2017年7月12日水曜日
物凄い量の「気付き」
AIの代表的な使用目的は、大量のデータの中から相関関係を見つけること、つまり「気付き」を得ることだ。例えば米国では、犯罪の起きやすい場所、時間をAIが推定してそこに警官をあらかじめ配備することで犯罪発生率を低減させることができた。
AIがその目的で使われだしたとき、どうせその気付きは殆ど人間が感じていたことの追証に過ぎないだろう、と思っていたのだが、最近は考えが変わっている。人間が感じられる環境条件のキャパシティは限られているが、AIにはそれがない。バタフライ効果とまでは言わずとも、一見何の関係もないように見える事象から新たな気付きを得る、またその気付きの質、量が人間を大幅に上回る可能性も考えなければならない。
それが極まってくると、従来は偶然起こるものと考えられていたことの多くが、実は必然的に発生するものだということが色々と分かってくるのではないか。単純には犯罪や交通事故、更にはテロ、紛争、戦争に至るまでが、実は必然だったのかもしれない。
今の世の中が戦前に似ている、と警告する戦争体験世代は多い。一つ一つは小さいことでも、それが数多く、タイミングを合わせて発生し始めると、何年後に戦争に至る確率何%として示されるとすれば、それは大きな成果だ。そして知りながらそれを止めなかった為政者もまた、不作為の罪を問われることになる。
戦争などは極端な例だ。制度を変えることで失業率が減る、待機児童が減る、貧困が解消される、二酸化炭素がどうなる、などというのは、政治家の(根拠の薄い)信念やプロパガンダではなく、冷静な数字として示されるようになる。それでも選択肢は人間の手の中にあるが、極端にオカシな選択肢を取ることはできなくなる。AIに支配されている気がして面白くないだろうか。でも世の中はそれで良くなるのだ。
日頃の生活でも様々な予想が便利さを加速する。天気予報はより高精度になり、ゲリラ豪雨や竜巻、光化学スモッグなども地域含め厳密に予測できるようになる。天気によって売り上げが変わる弁当や傘の準備なども、正確に提供できる。服の準備も完璧にできるだろう。電車の遅れや交通渋滞も予測できるから、出発に余裕を見込む必然性も薄れるし、無駄な待ち時間も減る。遊びや勉強の長さやタイミングも、より効果的な選択ができるし、無理しても落ちそうな受験はしなくなるだろう。
そのように、日頃何でもスムーズにいくようになると、渋滞や待ち、予備といった概念からくるモノやサービスが減ってくる。倉庫、備蓄、待ち時間、待合所、行列、整理券、ダフ屋、などだ。なくなるということはないだろうが、商売が厳しくなるだろうことは想像できる。その逆に、何時も混んでいるところに行くときは、必ず待ちが長くなる。たまたま空いているときに滑り込めた、などという偶然がなくなるので、そちらは詰まらない話になるだろう。
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