未来投資戦略2017を見たのだが、施策ばかり並んでいて将来像がよく分からない。色々な要素が少しづつ便利になっていくのはありがたいことではあるが、技術の進展に何も考えずにただ乗っかっているだけ、と言われても仕方がないような内容だ。
自分だったらどう考えるだろう。一番重要なのは、高齢化社会の到来と人口の減少に対してどう考えるか、また地球温暖化や生物多様性を含めた地球の持続性、近年の国際的な右傾化、閉鎖化を鑑みた貿易と国防の問題をどう考えるか、となるだろう。もちろん未来投資戦略はあくまでテクノロジー視点なので、自衛隊をどうするかなどを考えるわけではないが、色々とできるようになる中でもどれを重視し、どれを軽視するのか、といった観点は必要になる。
ここから得られる結論は、以下の通りとなる。
- 重点化
- 自然エネルギー発電を推進
- 自動車の電動化(物流用含む)
- 農業・畜産業の桁違い(何倍というレベル)の推進、それを達成するための株式会社化・AI化
- コンパクトシティ化(大都市も含む)
- シティ内物流・人流(自動運転コミューターなど)
- 共同溝
- 教育・行政・医療・職場のローカル化(遠隔XXを含む)
- 高齢者雇用(主に農業・畜産業)
- 健康寿命の延伸
- テレコミュニケーション技術の推進(テレビ電話、ボット)
- 非重点化(低減)
- 長距離物流・人流
- 石油・ガス・石炭・原子力の割合
- コンパクトシティ外のインフラ整備・再整備
化石燃料からの脱却に原子力は含まれない。原子力もやはり輸入に頼っているからだ。となれば、未開発の海底シェールガスなどを除けば自然エネルギーしか選択肢がない。そして幸いにもこれは地球温暖化防止にもなる。施策の重点第一はここになる。
第二は食糧自給だが、これは未来投資戦略内にも記述がある。AIによるベテラン農家ノウハウの導入がそれだ。野菜工場もこれに含めてよいだろう。これらへの就職が高齢者への優遇施策として提供されれば、高齢化少子化と労働人口の減少対策にもなる。
「桁違い」と言ったのは、日本では殆ど生産されていない飼料用のとうもろこしと小麦を、需要の何10%というレベルになるまで国産にすることである。場合によっては関税と助成金で均衡させてもよい。価格では海外に勝てないところ、ハイテクである程度対抗できる価格に持っていく。
一方で、未来投資会議にあった物流革命的な話は、むしろ抑えるべきだ。というのは、移動には化石燃料が不可欠だからだ。エネルギー自給の観点、また地球温暖化防止の観点からも良くない。もちろん将来的に全部電気自動車になり、自然エネルギーだけで賄えるなら異論はないが、当面は輸送の効率化よりも地産地消を目指す方向性になる。
インフラ整備などもむしろ方向性は反対で、コンパクトシティ化の方を推進すべき、となる。イニシャルコストは少々掛けてでも、共同溝を作って二度と道路を掘り起こさなくても済むようにして、電柱も全て無くし、歩道を十分に広げて車椅子やセニアカーが全て通れるようにする。一方で自動車は通行禁止にして、電動コミューターや自動宅配車だけを許可する、といった大胆な整備を行う。一方でシティ外のインフラ整備は実費負担とすることで、シティへの移住を促す。もちろんインフラがなくても生活できるように、浄水器などの技術的手段は提供する。
さて、これを全部やると、景気は恐らく悪くなる。安くできることを高くやることになるからだ。国民が納得してくれるかと言えば、かなり怪しい。だが長期的視点から考えればやるべきだと思うのだが。
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