2017年3月12日日曜日

AIによる産業の変化


現在の日本では、農業から工業、サービス業へとGDPの主流が移っていて、農業は壊滅の危機といってもよい状態だ。だが、技術の発達が変曲点を迎え、この方向は変わるかもしれない。そういうお話だ。
いくらサービス業が主流だとは言っても、食べ物を食べないわけにはいかないし、服も着なければならない。今、サービス業が主流なのは、それに人が価値を見出しているからだが、食べ物の価値がゼロな訳ではないし、ゼロに限りなく近づくということもない。
その比率は需要と供給で決まるが、技術の希少性は時代と共に変遷する。ここで問題になるのはAIの存在で、例えば医療技術の希少性は膨大な知識とその組み合わせ、経験にあるわけだが、AIが医者と同等の診断をできるようになってしまうと、人間の医者の相対的価値は低下する。
これはあらゆる職種に起こることだが、AIが技術の希少性を下げることでその職種が衰退しても、その職種が提供していたサービスはAIが更に安い価格で提供することができるため困らない。むしろ詐欺や知識不足の心配が減り、世の中は安定する。例えば医療過誤、違法建築、設計上の欠陥などが減り、人は安心してモノやサービスの提供を受けることになる。
コンピュータリソースはもちろん必要だしAI技術者の需要もあるにしても、大きな問題にはならないはずだ。費用対効果が高いところから導入され、技術が進歩し価格が低下し、更に適用範囲が広がっていく。
そういう技術の影響をどこが受け易いのかと考えると、もちろん全産業がその影響を受けるのだが、知恵の割合が高いところほど影響を受け易い。また、適用の容易さのみならず市場の大きさが重要であるから、サービス業に向かうと考えるのが自然だ。
センサ農業や野菜工場で収益が倍になるということはあるだろうが、サービスの価値はもっと劇的に下がるかもしれない。例えばテレワークで交通費が激減したり、AI対応で電話オペレータや窓口対応者が不要になったり、端末注文やロボットでレストランの接客係がいなくなったり、ということは大いにあり得ることだ。そうなれば、全産業におけるサービス業の売上げの比率は低下してもおかしくない。
すると、相対的にモノの価値が上昇する、という未来が見える。工業生産品、農地、地下資源、水利権などだ。モノをもっている人(企業)の価値が相対的に上昇し、知恵だけで生きている企業はAIに潰される。人間でも同じコトで、知識に頼っていた人ほど収入の減りが激しくなる。
従来の価値感とは逆で、努力しても報われない。医者よりも農家の方が収入がよい、なんて未来も、もしかしたらあるかもしれない。

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