学校や会社の防災訓練で、都合のよい想定ばかりが続いてうんざりしている人は多いのではないだろうか。事前に火の出る場所が分かっているとか、津波はこないとか、情報システムは全て正常とか、都合よく人数の把握ができているとか。
まあ訓練を主導する総務部署がそういう設定をしたがる理由は分かる。実際に災害がくればボロボロだろうことは目に見えているからだ。だが、それを何となく分かっていつつも、それがどの程度なのか、というのは想像もできていないというのでは困る。
仮想環境下なら、業務に支障を来たすことなく、そういったシミュレーションが可能になる。例えば階段のキャパシティに対して従業員がどの程度殺到すると急激に事態が悪化するか、という変曲点を知ることは充分な価値がある。逃げ切れず人が死ぬ場合があっても、被害を最小限にするためにどう動くか、というのは、危機管理としては知っておくべきことだ。
これをシミュレートするための基礎は既にであり、専門のものも存在するが、(意外にも?)映画のソフトが使える。モブシーンの描画ソフトがそれだ。想定する建物のCAD図と人の数・位置を入れておいて、人の動き方と想定する災害(階段が崩れるとか火が出るとか)を様々に設定して描画を繰り返すことで、どのように人が動き、また死んでいくかを知ることができる。
消防署や自衛隊などでは似たような訓練をやっているのかもしれない。これが汎用化・低価格化して、自治体や学校などに落ちてくれば、実際にはどれくらい危険なのかが分かるだけでも大きな成果だと思う。
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