれば、宅配業者にも分かりやすい。中規模以上のマンションなら、検討しても損はないだろう。

2019年12月23日月曜日

甲時計


長い間腕時計をしていない。スマホで十分だ、と思う。しかし、腕時計にしたい時もある。運動をするとき、夏。なぜそう思うのかと考えたのだが、普段長袖のことが多く、腕時計だと隠れてしまう、というのが、結構大きい理由なのではないかと思い始めた。

スマホを懐から取り出すのと、袖をちょっとまくるのと、確かに動作としては違うけれども、煩わしさでいえば大差がない。スマホはどうせ持たなければならないのだから、じゃあスマホで十分だろう、というのが、意識下にあった気がする。

じゃあもし、手首付近にあって常時見られるのなら、その方が良いケースは多いのではないか、と考えてみると、確かにその通りだと思う。そこで、手首ではなく手の甲にディスプレイがあれば、と考えてみた。

Galaxy Foldに代表されるように、ある程度薄くフレキシブルなディスプレイというのは出てきているから、手の甲に貼り付けるように固定するディスプレイは可能なはずだ。固定方法は色々考えられるから工夫するとして、手の甲でフレキシブルなら腕時計より遥かに大面積を表示できる。別に母艦が必要だとしても、殆ど母艦を取り出す必要がない程度まではできるのではないだろうか。

個体電池が出てきているので、手首に電池が収まらなくても腕側に伸ばせば問題ない。母艦とは無線でつなげばよい。また、普段は肌色にしておけば目立たないので、ビジネスシーンでもけっこうイケそうな気がする。手首や手の甲の動きを検知してアクションを起こすようなことも期待できるだろう。

2019年12月20日金曜日

究極のオレデータベース


Evernoteが流行ったことがあったが、その後どうなっているのだろう。はてなブックマークも、普通に使われているのだろうか。OneNoteを使いこなしている人はどれだけいるのだろうか。自分も色々とやっているけれども、どれもしっくりこない。

欲しいのは、自分なりのデータベースなのだが、それはかっちりしたものではなく、知識集だ。本やネットサーフィン、テレビで見た、などの情報で、「あ、いいな」と思ったものを即時に記録したい。だが、その場での整理、例えばタグ付けなどは時間が惜しい。後でじっくり、と思って、なんでもかんでも記録しては、結局使わずに放置している。そのような記録が色々なレベルで溢れ、価値のある情報はやっぱり埋もれてしまっている。

ここで技術の力を借りたい、と思うのは自然なことだろう。その際に支援してほしいのは、何といってもタグ付けの技術である。それも、できるだけ深く追いかけてほしい。

究極の技術としては、眼鏡にライブカメラを仕込み、常にONにしておいて、気づいたときに「アクション」をすると、その時の情報がとりあえず記録される、というものになる。

例えば町中を歩いていて気になる看板があれば、その方向を向いて瞬きを3回する。すると、その前後10秒に映っていた全ての映像、全ての音声を記録しする。まあ最初はそこまで行かずとも、スマホで写真に撮る、動画に撮る、としたところでそれが起動するので良い。

問題はその先だ。単に映っているものが何かを解析してテキスト化するだけでは足りない。例えば看板ならそのオリジナルPDFをネットでサーチして会社やイベントまで特定し、日時場所まで調べるとか、音なら何の音か、またラジオやテレビ等の音源なら局や番組、音楽なら題名歌手歌詞まで特定する、といった調査を、できるだけ深くやってほしい。

そしてそれらをAIで分類する。つまり、過去の情報と似たような情報であることが分かるのなら、そのグループに関連付けるのだ。また、ToDoやカレンダーに入れる、連絡先に入れる、といったことも可能にする。ブックマークも同様である。それらの分類が複雑になり過ぎないように、強弱や階層化、量を調整する。この、どう抽出してどう分類してどう紐付けるか、その親切さと正確さが商品価値となるわけだ。

これは少しづつ進化していくので良い。まずはGoogleフォトに全部落とし込んでおいて、今では顔認識で分類ができているが、書類に拡大したり、場所の分析サービスを追加したり、ランドマークを識別したり、…と徐々に増やしていってほしい。Googleフォトのサービスは今のところGoogleフォトの枠から出てきていないが、これもいつか飛び出してほしい。

2019年12月19日木曜日

AIによるCSMA/CDの改良


CSMA/CDは、ネットでよく使われるプロトコルの一つで、TCP/IPの下、物理層で使われる。この基本的機能を向上することは、その上で動く全てのプログラムの向上に繋がる。これを考えてみる。

CSMA/CDの基本的な動作とは、多数のノードが繋がっているネットワーク、いわゆるバス接続において、PtoPでデータを送るためのネゴシエーションを行うことだ。つまり、バス接続においては誰が誰にデータを送りたいか分からないが、バスなので通信回線を一時的に占有する必要がある。つまり、「今からバスを占有しますよ」と宣言しておいて、それが通れば今度はデータを実際に送り、最後にバスを開放する。

このために、まず最初に通信回線が今空いている(静かである)ことを確認し、次にバス占有要求を出す。この時、ほぼ同時にバス占有要求を出す他のノードがいると、電気的に合成されてしまうので、まともなプロトコルとして認識されるような波形にならない。すると両者はバス占有要求が同時に出たということが分かる。これを双方とも認識することは可能なので、そうしたら両者はランダムな時間だけ待って、再度要求を出す。ランダムであることが肝心で、そうすると先に出した方が勝つので、後の方は回線が空くまで再度待つわけだ。

CSMA/CDの欠点は、回線が混んでくるに従ってこの再送が増え、再送が再送を呼んで輻輳してしまう可能性があることだ。このため、ハブやルーターで細かく切ってやる必要がある。

ここで提案するのは、ランダムに待つのではなく、その通信回線の混雑度に応じて最適な時間を選択することで、スムーズに通信が流れるようにする、というものだ。

その最適な時間の検索は、公平であり、且つ効率的であれば、AIでやっても良いし、何かしらのアルゴリズムがあっても良い。例えば混んでいる時は長めにするとかいう単純なモノでも良いし、高度に考慮したものであるかもしれない。何れにせよ、衝突による再送の可能性をできるだけ低くなるようにするものである。

アルゴリズムが裏目に出る可能性もあるから、必ずしもうまくいくとは限らない。しかしそれは改良すれば良い話だ。本質的には検討の価値がある施策だと考える。

2019年12月18日水曜日

たためて保温できる水筒


楽天でこんな水筒を見つけた。500mL、飲み口付き、飲み終わったら折りたためる。これは面白いと思ったのだが、断熱性はないので保温保冷ができない。

多少弱くてもいいから保温機能が欲しいな、と何かできないか考えてみた。この結論として、この素材であるシリコンに保温材料を混ぜてみてはどうか、と思った。

その保温材料の候補としては、中空セラミックボールが挙げられる。これはボールと言っても直径数十マイクロメートルといった極めて小さいもので、断熱塗料に混入されている。もし可能ならば2層ないしは3層として、少なくとも内側は純シリコンのみにする。また可能ならば、曲げるところは混入の濃度を減らしてやれば曲げやすいだろう。

魔法瓶タイプにはとうてい叶わないだろうが、その半分でも性能があれば、一定の需要はあると考える。

2019年12月17日火曜日

スマホが母艦となる日


Galaxy Note 10+のDeX for PCを見ていて思うのは、もう少しこれが進化すれば、全てがスマホに収まる日も近いのかな、ということだ。

DeXは、単にスマホのソフトが大画面で見られるというだけではなく、大画面を生かした操作が可能になる。例えば小さいボタンやスライドバー、横長画面への対応などだ。DeX用のソフトを内包するように切り替えられれば、原理的にはPCは不要になる。PCのような大画面・キーボード・マウス(タッチパッド、ペン)が必要になるのは、人間のUIたる指や目への対応のためであって、ソフトそのものはスマホのものを使う、という算段だ。

これが従来できなかったのは、単にスマホのサイズに納まるメモリやCPU等の能力不足だ。これが時代の進化と共に充実してくれば、全ての機能はスマホに納め、UIのみを必要に応じて切り替える、という操作は現実的だ。

ノートPCのような筐体の背中にスマホを差し込む、という奇抜なアイデアの製品は、既に世に登場している。ASUSのPadfone、及びPadfone2だ。

当時は触手が動いたが、結局買わなかった。これをもう少し進め、アタッチメント式にするのではなく、高速短距離無線通信のみで接続するようにしてたら、買ったかもしれない。

アタッチメントにするとサイズに制約ができ、どちらかを買い替えたいと思っても両方買い替えなければならない。これは避けるべき制約だ。また、キーボード・ディスプレイユニットを2台買っておいて、自宅と会社に置いておけば、スマホを持ち歩くだけで自然にローミングができる。カバンにキーボード・ディスプレイユニットを入れたまま放置して盗まれても、そこには機密情報は何も入っていないので安心だ。会社では大型のモノを使う、会議室ではプロジェクタ接続、等と夢は広がる。

このユニットは、Chromebookのようなシンクライアントの付加機能としてくれれば、両者兼用できて更に便利だ。SamsungもChromebookを作っているのに、なぜこれを乗せてくれないのだろう、とすら思う。

ここで言う高速無線通信は、基本的にVDIと変わらないから、Bluetooth LE程度のものでも十分である。もしUWBが搭載できれば、こちらの方が有利だ。また、DeXのようにUSB-C接続でも構わないが、無線の方がすっきりするなぁ、とは思う。もちろんPCにソフトを入れて対応するのも良い。できればGalaxy独自ではなく、規格は共通化して欲しいものだ。

ここでの問題は、大画面用のソフトをどう揃えるか、その規格をどうするか、というところだけだ。他の機種でも使え、規格も無償でないと普及しないだろう。DeXを無償公開するのが一番面倒がなくて良いが、RDPの拡張なども考えられる。ただ、大画面であることを認識して切り替える仕掛けのところは何かしら必要だ。

SamsungとGoogleで話し合って、GoogleからSamsungに安価なライセンスを払うこととして、Googleからは無償公開、としてみてはどうか、と思う。

2019年12月16日月曜日

エッジAIによる著作権管理ビジネス


不透明との指摘をずっと言われ続けながらも、JASRACはその活動の中身をあまり公にしていない。真っ当な仕事であるならばもっと開かれていても良いのに、と思うのだが、まあその中身を追求することが本稿の提案ではない。JASRACに対抗する著作権管理ビジネスを展開するのが、本稿の主旨だ。

エッジコンピューティングというものが流行っている。今の時代、IoT機器であっても末端にはそれなりの計算能力があるので、これを活用しようというものだ。ここで考えるのは、店舗等から演奏権利料を得るに当たり、エッジコンピューティングを利用して、実際に演奏した曲目を自動収集する、というものになる。

JASRACのやり方は包括ビジネスだ。即ち、十把一絡げにして定額で支払ってもらい、分配の方はサンプリングを基にして行う。この方法は、手間は掛からない代わり、マイナーな曲に対しては著作権料の分配が起こらず、メジャーなものに集まりやすいという欠点がある。

今回の提案はこの逆で、手間が物凄く掛かる代わりに、演奏した曲が正確に分かるために、公平な分配ができるというものだ。そしてその手間を、エッジコンピューティングでやろうというのである。

ビジネスモデルはこうだ。店舗には、部屋ごとにマイクを設置する。このマイクがエッジコンピューティングを行い、演奏された曲を推定する。例えばメロディラインを抽出してDBマッチングをするわけだ。確度が一定以上に上がるまでサンプリングを続け、困難になればネットに助けを求める。

店舗は、この新著作権会社と契約を結ぶ。もちろんJASRACとの契約は破棄できないので、この新著作権会社はJASRACとも契約を結び、自社と契約した店舗に関しては、この新著作権会社が代理で支払うようにする。もちろんその額は包括ではなく個別支払いになり、包括よりはずっと安くしてもらうように交渉する。店舗はその額に手数料を上乗せした額を払うが、やはりJASRAC包括よりも安く済むように設定する。機器の設置、少々の電気代が発生する他は、店の手間はない。

著作権者(音楽家)は、従来通りJASRACから著作権料の支払いを受けるわけだが、契約店舗についてはピンポイントで演奏されたことが分かるため、その支払いは確実に受けられる。これで、マイナーな音楽家ほど得になる。マイナーな音楽家の方が人口は多いので、多くの音楽家は従来より潤うはずだ。そしてその分の割を食うのはメジャーな音楽家だが、それはそもそも貰い過ぎていたのだから、文句を言われる筋合いはない。

それでも、多くの音楽家はJASRACとの契約を破棄できない。この機械を設置している店舗は、当初は少ないであろうと思われるからだ。そしてこれが徐々に増えていき、一定の閾値を超えた時、JASRACでなくこちらの会社と直接契約したい、とする人が出てくるだろう。

それは、例えば地元密着の歌手等から始まる。歌われる場所の範囲が狭いので、そこに機械を密集させれば収益も上がるだろうからだ。店舗としても、安く上がり且つ地元に貢献できるので、協力しやすいだろう。するとその音楽家は生活が楽になり、ますます音楽活動にも身が入る。これは正のフィードバックを生む。これが広がっていけば、更に閾値は有利に動いていく。そしてある時点でそれは逆転し、JASRACとの契約を打ち切る人が続出するだろう。

JASRACがこれに対抗する手段は一つしかない。それは、全く同じ仕掛けをJASRACでも始めることだ。そして包括契約と出来高契約の二種を選べるようにする。従来より売り上げは落ちるが、これは仕方がない。

そしてこのアイデアの凄いところは、最初からその会社は機器の売上を目的とする会社であり、JASRACへの売り込みが最終目標であるところだ。著作権会社は、最初からJASRACへの吸収合併をExitとしている。もちろんJASRACが逃げられないように、ビジネスアイデアは全て特許等の知的所有権でガチガチに固めておく。

このアイデアは、JASRACにとってはLoseだが、音楽業界全体としてみればWin-Winではないか、と思う。

2019年12月13日金曜日

UWBを何に使おう


新しいiPhoneがUWBを搭載している、そしてそれを何にも使っていない、というのが話題になった。検討する間に仕様が変わってしまえば使えない代物だから、ある程度具体的な話があり、間に合わなかった、と考えるのが自然だろう。ではこれを何に使おうというのだろう。

UWBの性質を考えてみると、近距離では通信速度が非常に速く、またセンチメートル単位で位置を測定できる。スマホ自体の位置を測るのか、あるいは他のタグなり基地局なりとの相対的位置を測るのかは分からないが、とにかくそういう使い方はある。

また、単純に計測するのではなく、特定の位置にいることを検知してどうこう、という話はあるのだろう。例えば自動改札で、ポケットにスマホを入れたまま通過することでチェックする、というものだ。これなら㎝単位の位置精度が確かに必要だが、決まった範囲内をどちらの向きで通ること、ということだけが条件であり、位置を測定することは最終目的ではない。

これと同様のことは、全ての乗り物や、セキュリティゲート、玄関の鍵、映画館・球場・イベント会場等で使い物になる。買い物でも、レジの前に立つだけでよい。自動車の鍵にこれを使った場合、ドアの前に立てばドアが開き、運転席に座ればエンジンロックが解除になる、といったことが可能だ。最近、電子鍵の電波を増幅して鍵を開ける手口の車泥棒がいるが、これなら位置情報が加わるのでこの手は使えなくなる。PCのロックにしても、前からいなくなればロックするということが可能になる。Bluetoothや無線で、離れるとロックするという製品はあるが、それより精度が高くなる。

ATMの操作、コピー機やコンビニ端末の操作といった機械の操作でも、目の前に立っている人が操作をしているのだから、パーソナライズや課金が確実に行える。共有プリンタの前に立つだけで、自分がネット経由で印刷したものが出てくる、ということもできるだろう。

他に思いつくのは、VRで使うコントローラーだろう。例えばリストバンドや手袋とVRゴーグルに各々仕込めば良い。指輪でも良いかもしれない。もっと言えば、服の各部に仕込んでおけば姿勢が分かるし、可動部のある機械なら、その動きが分かる。

二人のiPhoneユーザが近づくことで何かが起こる、と言えば、AirDropが思いつく。アプリを起動するタイミングとしてこれを使えば、より簡単に情報交換ができるはずだ。これと同じ原理で、特定の何かに近づけると情報がコピーされる、といった使い方は可能になるだろう。バス停の時刻表に近づけると時刻表が、イベントのポスターに近づけると開催日がカレンダーに自動で入る、レストランなら営業日営業時間とメニューと特売と今日のお勧め、等だ。満員電車や繁華街ではオフにする、というのも、GPSと連動で可能になるかもしれない。他にも、機械に近づけるとマニュアルや保証書と消耗品リストが出る、というのはうれしいだろう。

情報や機器の種類によって起動距離を変えるというのも面白そうだ。AirDropなら5㎝以内、ポスターなら30㎝、等だ。これも特許が取れるかもしれない。

また、例えば家に帰ると、玄関前30㎝で鍵が開き、入って30㎝でまたロックされ、玄関の照明が点き、エアコンが入り、リビングに入るとテレビが点き、(夜に)寝室に行けばお休みモードに…というシーケンスは実現可能なはずだ。一人暮らしに限るが、留守番モードも同様の仕掛けでできるだろう。

これを突き詰めると、人がどこか(きわめて狭い範囲)に行くと、その行動を予想して先回りで何かをする、ということが、多くできるようになる。

似たようなことは、監視カメラと画像解析でも可能だ。しかしこの場合はプライバシーと認識精度の懸念がある。UWBの方が直観的で使いやすそうに思える。Appleは、このような未来を描こうとしているのではないか、と思うのだが、どうだろう。

2019年12月12日木曜日

はがきプレイヤー


田舎にいる親に、綾小路きみまろ笑撃ライブのCDを贈ろうと思った。しかし、はたと思いとどまった。実家にCDあったっけ。あったとして、使い方が分かるだろうか。そんな経験はないだろうか。

これが綾小路でなく落語全集でもジェットストリームでもイージーリスニングでも良いのだが、要するにコンテンツとプレイヤーが分離しているものとして、もうCDというのは悪手になりつつあるのではないかと思う。その理由は、扱いが難しいからだ。

何をバカな、と思うなかれ。これを子供に渡してみればすぐに分かる。盤面を指で触ってはいけない、擦ってはいけない、ホコリを付けてはいけない、というのが、ハードル高すぎなのだ。
ではiPodやスマホなら良いかと言えばそうでもない。コンテンツを出し入れする操作が難しすぎるし、表示部分が小さすぎて高齢者には酷だ。値段も高すぎる。

ではどんなものが良いのか、と考えてみて、クリスマスカードでよくある、音楽が流れるタイプのものを思いついた。あれは開けるだけで音楽が再生できるものだが、もう少し高級でも良い。ちょっとだけ操作ができるようなものにして、適度な大きさを持ち、高齢者でも扱いやすい、コンテンツとプレイヤーが一体になったようなものを考えてみた。

それは、はがきサイズで、単4電池2本が背表紙付近に入る、見開きの本のようなものになっている。開くと電源が入り、閉じると切れる。最初から再生、以前聞いたところから続きから再生、目次から再生、停止、飛ばす、戻る、音量、くらいのボタンが付いている。コンテンツはICチップに入っていて、取り外しできない。こんな感じだ。

これなら、モノそのものを贈れば即再生できる。人に譲ることも、何人かで一緒に聞くこともできる。何冊買ってもかさばらないし、価格的にも適当だと思う。小さすぎないので、文字を多く書いても読めるだろう。高齢者だけでなく子供向けとしても、ヒットしそうに思う。

コンテンツを取外し可能なバージョンも作ろうと思えばできるが、ターゲットがぼやけてしまうので止めておいた方が良いと思う。

2019年11月19日火曜日

キャンドリア用特殊砲弾型ロウソク


以前も紹介した「キャンドリア」のロウソク。鞘に収まっていて、下からロウをバネで押し上げるようになっている。ロウが燃えて短くなるとその分せりあがるので、炎の位置が変わらない。

しかし、残念ながら連続供給はできない。例えば輪切りにしたキャンドリアを適宜補充する、というわけにはいかない。なぜなら芯があるからだ。切れたところで芯が落ちてしまう。これを防ぐには、芯は恒久的な芯として、押し上げるのは輪切りにしたロウのみとする必要がある。これを考えてみた。

砲弾型の鞘の出口付近から支持棒を出し、中央部に恒久的な芯を固定すれば、それは叶うはずだ。最初だけはすこしあぶってロウを溶かしてやり、芯とロウが接するようにすれば、それ以降はロウが溶け、消費されるに従って自動的に供給可能となる。

この恒久的な芯としては、以前紹介した「Lovinflame」の芯が使えるはずだ。

このタイプのロウソクの利点は、ロウの型を作っておけば、どんなロウソクでも溶かして再利用することができる点だろう。誕生日のケーキに付属するものや仏壇用、キャンドルサービス用などと色々あるが、全て纏めて溶かして再利用することができる。芯を入れる必要がないので手軽に作れる。ロウの融点は水より低いので、キャンドリア自体の天板で溶かすことも可能だろう。

問題点としては、ロウの気軽な交換はできない。本家キャンドリアには、明かり用の通常のモノと、シトロネラ配合の虫よけ兼用のロウソクがあるのだが、芯が鞘側に固定されているため、鞘ごと交換が必要である。

2019年11月18日月曜日

ドローン配送を前提とした宅配ボックス


汎用ロボット配送システム」では、電車内とホームに設置する配送システムを考えた。ここでは、宅配ボックスとその出し入れをするロボットについて考えてみる。

ドローン配送については、Amazonなどが実験を繰り返している。ヘリコプタータイプとロボットカータイプがあり、何れも最終配送、つまりラストワンマイルを目指しているように見える。しかし、汎用ロボット配送システムのアイデアと合わせて考えると、宅配拠点(例えばヤマト運輸の支店や郵便局)から宅配ボックスへの配送をまず考えた方が、簡単に思える。

ここで言う宅配ボックスは、あくまでもロボット配送に適したロッカーという意味で言っている。つまりある程度規格化されており、ロボットからのアクセスは容易で、人間は多少の不便を許容する。また、設置場所は多数で、例えば一拠点当たり何百、というものになる。ブロック毎に一つ、コンビニにもスーパーにも、ある程度のマンションなら郵便受けの隣に、大きな家なら玄関前に、というものだ。ロボットの配送はそこまで、そこから先は人が取りに行く。もちろんこれが全てではない。重いものや冷凍冷蔵品は、従来通り人が行ってよい。

荷物に一定の制限を課し、その前提で配送料を割り引く。宅配ボックスは認定済みのものを購入ないしはリースし、設置したら拠点に登録する。設置場所から道路への経路に関する制限は、緩くする。例えばSpotが自力で歩いていければ良しとする。

Spotにはジャッキとローラーコンベア付の荷台とアームを取り付け、アームでドアを開けてコンベアを寄せ、アームで押し込んで、ドアを閉める。荷物のサイズとしては50㎝立方以下、10㎏以下、と規定する。

一方で宅配ボックスも、このサイズの荷物が必ず納まること、ドアに指定の取っ手を付けること、横開き右蝶番、遠隔でロックオンオフが可能なこと、ドア前の一定のスペースが雨に濡れないこと、ロッカーが水平であること、等が必要となる。

Spotが空きロッカーを探し、通信でロックを解除し、荷物を入れ、再びロックする。これがお互いのネゴシエーションのみでできるようにする。Spotは自動運転車に荷物と共に乗って巡回する。もちろん帰ってきたら充電台に乗るわけだ。これでほぼ全ての作業がロボットで完結する。

自動運転車は、幅120㎝、長さ300㎝、高さ150㎝程度の4輪車を想定する。高さ方向に2段、長さ方向に4段、幅方向に2段、計16個までの荷物を積む。これにSpotの専用充電台が乗っている。基本的に車道を走る電気自動車とする。速度は一応40㎞/時くらいまでは出せるようにしておく。荷台は水平になるように、ジャッキが用意される。但し水平にするのは荷物の上げ下ろしの時だけとする。

ロボットへの荷物の搭載も、やはりロボットだけでできるようにしておく。あらかじめ指定の台に載せておけば、巡回して帰ってきたらまた積んで出かける、という算段だ。ここまですれば、宅配拠点の仕事は冷凍冷蔵品や重量物大型物だけになり、ずいぶん楽になるはずだ。

ユーザはあらかじめ宅配ボックスを指定して配達させ、到着したらメールやSNSで通知を受け取り、そこの情報でロックを解除し、持ち出すわけだ。これは今の宅配ボックスと同じである。

自動車では行けないところへの移動手段としてSpotを使用することで、宅配ボックスを駅やコンビニ等以外の歩いてしか行けないところにも設置できるようにした一方、手渡しに対する面倒は避けたというのがこの特徴だ。全てをロボットにしてラストワンマイルにするより、ほんのちょっと人間が我慢するだけで、よほど早い時代に便利が達成できる。

宅配ボックスが町中に広く散らばれば、エキナカに設置するときなどとは違って人は殆どいない。Spotが歩き回るにも支障は少ないだろう。同様に、ユーザが移動すべき距離も短くなる。多少重い荷物でも、自宅で受け取るために待機する負担を考えればこちらを選ぶ人は増えるだろう。これも狙いの一つである。

ただ、採算性は不明だ。Spotの方は恐らく人件費以上の働きをしてくれるだろうが、宅配ボックスの費用負担をどう考えるか。固定資産税や借り賃、電気代等がペイするのか。故障含め保守は大丈夫か。盗難リスクに対するコストをどう見積もるべきか。これらはじっくり考える必要はあるだろう。

尚、その問題とも絡むが、宅配ボックスに対する電子的機械的制約や規格を標準化すれば、宅配業界が共通に使える。今もエキナカに宅配ボックスが多数設置されているが、現状では宅配業者毎に異なっている。これはよくない。既存の宅配ボックスも含め、さっさと共通化すべきである。

2019年11月14日木曜日

MOOCsで決定的に欲しいもの


実際にMOOCsを使っていてもどかしいところは、分かっているところは早回ししたいし、分からないところは素早く巻き戻して再度聞きたいのだが、その操作が面倒であり、またもたつくことだ。多くのMOOCsはYouTubeのシステムをそのまま使っているようで、こういった素早く微妙な調整は全く持って出来ていない。

インターフェースとしてジョグダイヤルを使い、それをもってリアルタイムで速度調節できれば、MOOCsの利便性は飛躍的に高まるはずだ。しかし、ジョグダイヤルを買ってくることは出来ても、速度調節を思い通りにするにはそれなりの知恵とリソースが必要である。

恐らくは、市販のプロ用の映像編集ソフトと、大量メモリ・高速CPU・高速GPUを搭載したハイスペックPCが必要なのだろう。それは決して贅沢ではない。

MicrosoftがSurface Dialという製品を出しているが、実際の使い勝手はどうなのだろう。対応ソフトが少ないらしく、当然MOOCsには対応していないのだが、ぜひ検討して欲しいと思う。

2019年11月13日水曜日

肺を洗う


タバコのヤニで真っ黒になった肺を、よく禁煙キャンペーンなどで見かける。肺に入ったタバコの成分のうち、血管に移るものについてはいずれ腎臓で濾過され排出されるが、固形物については出ていく機構がないため、そのまま一生残るのだそうだ。考えてみれば、火山灰やアスベスト等にも同じ問題がある。一度入ってしまうと二度と出ていかないので、腫瘍化のきっかけになったりする。この問題に対処することについて考えてみた。

映画「アビス」をご存知の方も多いと思う。ジェームス・キャメロンの海洋SFモノだが、この中で出てくる技術に「液体呼吸」がある。肺の中に、酸素と二酸化炭素を豊富に溶かせる液体を満たして呼吸する技術だ。まだ人間に適用できるほど十分には進歩していないが、実験ではネズミを20時間、犬を2時間等と、液体中で生存させることに成功している。

将来的に、人間が安全に使えるようになった暁には、この液体で数時間呼吸するだけで、液体の交換と共に肺胞内の固形物が取り払われる可能性がある。

また、同様の考えとして、手術で人工心肺に切り替えた後、肺を液体で洗浄するという考え方もある。これなら今でも可能だろうが、さすがにそれだけの理由で人工心肺を使うのは難しい。やはり液体呼吸の実用化を待つのが正道だろうと思う。

健常者の肺も、洗ってみると結構汚いかもしれない。そう考えれば、積極的な健康増進策としても有効になる可能性がある。

2019年11月12日火曜日

AGIの階層化における冗長性の確保


以前、「常識のマイクロサービス」という投稿をした。細かいマイクロサービスを統合することを繰り返してやると、人間の常識が実現できるかもしれない、とするものだ。その欠点として、マイクロサービスがどれか一つでも止まってしまったら全体が機能しなくなる危険を指摘した。

これに対して、一つの機能を持つマイクロサービスを複数登録して、の多数決をとるようなことを基本形にしてはどうか、と考えた。

例えば、画像を提示して、その中に写っている人物の感情を推定するシステムがあったとする。その中にはA社、B社、C社のマイクロサービスが登録されていて、各々が各々のアルゴリズムで判定する。多数決によって判断し、残りは捨てる。あるいは信頼性を判断して、総合的に判断する。その取捨によって、マイクロサービスへの報酬も左右される。

こうすれば、個々のサービスが停止しても判定を継続できるし、サービス同士の切磋琢磨や淘汰がなされ、精度は上がっていくだろう。

また、これなら垂直統合は必ずしも必要ないし、まとめたサービスそのものがまた階層の一部になることが可能であり、ネットワーク上の「常識エンジン」が構築されることになるだろう。
このためには標準化が必要だが、当初はその「多数決システム」が差分を吸収できるので、標準化を待たずとも開発し始めることはできる。

2019年11月11日月曜日

災害用パラフィンオイル発電機


先日の台風の様子を見ていると、ガソリン式発電機が欲しくなる。しかし、現状の発電機は問題が多い。これを解消する発電機を考えてみる。

最初に問題になるのは、負荷変動だ。例えば、冷蔵庫を動かしたい場合、定格の6倍~10倍程度の突入電流がある。また、定常運転においても、コンプレッサーが動いているときと動いていない時では、数倍の電力差がある。エンジンは通常負荷変動に対応するが、そうすると効率は落ちるし、音も大きくなる。定常運転にしてバッテリに溜めるようにすれば、負荷変動は全てバッテリ側で吸収できるので、極めて小さい音で定常運転できるはずだ。

次に問題になるのは、長期保存性だ。単純に言えば、ガソリンは劣化する。このため、長期保存ができない。

次は安全性だ。ガソリンの引火点は極めて高く、腐食性もあり、揮発性も高いために扱い辛い。大量に保存するのにも不安がある。

次は保守性だ。エンジンオイルが必要であり、また定期的に交換する必要がある。また、長期間使わない時にはガソリンを抜く必要があり、その後始動するときにはまた手順が必要になる。

次は騒音だ。一番小さなもので48dB程度、通常なら60dBもの音が出る。これは結構うるさい。燃焼機関なので室内では使えないから、ベランダに出すなどすると、近所迷惑な大きさだ。

最後は、燃料やエンジンオイル等の入手性だ。当然震災時には色々なモノが手に入りにくくなるが、ガソリンはその筆頭だろう。そうであれば他のモノを、ということは考えられる。例えばハクキンカイロ用のベンジンの入手性は良かったそうだ。もちろん保存性が良い燃料であれば買い溜めしておける。

そういったものを色々と考えてみると、次のようなスペックになる。

  • パラフィンオイルを燃料とする、定格30Wのエンジン
  • 燃料タンク3L以上
  • 10kWh程度の蓄電池と制御装置
  • 蓄電池充電残量に応じた自動補充電機能
  • 100V50/60Hzのコンセント1つ、USB-A/Cコネクタ数個
  • 静音性。せめて45dB以下、できれば30dB台

これらを個々に解説してみる。

●30Wパラフィンオイルエンジン

パラフィンオイルは、オイルキャンドルやハーバリウム等に使われるオイルである。引火点が90℃前後であり、燃料用のオイルとしては最も高い部類に属する。
このオイルは燃焼しても殆ど煤や匂いが出ない。また長期保存可能であり、安全性も高い。これは非常用の燃料としてうってつけである。

しかし、パラフィンオイルを燃料とするエンジンは、知る限りでは存在しない。むしろこれはエンジンオイルに使われている。つまり、新しいエンジンを開発しなければならない。

パラフィンオイルは粘性が高く、発火点が高い。通常のガソリンエンジンやディーゼルエンジンには使用できないと思われ、専用のエンジンが必要になるだろう。

また、パラフィンオイルが燃料になるということは、エンジンオイルと兼用にできる可能性がある。もしできれば、これは保守性を若干上げるだろう。

また、パラフィンオイルは単価が高いので、あくまでも非常用になる。てんぷら油やサラダ油が使えるなら、まただいぶ安くできるかもしれない。業務スーパーで一斗缶で買っておけば、相当の期間使えるはずだ。もちろん被災時に買うのも良い。被災時には一斗缶のサラダ油など売れないだろうからだ。

家庭用冷蔵庫は100Wが定格だから、30Wというと少なすぎると感じるかもしれない。しかしこれは、冷蔵庫の中身を腐らせずに消費しきることを目標としている。つまり、日常と同じように使うのではなく、その時点で補充はなし。使うだけなので、数日掛けて中身は減っていく。これにより消費電力は徐々に下がる。恐らく1週間以内にカラになり、その時点でこの発電機の使命は終わるわけだ。それ以降は、スマホなど少電力機器の充電に使われる。それには30Wは十分に大きい発電量だ。

●燃料タンク

市販のパラフィンオイルは、2L・1500円前後で売られている。ガソリンや灯油と比べれば10倍~15倍もあり、相当に高価であるので、あまり大きなタンクにはできない。パラフィンオイルは運転中に継ぎ足ししても問題ないので、一晩持てば十分である。万一夜中に燃料を使い果たしたとしても、朝継ぎ足せばなんとかなる。但し燃費の計算をしていないので、効率が悪ければもっと必要かもしれない。

●蓄電池と自動補充電

ポータブルとは言え重量には余裕があるので、必ずしもリチウムイオン等である必要はない。例えばUPSに使われているような、密閉型鉛電池でも良いかもしれない。また、普段から全てエンジン補充電である必要はもちろんなくて、普段はコンセントからの補充電でよい。

AC電源がない場合、例えば充電池が残り50%になったら90%まで自動補充電する、等と言った設定をしておくことができるようにする。基本的に定格運転しかしないので、充電はON/OFFの制御しかない。これによってエンジンを最も効率の良い状態に保ち、騒音対策などもそれに合わせて行うことで効率化する。

●出力

メイン出力は、AC100V50/60Hzである。別に冷蔵庫向けなら正弦波でなくても良いだろうが、今の時代はインバーターがあるのでそんなにカネを掛けずとも正弦波に近い波は作れる。そしてこれは当分冷蔵庫に専有されるため、USBは別に必要になる。AC二つだと、制御が面倒になりそうなので、一つにした。

出力しながらの充電は可能とする。この際でも、負荷変動は充電池側が制御する。発電側はあくまで定格運転である。

いわゆるUPS機能、即ち瞬停への対処は、必ずしも必要ない。主目的は冷蔵庫の維持であるため、少々停電しても問題ない。

●静音性

マンションのベランダで使っても問題ないくらいでないと困る。調べた限りでは、ガソリン発電機で48dBというのが最少だったが、これではまだ不安だ。もう少し静音性が欲しい。

既存のエンジン発電機と違い、充電前提で定格出力のみとする前提で考えれば、それを進めることができるだろう。また、パラフィンオイルを使う前提なので、スパークプラグやディーゼル機構では点火できないかもしれない。スターリングエンジンのように、穏やかに燃やし続けることで回すものになるのではないだろうか。

ダ・ビンチが開発しているロータリー熱エンジンが使えないだろうか、と考えている。


使い方としては、普段は目立たないところでACコンセントに繋ぎっぱなしにしておく。そして停電したら、冷蔵庫の所に持ってきて、コンセントをつなぎ替える。この際、屋内では換気が必要になるので、延長ケーブル等で引っ張って、発電機はベランダに出すようにする。このためにも、発電機は防水が必要になる。コンセントも防水コンセントが必要だ。

排気をパイプ等で屋外に誘導するか、あるいは換気を十分にすることとして屋内で使うことも考えられるが、やはり基本は屋外と思われる。

2019年11月8日金曜日

マイクロデータセンターアプライアンス


アプライアンス(中身はコンピュータであるが専用のソフトが入っていて、PCのように自由には操作できないもの)を買ってきて、自宅の光ファイバ回線に繋げる。ちょっと設定をして、後は放っておくだけで、それが自動的に儲けてくれる。そんなビジネスがあったとしたらどうだろう。

それは、このようなビジネスモデルになる。まずそれは、AWSのようなクラウドサービスである。即ち、ユーザに仮想的な計算機資源をネットワーク経由で提供し、ユーザを募り、その使用に対する対価を得る。しかし、その裏で動いている計算機資源の構成が異なる。それが先ほど言ったアプライアンスだ。

AWSでは、大量のサーバを並べた巨大なデータセンタが、世界中に作られている。これに対しこのサービスは、自前のデータセンタを持たず、アプライアンス同士が疎結合した計算機ネットワークを使う。アプライアンスはサービス側が開発し、一般個人などが購入する。あるところでは家庭の光ファイバ回線につながっており、別のところでは企業内の空きスペースにて専用回線でつながっている。

このクラウドサービスは、AWSの持つ様々なサービスモデルのうち、ごく一部だけをサポートする。それは、ストレージとファンクションである。いわゆる仮想PC、仮想サーバのようなモデルはない。データベース等のモデルは、当初はなくてよいと思う。可能であれば、この基本モデルを基に、順次拡大すればよい。

ここで、仮想PCの類がない理由は、個別のアプライアンスに固定的に資源を割り当てるという概念が存在しないためだ。これらのアプライアンスは、基本的に信頼できない。つまり、電源や通信がいつ落ちるか分からず、中には違法改造されて悪意を持った者が紛れているかもしれない。従って、ユーザが求める計算は、一台だけでは完結しない。ストレージでhadoopがあるように、計算も分散と集約をするわけだ。また、ストレージも計算も通信も、全て暗号化されている。

このため、アプライアンスのオーナーは、自分のアプライアンスでどんな計算がされているかを知ることはできない。しかし、何かしら使われたのであれば、それに応じた対価を得ることができる。これはもちろん、ユーザが支払った対価の何割かになるわけだ。
ユーザのポータル自体も、このアプライアンスネットワークに搭載されている。つまり、完全分散型である。

アプライアンスは分解分析困難なように、また分析されたことを検知するとシステムを無効化するように作る。このため、悪意ある第三者がネットに侵入しにくい。
もう一つの大きな特徴は、ユーザーの支払いは、アプライアンスによる稼ぎで相殺できるという点だ。つまり、使う量に合わせてアプライアンスを購入し動かしておけば、タダで使うことができる。もちろんアプライアンスの購入費と維持費(電気代や場所代)は必要だが。

このビジネスの特徴は、けっこう色々ある。

  • ビジネスオーナー(クラウドサービス側):
    • アプライアンスの設計はかなり大変だが、できてしまえばスケーラブルモデルになる。つまり、巨大な投資が不要であり、(アプライアンスのストックと保守くらい)ので、ビジネスが幾ら拡大しても固定費が増えない。これにより、AWSのような巨大なビジネスにも対抗可能である。
  • アプライアンスオーナー:
    • アプライアンスは基本的に買い取りであり、後のランニングコストは電気代と通信代程度である。使ってくれた分必ず儲かるのだから、リスクはない。投資を回収できないリスクは、ビジネス立ち上げ初期には発生するが、以降はそれもない。
    • UPSや耐震装置を買う必要はない。ソフトウェア上の仕掛けでDRは確保されているので、何時落ちても、何時故障しても問題ないからだ。
  • ビジネスのユーザ:
    • AWSでは、可用性を得るために、仮想サーバを複雑に構成する必要があった。しかしこれなら、何もせずとも可用性を確保できる。ビジネスロジックを素直にファンクションに記述するだけだ。スケーラビリティも、何も考えなくて問題ない。

実際の計算機資源が世界中のどこにあるか分からないから、どこの国の法律にも縛られない。コングロマリットなら、自国ビジネスのオーナーを他国に分散してしまえば、自国の法律からすら守られる。

サービスの継続性を疑う必要はない。自分で必要な台数のアプライアンスを買ってしまえばよいのだ。世界中のその他のアプライアンスオーナーが全て辞めても、そうすればサービスは継続される。

このモデルは、同じ計算をさせる場合には、必ずAWS等より遅くなる。そのため万能ではないが、可用性は上回る。金融取引や契約書の保存等、絶対に消えては困る情報の保管と処理には適していると思われる。

2019年11月7日木曜日

UCOキャンドリア専用熱発電機


UCO社が発売している「キャンドリア」は、キャンドルランタンである。

通常のロウソクとは違い、専用の鞘に納め、下からバネで突き上げるようになった砲弾型のロウソクを使うため、炎の位置が常に一定の位置にあり、しかも長時間点灯させておくことができる。また、ロウソクは1本から3本まで、必要な明るさに応じて調節できる。
この天板は、コップの水程度なら沸かすことができるらしい。これを知って、以前購入を検討して結局断念した発電機のことを思い出した。

Robens Woodsman Stove And Charger
FlameStower Fire Charger
PowerPot V Battery Bundle

これらは何れも、ペルチェ素子を使ったゼーベック発電を原理とする発電機だ。ただ、何れも熱源が満足できるものではなかった。Robens Woodsman Stove And Chargerは、燃えるものなら燃料は何でも良いのだが、逆に言えば燃焼の制御ができないので、つきっきりで面倒を見なければならない。また、煤が出るし、火が漏れるので、屋外向けである。FlameStower Fire ChargerPowerPot V Battery Bundleは熱源は何でも良いのだが、登山用ガスストーブ(コンロ)を想定しているようだった。ガスではせいぜい1時間しか発電できない。また、ガスボンベが大量に必要なようでは、災害時には使えない。

同じ原理で、この「キャンドリア」の上に固定できる発電機があれば、上手くいくのではないだろうか、と考えてみた。

ランタンを使ってゼーベック発電をするというのはそれほど奇特なアイデアではなく、ネットを検索すれば様々なチャレンジャーがこれを行っている。しかし、使っているのは皆ガスストーブだ。その点、キャンドリアであれば、一度セットしてしまえば9時間安定して環境を保てるし、つきっきりになる必要はない。屋内でも使える。

ただ、問題は発電能力だ。この手の自作では、LEDが点いたとかモーターが回ったとかいう話しか聞かない。モバイルバッテリーが、スマホが、まともに充電できるのだろうか。これを考えてみる。

市販されているUSBの規格は、5V500mA、つまり2.5Wである。これに対し、市販のスマホのバッテリ容量は、4000mAhくらいある。電圧が書いていないが、3.6Vだとすると、14.4Whだ。単純計算では、6時間弱の充電が必要ということになる。一方、

https://www.lec21.com/report-seebeck-effect2/

の実験で2.5Wが出たのは、ロウソクではなくガスストーブ、ペルチェ素子3段4組=12素子、水冷式だった。キャンドリアではこの面積は確保できないし、火力も相当に落ちるだろう。この結果からだけ見ると、キャンドリアにペルチェ素子一つだけの装置で十分な発電ができるようには思えない。

そんなことを考えていたら、こんな記事を見つけた。

https://newswitch.jp/p/19514
https://eetimes.jp/ee/articles/1910/04/news028.html

今の10倍ということであれば、ペルチェ素子1枚でも2.5Wが出る可能性が出てきた。これが量産された折には、この発電機構は再度注目されるはずだ。その時には少々高くても購入したいと思う。

2019年11月6日水曜日

分散ストレージと個人SaaS


以前、「分散VOD」という投稿をした。この時点ではVODをイメージしていたのだが、同じような仕掛けは汎用でも良いのでは、と考えるようになった。つまりはタダのコンピュータストレージだ。

これはNASのようなアプライアンスに仕立て、原則として24時間無停止にする。それはネットワークドライブのように動くが、実体は分散している。但しブロックチェーンのように全ノードに分散しているのではなく、自分を含め最低3ノード(上限なし)に分散しているに過ぎない。そしてそのバックアップ(多重化)は全て自動で行われ、ユーザからは見えない。

分散は、同様のアプリやアプライアンス間が通信を取り合い、自動で行う。例えば一つのノードの接続が切れたら、そこに入っていたデータは自動的に他のノードから生きている別のノードに分散され、多重度は同じに保たれる。逆に、新たなノードが増えたら、多くのデータを抱えていたノードからそのノードにデータが分散される。

従来のネットワークドライブと比べて、見た目からも異なるところがひとつあって、それは公開と課金が可能である点だ。BitTorrentのようなCDNライクの機能を備えており、細かいアクセス制御と課金オプションを可能にしておく。これは汎用に作っておき、個々の努力によってSaaS化等が可能とする。但し相応のプログラミング能力は必要である。

公開と課金が可能になると、いわゆるPaaS/SaaSが可能になる。しかも、このシステムのスゴいところは、どんなにユーザが増えても性能は変わらないということだ。 もし相手が同じネットワーク上のシステムであれば、コンテンツ自体も、それを再生するプログラムも、相手のローカルにコピーされる。もし違うシステムであっても、最も近いノードにCDN配信される。これによって、ユーザは自動的に分散する。ユーザが幾ら増えても、その分コンテンツも分散するから、性能が落ちることはない、というわけだ。

例えば、ミュージシャンがJASRACに委託することなく自らが音楽を販売するとか、イラストレーターが絵を売るとかいった用途には、これは最適と思われる。ノード同士は対等であり、どこか中央への課金は発生しないので、効率の良い儲けができるはずだ。

CDNと分散バックアップは、技術的には殆ど変わりがない。これを兼用することによって個人ベースでの商売が可能になること、この発想は面白そうだ。上に乗せるアプリの進展によっては、既存の大規模ソフトウェアサービスを乗っ取る可能性すら考えられる。

2019年11月5日火曜日

スマートコントラクトとエッジコンピューティング


エッジコンピューティング。多数のセンサや監視カメラなどのデバイスがばらまかれている現代において、そのエッジ、即ち正にそのデバイス内で、ある程度高度な計算を行う。例えば監視カメラなら、画像をそのままネットに流すのではなく、AIで顔解析をするなどして、監視対象が来た時のみアラームを上げる。これがエッジコンピューティングだ。

近年のエッジコンピューティングで大いに懸念があるのは、マルウェアの混入である。というのは、エッジと言えども相当にコンピューティングパワーがあるのに、セキュリティが甘いと指摘されているからだ。

また、エッジと言えどもソフトのアップデートはあるため、ROMに焼いて固定というわけにもいかない。通常のPCやサーバと違ってファイアウォールがない、個々のデバイスに直接触れるなど、むしろ危険がいっぱいだ。

この問題に対処する方法はもちろんあるのだが、むしろその仕掛けを標準化、定型化、そして何よりも簡素化することが重要である。その一つとして挙げられるのが、Chromebookのようなシンクライアント化である。OSをシンプルにすること、また上のアプリケーションをサンドボックス化するというのがその基本だ。ただ、ChromeOSを直接使うのは多少問題がある。Chromebookに遠隔ログインするという、ちょっと意味不明のシーケンスを辿ってしまうからだ。やはりエッジコンピューティング用のOSを作るべきだろう。

そのための仕掛けとして、スマートコントラクトを提案したいと思う。但し、このこのスマートコントラクトは通常のそれと違う。まず、実行するエッジを指定できる。次に、ここでのスマートコントラクトには報酬の概念はなく、トークンとしての役割のみを与えるのみとする。第三に、実行された上でエッジに溜まったトークンは、定期的に回収される。つまりネット内でぐるぐる回るだけだ。

そうする理由は二つある。まず、実行コードは作成者のIDを種に暗号化されているので、横から覗き見することはできず、作成者も必ず特定できるという点。怪しいソフトが侵入してくる余地がない。そして、エッジにいくら計算能力があっても、トークンを与えなければ実行してくれない点だ。万一怪しいソフトが紛れ込んでも、トークンを与えなければ実行できない。ブロックチェーンにはマイニングができない種類のモノもあるので、管理者が管理しているトークンのみがそのネット上に存在でき、実行のたびにトークンを配布してその後回収すれば、どのノードも好き勝手なプログラム実行はできない、という次第である。

こういう仕掛けをベースにすることによって、それがセンサであろうが監視カメラであろうが信号機であろうがドローンであろうが、共通のOSを使うことができる。管理はWebコンソールでできる。また、そのOSはスマートコントラクト実行のみしかできない専用のOSであるから、軽く、バグも少なく、更新も自動化できる。

更に、IDとトークンを管理すれば、ファイアウォールやらIDSやらを一切使わずにエッジを安全に管理できる。実行の記録も、自動的にブロックチェーンに溜まるので、不具合の監視もしやすいだろう。他にも、ローカルに溜まるものがないので、万一デバイスを盗難されても情報は盗まれないし、怪しいものと交換されてもそのデバイスは機能しない、といったメリットもある。

個人的にはブロックチェーンという仕掛けには懐疑的なのだが、こういう使い方もできる、という事例だ。

2019年11月4日月曜日

防災用ロウストーブ


電気が止まった時、明かりや暖を取る、あるいは調理のために必要なのが、火だ。カセットコンロを持っている家も多いと思うが、カセットガスを大量に保存するのは躊躇する人も多いのではないか。ガソリンも灯油も同様だ。また、単に漏れるのも心配だが、これらは何れも経年劣化するから、大量に持って保存することができない。

これに対してロウソクは、何年でも保存することができる。これはとても有利だと思うのだが、反面、ローテクに過ぎる。非常用のものなのに裸火で、転倒に弱い。火力の調節もできない。明かりとしては暗すぎるし、調理には弱すぎる。芯は未だに綿だったりする。消耗品だ。もっと自在に使えないだろうか。 これに一番近いと思われるものが、UCO社の「キャンドリア」だ。

 砲弾型のロウソクを3本使うのだが、つまり1本から3本まで火力を調節できて、天板で湯を沸かすことができる。また、この砲弾型ロウソクは、モールドに入っていて、下からバネで押し上げられるようになっている。このため、炎の位置が変わらない。更に、この砲弾型ロウソクは、当然ながら型さえあれば自作できる。ロウソクは9時間使えるそうなので、これも十分だ。

ただ、ロウソクの炎は一般的には弱く、このキャンドリアにしても、3本フルに使ってもコップ一杯の湯を沸かすことすら困難である。燃料の追加供給も継ぎ足しもできない。明かりとしてはイケても、調理にはまだ足りない。

これに対し、サラダオイルストーブというものがある。こちらは芯が9本あるので、火力は十分だそうだ。サラダオイルは当然液体燃料なので、継ぎ足しは可能である。また、サラダオイルは灯油やガソリンと比べても発火点が高く、安全なのだそうだ。

これと同様のもので、シリコンオイルがある。アロマオイルキャンドルやハーバリウム等に使われている油で、ほぼ同様のものだそうだ。最近、このシリコンオイルを使った新たな暖炉「Lovinflame」が開発された。

これはあくまでも暖炉なのだがそのままは使えないが、一つ注目しているのは、芯だ。通常のロウソクや、上のサラダオイルストーブにしてもそうなのだが、芯は綿編みの紐であり、消耗品だ。しかしこのシリコンオイル暖炉の芯は金属製で、調整が不要であり、永久に使える。

この芯を9個使って、サラダオイルストーブのように、シリコンオイルのプールの上に固定したコンロを作ることはできそうな気がする。しかも、最初はシリコンオイルで良いが、ロウソクを削って投入することもできるのではないか。

そのためには、一部のポータブルガスコンロでされているように、芯の上を通す金属線を使って熱を伝え、ここに接するロウが溶けるようにしておく。この熱伝導線を、オイルプールの中に均等に張り巡らせておくと、ロウは均等に溶け、明かりがついている間は全体が液体になる。これにより、大きなロウソクでよくある、周辺が盛り上がったまま真ん中が低くなってしまうことを防ぐ。

また、この脇から、ロウペレットを投入するための滑り台が付けておくと、ロウペレットを途中から追加投入することもできるだろう。しかしオイルプールが十分に大きければ、調理終了後に投入して溶かしてから火を消せば十分だ。

シリコンオイルだけで運用することは無論可能であり、シリコンオイルは日持ちもするのだが、高価だ。一方でロウソクは、百均で巨大ロウソクを売っていたりするのでこれを削って投入することができる。ロウソクを使った方が良いと思う。

2019年11月1日金曜日

多対多のAI解析と量子コンピューター


がんゲノム情報管理センター  という組織がある。がんゲノム医療、即ち本人の遺伝子を解析して、その情報を基にして治療法や薬を選択あるいは創薬することにより、効果的な効果を上げる、つまり個別化医療を行うものだ。

当然ながらそこには膨大なゲノム情報が蓄積されているのだが、全てのがん、全国民の全ゲノム情報が入っているわけではない。 ゲノム解析といってもレベルは様々で、単一遺伝子解析、マルチパネル解析、全エキソン解析、全ゲノム解析と進み、進むほどに難しく、データ量も多くなる。最終的には全国民・全ゲノム解析が望ましいわけだが、それには膨大な費用と長い時間、何よりも国民の同意が必要である。

将来的に「全国民全ゲノム解析完」をなし得たとしても、そこで終わりではなく、その先には「全国民がん(及びあらゆる遺伝病)予防」が待ち受けているわけだ。それがどれほど膨大な計算量になるのか、想像すらつかないが、もしそうなれば、偶然に掛かる風邪や怪我を除けば、遺伝的に発症しやすいあらゆる病気の駆逐も可能になるかもしれない。

まあ最初は全国民ではなく希望者になるのだろうが、そのたびに膨大な計算をすることになるのは避けたいと思うのは人情だろう。いくら技術的に可能だからといって、膨大なコストを掛ける、例えば人が稼ぐ生涯賃金を上回る計算機コストを掛けるというのは意味が薄いだろう。そこには当然、計算量を減らす工夫が必要になる。例えば初期コストで数百万円、最終的には数万円まで抑えたい。 そこには、個別に計算するのではなく、多くの人に関して一気に計算した方が安くなる、という仕掛けが働くのだろう。これがタイトルにも示した「多対多のAI解析」だ。

必ずしもAIが関わる必要はないのだが、逆に言えば精緻な計算も必要ない。完璧な計算ができなくても、例えば8割がOKになれば十分、という考え方だ。もちろん金持ちは別払いで精緻な結果を望むことはできる。 従来のAIは、入力は多数でも、出力が多数あるということは想定されていなかった。「これは何ですか」と聞かれて「犬の確率50%、猫20%、キツネ10%、。。。」などというのとは違う。全ゲノム情報をブチ込まれたAIに対し、同時に「AさんにはXX、Bさんには△△、。。。」という答えを期待するのが、この多対多のAI解析である。

多対多で解析をした場合、多対一で解析をするよりも効率が良いこと、例えば多対一と多対二で計算した場合、多対二の計算コストが多対一の計算コストの二倍未満になることが実現できれば良いわけだ。これを例えばニューラルネットワークで実現したとして、それができるかと言えば無理だろう。個々のノードは単一の外部事象にしか対応していないからだ。

しかし、もし、個々のノードが重畳に対応していたらどうだろう。これ即ち、量子ビットである。これこそが、計算量縮小のカギになるのではないだろうか。 もちろん、今のDNNを単純に量子ビットで置き換えるというような単純なモノにはならないなずだ。具体的なアーキテクチャも、にわかには思いつかない。量子ビット自体も開発途上である。このため実現は遠い将来となるだろう。しかしこの場合、例えば量子ビットの正確性はそれほど出なくて良い。本来の(正確性を要する)計算よりも、ずっと早い段階で実用可能になるかもしれない。

2019年10月30日水曜日

汎用ロボット配送システム


最初の発端は、宅配物流に電車を使えないか、というものだった。知っての通り電車はエネルギー使用効率が高く、物流の一部でもこれに置き換えられれば地球温暖化対策になるからだ。しかし考えてみると、例えば山手線でドアが開いている時間は15秒しかない。人間がやるのも困難だし、ロボットアームを使ってちんたらやっていたのでは間に合わない。

また、以前も、1号缶システムなどを考えてみたけれども、汎用段ボールを使えないのは痛い。いわゆる50Lサイズの段ボールを、専用の機械を使って素早くやり取りする、というのが一番良さそうに感じた。

そこで考えてみたのが、次のようなシステムだ。

  • まず、荷物のやり取りをするロボットだ。電車が所定の位置に着いた際、搬入口を伸ばして、ベルトコンベアで荷物をやり取りする。時間が掛かってはいけないので、搬入と搬出各々の口が必要である。イメージとしては、縦1.2m、横0.7mほどの四角い筒状のものが、最大1mほど突き出て、上段と下段に分かれてベルトコンベアで荷物を送りあう。
  • 電車側は先頭車両の先頭ドアを荷物専用として確保、これに合う位置に駅ホーム側のロボットを設置する。搬入口は、駅ホーム側のロボットから伸ばすのが妥当と考える。
  • 駅側のロボットは、電車停止の誤差に合わせて、多少は移動できるようにしておく。高さが変わることはないので、こちらの調整は不要と考える。電車には車両構成が違う複数の停止位置があり、また車両のどちら側が開くかは駅によって異なるので、これへの対応は必要である。例えば特定車両のみで対応する、等だ。
  • 各々のロボットの背後には小型の自動倉庫があり、受け取った荷物は直ちに自動倉庫に収納する。またお互いに、相手に送る荷物は事前に準備しておく。このためのバッファを設けておく。
  • 駅にはもう二つ、仕掛けがある。一つは宅配ボックス。現在でも駅ロッカーに似た宅配ボックスはあるが、これと同等で良い。もう一つは、駅側のロボットとこの宅配ボックスを行き来する運搬ロボットだ。この運搬ロボットは複数のロボットアームを持ち、足回りも柔軟にしておく。駅ホームから宅配ボックスまでの経路を助けなしで移動できる程度は必要だ。これは宅配ボックスに預けた荷物を駅ロボットに送り、また駅ロボットで受け取った荷物を宅配ボックスに移す。あるいは、荷物が別の路線にまたがる場合は、各々の駅ロボット間の荷物を移動する。

こう作ると、駅で送り駅で受け取る荷物は、全自動化することができる。これを更に発展させて、こう考えてみる。

  • 駅の外まで搬出できれば、例えば大企業が専用の宅配ボックスを設置すると、宅配ボックスへの投入をもって完結するので、人手がほぼ不要になる。
  • 宅配ボックスを、駅だけでなく、ショッピングモール等繁華街に設置する。あるいは電車のないところでは、市役所や公民館などをベースとして設置することも考えられる。
  • 宅配業者向け宅配ボックスを設置する。すると荷物はここまで来るので、その先の宅配が簡単になる。
  • 小型化が図れるなら、個人の家や集合住宅向けの宅配ボックスを作ることもできるだろう。
  • このロボットを、トラックにも載せられるようにする。軽トラから4トン車まで、また拠点の受け取りロボットも、トラックの荷台に合わせて高さを調整する機構を付ける。背後の自動倉庫は幾らでも大きくできるようにすれば、拠点の規模によらず全部を自動にできる。
  • 荷物が発送された後に気が変わって駅で受け取りたい、たまたま不在だったので再配達ではなく駅で受け取りたい、となった時、指定すればロボットが自動で荷物を宅配ボックスに入れてくれる。

これらが従来の宅配ロボットと違うのは、受け取る側がある程度のシステムを必要としていることだろう。従来の宅配ロボットと言うと、歩道をのろのろ歩いて玄関まで来たらスマホにアラームを飛ばして、スマホでロックを外して自分で取る、というものだった。確かにそこまでできれば便利だが、それが一番効率的かというとそうでもないだろう。むしろ自宅までは届けてほしくないという人が増えているのが現状であり、駅受けの方が利便性が高いように思う。更に、こちらの方が早く受け取れる可能性も出る。

例えば山手線と中央線、総武線横須賀線くらいで宅配業者向け(BtoB)で始めて、徐々に拡大していくようなことができないだろうか、と考えている。いかがだろうか。

2019年9月30日月曜日

嵩増し人造肉


Impossible Burgerがついに店頭販売されることになったそうだ。これは完璧に植物性のようだが、思想信条的な菜食主義者だけでなく、ヘルシー志向や環境保護(肉より野菜の方が環境負荷が小さい)志向の人に向けて考えた場合、必ずしも100%植物由来である必要はないように思う。そこにこだわるくらいなら、環境負荷を適度に低減しつつそこそこに旨く、そして安い肉の方が現実性がある。

安い肉を高級な味に見せるために、高級肉の牛脂を使う、という方法がある。これと同じく、若干の本物の肉を混ぜてやれば、高度な技術がなくとも美味しい人造肉を作れるのではないだろうか。例えば10%でも混ぜてやれば、後はおからそのものでも良いとか、そういった発想だ。

ビーガンには不評でも、これで安価になったり環境保護が進展するのであれば、それもまた良し、となってくれるはずだ。この条件で美味しく安い肉を作る技術は、日本人が得意だと思う。ぜひ研究してもらいたい。

2019年9月25日水曜日

デジタル遺産管理


ネット上に多くの情報を持つ時代になった。その数・種類は膨大であり、本人ですら覚えていないほどだ。自分が死んだとき、そういった全ての情報について辿って行って消去したり相続させたりする、という手段について、そろそろ国が動き出しても良いのではないだろうか、と思う。

それは、サービスとマイナンバーとの紐づけを実施し、本人死去の際の情報の扱いについて類型を登録するサービスである。

これには、大きく二種類の類型がある。一つ目は、相続贈与などの法律に基づくべきサービス。単純には有価証券、預金、借入証、土地権利書、といった有価物と紐付いているものだ。二つ目は、メールやキュレーションメディアなど、単純に削除する、あるいはアクセス権移管などをするサービスである。

デジタル遺産というと後者のイメージがあるが、なにも分離する必要はない。とにかく、本人が加入している全てのサービスを把握することが第一の目的であり、全てはそこから始まる。

問題となりそうなのは、一見無価値なサービスの中に有用な情報がある場合だろう。例えば口座のパスワードがメールに埋もれているとか、動画データの中に有償で買ったものが混じっているとか、芸術的価値のあるデジタルデータなどだ。これは別に検討が必要だろう。つまり単純にアクセス権を相続者に移すのではダメで、変更できないようにするとか、後から法的手続きができるようにするとかの工夫が必要と思われる。

これはなにも民間の利便ではなく、国としても情報の一元管理に便利であるはずだ。極端な話、これと結びついていない資産は本人のものとみなさず国庫に回収するなど、今ある相続関連の法の曖昧さを正すきっかけにもなるのではないか。

2019年9月24日火曜日

ハイブリッドクラウドの効率的構築法


Amazonが、AWS Outpostsというサービスを出している。オンプレミスのアプライアンスだが中身はAWS、というものだ。つまり、ソフトウェア的にはAWSと同じように使えるが、ローカルにハードウェアがあるため、高速レスポンスが可能であったり、データをローカルに置くことができたりする。これはもちろん本家AWSとつながっており、同じAWSコンソールから管理できる。Googleも似たようなものを出している。

さて、ハイブリッドクラウド、つまりパブリッククラウドとオンプレミスローカルを併用するシステムにおいて、ローカルをこのようなクラウドアプライアンスで作り、負荷分散やDR/BCMを自由に出来るように設計しておく、というのは、今後のシステムの在り方として妥当だろう。

つまり、高負荷の時や災害時だけに何か特別のことをするのではなく、普段から負荷調整をオンプレミスとクラウドの間でやり取りしておき、障害が起きたときの負荷移動は、普段の調整の一パターンに過ぎない、という運用だ。これには、ローカルを入れ替えたい時、ローカルが故障した時、クラウドにトラブルがあった時、何れもクラウドの機能で対応できるため、SIが簡単になるし、普段の運用も楽になる。

この際、もうひと手間掛け、常にローカルがフル稼働になるように構築する、というのが今回のアイデアだ。

AWS Outpostsをそのまま使うと料金体系を握られてしまうので、似て非なるOutpostsモドキを作っておいて、AWSコンソールと連携ができる外部システムとして構築しておく。そして、ローカルが常にフル稼働になるように設定すると、当然ローカルの資源使用効率が最大になる。もちろん手に余る負荷はAWSに逃がすわけだ。

こうする目的は費用の節約だ。従来の構成では、耐障害性や冗長性が必要だったが、AWSと連動して負荷を移動できるのであれば、この構成では不要である。また、AWSの品質基準を満たす必要はないので、安い部品を使ったり、保証を外すなどして、価格低減策が図れる。極端な話、UPSは不要か、ごく最低限(異常信号送出とシャットダウンができれば良い)で十分である。更に、これを最大負荷で安定して廻すことによって、掛けたハードウェアのコストを余すこと無く回収することができる。

この場合、クラウド側にトラブルがあった時に備え、リージョンを複数設けておく。また、最悪縮退運用できるように設計しておく必要は残される。

ピーク性能ではなくベース性能を元にオンプレミスを構築し、余剰は全てAWSにする、というのでも良いが、多くの場合は負荷曲線によって最適なオンプレミスの計算能力が計算できる。そういう計算方法とアプライアンス、そして配置ポリシーをセットで売れば、ヒットすること間違いない。

2019年9月23日月曜日

頭痛軽減装置


雨が近づくと頭痛が起きる、という人は多いが、これは気圧の低下が原因である。気圧が下がると血液の流れが拡張して、脳の血流が増し、それが神経を刺激する。

全身が入る気密室を作って気圧を調節すれば、頭痛が軽減するであろうことは容易に想像できるが、そんなことは一般人には無理だろう。そこで考えるのが、センサだけを騙す方法だ。

この場合、センサは耳にある。しかし、耳は喉や鼻と繋がっているので、これらをすべて覆うためには、フルフェイスのヘルメットが必要である。それはちょうど、アポロ11号の船内宇宙服のヘルメットのような、透明のプラスチックカバーになるだろう。首のところを気密にするように、低反発ウレタンフォームで覆っておき、内部にはバッテリ、ファン、気圧センサが内蔵されている。

ファンは、内部の気圧を晴天と同等になるように調節する。首からどうしても空気は漏れるので、ファンは回りっぱなしになる。多少うるさくなるかもしれないので、工夫が必要になるだろう。

四六時中必要なわけではなく、痛いときに使い、痛くなくなれば外す。また、携帯性を高めるため、ビニール袋のようなものでも良いだろう。

さて、こんなことで頭痛が治まるのだろうか、正直言って分からない。ただ、気密室の実験ではうまくいったそうだから、希望はあるだろう。

2019年9月16日月曜日

究極の災害用トイレ


災害に備えて準備するのは、水、食料という人が多いだろうが、トイレについてどれだけの人が準備しているだろうか。折り畳みのポータブルトイレや携帯トイレ、凝固剤などが売られているが、調べてみると結構大変だ。

その大変さとは、第一に費用だ。携帯トイレでは、1回の処理に100円から200円ほど掛かる。自宅に置いておく凝固剤とビニール袋の組み合わせでも、1回50円を下回るものは殆どない。備蓄の基準として、トイレは1人1日5回で計算される。大1回、小4回だ。1回100円であれば、1日500円掛かる。家族4人なら、2000円だ。これは結構な金額になる。トイレの復旧は、電気より遅い。大規模災害では数週間、数ヶ月と掛かることも珍しくない。たった2週間でも家族4人で3万円掛かる、と聞けば、結構抵抗感があるはずだ。

第二は、処理後の袋が膨大な量になることだ。基本的にこれらは溜め込むしかない。小は1回150〜250g、大が同量だと仮定すると、1人1日1kg。4人なら4kg。これが2週間続けば、50kgだ。臭いが完全に払拭できるとも思えないので、室内に積めば臭うだろうし、外に積めば近所に迷惑になる。吸水性ポリマーに頼る現在の方法では、このどちらも解決する見込みは少ない。

これに対して有望なのは、コンポストトイレだ。コンポストトイレは、おがくずに排便排尿してから撹拌し、場合によっては保温することで、糞尿を生物学的に分解するものだ。水分は分解の過程で蒸発するので大幅に減量され、有機物も分解されて臭わず無害なものに変わる。おがくずは何回も使え、最後には土のようになる。そうなったらおがくずを取り替える。交換は4ヶ月から半年程度のサイクルで行う。分解のための菌は、そこらへんにある自然のものがそのまま使われるため、必要ない。モノによっては菌を投入することで分解を促進するものもある。

これも一見理想に見えるのだが、細かく見てみるとまだ不満がある。必要なおがくずの量は、Wikipediaによると、1日あたり処理数✕0.01立方メートル(10L)だそうだ。これを上の回数に当てはめると、家族4人で20回だから、200Lとなる。これは風呂の大きさに匹敵する。そんなに大量のおがくずなど、用意できない。これに対して、実際に市販されている携帯用のコンポストトイレのオガクズの量は10L程度しかない。これは短期的にしか使わないことを想定している。週末利用や船上キャンピングカーでの利用などだ。一時的に容量オーバーしても、その後しばらく使わなければよいだろう、という発想だろう。

ここで考えるのは、非常時に役立つ理想のトイレだ。条件は、①賃貸でも使える、②ランニングコストが50円/回以下、③使用後袋が無制限に増えない、④電源不要、とする。

ここで、更にコンポストトイレの特徴について考えてみる。基本は微生物による分解なので、温度、酸素、水分が適切であれば早く分解する。ここで問題になるのは小の水分だそうで、小が入ると水分が多過ぎ、分解速度が落ちるのだそうだ。このため、海外では大小分離が一般的で、大はコンポスト処理にするが、小は別に溜めておいて、薄めて肥料にするのだそうだ。どうも、大だけであれば、10Lでも少人数なら大丈夫らしい。

賃貸やマンションではこの方法は使えない。小が流せるなら最初から苦労しない。下水道が破壊されている前提だから、大も小も(水も)流してはダメな状況での使用になるからだ。そこで、大に関してはこれで解決とし、小の処理を別に考えることにする。

市販のポータブルトイレの中には、水洗式且つ上下分離式のものが多い。便座の内部に水洗用の水を溜めておいて、ポンプで流して洗浄する。そして下部は汚水タンクになっていて、これだけを分離してトイレに持っていき、廃棄する(流す)わけだ。これを使う。

この下部のタンクに、浄水器を取り付けておく。一部は上部タンクの水洗水として戻し、残りは捨てる。この際、下水に流すのではなく、雨水の排水口に流す。もちろん心理的抵抗がなければ再利用しても構わない。飲用水、手洗い用、洗濯用などだ。

問題となるのは浄水器の性能だ。ここで使うのは、LifeSaverである。LifeSaverはイギリスのベンチャーが開発した浄水器で、従来の浄水器の性能を遥かに凌ぐ高性能なフィルターを持っている。泥水はおろか、し尿が混じった水さえ飲水にする、というデモンストレーションをしているので有名だ。これを使えば、外に排水して問題ないほどに浄水できるはずだ。ジェリー缶に移すのでも良いが、せっかく上下分離タンクがあるのだから、このタンクの下部を改造して取り付けるのが良いだろう。

また、大の方での工夫として、コンポストを生ゴミ処理機と兼用にする。世間では逆に、コンポストをトイレに改造したりしているが、発想は同等である。コンポストの蓋を、普段使う生ゴミ用と、非常時に使う大小分離便座に交換できるようにする。これなら普段は台所に置いておき、非常時にはトイレとして使えばよい。

生ごみ処理機兼用コンポストトイレと、浄水器付き分離タンクを付けたポータブルトイレの組み合わせ。初期費用はだいぶ掛かるが、これなら数ヶ月レベルで、家族4人のトイレ処理のランニングコストを、ゼロにすることができる。

2019年9月13日金曜日

冷凍置き弁


オフィス街には食堂と弁当売りが跋扈しているが、最近は配達弁当も多い。事前予約するものもあるし、大きいビルではその一角に販売コーナーを一時的に設けるようなところもある。

弁当は、廃棄の問題が常に付きまとう。原価が安くても、わざわざ持っていってしかも廃棄となれば、それは当然原価に組み込まれるわけだから、割高になってしまう。そこのさじ加減は店主の腕の見せ所でもあり、悩みどころにもなる。

ここにAIを使おう、などという話は当然あるものと思うが、ここではそれ以外の選択肢を考えてみよう。それが「冷凍置き弁」である。

既に「オフィスグリコ」のような置き菓子サービスは存在している。富山の薬売りのように、オフィススペースにあらかじめ少量の菓子を置いておいて、セルフサービスで売る、というものだ。一方、冷凍の弁当というものも存在する。これは主に、要介護者や高齢者、あるいは糖尿病患者などが利用することを想定しており、カロリーや栄養素が計算されている。一般的には冷凍宅配で届くもので、Amazonなどでも売られている。メニューは豊富で、毎日食べても飽きないだけの数はある。ただ、通常の弁当と違って新作の頻度は低いようだ。この二つを組み合わせる。

即ち、職場には冷凍庫と電子レンジと集金箱を置き、ここから冷凍の弁当を取り出して支払い、電子レンジで解凍して食べる、というものだ。冷凍であるので、置き菓子と同様、日持ちは十分だ。売れ残りはゼロにできるし、補充も毎日でなくてよい。LPWAセンサをつけておき、補充のタイミングを最適化するようなこともできるだろう。

この仕掛けには、もう一つ大きなメリットがある。それは、何時であっても、休日であっても、必要な時には食べられる、ということだ。これをビルに一つ付けておくだけで、残業や三交代の人、警備員なども、安心して食事をすることができる。

もちろん自動販売機でも良いのだけれども、こういった形の方がなんとなくよさげな気がするのは、日本人だからだろうか。

2019年9月12日木曜日

Near PWA


近年では、電子レンジや洗濯機など、白物家電をスマホで制御するようなことが流行っている。このためには専用のプログラムをスマホのストアからインストールした上で、機器とのペアリングをする必要がある。これは結構面倒ではないかと思う。

そこで、こんなものを考えてみた。家電側にBluetoothを搭載しておく。一方でスマホには、特定のBluetoothプロトコルを自動で検知してアラートを出す機能をつけておく。これはBluetoothでなくてもNFCなどでも構わない。とにかく近づくことをきっかけにしてアラートが出ることが必要である。

そのアラートに答えると、PWAが起動する。すなわちWebページである。インターネットのそれとは違い、アドレスは近接通信専用になる。後は一緒だ。

別にPWAでなくても単なるWebページでもよいのだが、要は汎用のWebブラウザで家電に入れる(家電の制御をWebページで作っておく)というところが重要だ。これならネットにつなぐ必要はなく、外部からの侵入も困難だろうし、ユーザ側としてもうっかり他人の家につないでしまうことはない。もちろん、家電にWiFiでもあれば、いったんペアリングした後に家の外から制御することも可能である。

普及のポイントは、規格化である。どの家電、どのスマホを使っても同じように使えないと、使い勝手は台無しになる。OSに組み込むなど、最初から普及策を考えておく必要がある。

2019年9月11日水曜日

自動車は消耗品になる


十年二十年と乗り続け、しまいにはボロボロになってもだましだまし乗るような車の形態は、自動運転の普及とともに消滅の危機にある。もちろんゼロにはならないけれども、自動車の新陳代謝は激しくなる、つまり古い車が残りにくくなるかもしれない。

その心は、自動車の使用効率にある。商業車はその程度が低いものの、一般的に自動車は駐車場で停まっている時間の方が遥かに長い。自動運転が一般的になると、カーシェアリング・リース・レンタルの割合が増え、また実際に効率も向上するため、自動車当たりの稼働時間が上がる。つまり、早く消耗するのだ。

大量の営業車を抱えるような一般企業であっても、各支店に常に余らせておくような配車にはならないはずだ。需要を予測して数台を配備し、使われたら更に均衡を図るように再配車する、というような運用にすれば、今までより台数を少なく抑えられる。

更に、ワンボックスカーくらいであれば荷物輸送にも使えるから、昼間は個人向けや企業向けとして、深夜になったら荷物輸送に使う、ということができるようになる。昼間に多く使う営業車なら、むしろそれで積極的に稼ごうとするかもしれない。こうなると、現状の数倍の稼働時間となる。例えばそれを3倍とすると、消耗も3倍のスピードで訪れることになる。

また、使用者の意思に関わらず、定期的なメンテナンスはしやすくなる。例えば何時間走ったらオイル交換、と定めておけば、自動で勝手に工場に行ってオイル交換するわけだ。これは車の品質を一定にする効果があると同時に、故障をごまかして走ることも困難になる。適切な寿命ではあるが相対的には平均的に早くなる、という現象が起こるはずだ。

五年十年で入れ替わるとは思わないけれども、ボロボロの車が町中を走るような光景にはお目にかからなくなる時代が、今後来るのかもしれない。

2019年9月10日火曜日

ネット切断という罰則


現代社会において、ネット接続というものは、必要不可欠にまでなってきている。これが切断されることは、現代人にとっては大きな苦痛だ。ということは、それを罰則にすることもできるのではないだろうか。

この罰則とは、その名の通り国の法に基づく罰則であり、懲役や罰金等と同列の、新たな罰則である。それも徹底して行う。受刑者は携帯電話やコンピュータへのアクセスを一切禁じられる。住居のネット回線は停止させられ、WiFiやネットカフェもダメだ。

抜け道が多く考えられるので、実質的にどれだけそれを防げるかがポイントになる。この一つとして考えられるのは、デジタルフォレンジックだ。つまり、本人のネット上での行動の癖をAIに覚え込ませておき、受刑前の活動と類似する行動をチェックするのだ。これなら、匿名で活動していても本人とバレてしまう。

音声電話を禁じるかどうかは思案のしどころだが、これは切っても良いと思う。外のアクセスは、郵送と訪問に限られ、受刑者からの行動も同じく郵送と訪問に限られる。罰金の支払いなど振込に関しては、コンビニや郵便局に出かけることで良しとし、その先でネットにつながっていること(電子送金)は不問とする。

日常生活でどれだけ支障が出るのか考えてみると、家賃の振り込みや電気料金など、あるいは食料などの買い物は問題なくできる。しかし、仕事でもネット接続ができないとなると、就職先はかなり制限される。例えばレストランのホールスタッフなら、皿洗いはできるだろうが、端末を使った注文取りはできない。

こうなると、過酷刑とは言えないまでも、かなりキツい罰と言えるかもしれない。

2019年9月9日月曜日

常識のマイクロサービス


人間の常識をAIとして実現すること、これは漫然と難しいだろうと思っていたが、もしかしたらそうでもないかも、と考え始めている。

例えば画像認識だ。この画面に映っているのは猫か犬か。これは最近、画像認識AIのおかげで、だいぶできるようになってきている。写真に写った人間の表情や声の調子から喜怒哀楽を推定する、ということも、結構できるようになってきている。こういった基本的なAIが、常時マイクロサービスとして供給されるようになれば、それらを組み合わせて新たな判断をするようなAIが出てきてもおかしくないのではないか。

例えば、サポートセンターにおいて、声の調子からその人が怒っていることが分かったとして、その原因を指定するようなサービスだ。そしてこれは階層化しうる。そのサービスは、当初は当然目的別に作られるのであるが、その数や種類が豊富になってくると、それらを組み合わせた新たなサービスも増え、そのうちネットを覆った「常識人」サービスが出てくることも、夢ではない、というのがその考えの主旨だ。

例えば、PM(プロジェクトマネジメント)において、PMBOKを知らなくても、どこの進捗が滞ってきそうか、その対策をどうしたら良いか、なんてことを示唆してくれるAIが、出てこないとも限らない。

これが確立するかどうかの肝は、個々のマイクロサービスが継続的に提供されることだ。階層化が崩れるとAIの精度が落ちたりサービスが止まったりするので、確実にするには垂直統合が必要、となると、やはり大手しか生き残らないのかもしれない。するとその会社の個性が出てきたりして、また面白いかもしれない。

2019年9月6日金曜日

IoTによる「取り締まり」の強化


世の中には、法的にはしっかり違法なのだが、監視する警官などがその場にいないことで見逃されている、というようなものはいっぱいある。道路の速度制限のように、実態の方が理にかなっていると思われるものもあれば、路上駐車や違法投棄のようないただけないものも存在する。

もし後者を、例えば監視カメラを取り付けることで後日発見できたとしても、その後の警察の動きは鈍いだろう。証拠があってもそこから犯罪者までたどり着くのはそれなりに手間がかかるし、何せ数が多い。それがまた犯罪を助長することになる。

そこで考えるのが、立件から犯人への通知、罰金回収まで一連の作業を全部自動化できないか、ということだ。言わば「犯罪捜査の自動化」である。

例えば、人物追跡だ。複数の監視カメラを連携して、人物を追いかけるようなシステムは、既に存在している。また、犯罪が行われた可能性については、監視カメラにAIを載せる、いわゆるエッジコンピューティングによってチェックできる。監視カメラが警報を出したらその人物を自動で追跡して、その後の行動や身体的特徴、人相などを自動で記録し、一つにまとめる。他の情報との突合で本人特定し、罪状とレベルまで自動認識して、ハンコを押す(承認ボタンを押す)前まで全自動で進める、というものだ。

各々のレベルや精度は、最初は低いだろう。しかしそれは、AIの進化で上げていくことができる。チェックポイントを複数設け、最初はその各々で多く人間が関わるように、信頼度が上がれば人を減らして、などとしてやる。重要度の高いものから数で制限してやれば、警官が忙しくなりすぎることもない。そして、システムの精度が上がれば、警官一人当たりの処理件数は大きく向上する。また、あらゆるところに監視カメラがあると思えば(逃れられないと思えば)犯罪の抑制にもなるはずだ。

プライバシーの問題は大きな懸念であり、その肝は「犯罪に限る」「恣意的なスクリーニングはしない」という点だろう。そのために、対策を二つ行う。一つはエッジコンピューティング、もう一つは公平な第三者の監視だ。

後者は明らかだろうから、前者について説明すると、要するにカメラ自体にAIを詰め込み、必要な情報のみをネットに流すようにすることだ。このAIも学習し自動更新するようにしておくことで、精度は上がり、余計な情報を出さず必要な情報を漏らさないように鍛えられていく。

細かい犯罪が確実に捕らえられるということは、いわゆるブロークンウィンドウ理論により、他の大きな犯罪も抑制することができる。これは好ましい変化だろう。

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