2017年3月16日木曜日

ハイテク時代の新楽器


新楽器の全てをフォローしているわけではないので、もしかしたら似たようなものが出ているかもしれない、という前提でのお話とさせていただく。
まず、それはタブレット上のソフトである。楽譜の表示と編集機能があり、MIDIファイルを読み込むこともできる。演奏は基本的に楽譜の再生であり、個別の音を直接指定して出すものではない。
何だ、MIDIの再生マシン(音源)か、というとさにあらず。この楽器の特徴は、再生速度や音量、ビブラートなどを制御できる点にある。これはタッチパネルで行う。それは主旋律、副旋律、和音、リズム、ベース程度に別れ、各々をある程度独立に操作できる。これがこの楽器の概要である。
何も触らずにスタートすると、最初の楽譜の設定通りに再生する。それ自体にピッチ調整や音量制御などが書き込まれていればその通りに再生するが、それに加えてタッチパネルでリアルタイムに補正するのだ。こうすることで、テンポやピッチを合わせて複数の仲間と合奏することもできるし、気分によって鳴らし方を変えることができる。
思い通りに鳴らすためにはそれなりの練習が必要であるが、どう失敗しても音程を間違えることはないし、バイオリンの初期のように醜い音を出すこともないから、周りから煙たがられる心配はないし、一方で自由に操れれば高度な音楽性を醸し出せる。
素人の楽器演奏とプロのそれとの違いは、音を間違えないといった単純なレベルの話ではなく、細かい表現にこだわり、個人の持つ音楽センスを音に反映させるところにある。前半部分をすっ飛ばしていきなり後者に近づけるなら、楽器演奏の敷居はぐっと低くなることになる。これは最終的に出来上がる音楽の質を向上させ、楽器演奏のすそ野を広げることにもつながるはずだ。
音を直接出せない楽器なんて楽器じゃない、というのは、もしかしたらもう古い考えなのかもしれない。

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