2017年3月1日水曜日

ネット時代の世間の教養の偏り


現代はWebで文章が簡単に読めるから、本を読む機会が減る。事実自分も、昔は大量に本を読んでいたが最近ではとんと買わない。

例えば雑誌なら、ひと月遅れでWebに掲載されることが多い。また旬な情報であっても、ニュースや旅行ガイドのようなものは、キュレーションソフトなどでやはりタダで読むことができる。本にカネを掛けるのが、何だか惜しく感じてしまうのだ。

Webの文章の特徴は、「短い」ということだ。だから複雑な事情の解説には向いていない。これらにより、最近は深い読み物を読んでいない。例えば雑誌で数ページ程度の連載記事程度であっても読まなくなっていて、早く結論が出てこない長い文章はイライラして読めなくなってきている。

これが負に働いているのだろうか、例えば人工知能の良質な解説文が入手できず理解が進まなかったり、新しいプログラミング言語やライブラリの理解が上手くできない事態に陥っている。技術だけでなく他の分野でも、また他の人でも事情は似通ったものではないだろうか。

なまじ軽い文章が簡単に手に入る時代、軽い、細切れの知識ばかりが頭に残ってしまい、重い(複雑だが高度な)知識をじっくり入手したり、それを基に自分で考えたりする習慣が薄くなってきている。

ちょうど収入の分布がそうなっているように、知的レベルの分布が両極端になる危険をはらんでいるように思う。自分が入手する知識の量と質について、もっと自制し制御してやらないと、小手先の技術ばかりできて本質を突けない、軽い教養人にしかなれないような気がする。

まあ、本だって玉石混交であることは間違いないのだが、乱読でもいいから量をこなさないと、それだって分からない。もう少し本にカネと時間を掛けてやろう、と自省する次第である。


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