2017年10月6日金曜日
制度の狭間でのAI枠
一般論として、「総合的な判断」が的確であれば、明確な基準による判断よりも結果は(平均的に)良いはずだ。この「総合的な判断」とはつまり、多数の因子を基にしてその明確な優劣をつけずに、また根拠も示さずに曖昧な判断をする、いわゆる「暗黙知」である。
日本ではよく聞かれるフレーズだが、往々にして恣意の疑いを排除できずに何時も問題になってきた。だがAIがこれを置き換えれば、恣意を排除することは(ある程度)可能になる。
これは本来の「明確な基準」そのものの存在を揺るがす事態になる。つまり、本来は総合的な判断であるべきものを、曖昧さを許すことによる恣意や制度の悪用を嫌って明確な基準にしてきたところを、もう一度揺り戻すことになるからだ。
この「制度」は、今まで人間が作ってきたルール全てに適用される。例えば自動車の制限速度、帰化申請への対応、ゴミ出しのルール、生活保護の判断、喫煙場所制限、建築基準、刑罰の軽重、裁判の証拠採用、まだまだ山とある。
だが、最初は恣意がないことの確認や精度の評価などが確立しないだろう。例えば、マラソンの代表選手の選考において、明確な基準で判断した場合とAIが「総合的に」判断した場合の優劣を知ることはできない。なぜなら、落ちた選手が他で良い成績を出したとしても、その大会では実際には走っていないからだ。
そこで考えられるのが、大部分は従来の通りに運用しておいて、「AI枠」をごく少数設ける、という考え方だ。例えば、複雑な事情で戸籍が作れなかった子供の被教育件や生活保護、控除条件の狭間に落ちて大きく損をしている人への特別控除、などが考えられる。これが一定の支持を得、且つそれが定常的になれば、少々制度に穴があっても問題は少なく、不公平感の低減にも繋がる。
基本的には救済策の狭間の救済、つまり控除漏れの控除のような使い方で始まり、詐欺まがい商法の懲罰化という方向性での使い方には慎重になるべきだろう。もちろんAIの賢さが充分になれば、その限りではない。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
AIによる社会変化の予測
中島聡氏の著書 2034 - 未来予測 に倣い、私も未来予測をしてみたいと思う。ただ、私はこの本を読んでいない。著書のチャプターのみを題材として、自分なりの予測をしてみる。 Chapter1 AIによる「死生観」のグレート・リセット 既に書いている、 人は死んだらどこへ...
人気の投稿:
-
一日あたり(一食あたりではない!) 530円で済む、超低価格の非常食を考えてみた。 いきなりだが以下がレシピである。 コンポーネント 具体的な製品例 1日の使用量 1日あたりのコスト 役割 主食(糖質) ケンミン 業務用はるさめ 400g 約40...
-
有名な金持ち本「DIE WITH ZERO」における著者の主張について生成AIと議論していたら、いつの間にかそういう結論に達してしまった、というお話。 著者の主張は、必ずしも財産ゼロで死ぬようにしよう、というものではない。多くの人は使い切れずに溜め込んだまま死んでしまう、こ...
-
2026/05/04訂正:この打粉はアルファ化されていない可能性があることがわかりました。アルファ化されていないデンプンをそのまま大量に食べると消化不良を起こす可能性があります。以下のレシピは撤回します。加熱済みの炭水化物として、春雨以外ではパン粉が推奨されます。 以前紹介した ...
-
あいかわらず生成AIをいじめて遊んでいるのだが、その中で出てきた「自説」を披露する。 結論からすると、陰謀論とスピリチュアルは、現代の宗教と同じ役割を持っており、宗教のネガティブな部分を陰謀論が、ポジティブな部分をスピリチュアルが担っている、そして既存の宗教を信じる者が減っ...
-
実業家の河原由次氏が、豚まんを新幹線内で食べたところ注意された、という呟きをしたことに対して論争が起こっているが、それを科学的・定量的な視点で考察する。 まず、原典を以下に提示しておく。 https://x.com/i_am_kawa_chan/status/202903...
-
ウキクサについて前回説明 をしたが、さすがに食べるのに抵抗のあると思う。これは完全にサバイバルを前提とした計算だったが、もし「日常の足しになる+非常時にも何とか持続生産」という仮定であれば、少しは魅力的な生産が可能だ。今回はジャガイモについて計算してみた結果を披露する。 基...
-
日本と世界の右傾化とその理由 の続き。世界的な国粋主義、自国第一主義、覇権主義、暴力肯定、秩序破壊の傾向に関し、その原因について考えてみる。なお、けっこう重い話ではあるのだが、あくまでも『根拠なき自説』であるので、気軽に聞いて頂きたい。 世界的な右傾化の原因は、経済格差や...
-
以前も https://spockshightech.blogspot.com/2025/08/blog-post_05.html のようなことを考えてみたが、また別の視点から労働生産性について考えてみた。 日本の労働生産性はOECDの中でも低位にある。何が労働生産性向上の足を引...
-
非常用トイレの構想 は過去に何回か書いているが、ここで考えるのはもっと現実的なもので、極端な話、明日大震災が起きても使えるものだ。知恵として覚えておいて欲しい。 非常用トイレとして、高分子吸収剤によるものが市販されている。これは赤ちゃんのおむつや生理用品などと同じく、水分を吸収...
-
何もかも失ってしまいもう失うものがない人、という文脈で使われる「無敵の人」という表現だが、別の意味で無敵な人というのを考えてみた。それは、社会からのあらゆるしがらみからいつでも脱却できるために誰にも媚びる必要のない人、というものだ。これを「ポジティブ無敵の人」と命名してみた。...

0 件のコメント:
コメントを投稿