2017年10月8日日曜日
フリーズドライ浄水
浄水の一ジャンルに沸騰浄水があるのだが、沸騰がありならフリーズドライだってありではないか、と少し考えてみたら、意外とイケそうに思えてきた。
沸騰浄水の原理は、混じり物のある水は100℃近辺で沸騰するが、その近辺に似たような沸点の不純物がなければ分離できる、という原理による。一方で、フリーズドライは昇華が基本原理になるのだが、つまりその作業温度・作業圧において昇華し得るのが水だけなら、昇華したものは水だけになるはずだ、ということになる。
固形物は勿論、昇華点が違う化学物質は、ここで原理的に分離できることになる。残渣はカラカラに乾燥しているはずで、廃棄を容易にする。細菌やウィルスの類は、昇華と共に混じってしまう可能性があるので、フィルタを併用する必要はあるだろう。
もう一つの大きな利点はエネルギーだ。通常の水は15~25℃程度だろう。これが氷になる0℃と沸騰の100℃、どちらにより近いかを考えてもらえばわかる。だからエネルギー効率は高いのではないか。また0℃は人間にとって特に危険な温度ではないので、安全性という意味でも有利だ。
凍らせるには普通に冷凍庫の原理を使えばよいので、技術的には問題ない。まず汚水を凍らせて適当に砕き(あるいは始めからキューブ状や柱状などにして凍らせ)、気圧を摂動させながら換気し、換気を室温に晒せば結露して水が溜まる。残渣は取り出して廃棄する。また、連続的に取り出す機械も考えられるだろう。
原理的にはポンプを使う動力だけで良いので、下水処理として素直に使っても有用かもしれない。小型にして人力で動かす非常用浄水器も作れるかもしれない。問題はコストで、(冷)熱回収と再利用をいかに効率よく行うかがポイントになる。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿