2017年7月30日日曜日
自動運転人工都市
「家族の自動車」が実際に使われる人工都市を考えてみた。コンセプトは、「地上に一度も降りずに生活できる都市」だ。
ここで考えるべきは、コミューターとリビングカーのサイズと役割分担である。既存の都市を発展させると想定した場合、リビングカーのサイズは幅2.5m、長さ10m、高さ3.5m辺りが限度である。これは大型バスに相当する。だが実際のリビングではもっと幅がほしいと思われる。このため、移動のためのリビングカー(家族揃って移動する)ものは2.5m幅に止め、自宅は別に持つようにするか、幅3m、4mのものを認めるかを考える必要がある。
広い土地があれば後者でも良いだろうが、現実的には前者だろう。そして前者であれば、リビングカーのサイズは小型~中型バス程度でも充分なはずだ。中型バスの椅子を取り払い、天井を高くして、床を低くして、後ろにコミューターハッチを1~2基設置する、その程度でよい。
ハッチのサイズは、車椅子が通る幅である必要がある。幅90cm、高さは2m。これが開口部の大きさなので、ハッチは更に一回り大きくなる。こうなるとバスの後部にハッチを2基並べるのはギリギリになる。コミューターのサイズを、幅1m、高さ2.5m、奥行1mとして、床の高さを40cmで揃える。
自宅における宅配便等の受け渡しは、大型品はコミューターハッチで、そうでない日常のものはロボットカーでやり取りする。このため、コミューターハッチは上下二分割で、ロボットカーに対しては下50cm程度のみが開くようにする。ロボットカーは荷物を押し出して、受領印やサインの類はその際に自動でやり取りする。これは新聞や郵便物などでも同様とする。
大規模施設では、長い廊下に大量のハッチが並ぶような光景が見られることになる。中型程度までは接続できるので、家族一同が一緒に乗り込むことができる。また、長さが短く椅子だけ、移動だけを目的としたタクシーも用意される。荷物だけを運ぶロボットカーも欲しい。
この接続を効率化するため、接続したまま放置することはせず、乗り降りをしたら直ぐに離脱して自動で駐車場に向かうようにする。また人の移動に応じてまた接続しにくるため、待ち時間を抑えることができる。ここはコンピュータで最適化する。駐車場は、立体駐車場でも可能だ。ギリギリまで詰められるので、効率よく土地を使うことができる。
学校や会社への移動はコミューターのみで行い、週末にはモールやレジャー施設などに中型リビングカーで移動、現地での細かい動きはまたコミューターで行う、というのが基本的な動きになる。
こういう都市ができると、途中でふらっと立ち寄るような行為は基本的になくなる。明確に「ここに行きたい」と指定しなければ、飲み屋にすら立ち寄れない。独立系の店が路地裏に、というのは少なくなるだろう。また、建物は大型化、雑居化の傾向が高くなるだろう。職場ビルの地下にいけば飲み屋、というのは今でもよくある光景だが、これに拍車が掛かる。
となると、帰路にそこを通らざるを得ないような設計にする、ということも考えられる。例えば、ターミナルが1階だとすると、中央エスカレーターに至るまでの道にそういう店があって、エレベーターには2階からしか乗れないようにする、などだ。
さて、ここまで書いておいてなんだが、日本では実現しにくいと思う。このシステムは高低差が激しいと、また道が狭すぎると上手く機能しないからだ。北海道の原野を切り開いて、とかいうのならまだしも、既存の都市を改造して導入するのは難しいだろう。
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