2017年3月22日水曜日

ベーシックインカム


従来の様々な社会的救済制度は、原則として手続きが必要であり、つまりは制度そのものを知っている必要があるし、その専門性も高い。救済と言うくらいだから貧しい人たちが対象であるはずで、高度な知識など持ちようがないし、専門家に頼めばカネが掛かるから頼むこともしない。そういった本質的な矛盾を解決する可能性があるのがベーシックインカムだ。
ベーシックインカムの良い所は、生活環境や個人の事情に細かい変化があっても、いちいち制度を調べたり申請をしたりする必要がない点だが、逆に言えばきめ細かい対応は望めない。だから基本的にアクシデントには弱い。例えば大怪我や大病だ。
日本人は何かときめ細かい対応を好む人種なので、ベーシックインカムに移行するには本質的に根が悪いように思う。ただ一つ抜け穴はあって、それはそういった事情を自動で入手して、ベーシックインカムの額をきめ細かく自動で可変にする仕掛けだ。例えば、個人の収入が途絶えたり、医療費が急激に掛かったりしたことを自動で検知して勝手にカネを振り込む、というものだ。
困窮には様々なファクターがあるから、総合的な評価が必要になる。ただ収入と支出さえ見ていれば、概ね困窮度は分かるはずだ。AIに監視させて総合的困窮度を算出し、それに見合ったベーシックインカムを振り込めば解決する。ついでに納税もこれに任せてしまえば、人は何も考える必要がなくなる。
収入支出を完璧に把握する必要があること、AIが恣意的な動きをしないこと、プライバシーを守ること、総額をどう想定するかなど課題はあるが、複雑な補償制度を人が考えるよりは、よほどすっきりしたものができるのではないかと思う。

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