2017年7月23日日曜日

八割病院


以前の投稿「医療用トリコーダーの実現」で、医療用プローブの可能性について述べた。

医者が行っている毎日の診断は、せいぜい十数種類だけで八割を占めると言われている。プローブを活用して、この八割で片がつく病気に限り、ICTを駆使して効率よく診察する病院、というのを考えた。

この病院では、まずロボットが応対し、患者の希望を聞く。必要に応じて音声又はタブレットで問診し、ロボットにトリコーダーを渡される。患者は自分で自分をスキャンする。スキャンが済むと、医師の判断に廻される。

医師はそれを次々に見ていき、診断完と判断すると、結果を入力する。殆どの場合は投薬指示、また次回来院の指示、だけになる。これも、医者の入力結果を元にロボットが伝える。もし追加で診察が必要となったら、看護師が追加で診察する。これは検査キット(インフルエンザ等)や採血等だ。その結果、八割の診断から外れると判断した場合、他病院を紹介して終了する。

患者は患者で、その八割に収まる自信がなければ始めから別の病院に行く。また、診察券の電子化や薬局連動による薬の即時発行、電子マネー対応なども積極的に行う。特に薬に関しては、自動倉庫の活用を検討する。八割に適応すれば良いので、薬の種類も形状も絞り込める。

この病院のいいところは、とにかく待ち時間が最短で済むことだ。別の病院に行くのはその八割以外の人だから当然人数は少なく(二割)、そちらの待ち時間も少なくなると期待できる。患者側が二度手間になる可能性はあるが、その二割病院を併設するという手もある。

医者は医者で、八割側では効率が良く稼ぐことができるし、二割側ではじっくり診れる。双方にとってよい結果になるのではないか。また、この仕掛けは通信回線でも使えるから、僻地ではこれで対応しておいて、残りは自動運転車で街まで、などという対応もできるだろう。

この病院が成功するためのポイントは、ロボットによる問診だ。例えば頭が痛い、どの程度痛い、何時頃痛くなる、などは、単純な問診票で対応できるとは限らないから、音声による問い掛けとその回答に対する音声認識と判断が必要である。また、診断と患者の希望が食い違うとき、ロボット経由で伝達するだけで完結するかどうか。これも応対方法の良し悪しが大きく影響する。割り切ってタブレットだけ、という方法も考えられるが、これだと八割には届かないかもしれない。そうすると効率が落ち、あまり効果がなくなってしまう。

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