2017年10月13日金曜日
地方へのロボット倉庫の普及
自動倉庫ロボットを導入するには数百万円が掛かり、決して簡単なものではない。だが、地方毎に同じ規格の自動倉庫が多数あったとしたら、話は少し違ってくる。
例えば、こんなことは考えられないだろうか。拠点に自動倉庫があり、トラックの荷台にも類似の自動倉庫が積まれていて、この間の積み替えを全て自動でするロボットがあったとしたらどうだろう。更にはその自動倉庫が冷蔵、冷凍にも対応していたとしたら。その間の通信が自動でできたとしたら。
トラックが倉庫前に停車し扉を空けるだけで、倉庫からロボットが出てきて必要な情報をダウンロードし、必要な荷物を降ろし、また積む。この間、運転手は何もしなくてよい。完了したらアラームでも鳴らしてくれればよい。また扉を閉めて、次の倉庫に向かう。もちろん次にどこに行くべきかは、コンピュータが指示してくれる。
従来と大きく異なるのは、出し入れが人間でなくなるだけではない。自動にすることで、荷物を配送先毎に纏めるという作業が必要なくなるのだ。これは、例えば6輪カートやボックスカートを配送先毎に割り当て、そこに乗せる荷物を選んで乗せ、ラップ等で固定する作業だ。これは倉庫内で行われることが多く、今までは目立たなかったが、実際にはこの作業にも人手が掛かっている。
この倉庫は、原則として無人でよい。預けるのも出すのもロボットが自動で行うからだ。もしトラブルがあっても、運転手はいるはずだから、監視カメラとスピーカマイクを使って指示を出せばよい。預けるのは無料、出すのは1箱幾らとして自動課金にすれば、キャッシュも不要だ。
そうしておいて、倉庫近くの生産者に使用を促す。入れるだけだから、生産者の負担はない。また場所が近くになるので、自前のトラックなどで来ても充分だ。必要になるのは箱のIDくらいで、IT的な操作も難しくないだろう。入れた時点で買い手が着いていなくてもよい。
倉庫に入った品物はその時点で競りに掛かり、行き先が決まる。行き先が遠くであったら、倉庫間の移動は網の判断で行う。つまり、買い手の最寄の倉庫まで、網専属のトラックが移動するわけだ。
倉庫間の物流はブラックボックス化され、生産者からも買い手からも見えなくなる。この行為は品物毎に行われるので、結局買い手は、自分の身近な倉庫に行くだけで全てが揃う。
この小型倉庫ネットワークは、従来の商社の役割を代替するものだ。中央集権でなくなるので、メリットが幾つか出てくる。まず交通網への負担が緩くなること。大きなトラックで高速道路を占有する、市場や倉庫の周りが混雑する、という事態が改善されることだ。
次に、トラブルに対する耐性が高まる。幹線道路が使えなくなっても、多数の迂回路が形成されるためだ。また、小さい倉庫があちこちに多数建てられることになるため、雇用も分散される。大型トラックで長時間ぶっとばすだけでなく、地元の何軒かを廻るだけの小型トラックなども出てくるので、負荷が分散する。
将来的に、トラックは自動運転で全部ロボットになる時代がくるはずだ。その前段階として、自動倉庫トラックと拠点自動倉庫の組み合わせが整備される、というのは、考えとしては自然だと思う。
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