2017年10月28日土曜日
家のOS
だいぶ前だが、有明のパナソニックセンター東京に行ったことがある。あそこには未来の家の展示コーナーがあるのだが、多くの情報は壁やテーブルなどに表示されていた。このために、各部屋の天井や壁などには多数のプロジェクタが埋め込まれていた。TRONハウスの時代はまだプロジェクタ投影はあまり現実的ではなかったが、今では安価なレーザープロジェクタが幾らでもある。恐らく未来の家は本当にあのようなものになるのだと思う。
ここをもう少し深彫りして考えると、部屋に汎用のプロジェクタが複数設置されていて、スマホのOSとは別のソリューションが動いている。これがスマホないしは本人識別と連動して、必要な情報を表示する。通常のOSは画面が定まっているが、こちらは画面の大きさや向きに様々なバリエーションがある。例えば映画を床に映されても困るだろうし、寝てもいないのに天井に映されても困る。だから表示域と解像度、人の位置についての情報から、何処に何を表示するかはインテリジェントな判断が必要になる。UIも音声と投影映像へのタッチが主流になるはずだ。
未来のコンセプトとしてデモをする人はいても、ここのOSを真面目に考えている人はどれほどいるのだろう。音声はそろそろ出始めているから、プロジェクタ投影も含めて総合的なOSを考えてみてもよい時期ではないだろうか。
従来の「何を映すか」に加え、「何処に映すか」を属性として毎回定めなければならない。それは、部屋の何処に誰がいるか、指示をしたのは誰か、あるいは誰に向けた表示なのかを配慮する必要がある。それは今まで無かった情報なので、付け加えるか推測するかをする必要がある。
もう一つは、映し出す大きさや形だ。場所によっては不定形(角のないテーブルなど)の場合もあるし、邪魔者(壁の時計やカレンダー)を避けて映す必要もあるはずだ。壁の色も色々だったり、立体的な意匠があるかもしれない。これらはリアルタイムで変化する可能性があり、つまりはカメラや距離センサなどでモニタする必要がある。
音声も、単純に部屋全体に聞こえるようにするのではなく、超指向性スピーカーを使って特定の場所にだけ出すようにする必要があるかもしれない。
これらの要素から、まず①部屋の何処に誰がいるかを把握するセンサ、②部屋の立体的な形状や色・明るさを把握するセンサ、③部屋に配置されたプロジェクタとスピーカーの位置や特性のインプット、④任意の形状のウィンドウ(穴空き、角欠けなど何でもアリ)に対して映したい情報(要素)を綺麗にレイアウトする技術、⑤個人を特定できる高度な音声認識センサ、⑥ユーザのジェスチャを認識するセンサ、⑦アプリ毎にその目的・提示対象・属性を類推するAI、が必要になる。
一般の部屋に簡単に導入できるようにするには、部屋の高い位置への設置が望ましい。これには、シーリングライトと交換する形や、高い棚の上への設置が考えられる。天井から吊り下げるのは、少なくとも賃貸では困難だ。
そうして設置しておいて、スマホを使ってキャリブレーションを行う。空間把握には、Project TangoやARKitなどが使われるのだろう。それが終わればいよいよ接続開始だ。
OSの基本は、アプリケーションが出す情報を、適切なタイミングで適切な場所に表示することだ。このため、アプリケーションはそれ専用になる。例えば画面設計は不要で、表示すべき要素個別の設計は必要だが、配置やサイズはOS任せになる。ボタンなど、GUIの入力は基本的には無くなる。音声又はジェスチャーでの操作になる。
複数のアプリケーションが表示されているときに、ユーザがどのアプリケーションに対して指示をしているかをOSが見極める必要がある。これは、表示されている画像に向かって行うことで実現する。また、少なくとも初期においては操作ミスやOSの判断ミスが頻発するので、一つ前の状態に戻す操作だけは確実に行えるようにしておく。
複雑な操作に関してはどうしてもタブレットなどが必要になるので、それも用意しておく。こちらは従来同等の操作体系になる。
基本ソフトとしては、カレンダー、時計、天気、スケジュール及びリマインダ、照明演出、静止画(フォトフレーム)、動画(環境映像・映画・テレビ・ネットテレビ等)、音楽、ニュース・キュレーション、レシピ、防犯防災、インターホン、音声/テレビ電話、コンシェルジェ(音声アシスタント:検索・問合せ・暇潰しなど)、旅行計画、くらいがあればよいだろう。HAはオプションでよい。
ソフトは基本的に独立ではなく、既存のスマホソフトやWebサービスと連動するようにする。スケジュールはGoogleカレンダーとか、防犯防災はYahoo!防災情報とかだ。表示のところだけをカスタマイズする。そうすれば既存のサービスも参戦しやすい。
シーリングライト型の場合、下向き(テーブル)、壁向き1~2箇所(方向可変)のプロジェクタを付けたタイプで、10万円以下くらいが初期のモデルであれば売れるだろう。少なくとも自分なら欲しい。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
砂の船
免震構造については過去いくつか提案しているが、これの新しい版である。 以前、難燃性の油の上に浮かべた船の構造を提案したことがある。あれの砂版である。つまり、砂のプールを作っておいて、その上に浮かべるというものだ。砂が抵抗となって振動を軽減する。 ただし、油や水と違って砂の...

人気の投稿:
-
屋根に超音波振動装置を取り付けておく。これによって屋根と雪の間の結合が破壊され、雪が滑り落ちやすくなる。これが題記装置の原理だ。角度によっては放っておいても落ちるだろうし、そうでなくても楽に雪下ろしができる。 まあ超音波でなくて低周波でも良いのだろうが、超音波の方が簡単...
-
ディーン・ケーメン氏が発明した浄水器「 スリングショット 」の原理は、いわゆる蒸留である。つまり水を沸騰させて水蒸気にした後、冷やして水に戻す。汚水と蒸留水の間で熱交換を行うことで効率を上げている。 日本では、防災用の浄水器としては中空糸膜や逆浸透膜が殆どだ。これと蒸留式には...
-
近年の若年層からの近視の増加傾向は、生活スタイルの変化と関係があると言われている。つまり、外を出歩かず、窓も締め切り、外出してもスマホばかり見ているという、要するに近くばかり見ている生活がその一因である。これは学術的にも証明されていて、外に出歩く機会が多い人ほど軸性近視の確率は少...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
VAPEとは、液体を使うタイプの電子タバコだ。日本でも既に購入可能だが、あまり普及しているようには見えない。 PG(プロピレングリコール)とVG(ベジタブルグリセリン)からなる液体にフレーバーを混ぜたものを電気で加熱してその蒸気を吸うのだが、この加熱のところがいい加減な...
-
以前の投稿「 AI寿司職人は美味い寿司を握れるか 」と関連して、「AIには絶対できないこと」、と Googleで検索 してみると、出るわ出るわ。無名有名入り乱れ、色々な説が唱えられている。 だがどれも、技術的に不可能であることを証明・説明できていると言えるものはなかっ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
AGIとは、 汎用人工知能 (Artificial General Intelligence)のことだ。今のところ、研究段階としてはまだ初期の初期だと思われる。一方で、限定的なAIは飛躍的な進歩を遂げている。そこで、AGIを実現するための一つの提案として、 弱いAI の弱い...
-
メタバースが主流の社会では、外出の機会が極端に少なくなる。これによって、大きなダメージを受ける業界が出てくる。それは大雑把に観光業と交通・運輸業、飲食業である。観光にはゲームセンターや映画館、大型ショッピングモール、スポーツ関係なども含まれる。また、雨具の需要も減るだろう。 ...
0 件のコメント:
コメントを投稿