2017年7月13日木曜日
ロボットメンテ前提のシールド工法共同溝
高度成長期に作られたインフラが老朽化し、補修費がかさむ問題について、その本丸は上下水道である。壊れたら修理しないわけには行かない(水浸しになったり汚物が溢れたりする)一方、その費用は膨大だ。その主たる理由は、地下に埋められていることにある。
対症療法たる補修は勿論必要なわけだが、根本的な解決策は別途必要だ。その代表的なものが共同溝だ。完全に埋めてしまうことがメンテナンス性を悪くしているので、後からアクセス可能なようにしておけばその後のコストは大きく減ることになる。
共同溝の欠点もまた分かっていて、初期投資が大きいことである。どうしても単独の溝より大きくなってしまうためだが、上下水管は一定以上細くできないし、何しろ人が通る必要があるから、小さくするのにも限度がある。空気も通さなければならない。そういった機構が費用を上げている。
これを解決する手段として、シールド工法による小型トンネル+ロボット保守が考えられる。人間は入れない、ロボットによる保守のみ、という前提で、必要な穴径を小さくし、通風も行わない。またシールド工法を用いることで開削が不要なので、費用を抑えられる。
その構造は、下に下水管、その上に上水管、その上に電気・通信・ガスを入れてやるものとする。下水管は底に直置きとし、それ以外の管は、内壁の左右にある支持棒で支えて宙に浮くようにする。途中の要所にメンテナンス用の縦穴を通し、そこから交換用の資材やロボットを出し入れする。要するにマンホールだ。
通す管の中では下水管だけが少し特殊で、径が最大となること、また勾配が法律で決められている。このため、共同溝は下水管を基準に設置することになる。これは、万一上下水管が破損した場合でも、共同溝が排水管を兼用としてくれるメリットがある。
共同部の下水管の最小は150mmないしは200mmであるため、共同溝の大きさは少なくとも300~500mmになると思われる。僻地向けの500mmと、都心向けの1mを標準として作ってみてはどうだろうか。
実は、この程度の大きさの共同溝なら既に実例がある。問題はその先で、大きくは二つだ。①共同溝内の作業を全てロボットが行う、②共同溝自体の修繕や新たな共同溝の作成にもロボットを使う、というところだ。これができなければ低価格化は難しい。
ロボットは、天井付近にレールをつけておき、ここをモノレールのように移動する。これで、水没する危険もゴミでコケる心配もなく移動できる。通信も電力供給もここからできる。カメラとロボットアームを持ち、またロボットアームはある程度の力が出るように作る。これでケーブルの引っ掛かりを解いたり掃除をしたりする。アームの操作は自動でもラジコンでもよい。
もし共同溝そのものが破壊されたら、中の管は諦め、改めて共同溝を掘り直すのが簡単だ。無事なところから再開し、次のマンホールまで自動で掘り進むようなシールドマシンが必要になる。このシールドマシンは、一般の鉄道用などとは違って汎用化が可能である。掘り進む度に外壁を自動ではめ込み、隙間をシールドするところまで自動で行う。これは新たに掘り進む場合も同じである。
まだ問題はある。一般論として、シールド工法で作るということは、各家庭等への分岐も開削せずに行う必要がある。50cm径のマンホールに対して、各戸から20cm径の共同溝を掘るシールドマシンも必要になり、またできた穴を通してどうやって配線配管をするか。
また、特に電力ではトランスや各種制御機器が必要だが、それをどこに設置するか。共同溝内で一番危険なのは電線だろうが、これを狭い穴に押し込んで大丈夫なのかどうか。ネズミやシロアリなどの被害を避けるためにはどうしたらよいか。ロボットが詰まって穴を塞いでしまったらどうするか。...
まあ、「言うは安し」である。問題山積ではあるが、技術的に不可能ということではなく、考えることがいっぱいあって面倒だ、というところだと思う。後はコストだろうか。ロボット技術がもう少し発達してきたら、それらにも解決の糸口が見えるのかもしれない。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
砂の船
免震構造については過去いくつか提案しているが、これの新しい版である。 以前、難燃性の油の上に浮かべた船の構造を提案したことがある。あれの砂版である。つまり、砂のプールを作っておいて、その上に浮かべるというものだ。砂が抵抗となって振動を軽減する。 ただし、油や水と違って砂の...

人気の投稿:
-
屋根に超音波振動装置を取り付けておく。これによって屋根と雪の間の結合が破壊され、雪が滑り落ちやすくなる。これが題記装置の原理だ。角度によっては放っておいても落ちるだろうし、そうでなくても楽に雪下ろしができる。 まあ超音波でなくて低周波でも良いのだろうが、超音波の方が簡単...
-
ディーン・ケーメン氏が発明した浄水器「 スリングショット 」の原理は、いわゆる蒸留である。つまり水を沸騰させて水蒸気にした後、冷やして水に戻す。汚水と蒸留水の間で熱交換を行うことで効率を上げている。 日本では、防災用の浄水器としては中空糸膜や逆浸透膜が殆どだ。これと蒸留式には...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
近年の若年層からの近視の増加傾向は、生活スタイルの変化と関係があると言われている。つまり、外を出歩かず、窓も締め切り、外出してもスマホばかり見ているという、要するに近くばかり見ている生活がその一因である。これは学術的にも証明されていて、外に出歩く機会が多い人ほど軸性近視の確率は少...
-
VAPEとは、液体を使うタイプの電子タバコだ。日本でも既に購入可能だが、あまり普及しているようには見えない。 PG(プロピレングリコール)とVG(ベジタブルグリセリン)からなる液体にフレーバーを混ぜたものを電気で加熱してその蒸気を吸うのだが、この加熱のところがいい加減な...
-
以前の投稿「 AI寿司職人は美味い寿司を握れるか 」と関連して、「AIには絶対できないこと」、と Googleで検索 してみると、出るわ出るわ。無名有名入り乱れ、色々な説が唱えられている。 だがどれも、技術的に不可能であることを証明・説明できていると言えるものはなかっ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
AGIとは、 汎用人工知能 (Artificial General Intelligence)のことだ。今のところ、研究段階としてはまだ初期の初期だと思われる。一方で、限定的なAIは飛躍的な進歩を遂げている。そこで、AGIを実現するための一つの提案として、 弱いAI の弱い...
-
メタバースが主流の社会では、外出の機会が極端に少なくなる。これによって、大きなダメージを受ける業界が出てくる。それは大雑把に観光業と交通・運輸業、飲食業である。観光にはゲームセンターや映画館、大型ショッピングモール、スポーツ関係なども含まれる。また、雨具の需要も減るだろう。 ...
0 件のコメント:
コメントを投稿