海外に比べ、日本の建築基準は厳しく、単価も高い割に、耐用年数は短いらしい。
この「基準が厳しい」というのは、建材にも適用される。構造計算はまあしょうがないとして、例えば新しい素材が開発されたとしても、それが構造材(荷重を支える材)として認められるには長い年月が掛かる。日本では木材、鉄骨、鉄筋コンクリート(RC)以外の建物は殆どないが、これはそのせいだ。
耐震基準があるからしょうがないじゃないか、というのは早計だ。ならば建てて揺らしてみてOKならいいじゃん、ということになる。実際はそうではなく、建築許可のレベルで下りない。耐火基準はさすがに燃やしてみて、とはいかないから分かるのだけれど。
多角形を組み合わせた木材製ドームハウス、発泡スチロールによるドームハウスは、その中でも企業努力で認可を受けた例だ。他、アルミニウムを構造材とした家もあるが、こちらは実験的なものが多い。石積みや泥煉瓦などは無論認可されない。基礎に関しても同様で、鉄筋コンクリート以外の基礎は殆ど見られない。
ここまでは前振り。では何が認可されるべきかというと、エンジニアリングウッドやCNF(セルロースナノファイバー)、グラスファイバー、カーボンファイバーなどだ。このうち、エンジニアリングウッドは以前説明したので省略。
ファイバー類には二つの使い方がある。まず、鉄筋コンクリートで言う鉄筋の代わりにこれらのファイバーを使うもの。鉄筋コンクリートの寿命(劣化)の原因の一つは、コンクリートの中性化による鉄筋の錆びだ。錆びることにより膨張し、コンクリートが割れる。だがグラスファイバーやカーボンファイバーは錆びないから、そこから割れる心配がない。
現在ファイバー筋コンクリートが認可されていない理由は分からない。他にもコンクリートとの温度膨張係数の違いや食い付きの違いなど、細かい検討項目はあるが、致命的(対応不可能)なものはないと思う。(まあ高いというのはある)
もう一つはドームだ。海外には、ファイバー(鉄筋材が多いようだ)コンクリートのドームが多くある。面白い作り方があって、まず風船を膨らませておき、この上にコンクリートを吹き付ける。その上に鉄筋を組み、更にコンクリートを吹き付け、最後に風船を撤去する。その後窓を開けるなどをする。
日本では耐震基準があるのでDIYは難しいだろうが、プロが作るのなら文句あるまい。また、殆どをファイバーで作るということも考えられる。例えば籐編みのカゴのようにグラスファイバーを編んで作る、というのはどうだろう。あるいは、ガラスドームの多くは鉄骨を支持材として使っているが、それをグラスファイバーに置き換えることができる。錆びる心配がないのでメンテナンスが楽になるだろう。
細かいことを言えば色々あるだろうが、既存の構造材に錆び、腐りといった致命的な問題があることは分かっているのだから、こういった新素材の開発にはもっと目を向けて欲しいものだ。耐用年数数百年の家ができれば、それだけで充分に魅力的なはずだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿