2017年12月31日日曜日
日本の家電の「絶望的な使いづらさ」について
http://fum-s-tyle.com/japan-electrical-ui.html
これも古い記事なので今更なのだが、自分なりの考えをまとめておく。
記事の最初に出てくるのが洗濯機で、1台目ははっきり分からないが恐らく日立製、2台目は東芝製(写真に写っていた)だ。そして操作に関するツッコミが多数記述してある。以後、電子レンジ、エアコン、リモコン、…と同じように使い辛さが指摘されていく、また随時私案が提示されている、という内容だ。
最初に思ったのは、「自分とこの人は人種が違う」ということ。確かに使い辛さを感じることはあっても、2、3分あれば自分だったらだいたいその機械の流儀は分かる。上の写真でもそれほど困難は感じなかった。なのにこの人にとっては諦めるほど使い辛い。かくてUIとは難しいものか、と思い知らされた。
家電を設計しているのは当然家電に詳しい人だから、分からない人の気持ちが分からない。これはどんな機械やソフトウェアでも考えられることだ。だが、家電メーカーとてバカではない。自分の知る限り、大手の家電メーカーは、素人を呼んでマニュアルなしにいきなり操作させて、その戸惑う様子をビデオに録り分析する、などということは、ずっと昔からやっている。つまり、今の時点では(それでも一応だが)その操作体系には合理性はあるのだ。
この問題の本質は、実はUIではない。多機能すぎるところにある。機能が多ければ操作体系が複雑になるのは自然の理だ。洗濯機にしても電子レンジにしても、次々に新しい機能が出て、新しいボタンが増えて、それをどこに押し込もうかと奮闘した結果がそれなわけだ。
では機能を減らせば良いではないか。そうではない。機能を減らすと売値が下がる。売値が下がると利益も利益率も下がる。そうするともはや新しい開発はできない。ライバルに負ける。人を減らさなければならない。一方で消費者も新しい機能をありがたがる、つまりはカネを払ってくれる。結局、UIの使い辛さというのは、廻り回ってユーザが求めたものなのだ。
提案ではタッチパネルもあったが、既に世に存在しているものがなぜ採用されないか、合理的に考えれば分かる。効果(売上増)とパネルのコスト、UIの設計コストが見合わなければ採用されない、見合えば採用される、それだけだ。繰り返しになるがメーカーはバカではない。それが差別化要素になりコストが見合うと判断すれば、必ず採用する。
今までは合理的な解決策はなかったのだが、ここにきてUIを大幅に改善しつつも高機能にできる、という希望が見えてきている。AI、またAmazon EchoやGoogle Homeなどの音声UIの登場だ。これなら操作パネルはむしろシンプルになり、その代わり音声であれこれ聞いてくる。
何とか機能はどうしますかこうしますか、あるいは洗濯物を見て自動設定する、好みを記憶して(気を利かせて)機能を使い分ける、それが気に入らなかったらそう言えば次回から修正する、といったことが可能になる。
これなら機能をいくら増やしても複雑さを一定に押さえ、あまつさえその人のレベルに合わせて調整することも可能だろう。洗濯機なら水量や時間を細かく設定したがる人、機能を色々使いたがる人、逆にお任せの人と個性が出てきたとしても、先端機能を上手く使いつつ、UIはずっと同じ、音声のみだ。
究極のUIとは優秀な執事である、というのは、実は自分の中の格言!(^^)!なのだが、世の中はその方向に動きつつある。まずは家電で実現してほしいものだ。
2017年12月30日土曜日
エアコン設計にみる昭和的発想
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20110521
ずいぶん昔の記事だし、ひところ流行ったらしいから、これに関するコメントや独自見解などは多数出ているものと思うが、そういうのを一切調べずに(・・;)自分なりに思っていることを描いてみる。
記事の概要は、分解掃除しにくいエアコンに対する不満だ。そして今のエアコンも、やっぱり分岐掃除はしにくい。記事にあったような、掃除ロボット付きエアコンの流れは今も健在だ。ただ残念なことに、それに対して海外の家電はシンプルで良い、という主張の中に、肝心のエアコンが入っていなかった。
では実態はどうかというと、海外のエアコンでもやはり分解掃除はしにくいものと思う。というのは、エアコンには巨大なフィンが不可欠だからだ。
エアコンで最も汚れやすいのはフィン、つまり熱交換器だ。熱交換器は、空気に触れる面積が大きいほど効率が高いから、薄い金属の板を何層にも重ね、隙間に風が通るようになっている。その形状の複雑さが、同時にホコリも溜まりやすい原因にもなっている。ホコリがたまれば湿気を呼び、湿気がカビを呼び、臭くなる。掃除したいのはこのフィンの間だ。
分解掃除をするには、このフィンを取り外す、ということになる。だがこのフィンは、エアコンの熱交換のためのものなので、当然冷媒が流れている。金属パイプがフィンを縦横に這っているため、このパイプをフィンから外すことは非常に困難だし、もし外せるように作ると熱効率が悪くなってしまう。
パイプごとフィンを外すということも考えられるが、その場合はパイプから冷媒を抜き取る必要がある。これにはエアコン取付工事と同等の資格と作業が必要だ。ここを機械化することも考えられるが、当然そのためのタンクや残ガス検知、弁、ポンプなどが追加で必要になり、価格を押し上げると共に、完全に抜き取るのは原理的に不可能だから、冷媒の補充も必要になる。
つまり、技術的な視点で見ると、「不可能ではないが高額ないしは低効率になる」という結論になる。ちなみに、事前にフィルターをかませばよいではないか、ホコリのつきにくい素材にすればよいではないか、などというものは、もう全てやっている。そんな中でも、先日日立が発表した凍結洗浄は、なかなかぶっ飛んだ技術として評価したい。
もしこの先があるのなら、自分なりに考えがあって、それは「全てを室外機でやってしまう」というものだ。屋内には空気の出入り口だけを作っておき、熱交換を室外機の中だけで行う。フィンは室外機の一番下に置き、洗浄したらその液はそのまま下に流れ出すような構造にする。多くの場合はベランダなどに置くだろうから、フィンを高圧洗浄しても問題ないし、腐食性の洗剤(例えば塩素剤)でドブ漬けするのも可能だ。
他にも、掃除の外注もやりやすくなる(素人でも可能で料金も下がる)、室外機一台で複数の部屋に対応できる、あるいは吹き出し口を一部屋の中でも多数に設置することで温度を平均化できる、などのメリットも出る。価格もそう変わらないものと思う。ひとつ検討してみてはどうだろうか。
2017年12月29日金曜日
USB-Cへの不満と解決策の提案
USBの端子が最初にお目見えしたとき、ガッカリした記憶がある。
USB以前のインターフェースと言えばRS-232CだったりパラレルポートだったりSCSIだったりと、とにかくコネクタが大きく、また設定も大変だった。これが差すだけで自動情報交換してソフト的にもつながる、また電源も供給できる、というのが大きな期待だったが、出てきたコネクタは(確かに従来よりは小さいが)十分にデカく、上下の向きがほとんど同じで差し間違え易く、端子も前時代的で、無用に角ばっていて、無骨なものだった。
欧米主導で決められたのだが、国内では自分と同じような意見が多かった。もっと小さく、差し間違えない工夫が必要だ、というものだ。それで押し切られた後、miniUSBの規格が出てきたとき、それ見たことか、と思ったものだ。
その後microUSBが出てきたとき、miniと何が違うのかと戸惑った。今度のUSB-Cコネクタもそうだし、USB-PD周りの規格の混乱も著しい。オプションだらけでケーブルにも規定があり、どう組み合わせれば正しいのかがさっぱり分からない。
まず、裏表の差し間違い云々の話は、もう裏表だけの問題ではない。完全な丸穴にすべきである。ついでにテーパも付けて、磁石で吸い付くようにしてもらおう。イヤホンジャックより一回り大きく旧来のACアダプタより小さい、例えば4.5φの穴に差し込む形式にしておいて、電源以外は全て光でやり取りするようにすればすっきりする。周辺部は金属で電源、中央は光ファイバーだ。
ケーブルにもチップを内蔵することは最初から義務付け、プラグと機器の間みは外側の電源端子を通じて通信する。電源供給は交流としておいて、通信はこれを搬送波として使う。コネクタが刺さると、まず機器は電源を供給せずにチップとの通信を試みる。もし応答がなければ電源を供給して再度通信する。そしてケーブルへの電源供給の向きと量、最大通信速度を決めてから本来の通信プロトコルに入る。
また、電源供給不良や発熱の検知なども仕様として含むこととする。ケーブル両端での電圧降下、温度、通信速度を見ていて、本来の性能が出ていないときにはアラートを出すようにする。
プロトコルは相当複雑になるにしても、ケーブルにチップ内蔵を義務付ける(チップがないと通信できない)ことによって、ケーブルの不良による火事の危険などは避けられる。また、光ファイバーの質もチップに記憶されるので、機器とケーブルの組み合わせにおける最高の速度を提供できるし、エラーが多ければ自動で速度を落とすなど、自立的な制御も可能だ。
最初のネゴシエーションとその先の分岐に関してしっかりしたアーキテクチャがあれば、どんな通信でも可能だ。例えばUSBだけでなくLANも通せるし、電話線など公衆通信にも使えるだろう。例えば長距離では電源供給しない、なども選択できる。この場合、機器の電源はケーブルのコネクタ内チップへの電源供給だけに使われる。
USB-Cでも光ファイバーは議論されたらしいが、最初にUSBを制定したときに比べて最近のUSBはオプションだらけでぐだぐただ。コネクタを新しくする勇気があるなら、もっとユーザに親切で、長持ちする規格を作ってほしいものだ。
2017年12月28日木曜日
AIによる倒壊危険度予測
AIは今、いわゆるハイプカーブの流行期から減滅期に至る過程にあると思われる。あらゆるものにAIが試され、あるものは成功し、あるものは失敗する。そんな中で、「これに使えないか」というのが、タイトルの倒壊予測である。
仕組みは簡単で、既存の建物の耐震診断と同じだ。建物に微小な揺れを与えてその揺れを計測し、実際の大きな地震での損傷や倒壊の危険を診断するものだ。何が今までと違うかと言うと、その簡便性と、そこからくる対象だ。
この耐震診断では、建物の各所に加速度計をつけて、更には専用の振動機械を使って振動させる。このため診断には時間的にも費用的にもそれなりのものが掛かる。これは建築基準法やら保険やらに影響があるため、それなりに校正やら根拠やらも必要だから、コストが掛かるのは分かる。これに対し、あくまで精度は保証せず、その代わりに低コストで判定するようなジャンルのものが存在しても良いはずだ。狙うのはここの市場である。
これはさすがに無料とはいかない。大きな建造物をそれなりの強さで揺らすためには機械が必要だからだ。この機械をいかに安く作るかはひとつの課題だが、恐らくはアタッシュケースかキャリーカート程度に納まり、AC100V、1kW程度までで動く電動ないしは電動ポンプを介したエアー駆動、というのが最悪の目安で、できればハンディくらいがよい。
これの対象とするのは、木造の一軒家よりは小さい建造物で、代表的にはブロック塀だ。振動機を地面に置き、ブロック塀に振動部を押し当てて塀を揺らす。もちろんその強さはごく弱く、見た目では分からないほどだ。振動数を徐々に上げながら、その変形を見る。
ここで、どのように変形度を見るかが新しいところだ。ARKitやProject Tango、つまりスマホの3Dカメラで見て画像解析するだけ、とする。さすがに手持ちではキツかろうから三脚に立てるにしても、それだけだ。
振動機と画像のブロック塀変形の相関関係をAIで学習させることにより、振動が大きかった場合のブロック塀変形の程度をシミュレーションすることができる。この変形度が一定以上大きいとなると「危険」と判断する、というわけだ。
また、元データを使って、過去のさまざまな地震に対する耐性をシミュレーションすることもできるようになる。東北のどの地点と同等だとダメ、などというのも分かる。
振動機の位置によって結果が変わる懸念はあるが、地震学や物理学の見地から、どうすればよいかを研究することはできるだろう。振動機を当てる場所を複数にして総合的に診断する、などということも、研究が進めば考えられるだろうし、精度が一定以上出るのであれば、一軒家への適用にも道が見えるものと考える。
2017年12月27日水曜日
前面全画面化とカメラの位置
iPhone Xを見てみたが、上部中央の切り欠きがどうも気持ち悪い。ここについては好き嫌いが分かれそうだが、個人的には嫌いな方だ。一方でホームボタンがなくなったが、こちらはさして気にならない。画面が広くなっていけばボタンもなくなるという方向性は、容易に想像できたことだ。
何れはこの中央の切り欠きもなくなって、真の全面前面ディスプレイ化はなされるのだろう。そんなときにカメラやマイク、スピーカーはどこに行くのだろうか、考えてみた。
まずマイクとスピーカーだが、これについては画面自体を振動させる、及び振動を検知する、という方法が使えるだろう。ディスプレイの背面に圧電素子を付けておいて、素子ごと振動する、ないしは振動を検知する。音質はイコライザで補正すればよい。あるいは、前面の保護ガラス自体を圧電素子にするという考え方もできると思う。
圧電素子があることで、ボタンのタッチ感や押し込み感をある程度再現できるか。そうするとホームボタンの復活もあり得るし、もっと進んで全画面どこでも押し込み感のあるボタンを配置することもできるかもしれない。
問題は、その振動によってディスプレイ素子の品質や耐久性に影響を与えないかどうかだが、少なくとも電話をしているときにのみ使うようにすれば問題あるまい。それ以外では、背面などにスピーカーとマイクを付けておいてそちらを使えばよい。
カメラは、まずカメラを上の左右二つに付けて画像合成して、正面の絵をリアルタイムで作る。もはや本物とはいえないが、画像フィルタだと言い張ればよい。
もうひとつ、撮像素子を表示素子と並べて配置するという方法が考えられる。これは「レンズなしカメラ」と同じ発想のもので、背後で計算が必要だ。だが原理的には既に可能なもので、後は実装に係わる研究だけでよい。
こう考えると、前面全面ディスプレイ化は実現可能なように思える。ハードルは予算と根気と情熱、ということになるのだろう。引き続きAppleの努力と業界の牽引を期待する。
2017年12月26日火曜日
vCardカード
簡単に言えば、住所氏名電話番号をQRコードで書いただけのカードである。これをコンビニのキヨスク端末などで発券できるようにしておく。クレジットカードサイズで、紙ないしは昔のテレホンカードのような、ペラペラのPET樹脂製などで十分だ。
QRコードには別にURLなどが書いてあるわけではなく、カードに書いてある文字列がそのまま入っている。スマホのカメラなどで読み込めば、ネット接続していなくても文字列を入手できる。vCardは電子名刺の規格なので流用させてもらったが、業界で統一するなら他のものでもよい。
これで何をするかといえば、宛先表記である。宅配伝票ないしははがきなどを機械に差し込んで、宛先と送り主各々のカードを機械にかざせば、綺麗に印刷されて出てくる。ただこれだけだ。
この機械をコンビニや郵便局などに設置しておく。荷物を出すときやはがきを出すとき、自宅でプリンタとコンピュータを相手に格闘せずとも綺麗な印刷ができる。年賀状など大量に出すときに、差出人を記憶しておいて、連続的に宛先カードを取り込んで印刷を続ける、などもできる。
ユーザにもそれなりのメリットがあるが、宅配業者や郵便局側としてもメリットがある。それは「汚い字の判別エラー」がゼロにできることだ。印刷した時点で、例えばはがきなら住所バーコードを印刷してしまうことができる。これなら人手を介さずとも間違うことなく先方に届けられる。宅配業者にも似たようなエリアコードがあるが、印刷と同時にエラーチェックもできる。
もちろん本来の名刺交換にも使えるわけだが、これを使っている人を見たことがない。仕掛けは簡単なのだから、もっと普及してもよさそうなものだ。例えば年賀状に仕込んで、名刺サイズに剥がせるような仕掛けにしておいて、一方でスマホやPCのカメラからGoogle連絡先にそのまま登録できるように、連絡先ソフトやQRコードリーダーを改良してみてはどうかと思う。
店舗の場合は、vCardよりもGoogleマップやぐるなびのURLを登録しておいた方が有利かもしれない。
2017年12月25日月曜日
アルゴンビーズ断熱材
真空断熱材の解説記事を見るたびに思うことが幾つかある。
真空断熱材の面積は広くとれない。これは、芯材をアルミパウチで挟んで空気を抜く、という作り方でやる以上、芯材の大きさをあまり大きくできないからだ。大きくすると空気が抜けにくく、また穴が開いたときの被害が大きくなる。
そしてその周辺部は当然、アルミパウチ同士が圧着されており、ここの断熱性はない。ここの面積を小さくすることはやはりできない。しっかり芯材同士を離しておかないと、圧着が破れてやはり被害が広がるからだ。また、厚さも厚くはとれない。芯材を厚くするとつぶれ易くなり、厚さを保つのが難しくなるからだ。
このため、小さい面積の芯材を、比較的広い面積の圧着部が取り囲むような構造になる。芯材のある部分は確かに断熱性が高いが、周りの圧着部の面積が相対的に広く、また圧着部は金属であり熱を通しやすい。これではあまり意味がないのではないか。
これに対して提案したいのが、アルゴンビーズ断熱材だ。
空気に対して比較的断熱性が高いアルゴンを閉じ込めた中空ビーズを多数生成する。これを型に入れ、加熱しながら圧縮して板状にする。以上でお終いだ。
中空ビーズは既に工業製品として存在しており、断熱用フィラーとしても使われている。この中空ビーズの中身をアルゴンにするだけだ。作成時にアルゴン気中で作れば自然とそうなる(調整は必要だろうが)。アルゴンは空気に比べれば高いが、気体としては比較的ありふれており、電球などにもよく使われる。ガラスを扱う業者なら普通に買ってこれるだろう。
ビーズ内の気圧を大気圧より高くしておくと、ビーズは膨らむ方の圧力を受ける。これは断熱材の形状維持(潰されないようにする)に役立つ。また、アルゴン気中で作れば、ビーズとビーズの隙間もアルゴンであり、成型時の圧縮でここも密閉される。
真空断熱材と違ってカットも釘打ちも可能で、ウレタンフォーム代替として使える。しかもウレタンフォームなどより薄くできる。重ねることが可能、端まで断熱できる、などの特徴も、ウレタンフォームと同等だ。
ビーズを何で作るかにもよるが、もしガラスで作れるのなら、外壁材として考えてみても面白い。ウレタンフォームと違ってかなり硬く作れるだろうし、耐候性も期待できる。意匠的にも面白いものになりそうだ。
問題は製造法と価格で、アルゴンビーズ自体、上手く作れるかどうか、また幾らくらいになるのかが不明だ。値段は当然ウレタンフォームより高くなるだろうが、価格上昇と断熱性能の比が適切でなければ普及しない。
2017年12月24日日曜日
野菜の個別AI評価
スーパーの売り場で気にすることはあまりないけれども、そのバックグラウンドたる市場流通では、野菜は細かく規格が分かれている。店頭での商品補充で見かける、箱に書いてある記号がそれだ。大きさ重さだけでなく、品位基準(腐敗、病虫害の有無など)がある。また、モノによっては形や味(糖度)などの観点でも基準がある。例えばきゅうりでは曲がり具合に基準がある。果物なら糖度が表示されていることもよくある。
こういったものは、仕入れの値付けには影響するものの、消費者にはあまり知らされていない。ネットスーパーで特売で買ったキャベツの玉が小さくてスカスカで軽くてがっかりした、なんてことがよく起こるのは、このせいだ。
また、上の基準でも、品位基準はかなり官能的なもので、機械的に振り分けられるほどではないし、味の基準は無きに等しいと言えるだろう。生鮮品を完全にネットスーパーに頼れない人達の心配は、正にここにあるのだ。
では、消費者には隠されているそれらの規格がオープンになれば良いかと言えば、それも違う。上の「官能的」というところ、また人によって重視する視点が違うからだ。例えば安売りのバナナを選ぶ際、長さと本数、おし、斑点、割れ、などのどれを優先して選ぶかは、人によって違う。
また、選ぶ理由は「同じ値段の中で最良のものを買う」という意識が働くからだが、もし値段が一つ一つ違えばどうだろう。値段との兼ね合いになるから、悪いものでも安ければ買うのではないだろうか。だがその度合いも、やはり人によって違う。
これこそが「暗黙知」なのであって、満足できるネット購入ができるためには、この暗黙知を持ったAIが存在している必要がある。その上で、そのAIがネットスーパーの倉庫まで(仮想的に)行って、モノを一つ一つ評価し、良いものを選んで買ってくれればよいのだ。
一方で、この方法では売れ残りがますます売れ残ってしまうから、基本的に値付けもフレキシブルにする。AIエージェントは値段も判断材料とするから、悪いものでも安くすれば買ってくれる人は出てくる。その値付け自体も(店側の)AIに任せてリアルタイムに修正すれば、売れ残り問題も解決する。
これは、野菜の相場がリアルタイムできめ細かく変化することも意味している。スーパーの特売のような、心理的に購買意欲をそそるイベントがやり難くなり、結果としては余計なものは買わず、それを理由に店を選ぶこともなくなり、総じて公平化、平均化が為されるようになる。
問題は、そんなAIが作れるのか、また野菜を一つ一つ評価することなんて可能なのかどうか、だ。前者に関しては、ネットスーパーでの買い物の際、到着した野菜を見て人が点数(例えば五段階評価)をする、ということを繰り返すことで学習が可能だと考える。後者については、近場のスーパーなどでは無理だが、自動計測(6面写真と重量)して個包装して自動倉庫と連動するような仕掛けにすれば可能だろう。
膨大な計算量と個別計測によるコスト高の問題はあるが、生鮮品のネット購入市場が飛躍的に拡大するチャンスが出るし、これはtoB(レストランなど)ともシステムを共用できる。大きな店舗を地価の高い駅前などに設置する必要がない、デリバリーをAmazonなどに委ねる、宅配ボックスの活用などと合わせ、条件が揃えば採算が合う可能性は十分にある。
更には入荷(農家から倉庫へ)にも同じシステムを活用できれば、最初から個包装で納入し、売れた額の何割で利益を得る、ということも可能になる。農家の利益率は向上し、中間マージンや鮮度低下につながるタイムラグの問題も軽減される。これは野菜の購買価格の低下も意味しているから、どちらにとっても望ましいことになる。
2017年12月23日土曜日
Amazon Restaurantsドローン
既に米国では始まっているサービスらしい。レストランの料理を配達してくれるというサービスだ。このサービスとドローンの親和性を指摘しておきたい。
宅配ピザは専用の箱に入って届けられる。付け合せのサラダは、背の高いプラスチック容器にラップないしは蓋がされて配達される。これは何れも、配達の際の振動や傾きに対処するための措置で、しょうがないことだ。だがこれでは、直ぐに食べることができない。レストランでは、背の低い皿に食材が盛り上がって盛り付けられている。
もし振動や傾きが十分に少なければ、レストランでいきなりテーブルに並べられるような形状そのままに、配達ができるはずだ。ドローンならそれが可能だ。傾きや加速度をセンサで測定し、許容値以下に抑えるように調節できるからだ。
皿を樹脂製にして軽くし、レストランで食べる際よりも若干深めの皿にする、盛り付けにも工夫する、例えば粘着性のソースを使う、くらいのことはして良いだろうが、原則ラップなし、蓋なし、薄い紙で皿を囲う程度、ソースも粉チーズもかかった状態で、カトラリーも丈夫なものを付けて、直ぐに食べられるような状態で配達する。
また、あらかじめトレイに乗せた状態で配達し、トレイごと降ろすような仕掛けとすれば、まさにそのまま「いただきます」できる。そして片付けも、食べ終わったらドローンを呼んで、トレイごと持って行ってもらう。
こうすると、もはや上げ膳下げ膳の世界である。デリバリーに限らず、厨房からテーブルまでをこれにすることも考えられるし、社員食堂からランチを自席に配達するような芸当もできるだろう。弁当の宅配サービスとして考えても、容器の制約が緩くなれば、いろいろと工夫ができる余地もある。
非常に有望だとは思うのだが、ここでは、技術的な問題を二つ挙げておく。一つは、従来玄関で受け取っていたところをテーブルまで誘導する仕掛けをどう作るか。二つ目は、「風」の問題だ。
まず前者だが、多くの場合、玄関を通ることになる。場合によっては窓からということも考えられるが、人間のデリバリーとはっきり異なるのが、その近くまでは行けるとしても、ピンポイントでテーブルの位置とそこまでのルートを機械が見極める必要がある。
遠い将来はともかく、現実的な問題としては、近くまで来たらドローンが注文者を呼び出して誘導してもらうのが良いだろう。このために、スマホ側にドローンを誘導するソフトを入れておく。近くに来たらそのソフトが起動し、注文者に誘導を促す。具体的にはスマホを手に持って玄関ないしは窓を開け、ドローンを中に入れた後、そのスマホを手に持ってテーブルまで行って、スマホをテーブルに置く。
ドローンは、ソフトが発する光(画面ないしはフラッシュ)を使ってスマホの場所を認識し、画像認識でテーブルに置かれ安定したことを検知してテーブルを認識し、そこに降ろす。
あるいは、ドームカバー(下記)の持ち手を重量バランスの真ん中になるように工夫して、その持ち手だけを持つようにすれば、玄関渡しができるだろう。
二つ目の風の問題は、一つ目のサーブをして蓋を取ってドローンが飛び去る際に風圧が掛かり、食べ物が飛び散ってしまうことだ。これを防ぐには、トレイだけでなく、料理全体を覆う蓋、フランス料理でよく見るようなドームカバーをそのまま置いていく、という方法が考えられる。だがそのままでは大きく邪魔なので、折りたたみ式にするなどの工夫が必要だろう。
また、綺麗な部屋ならよいが、たいていは周りの小物や紙類を吹き飛ばしてしまうだろう。むしろこちらの方が問題かもしれない。屋外ならともかく、狭い室内にドローンが入ってきたときの風は結構なもののはずだ。こちらには根本的な解決法はないので、室内を片付けるしかない。
なお、支払いは大きな問題ではない。そのソフトで電子決済をすればよい。
2017年12月22日金曜日
バグ取りAIミスマープル
システムが上手く動かない、だが原因が分からない。細分化しても切り分けられない。デバッガを掛けると正常に動くのに。エラーの意味が分からない。ログを見ても見当もつかない。こんなときにはベテランSEの登場だ。
長年大規模プログラムを開発してきたような開発会社には、神のようなPMやSEがいるものだ。たちまちとは言わずとも、若手には見当もつかないようなところを調べ、不可能に思えたバグ取りをやってのける。だがその本人とても、自分の知識・勘を明文化したり、弟子に教えたりすることはできない。自分でも体系だって説明できないからだ。
AIの本質は「暗黙知」である、というのが自説なのだが、システムのバグ取りにおける「勘」こそは正に暗黙知と言えるだろう。系統だって論理的に切り分けるような「形式知」とは違って説明不可能だが、結果的には迅速に答えにたどり着くような知恵があれば、それは立派な武器になる。問題はこの暗黙知が人に依存していることで、その人が退職してしまえば、あるいは休みのときには、対処できない。
今後、こういった「ベテランの暗黙知」はAIに溜めること、とする方針が出てくるかもしれない。ある程度経験を積めばそのベテランは不要になり、更に経験を積むことで会社の財産となる。そのAIだけが珍重され、人間は文字通りAIの手足としての価値しかなくなるわけだ。
だが、この知識をAIにどうやって覚えこませるかは難しい問題だ。ベテランがどこに注目するか、どのような操作をするかを把握するためには、四六時中ベテランにカメラを向けて動画を撮るしかないように思える。つまり、学習のタネはその動画になるわけだ。だが動画を直接深層学習機にブチ込めば終わり、というわけには当然いかない。何らかの前処理が必要だ。
バグ取りには、少なくともバグ発生状態のシステムの全状態(ソース、機器構成、時刻、データ等)、仕様書、バグの把握に関する全状態(報告書、画面、操作記録など)、そしてベテランがチェックしていった全情報(ログ、操作、修正・チェックのコード導入、機材接続など)、その結果(どの時点で分かったか、バグの原因は何か、直った結果)などが必要だが、どう処理したら良いものか検討もつかない。
ここで、ベテランSEに登場頂いた上で、どうすればAIにベテランの知恵を移植できるかを考えてみると、一つのアイデアを思いついた。それは、「ミス・マープル」になってもらうことだ。
本当はミスマープルはそれほどでもなかったようだが、要は「安楽椅子探偵」である。自らは動かず、全てを伝聞で訊き、また確認も全て自分でせずに部下に指示するのだ。実際にベテランにこれをしてもらうのはまどろっこしいとは思うが、ここは我慢してもらう。その報告と指示は全て音声を伴うことにしてもらう。こうすることで入出力がはっきりとデジタル化できる。
まあ、そこから先はやっぱり難しいのだけれども、意外と案ずるは何とかで、上手くいくかもしれない。
2017年12月21日木曜日
Peer to Peerのみネットワーク
ブロックチェーンの応用システムの一つに、getherdというサービスがある。安否確認システムの一種なのだが、ネットワークにブロックチェーンを使っているのが特徴だ。中央サーバがないので、いわゆるボトルネックがない。ネットに繋がれば、生きているどこかしらのルートで安否確認ができる。
だが、このシステムの説明を読んでいて、「でも携帯基地局が潰れたらダメじゃん」と思ってしまった。ドコモならドコモのどこかの基地局からインターネットに繋がるルートまでが無事でないと、その先のサーバがどうこう以前の問題として繋がらない。場所によってはその基地局がダメになると繋がらなくなる地域は存在するだろうし、そこは安否確認が最も必要な被災地のはずだ。
今の時代、LPWAが存在するくらいだから、携帯電話に(速度が遅くてもいいから)Peer to Peerネットワークを搭載するくらいのことはできるはずだ。もしかしたら、そこが充実することによって逆に基地局が要らなくなる、くらいの勢いはあるのではないか。
ここで必要になるのは、LPWAのように超低速超長距離ではなく、中速中距離のネットワークだ。例えば10km程度でどうだろう。スピードは、1Mbpsもあれば十分だ。一方で、小型基地局を多数設置する。ここは直接インターネットに接続しており、多くの場合は直接ノードと繋がる程度の距離感で設置する。つまり、基地局同士は独立している。
非常時には、この小型基地局の幾つかは歯抜けで壊れるものと仮定する。その場合は携帯電話同士がPeer to Peerネットワークを形成して、稼動している小型基地局に繋がる。ここら辺は特にモード切替をしなくても自動で行う。
この基地局の数のイメージは、PHSよりは大幅に少なく、既存携帯基地局よりははるかに多い。10kmといったがこれは最長到達距離であり、普段は1km程度で通信することとする。これなら見通しで数局は常に繋がっている勘定になる。PHSのように電柱に設置できるほど小さくできるかは不明だが、ビルの屋上程度であれば全く問題ない。
通信距離を長くした代わりに速度を遅く設定したことで、例えば動画の配信を受けることは困難になる。これに関してはWiFiスポットとキャッシュで対処してもらう。他は特に問題あるまい。重いWebページなどはリモート端末化やリッチクライアント化が有効で、むしろその方が快適になる。
これは、上手くすると地上波デジタルよりも信頼性の高い通信を確保できるかもしれない。それに安く提供できるはずだ。IoTと音声電話、スマホの全てにこれ一つで対応するようなことも可能になるかもしれない。
2017年12月20日水曜日
人類が進化しない理由
以前の投稿「人はなぜ悪に憧れるのか」などで何回か書いたことだが、人間が繁栄している理由のひとつは、間違いなく「ルール」の存在にある。これは動物の世界における弱肉強食の法則を緩和し、弱いものでも死なずに生き延びることに繋がっている。
そしてこれは同時に、弱いものが淘汰されないことも意味している。生物学的に弱い個体が淘汰されずに生き残り、子孫を設けると、その弱い遺伝子がまた増え、その間文明が進歩して、更に弱い個体も生き残る。これを繰り返していくと、本来の他の動物よりもずっと弱い集団が形成される。
この「弱い」は、多分に生物学的に弱いことを意味しているのだが、近年の文明では知恵知識や性格、精神疾患などに対しても当てはまってきている。人類が発明した文明文化のおかげで、また社会のルールによって、そういう人は保護され、死なずに済んでいる。
弱くても死なずに済むことは結構なことだ。自分とて生物学的に強い自覚はない。だが近年の傾向として、自国第一主義、排他的思想が世界中に蔓延している。生物学的に(まあ口先だけだが)威勢のいい政治主導者が好まれ、支持される傾向にあり、他国との協調や交流、助け合いを目指す人達は元気がない。
これらの直接的原因は大きく二つあり、まず世界的に先進国の成長速度が鈍ってきたこと。人口やその年齢構成比の点も含めて、伸び代が減ってきたと言えるだろう。もうひとつは主に西アジアにおける紛争と、その結果として難民が急増したことにある。
文明を引っ張ってきた人達に弱者を助ける余裕がなくなってきたところに、弱者そのものが大量に増えた、という構図が見てとれる。日本の場合は難民はいないが、その代わりに高齢者が急増している。
これから、二つの側面が見てとれる。ひとつは、技術的には可能な「救える弱者」を、その量や質などで差別して事実上救わなくする、つまり弱肉強食が復活している、と言える時代になってきているのではないだろうか、ということ。もうひとつは、それでも弱者を救おうと思えばできるのにしない、むしろ憎む、「意識低い系」の割合が増えてきているのではないか、ということだ。
ここでは多少蔑称気味に書いているが、もちろん彼らを非難する意図はなく、社会全体がそういう風潮になってきている、という考察をしているだけだ。だからダメとかもっとこうあるべきとかを言うつもりはない。社会全体としてみれば、正しい動きだと思う。
先進国が成長してきたのは、新天地を常に開拓してきたからだと言える。だが既に地球の隅々まで人類は制覇してしまい、住みやすい土地にはどこも人が溢れている。地球自体のキャパシティが、もう限界に達していると考えられる。ここから先は、先進国から順に元気がなくなるしか道がなく、その先進国に支えられてきた難民たちにとばっちりが来るのも、また必然と言える。
地球の人口は70億人を超え、これから数十年掛けてピークに達する。その後は緩やかに減少すると言われている。この中で、先進国の人口は既に減り始めている。これは拡大に限界がきたから、オーバーシュートの状態になっているから、自然と減ろうとしているまでのことであって、決して政策がダメだとか意識低いとかいう話ではない。
人口がピークを超えて暫く経つまでの間、意識低い系の割合は増加するが、何十年かのタイムラグを経て減少に向かい、そこで初めて地球は高い文明の状態で安定する、と考える。その間も文明は進歩するだろうが、ここにきて初めて途上国、新興国というものがなくなり、地球全体が同程度の文明社会を築いた上で、改めて人類は大きく進化していくのだろうと思う。
ただ、この時代において、弱い「弱肉強食」あるいは優生学のようなものが社会ルールに組み込まれてしまっている可能性はあると思う。その社会では、特定の遺伝病や極端に凶暴な性格など、一定の資格を満たす者が、強制的な不妊手術を受けたり、子供を作る際に遺伝子治療を強制されるようなことが当たり前になる。そうしないと生物学的、精神的な進歩ができないばかりか、むしろ社会全体として退化してしまうからだ。
もっとも、その時代までにそういった病気を克服できるならば、そうならない可能性も否定できない。
2017年12月19日火曜日
Mateverse応用
IFTTTに対応したAIサービスで、Mateverseというものがある。単純に画像認識をしたり文意認識をしてトリガーを出すだけのものだが、IFTTTに対応したことでエンドユーザープログラミングへの応用に道が開けている。
そのひとつに、Facebookで花の画像が投稿されたら知らせる、というものがある。「花」が曖昧なゆえに、今までは自動化できなかったものだ。これと同様、「XXだったら」の「XX」が画像からくる曖昧なものでもトリガになるのであれば、ソーシャルメディアを使った新たなサービスに道が開けてくる。
例えば監視カメラで検知したら画像をtwitterに投稿するシステムがあったとすると、その投稿を画像解析して文書化してメールする、なども可能になるだろう。すると、「指名手配の人が通ったら」「火山が噴火したら」「川が氾濫したら」「雨が降ったら」「交通事故があったら」「知人が訪問してきたら」「ミケが来たら」「バイクが盗まれそうになったら」「木が切られたら」「立小便されたら」・・・といった自動化が可能になる。従来は動きが検知されたら全部見なければならなかったが、これなら人手による確認はずいぶん楽になるはずだ。
文意認識にしても、色々考えられる。メールやソーシャルメディアへの投稿を監視するのが基本だろう。仕事のオファーが着たら即時リプライしたい、などは代表例だろう。記者がニュースのネタを捜すなども考えられる。炎上しているサイトやメディアへの意見の傾向も、直ぐに見ることができる。
こういったことを、専門家でなくともIFTTT程度の知識で素人ができるようになるのももうすぐだ、ということを実感した次第である。
2017年12月18日月曜日
LPWAボタンと基地局ビジネス
AmazonにはDashボタンという買い物用のボタンがあるが、あれはWiFiで家庭の無線LANにつながっている。もしLPWAを備えていたら、100km電波が飛ぶわけだから、WiFiは不要だし、どこに持ち歩いても困らないはずだし、どこに設置しておいてもよいことになる。これはこのボタンの応用を広げる。
例えば、夜間警備員が巡回の証拠をとるのに昔は鍵を各所に置いていたが、これをこのボタンにする。ボタンを押すことで「今この場所にいる」と分かる。ボタンは水銀電池1個で数年はもつからメンテナンスもほぼ必要ない。ボタンを押すときだけBluetoothを起動して手持ちのスマホのMACアドレス認証をする、なども考えられる。
また、非常通報ボタンもこれに使える。公園や街中の電柱などに貼っておく。従来も非常通報ボタンはあったが、配線が必要であり高機能高額だった。これなら極めて安価であり、メンテナンスもほとんど必要ない。
そうなると、非常ではなく緊急レベルにも使える。ナースコールを無線にしてペンダント型にするだけでも使い勝手はずいぶん楽になるし、ホームセキュリティでも親機なしで直接センターに情報を飛ばすことができる。
他にも、ポスターに「いいね!」ボタンとして設置しておくと広告効果が分かるとか、田舎道に埋め込んでおいて交通量を測るとか、遠隔で様々なことを知ることができるようになるだろう。
LPWAは必ずしもボタンだけに使われるわけではないのだが、まずはボタンを押すとIDを飛ばすだけのハードウェアとベースシステムと基地局を作り、IDを識別してその業者に通報するAPIを作り、月額幾らでリースしてもらえば、様々な業者が様々なアイデアを実現するプラットフォームになる。
この基地局作りは新たなプラットフォームになり得るため、ドコモのような通信業者が既存の携帯電話基地局に併設する形で作ってみてはどうかと思う。通信業者にとっては新たな稼ぎ口になり、またベンチャーが活躍する場を提供することになる。
2017年12月17日日曜日
遠隔検診に向けたスマホの機能
将来的に、スマホで遠隔医療が受けられるという期待は高いと思う。だが今は、症状が安定している慢性病に限られ、定期的検診がなくなるわけではなく、間隔が伸びる程度だ。本格的な遠隔医療を考えるなら、校正された機器を正しく使った検査がされることが必要だが、こうなると通常のスマホではダメだ。
今のように、民生しか考えられていないような作りが続くのなら当面はダメだが、スマホは通信機器として使い、校正された機器を貸し出すようなサービスがあればOKだろう。だが一方で、ある程度精度の高い検診ができるスマホがあれば、初期診断用として使うことも考えられるだろう。
では具体的に何がどう正しいことが必要なのかというと、視診と聴診ができることが必要になる。つまりカメラとマイクの機能性能に対して基準を設け校正することだ。カメラで言うなら色補正、また3Dや測距ができるのならその精度。音に関しては音質、音量の規定だ。
写真を撮る場合は美しさのために画像補正をしたりするが、医療用の場合は正確性が必要だ。具体的にはどのスマホで撮っても同じものは同じ色に見えなければならない。音も同様である。このためにはセンサ(画なら撮像素子、音ならマイク)の特性を規定し、場合によってはソフトウェアで補正する。
カメラに関しては照明の色も加味されてしまうので、カラーチャートを撮影して自動補正する方法が使える。カラーチャートは今でも簡単に手に入るが、専用のものを配布することは比較的安価にできるだろう。
音に関してはホワイトノイズ発生器が適していると思うが、こちらは結構難しく、価格も高くなるものと思われる。校正機関で校正したものをリースし、定期的に校正し直すような仕掛けが必要だろう。そのためユーザ一人ひとりが持つのではなく、例えば薬局に設置しておいて適宜スマホを持ち込んで校正するなどのシステムが必要になる。
だが、逆に言えばこの程度で済むので、現在の市販のスマホでもソフトだけ入れれば適用可能だ。後は医療機関の意欲の問題である。例えば、実際の診察にも(専用の)スマホを使うようにして、電子カルテに直接データを投入できるようにすると、遠隔問診でも同じようなデータが入るため、遠隔かどうかがあまり関係なくなる。そのデータをAI問診システムに投入して診断補助をすることも簡単にできる。
医者が直接指導せずとも、定期的に遠隔診察データを投入してもらっておいて、診察は週1回としてそのときにデータをまとめて見るとか、遠隔診察をAIが自動判断してアラートを出すとか、更なる応用も考えられる。
他にも、赤外線フィルタをカメラにかぶせて撮影すると体温が分かるとか、手に持って片足バランスをさせて秒数を計るとか、カメラに指先を当てて脈拍を測るとか、もちろん持ち歩くことで運動量を推定することもできる。これらは全て、診断の材料になりうるものだ。
この仕掛け、まじめに検討する価値はあると思う。
2017年12月16日土曜日
RPAと業務システム
近年のワークフローからRPAにいたる技術の進歩を見ていると、昔UNIXオタクが自動スクリプトを書いては自慢していた頃を見ているようで、変に懐かしい気分になる。やっていることは本質的には同じで、ルーチンワークの楽をしたいだけなのだが、それが一部のマニアから一般に降りてきただけのような感覚がある。
BPMSとRPA、ワークフロー。どれも最近流行っているものだ。その共通的な思想は、何でもシステム開発に取り込もうとしていたことへの反発にも見える。エンドユーザ(業務担当者)ができる範囲のことは自分でする、ほんの少しの変更でもいちいちベンダに開発依頼をして高いカネを取られることのないようにしたい、あるいはもっと変更に柔軟な体制にしたい。思いは色々あるだろうが、ベンダ丸投げの弊害を認識し始めた現場の想いが出てきているように思う。
これらが発達し、エンドユーザが開発に加われるようになると、従来のソリューションも様変わりしてくる。ここでは、大きくは二つの方向性について考える。
一つ目は、アプリケーションの粒度が変化するということ。ひとつの巨大なソフトがでんと構えるのではなく、基本的な機能をもった処理ソフト群と、それを使って仕事をするエージェント群に分かれ、前者は従来のソフトベンダが、後者はエンドユーザやコンサルが協力して作り上げるものになる。
もうひとつは、アプリケーションが使うデータが、門外不出の隠された内部データではなく、エンドユーザにも見えるデータマート的なものになる、ということだ。また、中間成果物も同様に、エンドユーザに理解可能な形式になるだろう。
BPMSにしてもワークフローにしてもRPAにしても、ノンプログラミングである。まあ2次元の絵によるフローチャート的なものであるからプログラムだと強弁することも可能だろうが、少なくともエンドユーザに分かる形になっている。これはつまり、個々の業務は人でも対応可能であり、入力も出力も人間が理解できるフォーマットである必要がある。そうでなければチェックができないからだ。
これは中間成果物にもフォーマットを与えるということでもある。例えば、DBから吐き出した生データを別のSQLに直接突っ込むのではなく、生データを帳票にして渡し、受け取ったほうがまたデータにして処理を続ける、というようなものだ。コンピュータ資源的には無駄な処理だが、人間の理解を得る上では必要な処理だ。
ここで言う中間成果物は、チェック機構としても働くことができる。つまりこれはワークフローの承認部になり、ここで人手(中間管理職)のチェックを経てから先に進んでいたところ、そのチェックもやはりRPAで書きます、といった類のものだ。もちろん人手でやっても良いし、むしろ機械の不具合時は人手でそのまま代替することが可能である。それもフォーマットが人間可読であればこその技だ。
コンピュータが十分に速く安くなってくれれば、こういった形の方が間違いが目に見えてくれるのでむしろありがたいのではないか。そしてもちろん、ロジックが正しいと確認できれば、「コンパイル」して、中間の帳票作成及びその逆変換処理は事実上パスしてよいのだから、スピードはあまり落ちない。
また、中間成果物を入力とするBIを出しておけば、管理職としてもマクロ視点でのチェックができるし、システムが安定稼動していることも確認できるから安心だ。
一方で、従来のアプリケーションでは肥大化していた自動化処理は、ほとんどこちらに移ることになり、アプリケーションの機能はシンプルになる。人が直接見るメニューも減るだろうから、画面数も少なくなる。これは自動化のエラーをベンダでなくユーザが責任を持つことでもあるので、ユーザの負荷は増えるがシステムは安価且つ堅牢になる。どちらを選ぶかはもちろんユーザ次第だが、ノウハウを自社に溜めたいと思えば自分で作る道を選ぶだろう。
ベンダとしても、理不尽な要求をされることは減るし、顧客によって異なるフローの流儀を覚えなくてよいから横展開も楽になるし、その顧客にしか使えない開発者も不要になるし、むしろこちらを推し進めるのではないか。これによって顧客知識は顧客が正しく持ち、ベンダロックインも減り、双方満足、という世界も見えてくるのではないか。
2017年12月15日金曜日
究極のノートPC
現在のノートPCの殆どは、持ち運びを意識しているためにキーボード部とディスプレイ部のサイズが同じである。だがこれには人間工学的な必然性がない。また、このためにキーボードの快適性を損なっているところもある。もし究極のノートPCを以上二点の解消という面で考えるとどのようになるのだろう。
まずキーボードだが、これにはもう解はあって、東プレのREALFORCEということになるだろう。PFUのHHKという人もいるだろうが、ちょっと万人向けではない。まあどちらにしても、十分なストローク、静電容量無接点式、指位置による打鍵圧の調整、ステップスカルプチャーは欠かせない。
テンキー入りにしてしまうと横幅が広すぎ、横方向の折りたたみがないときつい。このため、テンキーなしのモデルにする。また、ノートPCでよくやられるようなファンクションキー・機能キーのレイアウト変更くらいはやってあげてよいだろう。東プレのテンキーなしモデルの横幅は366mmだが、この工夫で340mmくらいにまでは詰められるものと思われる。これならA4ファイルサイズよりちょっと大きい程度に収まる。
ステップスカルプチャーキーボードがノートPCのそれと違う最大の点は、キーが飛び出しているところだ。このため、画面を浮かせた状態で閉じなければならないが、このためにはヒンジをキーボード面からだいぶ上げ、スペーサを画面周囲に飛び出させるような形状にしなければならない。これは、折りたたんだ時の厚さを大いに犠牲にすることになると共に、画面を開いたときにいびつに感じる。
もうひとつ決定的に違うのは、手のひらの位置だ。ノートPCではパームレストの位置はキートップと同じだが、独立キーボードでは机に直接手のひらを置くため、キートップはだいぶ上になる。ノートPCではタッチパッドの左右がパームレストになっているが、これも独立キーボード派には邪魔だろう。
この二つを同時に解決するにはどうしたらよいか。解決策のひとつのヒントとなるのは、LenovoのYogaタブレットシリーズだ。画面の下に角度可変の支えがあり、自由な位置で見ることができる。これに無線のREALFORCEとマウスを組み合わせる。
過去のYogaタブレットの最大の大きさのものはYoga Tablet 2 Proで13.3インチ、横幅は333mm。これにキーボードとマウスを背面に、磁石か何かで装着できるようにする。これだとキーボードと画面が表側になってしまうので、保護パッド付きのスリーブで覆う。これはすぐにできる解決策だ。
但しこれではノートPCとは言い難いから、キーボードと画面を逆に折りたたむヒンジをつけてやり、スリーブをディスプレイ上部に固定することとして、使用時には背面に回りこむようにする。マウスはデフォルトでキーボードと同程度の厚さのものを収められるようにしておく。つまり、まず折りたたみを開いて平らにし、マウスを取り出してからカバーをひっくり返して背面に廻し、更に折り曲げて使用ポジションにする、というアクションになる。マウスがなくてもタッチパネルがあればよい。
キーボードが東プレで画面が13.3なら、価格にもよるが相応に魅力的だ。個人的はこれならChromebookでも欲しい。いやむしろ、Windowsにしたら高性能高額なマシンになってしまうので敬遠したい。基本的にはモノ書き用マシンだから、適当なエディタさえあればChromeやAndroidのほうが有利だと思う。
2017年12月14日木曜日
IoTNN
エッジコンピューティングにおける機械学習の手法として、IoT機器とそのネットワークそのものをニューラルネットとしてしまう、という方式を考えてみた。
IoTには何かしらのCPUと通信機構が搭載されている。多くの場合は、その能力は有り余っているだろう。だから、これをノードとすることは可能だ。通信路がどうつながっているかは統制できないので、そのトポロジーをそのまま使い、既存の階層型ニューラルネットとは違う網状のネットワークとする。
問題は、何を学習してどう出力するかなのだが、これは用途毎にノードに仮想ノードを立て、各々定義する。つまり、トポロジーはひとつだが、学習用途毎に仮想的に別のニューラルネットが重畳している状態だ。そのノードに刺激が加わると、そのノード上の仮想ノード全てにその情報が飛び、学習が開始される。
用途毎に報酬は異なるので、同じ刺激があっても仮想ニューラルネット同士は少しづつ異なった答えを出す。こうすることで、同じIoTネット上で違う用途での学習と、それに基づく警告などが可能になる。
例えば、温度センサとガスセンサが混在したネットワークにおいて、ガス漏れの広がりについての警告と熱中症警戒の広がりについて別の警告が出せる。この場合、温度センサノードはガスについては単なる学習ノードとしてのみ働き、ガスセンサノードは温度について同様の扱いとなる。
このシステムの特徴は、物理的位置とノード位置が連動していること、ノードが増えたり減ったり故障したりすることだ。前者はともかく、後者は学習結果に影響を与えないのだろうかと心配になるが、数が十分多ければ個々のノードの故障が学習結果に大きな影響を与えることはないのではないか。
これはニューラルネットにおける新しい研究テーマではあるが、もしこれ(少々ノードが壊れても学習結果に大きな影響はない)ことが実証されれば、ニューラルネットは耐故障性能を持つ計算機システムとしても位置付けられる。それがIoT、つまり物理的に分散した状況下に置かれるなら、地理的な故障耐性が得られるということにもなる。
I
oTネットワークは世界中に分散して存在できるから、上手く作れば世界中の知を全てここに乗せ、誰も破壊できない知識を半永久的に残すことができる。
2017年12月13日水曜日
デジタルツインによるシステム移行の自動化
新卒社員にCOBOLを習得させて現場に投入していいのか
タイトルからして興味深い記事だが、当然ながら筆者の結論は「否」だ。その理由は「他に学ぶことが沢山ある」ということらしい。だが2ページ目からは無駄なドキュメントの話になったりして、文章全体から言いたいことがよく分からなかった。
個人的には、もっとシステム移行技術はまじめに研究されるべきだと思うし、解析の自動化やAI化といった技術を発展させ、COBOLのようなベーシックな言語は覚えなくても済むような世の中になってほしいと思う。COBOLよりもC#だGoだというのは五十歩百歩であって、コード自動生成や自動検査などこそが真に未来的なシステムだと思う。
もちろん、そこまでの道はまだ遠く、それだけを志向して勉強するのは時期尚早ではあるのだけれど、思いの外早くその時代は来るかもしれないとも思っている。システム移行ではなく自動再構築をする方向性がその答えだ。
現行システムのエミュレータを作ること自体は、原理的には難しくない。難しいのは同じ処理速度、同じか安いコストを満たすことだが、この条件を緩和すれば可能なはずだ。これをまず、現行システムのデジタルツインとして構築する。
これは、メインフレームのハードウェアをエミュレーションで作り、その上に同じソフトを構築することで作成される。但しI/Oなど性能での条件は緩和し、つまりは遅くてもよいことにする。忠実に再現できることが最優先だ。
デジタルツインがあれば、幾らでも並行してテストや解析が可能になる。そこで、これと全く同じ入力出力を行いアーキテクチャが最新である、というシステムができればよいことになる。だが実際にはもう一つ条件があって、将来的な仕様の修正が可能である必要がある。完全なブラックボックスではダメだ。
このためには、いきなり新しいシステムを作るのではなく、デジタルツインの仕様を人間可読な形式で出力する必要がある。つまり、ブラックボックスたるデジタルツインの仕様を仕様記述言語で吐き出すシステムと、仕様記述言語から新しいアーキテクチャにシステム構築をするシステムがあればよいことになる。
仕様を修正したいときは、仕様記述言語になった段階で修正を加えればよい。これは何度でもできるので、システム修正自体も今後は楽になる。その代わり、コンパイルした後のシステム構成は都度変わる可能性が高く、そのためにも対象アーキテクチャはパブリッククラウドになるだろう。
また、仕様記述言語自体も変化する可能性があるが、一度変換ができてしまえば言語間移行だけで十分であり、旧システムをデジタルツインにして解析する必要はない。これも将来的な移行コストを低減する。
仕様記述言語の候補としては、現在既に稼動しているコード自動生成ツールのソースが挙げられるが、まだまだ不足しているだろう。ここの言語設計が、移行コスト低減に直結する。
完璧な仕様記述言語などというものは、バグのないプログラムと同様にあり得ないように思える。だがそこはそこ。システム分割して部分的に適用するなどができれば、そこだけでもエンジニアの負荷が減るというものだ。
ここで一番難しいのは、デジタルツインから仕様言語への変換である。デジタルツインは仕様だけでなく実装を含んでいるから、ソースを解析できたとしてもそれが仕様なのか実装なのかの見極めが困難だからだ。また、システムの機能性能を見越した暗黙の省略、例えばバッチ処理には時間が掛かるだろうからセマフォでなくタイマで引っ掛けようとか、COBOLの十進法の誤差や型変換時の仕様を利用したプログラミングなどを見抜くのは困難だろう。
ここは、コード解析をするのではなく、入力と結果のみを見て仕様を推測する、という手法をとることが考えられる。このために専用のテストデータを用意し、いちいちリセットしながらシステムを動作させる。例えば住民の税額の計算なら、基礎控除の前後、税率が変わる前後で収入を変化させながらデータを流し込んでやる。簡単なシステムならこれだけで完成するし、そうでない場合でも部分的には仕様が完成する。
内部で複雑な操作を行った後に初めて出力するようなものではこの方法は使えない。そのため、中間情報たる内部状態やデータベースの値を使って確認する。これを使うと厳密には仕様だけでなく実装が混じってしまうが、最初は止むを得ない。
システムの分割はもちろんできるだけ細かい方が良いし、外と通信するならそれも解析のための情報として使える。だが完全に無人解析するのは当分先の話になるだろう。
将来的には、これらには一括してAIが補助に使われるものと思う。税なら法律文書があるからそれを参考にするとか、行政サービスならWebの解説を参考にするとかができるようになれば、人の仕事はずいぶん楽になるだろう。
2017年12月12日火曜日
雇用としての自衛隊
海外では、軍隊は貧しい人の雇用救済としての側面も持っている。国内ではこの側面に関しての認識が弱いため、退役後の就職を考えると躊躇してしまう人も多いように思う。
自衛隊の定年は50代半ばとのこと。このため、退役後の就職は相当に困難と思われる。だが、ここに一定の雇用保証があれば、そこに向けてのキャリア育成などは可能だろう。
それは主に、人材育成と危機管理になるものと思われる。例えば一定の規模以上の企業には有資格コンサルタントを雇う義務を付ける、などだ。
戦争の電子化と共に、自衛隊も必要な人員数は減少の傾向にあるはずだが、これは同じことをするのに対して、という意味だ。であるから、自衛隊に他の任務が増えれば、当然予算も人員も増えることになる。例えば海外での治安維持活動が本来業務となれば、従来の自衛出動とは違う人材が必要になるし、その活動が広まれば量としても必要になる。
そのような形で自衛隊及びその退役官を増やすことに対し、退役後に一定の人数が雇用されることが見込まれるようになれば、自衛隊にとっても良いことだし、民間にしても一定の人材育成・危機管理に対する平準化が成されるため、ブラックになったり非常時に混乱したりするリスクが減り、長期的に見れば好ましい状態になることが見込まれる。
もちろんそのためには、自衛隊内部でも退役後のキャリアに向けた教育指導等が必要になり、退役直前には民間寄りの思想が入ってくることになる。そこには恐らくコスト意識が多く含まれることになり、このこと自体も自衛隊にとっては良い方向性となる。
2017年12月11日月曜日
手先の器用なロボット
ハウステンボスの「変なホテル」、Amazon.comの「Amazon Go」、アメリカの無人レストラン「Eatsa」など、先進的な無人サービスが増えてきている。ただ、全部を無人にするというのはやはり極端で、総コスト低減を目指すのであればあまり良い選択肢ではない。たとえばコンビニなら、商品の補充や盗難防止のためのさまざまな設備のコストまで考えたら、人を一人雇うほうが安い。
そんな中でも、少しづつ自動化、無人化の波は押し寄せてくる。その中でもレストランは格好の実験場になるだろう。大きな興味があるのは注文、レジ周辺、掃除・後片付け、皿洗い、食材準備、調理だ。各々独立に自動化が進んできたが、この中でも特に後者四つは今後伸びそうに思える。
例えば皿洗いには食器洗浄乾燥機が既にあり、業務用のものも存在する。だがまだ場所をとるし高価で、融通も利かない。それが、既存のシンクだけ使って手洗いするロボットができればどうだろうか。あるいは、文句も言わずに早く出てきて巨大なボウルいっぱいに千切りキャベツを作ってくれるロボットはどうか。そしてそれらが全て一台でできるとしたら。
汎用の「手」を使って汎用の作業をする研究というのはあまり進んでいないが、近年の画像解析や機械学習の進歩を見ていると、こういったロボットが出てくる日も近いのではないかと思えてくる。
ASIMOや産総研のロボットたちは、近年のAIブームの前に立ち上がったものばかりだ。これらにAIを適用する研究は行われているようには見えないが、「手」「腕」というハードウェアを固定した上でいろいろなことをAIにやらせる研究というのは、比較的横展開が簡単で、同時並行で一気に技術向上が可能なように思える。
そうなれば、皿洗いと仕込みは別のAIにつなげばよくて、I/Oは同じ「手」と「腕」でよいから、厨房に何台も用途が異なるロボットがひしめく事態は避けられるし、皿洗いの上手さや融通のよしあしでAIにリアルタイムの値付け(時給)を払ってもよい、という理屈になる。
いきなり皿洗いや仕込みといった衛生面や水に対するものは厳しいかもしれないが、動きの学習に関しては同じことだ。専用の機械の方が効率が高くとも、一台で多数の機能に対応するためには人型で固定した方が良い。
最初は多少機械寄りでもよい。例えば食器は全てメラミンにする(割れない)とか、食器の形は決めうちにする(同じサイズ)などだ。それでもロボットができるようになれば、その効果は大きい。ハードウェアは汎用なので量産効果が出るし、ソフトウェアは競争原理が働くので進歩も早いだろう。
そのうち足回りでも同じようなことが起こる。狭い通路で器用にすれ違うことも、そのうちできるようになるはずだ。そうなれば、厨房で、フロアで、ほとんど同じロボットが動き回る姿を見ることができるようになる。最初はちょっと不気味だろうが、見てみたいものだ。
2017年12月10日日曜日
自動運転バイク
先日のモーターショーでは、バイクの自動運転が披露されたらしい。実物は見ていないのだが、その中の技術で、倒れにくいバイクがあった。バッテリーを錘代わりに使って左右に動かすことでバランスを保つのだそうだ。これはよいアイデアだと思った。自分の以前の提案では、車輪にフライホイールを使うというのがあったが、実はあれでは燃費が悪く、車重が重くなる。
さて、そこでは将来的にバイクも自動運転を目指しているのだと聞いた。確かに倒れにくいバイクがあればそれも可能だろうが、バイクではハンドルを握っている必要があるし、重量バランスもとらなければならない。自分が思わぬ方向に曲がろうとすると、最悪バイクから放り出される危険がある。そこをどう考えるのだろう。
バイクが自動運転になったときはそこが心配で、特にバイク免許のない人が乗ると危険ではないかと思うのだが、それがクリアできるのであれば、自動運転車とは違った利便性をもたらしてくれるので非常に興味がある。
例えばスクーターに自動運転機能がついたらどうか。高齢者や子供がこれに乗れるのなら、近所の買い物や、それこそ学校や塾にこれで行けることになる。これは単に早く移動できるだけでなく、路上での声掛け案件(車に誘われる、何とかを見せられる、いきなり殴られる)に巻き込まれる確率を減らす効果がある。
また、家族で出掛けるとき、30分~1時間圏内くらいだったらこれで行くようになるのではないか。通勤でもこのくらいなら軽い。行動半径が広がり、疲れも少なく、渋滞の心配も少ないとなれば、普及は早いように思う。
特に都心の電車の利用は大きく減り、自動車も減り、スクーターだらけになる可能性だってある。自動運転なら危険運転や暴走は少ないだろうし、集団で渋滞回避も可能であろう。また車と違って無駄な空間を占有しない(車なら一人で乗っても5人分の空間を占有する)から、道路の使用効率も高い。
スクータータクシーやスクーターシャトルのようなものも出てくるかもしれない。大きな繁華街や乗換え駅に、バスターミナルのようにスクーターターミナルができ、自宅からそこまではタクシーで、そこから先はシャトルや電車で目的地近くまで行き、再度タクシーで目的地に向かう、というような流れを作ることができる。
こうなると、想像する未来は少し違ってくる。まず自動運転車より自動運転スクーターの方が遥かに多い台数が普及する。その大部分はスクーターシェアであり、近所の駐車場に常駐している。各駅停車のみの駅は廃れ、極端な場合は廃止になる。これにより急行の本数は増え、より早く到着できる。
自動運転車は雨の日やノンストップ(乗り継ぎなし)用途で使われるが、スクーターの方が早く着くケースが増えるのであまり普及しない。街中にはひと頃の中国の大通りのようにスクーターが溢れるが、渋滞やトラブルとは無縁である。自動運転車も含め、自動車、特に自家用車、バス、タクシーの数は大きく減る。繁華街や行楽地の駐車場は駐輪場に置き換わる。また、スクーターなので二階建てや地下化は容易であり、その容量は増大する。
被災時の避難もこれで可能になる。特に、津波発生の際、障害者や高齢者を簡単にいち早く避難させられる。現在車椅子やセニアカーを使っている人の一部はこちらに乗り換え可能となり、より行動範囲が広がる。免許返上の高齢者の一部も、行動範囲を大きく狭めないで済む。
これは結構楽しい世界だ。スクーターの自動運転と免許不要化の研究は、大いに推進してほしいものだと思う。
2017年12月9日土曜日
アンドリューNDR114
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BCNDR114
言わずと知れたアシモフの名作の映画化だ。最初は映画館で見て、かなり感動した覚えがある。だが、先日改めて見て、少し違和感を覚えた。
アンドロイドが人間の外見を備えることや個性を持つことを社会が認めない、偏見を持つ、またアンドロイドを人間と認めることに対して抵抗するといった、この映画の主要なテーマについて、最初に見たときと今とで社会の空気が違ってきているように思うのだ。ちなみに日本では2000年に公開されたそうで、たぶん自分もそのときに見ている。
その違いだが、恐らく日本ではそういった抵抗はそれほど強くならないのではないか、ということだ。既に石黒教授のアンドロイドがあちこちに展示されたりテレビに出たりしているし、aiboも復活した。少なくともアンドロイドを奴隷や使用人ではなく仲間、友人、話し相手として位置付ける傾向は出てきているように思う。
もちろん人間として法的に認めることに対しては大きな抵抗があると思うが、映画の場合はアンドリューが訴えてから数十年、アンドリューが発売されてからは二百年経っている想定だ。この間の技術進歩や意識の変化は、もっと凄まくてもよいはずだ。
今同じ映画を作るなら、最初からロボットは人間そっくりで、表情もそれなりに豊かであり、感情も個性もかなり表現できるはずだ。そして50年で不死のまま「準人間」の法的地位を確立でき、人間との結婚も許されるようになる。一方で人間の機械化も進み、特に頭脳の一部さえも機械化されるため、人間との区別は更に難しくなっていき、人間を前提とした法の方をむしろ変える必要が出てきているのではないか。
それは、オリンピックでドーピングを禁止したり、パラリンピックを別に設定したりすることの延長になる。例えば腕を機械にした人間が暴力を振るうと凶器とみなされるとか、記憶力強化脳を使っている人は受験枠が別になるとかだ。
その延長で考えるべきなのは、機械化、特に脳の一部が置換された人間は人間と言えるのか、というところだ。ここで、手足や臓器なら問題ないだろうとは必ずしも言い切れない。なぜなら、それらが感情や人格の一部を形成している可能性があるからだ。NHKスペシャル「人体」を見た人はそういう疑念を抱くだろうし、自分の以前の投稿でも、記憶が脳以外の場所に存在する可能性に言及している。
法的にはともかく、体が機械に置き換わっていくと、アナログ的に(置き換えれば置き換えるほど)「人間」ではなくなっていくのではないか。脳が大きな位置を占めることは間違いないだろうが、臓器によって「人間度」が割り当てられ、例えば腎臓ひとつ何%として、置き換わった程度に応じて人間度が失われていくようなイメージである。
一方で、機械の場合は人間度は脳に集中しており、それが何で出来ていたとしても、一定のテストをクリアすると人間度が与えられる。つまり脳の一部を取り替えたとしても、人間度は失うわけではなく、代替脳の人間度とその脳の一部の人間度が置き換わることになる。但しそれはあくまで「人間度」であって、「その人であること」つまりアイデンティティは別に計測する必要がある。
この原理でいくなら、全てが人工脳のアンドロイドであっても、本物の人間を超える人間度を持つケースもあり得るわけだ。そんな社会でその個体に権利を与えるのは、当然のことであろう。
但し、その権利はもはや人間に与えられるものではなく、人間度やアイデンティティに対するものになっているはずだ。だから、権利と義務はバラバラに分解され、明確な線引きはなくなっている。
例えば、子供を儲けるよりロボットを一台作る方が生産性が高いのだから、行政が子供に対する支援(控除や補助金)をする意味は薄れているだろう。ロボットと結婚できるのなら、同姓婚や多人数婚を認めない風潮も廃れているだろうが、一方で相続における特権や家族控除は減り、純粋に尊厳だけの問題になっていくはずだ。
これは一方で、定型的な幸せの形が崩れていくことも意味している。良い学校に入って良い就職をして良い人と結婚して子供を儲けて…というのはごく一部の例に成り下がり、数人で何百年と人里離れて暮らしたり、大家族で閉鎖社会を築いたり、趣味一筋になったりと、生き方は多様化していく。
そんな中ではアンドリューが求めることは簡単に得られ、逆に人間の方が色々と悩む世界が描かれることになるだろう。それはそれで面白く、そんな映画も見てみたい。
2017年12月8日金曜日
超高機能シーリングライト
http://tocana.jp/2017/11/post_14946_entry_2.html
将来なくなってしまう日用品のひとつにシーリングライトが挙げられていて、ちょっと驚いた。部屋に明かりは必要だろうし、床に置くのもなんだから、シーリングライトはなくならないだろうと思っていた。
だが、自分の過去の投稿を見返すと、シーリングライトの代わりにプロジェクタを搭載するアイデアが既にあって、ああなるほど、と思い直した。上の記事ではシーリングライトの代わりにLED電球が置き換わる、つまり巨大なシーリングライトではなく小さなものになるだろう、という予測だったのだが、そうすると天井のシーリングライト用のフックは無駄になる。冶具を生かし、それなりに重いものが置き換わるとすれば、多機能化が必要だ。プロジェクタはそれにフィットする。
さらに、それ以前でも「白い部屋の家」「家のOS」などでも紹介したように、カレンダーや時計などを投影で表示する機能は当然備えるだろうし、家族構成にあわせて何個でもテレビを出現させたり、PC画面を表示したりできるようになるはずだ。このように、シーリングライトを超高機能化することで、これだけ交換すればOK、という新ジャンルの家電を作れる可能性がある。「家のOS」では家を主体に考えていたが、シーリングライト単品という視点で考えたほうが製品化は早そうだ。
まず、機器構成を考える。シーリングライトに引っ掛けられる形状、重量もその範囲内、というのはまず最低限の条件である。次に、全方向へのプロジェクタ、マイク、カメラ、超指向性スピーカを内蔵するものとする。機器稼動のためのCPUは必要だが、恐らく大部分の計算能力はWiFiでホームサーバに委ねることになるだろう。つまりホームサーバとのセットになる。
次に機能を考えてみる。
- 壁から物理的なスイッチや操作パネルを取り去ることができる。すなわち、照明のオンオフ、冷暖房制御パネル、インターホンの親機などがなくなる。もちろんなくなった後は音声または投影による仮想パネルで操作する。そもそも操作パネルを壁に映す必要すらなく、手元に音声指示で表示したり、音声で直接指示したりできる。
- 家電だけでなく、あらゆるリモコンをこれで代替できる。リモコン画面の投影ないしは音声で操作できる。
- 防犯に使うドアや窓の開閉センサをなくすことができる。画像解析でできるようになるからだ。当然、不審人物の進入も、ガラスが割られたことも検知できる。
- 窓を開けっぱなし、鍵を掛け忘れ、などの通知に、その部分をハイライトする機能が加わる。直感的に動きやすくなる。
- タブレットの類はなくせるかもしれない。必要に応じて幾らでも大きさ自由なタブレットをテーブルに表示できるからだ。
- 壁に絵画、時計、カレンダーなどを表示することができる。スケジュールや天気予報、ニュース、株価まで、好きなものを同時に表示できる。
- 電話にその場で出ることができる。もちろん電話に出ている人だけに音が聞こえる。発信も当然可能だ。
- 当然テレビも投影で対応する。超指向性スピーカと連動することで、別の人が別のチャネルを同時に見ていても各々の音声は混じらないし、隣で電話を掛けている人がいても邪魔にならない。子供向けに用語規制をしたり、外国人向けに外国語で、また高齢者向けにスピードや音程や音量を調整した音を各々提供できる。補聴器が不要になったり、夜中に火事が起きても確実に通知できる。
- 何人と一緒に寝ていても、特定の人だけに目覚ましの音を聞かせて、あるいは目を照らして起こすことができる。
- 複数の人に同時に別々のBGMを提供できる。
- 音声に加え、ジェスチャーで機器を制御できる。例えば電話に出る際には親指と小指を伸ばした電話ジェスチャーで応答する。
- 近所に迷惑を掛けずに大音量大画面で映画を楽しめる。
- 部屋中をゲーム空間にしてゲームを楽しめる。
- テレビチューナーや録画機器はリビングに置かずに、普段は目にしない奥に設置するようにできる。これはホームサーバに内蔵させるのがシンプルだ。
- 火災報知機が不要になる。火事や煙は画像解析で分かる。ガス中毒だけは画像からは分からないので、ガスセンサが必要だ。都市ガスは軽いのでシーリングライトに設置してよいが、LPガスは重いので床近くに置く必要があり、別オプションになる。
- 留守でも人が部屋にいるような所作、いわゆる居留守モードが使える。明かりがついたり話し声が聞こえたりするような機能だ。
- 子供の危険動作、例えばコンセントにモノを突っ込もうとするとか、マッチや刃物をいじろうとするとかに対して、警告を出すことができる。
- 一度読んだ本は捨てられる。ページをめくるたびにカメラがそれを保存して、自動的にPDFを構築できるからだ。読みたくなったら再度投影させる。そのときには拡大や検索までできるようになっている。
- 映像で仮想人格を表示し、執事に話すように会話で指示を出せる。
- 緊急地震速報や自治体の避難情報などをリアルタイムで通知できる。
- 大画面でTV電話(Skypeなど)ができる。
- 環境表示(海岸や草原の動画を壁いっぱいに映すなど)ができる。寝るときには星空を映したり、花火大会の中継を自宅で見たり、プラネタリウム代わりにもなる。
- もちろん普通の照明としても使えるが、色温度を自由に変えたり、場所によって明るさを変えたりできる。食事をおいしくする、勉強をはかどらせる、夜中にトイレに行くときの最小限の照明、パーティーのミラーボール効果、映画を見るときに手元だけを照らす、などなど。
- 部屋に入れば全てはシーリングライト経由で操作できるから、事実上無線でつながるのはシーリングライトとホームサーバの間だけになる。これはセキュリティの向上に非常に有利に働く。そのうちシーリングライトに有線LANコネクタが付けば、それすら必要なくなるだろう。
2017年12月7日木曜日
インタラクティブ玩具
ボタンを押せば音が鳴る、光るというおもちゃは既に多数商品化されているが、これに高度な画像処理やAIが入ることは容易に想像できる。既にラズパイのような小型コンピュータにもAIが入る時代であり、その可能性は高い。
ではどんな使い方がされるのだろうというと、答えは大きく二つある。ひとつは、ボタンを押すというような明確なものではないことがトリガーになる、ということだ。例えば、変身ポーズを認識する変身ベルトとか、キーワードに反応して光る魔法のコンパクト、赤ちゃんの鳴き声やぐずりに反応してあやすおもちゃなどが考えられる。もっと高度になれば会話ができる人形もあるだろう。
もうひとつは、単一ではない、またランダムでもない反応をするということだ。最初のトリガーに関して、例えば変身ポーズをとるときの微妙な違いを認識して、装着者やその感情などを推測してインプットに使い、異なる出力を出す。
例えば最近のヒーローは途中で進化するが、その進化のきっかけをクリアしないと先に進めない、という設定があるとする。すると、お兄ちゃんはそれをできるが弟はまだできない状態では、お兄ちゃんは進めるが弟はまだ進めない、などとするわけだ。あるいはその日の天気によって色や音を変える、振りが大きいほど元気な反応になる、などはわかりやすい。
AIではないが、合体ロボが合体することで音が出るとか、隠れている顔が自動で出てくるとか、テレビと一緒に動かすと必殺技が出るとか、まだまだおもちゃには大きな進化の可能性がある。
2017年12月6日水曜日
ロボットの人権
古くは鉄腕アトムの時代から、最近では実物のロボットに人権を与えたニュースまで、古くて新しい問題だ。自分なりの考えをまとめてみる。
そもそも「人権」とはルールの一種だが、ルールを作り、守るということをしているのは(今のところ)人類だけだ。他の動物は全て弱肉強食で成り立っている。だから、それが機械かどうかに関わらず、人類がどう考えるかだけで決めればよい。
また、例えば動物保護法に代表される動物に関するルールは、人間が守るためのものだ。動物にルールを諭しても守ってくれない。だから、ロボットへのルールもまた、人間が守るべきルールであり、ロボットに守らせるためのものにはならない。
いや、ロボット三原則はどうなのだ、とか、安全回路だってあるではないか、というのには、多少勘違いがある。ロボットにルールを搭載するのはやはり人間であり、ロボットに守らせているわけではない。ロボットはそう作られたからそう動くだけで、ルールを意識しているわけではない。
ここで、さらにロボットが進化した場合を考えてみると、例えば感情を持って行動をしているように見えるロボット、曖昧な指示をするだけで細かいところは自分で考えるロボット、人間の判断の補助をしてくれるロボットなどが出てきたらどうか。
りんなさんそのままでしゃべるアンドロイドに人権を認めるべきか、と言われれば、まだ多くの人には不足と感じるだろう。Watsonが載っていても同じだ。だがもう少し進化すれば、迷う人が続出するだろう。それでも背後の仕掛けは説明可能であり、まだ生命とは認められない状況が続く。
ここら辺で、生命とは何か、人間とは何か、という哲学的な視点で色々と語る御仁が大量に現れるだろう。だが、視点は違えども論点はひとつ。それらで見られる「意思」「感情」らしきものが「本物かどうか」だろう。いわゆる中国語の部屋問題への社会レベルでの回答が求められるわけだ。
その「本物度」は時代と共に進化していき、いつか感情が論理を超える。つまり、細かい技術的な議論はどうでもよくなり、直感で人間(仲間)と認めたくなる人が多勢になり、その中でロボットに人権を認める流れになるはずだ。
だが多くの人は、その先に何が待ち構えているかを見落としている。その先の進化により、ロボットが自分の意思で自らの種族(ロボット)が守るべきルールを自分で決めだした時にどう対応するか、ということだ。当然ながらロボットは人間に対するルールも決めるはずだから、それが人間のルールとバッティングする可能性も出てくる。
さらには、ロボットの方が種としてあらゆる面で優れていると認めざるを得ない時代が到来する。どんなに知恵を絞っても常にその先を行かれる、それも多少ではなく圧倒的に、となれば、人類はロボットのルールに従って生きるしかない。そうでなければスラムに追いやられるか、絶滅させられるだけだ。
ここで結論。最初の問題に対しては、何時かどこかで認めざるを得ない。だがそれだけではなく、将来的には立場が逆転し、ロボットのルールに従わざるを得ない未来は必ずやって来る。つまり、そもそもこの問題は、そのときが来るまでの過渡期の摂動に過ぎず、もっと後にやってくるとてつもなく深刻な問題に比べれば「どうでもよい」レベルの話である。
2017年12月5日火曜日
インタラクティブ映画
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。
とは言っても、ゲームのようにコントローラーパッドを持たせようというのではない。映画という性格上、複数の人が一緒に見ているから、多数決で筋がどんどん分岐するようなインタラクティブ性を持たせるのはまずい。
ここでヒントになるのは、ウルトラマンのアトラクションだ。見たことのある人には分かると思うが、このアトラクションでは当然ながら怪獣とウルトラマンの戦い、そしてウルトラマンがピンチになり、最後には逆転して勝つ、という筋立てになっている。このピンチのときに、司会のお姉さんが会場の子供たちに声援を促すのだ。
声援が小さいと、ウルトラマンはなかなか回復しない。そこでお姉さんは更に声援を促す。そして声が大きくなるとウルトラマンは復活し、怪獣を倒すのだ。
今まで、映画ではこの仕掛けは使えなかった。その理由はもちろん、映画館には司会のお姉さんはいないし、会場の状況に応じてピンチの時間を調節することができなかったからだ。しかしここをCGで作ることで、また声援の大きさを機械で測定することで、ここを無人で調節することができる。
近年の映画館はデジタルでコンピュータ仕掛け、投影にはプロジェクターを使っており、ここを改造することは技術的に可能である。ピンチの場面になると声援インジケーターが画面の右に現れ、それに応じてCGで声援を促すメッセージや音声を被せ、場合によっては負けてしまうところまで作り込んでおく。ほとんどの場合は逆転までの時間が長引くだけだが、場合によっては負けてしまうと分かっていれば、自然と声援にも力が入るというものだ。
子供向け映画と戦闘シーンは相性が良いし、一定の市場規模もある。またアニメでも特撮でもCGは多用されるので、新たな機材の増加も少ないだろう。これで会場が大いに盛り上がるのなら、作る側にとっても大きなメリットになる。
他にも、ホラー映画において悲鳴が小さいと怖い画面が減るとか、スポーツ映画において歓声が小さいと引きの画面になってしまうとか、ストーリーにほとんど影響を与えないちょっとした使い方というのは色々考えられると思う。
更にこの先に行くと、例えば赤のペンライトと青のペンライトを使ってその多さと動きで筋書きが変わるとか、そのペンライトを劇場前で売るとかも考えられるが、これは少々商売っ気が強すぎて好きにはなれない。当面は声援のみで止めておいてほしい。
2017年12月4日月曜日
多足椅子
BigDogの技術を応用した車椅子、というよりは多足椅子というものが作れないかと考えている。
通常の椅子のように座り、その下に足が複数ある。通常は普通の椅子として使えるが、移動が必要になったらその足で移動する。段差はもちろん階段も普通に使用できる。そのために足はある程度の長さが求められる。
相当にバランスを崩しても持ち直すようにする、シートベルトをオプションで付けられる、これで(制度的にも)電車やバスにサポートなしで乗れるようにする、などの措置を取る。狭い階段の上にある隠れ家レストラン、裏道の隠れ家バーでも問題なく入れる。
これは障害者だけでなく健常者も使用する。家の中、会社の中、工場の中でも基本はこれで動ける。傘も椅子に設置し、弱い雨ならこれで出かけられる。強い雨の場合は、風防やポンチョなど別の工夫が必要になるが、機器自体は防水とする。
備え付けの椅子がなくてもよくなるので、レストランや事務所などから椅子が消える。代わりに充電コンセントが増えるかもしれない。
問題があるとすれば、それなりに騒音が発生する。BigDogの場合はエンジンだったから相当のものだったが、電動にしても歩行よりは大きい音が出るだろう。一台ならともかく、町中にそれが溢れると、けっこううるさいかもしれない。
2017年12月3日日曜日
自治体ポイント改良案
またまた使えない制度が一つ出てきたようだ。
https://www.point-navi.soumu.go.jp/point-navi/
詳細はまずリンク先で確認してほしいのだが、企業のポイントを「自治体ポイント」に交換してその自治体ポイントで地元の特産品を通販で買ったり自治体の提供するサービスの支払いに充てたりする制度だ。基本的にコンピュータシステムであるから、何億円という開発費に日々の運用費を掛けているものと思われる。だがこれが普及する可能性は極めて低い。なぜダメなのか、どうすれば良いのかを考えてみる。
まず、「自治体ポイント」というのは、自治体毎に設定され、相互に変換はできない。例えば東京なら「豊島区ポイント」だけしか設定されていない。豊島区ポイントの場合、地元商店街で使えるが、これまた全商店で使えるわけではなく、限られた商店だけ、またその商店も大手チェーン店は参加していない。他には区役所で使えるようだが、何に使えるかはHPに明記されていない。
これらの事実は、「気軽にポイント移行できない」ということを示している。特定の店に行く予定があり、その店がポイントに対応していることを確認の上、ポイントをオンラインでまず変換しておいてから店に行く、という手順になる。
次に、マイナンバーカードが必要で、更に事前設定が必要である。これに使うのはPCであり、カードリーダーも必要になる。PCでの設定は大変で、素人には敷居が高すぎる。確定申告でさんざん言われてきたことは、今回にも当てはまる。
次に、ポイントの移行には手数料が必要で、移行の単位はポイントによって異なるが、例えばドコモのdポイントの場合は5000ポイント単位で、手数料が250ポイント掛かる。移行可能なポイントプログラムもまだまだ少ない。
だがこれはしょうがない部分もある。そもそも企業にとって、ポイントは囲い込みの手段である。他に提供することそのものがポイントの目的に反している。また、使われず死蔵されるポイントは「儲け」である。それを何の義理でタダで譲らなくてはならないのか。断って当然だし、参加しても手数料で損失を押さえたいと思うのもまた当然だ。
それにもし5250ポイントもあれば、わざわざ自治体ポイントに変換せずともd何とかのサービスで使いたいと思うだろう。その方がメニューは豊富だし、手数料を考えれば割安だ。設計の理念のレベルで間違っている。
ではどう直すのか。元々の発想は地場産業の活性化であろうから、地元商店街且つ全国チェーン店でないところを対象とすること自体は曲げられないだろう。ポイントプログラムを地場活性化のために少しはちょうだい、というのも、額が小さければある程度賛同されるものと思われる。マイナンバーカードを無理やり使おうというのも魂胆ではあろうが、無駄金になってしまえば本末転倒である。
まず第一に、手数料ポイントはゼロでないといけない。そのためには、ポイントプログラムにとって負担が少ない範囲である必要がある。これには、千ポイント以下の「はした金」を対象とするのがよい。また、1ポイント単位できっちり回収する。
次に、対応する自治体ポイントは全自治体対応の共通ポイントにする。地元商店街に落ちる前提なら、ポイントがローカル自治体ポイントである必然性はないからだ。最初に選ぶか最後に選ぶかの違いであり、当初の目的は達成できる。
次に、マイナンバーカードとポイントプログラムの結合は、全国の市役所や出張所で受け付けるものとする。持っているマイナンバーカードとポイントプログラムのカードを持っていって、本人確認だけすれば後は職員が手続きしてくれるようにする。
但し結合するところだけで、実際のポイントの移行は自分の意志で行う必要がある。PCならカードリーダーが必要だが、スマホならソフトだけでできる。指定アプリを入れるだけだ。もちろんログインはマイナンバーカードのタッチと暗証番号だ。
これは基本的に千ポイント未満の「はした金」だ。全ポイントプログラムからボタン一つで千円未満のポイントをかき集めて自治体ポイントの変換を行う。千ポイント以上の交換手続きは原則としてできないようにする。かき集めて千ポイント以上になる場合、特定の優先度で先に千円までポイントを集め、残りは再度ボタンを押すようにする。
これなら、支払い時に「自治体ポイント対応」のステッカーを見て、スマホでソフトを立ち上げ、ボタン一つでポイントをかき集め、その場で支払いに充てることができる。こうすると、殆どの場合は足りないため、追加で現金が常に必要である点は変わらない。一方で、使う機会は格段に増えることになるし、参加するポイントプログラムの数も増えるだろう。
ほんのちょっとのユーザーインターフェースの違いが、システムの使い勝手から利用頻度までを大きく損なってしまう。神は細部に宿ると言うが、もっと細部の設計をしっかりしてほしいものだ。
2017年12月2日土曜日
実世界API
プログラミングで言うAPIとは、ソフトウェア同士のインターフェースを規定するものだ。これを、人間が動くようにしたらどうか。
例えばピザの配達API、荷物を運ぶAPIなどがわかり易い。もちろんAPIだからと言って従来と同じにはならない。例えばコール毎に条件を与えて可否と見積もりが返ってくるとか、いったん引き受けたができなくなって返金するとか、品質が悪いのでやり直しや支払い拒否が起こる、などがあり得る。
通常の仕事の依頼と何が違うのかといえば、「標準化ができている」というところだろう。例えば毎回契約書を交わすようなことはないし、トラブルの対処については標準的な手法のうちいくつかが適用される、と明確になっている。つまり上手くいかなかったときの次の手順が簡単にプログラミングできるのだ。
人間と法律と契約と忖度から成り立っていた従来の仕事は、ここら辺が曖昧で、トラブルになったりブラックになったりする。だがはじめから明朗会計であれば、そこで無用な時間とコストを消費することはない。
支払いの供託や第三者による仕事の品質チェックなども組み込んでやれば、悪意ある業者の混入や恣意(ブラック)も排除できるはずだ。これはどちらにとっても有益だ。
物品販売は通販、宅配業者もネット申し込みができるから、信頼できる会社については移行は簡単だ。クラウドソーシングやジョブマッチングになると途端に複雑になる。最初に目指すのはこの中間、API化しやすい準定型業務になるものと思われる。例を挙げてみると、次のようになる。
- アクセサリーや衣服などの委託製作。あらかじめサンプルや仕様が公開されていて、サイズ毎に定価が示されているようなケース。
- 近距離・緊急の荷物輸送。近くの登録者にスマホでアラートが出て、応じるかどうかを即時に判断する。
- 定型のイラスト製作。大きさ、カラー、数を指定。これも受託者がサンプルを示しておき、定価を提示する。
- 家事代行、ベビーシッター、買い物代行、介護など。
- 翻訳、データ入力。
できない仕事を引き受けないように、受付状況によって納期を自動延長する仕掛けとか、混雑状況によって単価を変動させる仕掛けとかもあって良い。これがリーズナブルであれば、需給は調整され、適切な市場が形成されるだろう。
広い意味ではジョブマッチングであるから、既存のジョブマッチングサイトの拡張機能として作ってみてはどうかと考える。
2017年12月1日金曜日
レシートによる嗜好解析サービス
スマホに専用のソフトをインストールして、最初に会員登録する。次に、デパートでもコンビニでも、とにかく何かレシートをもらうことをしたら、そのレシートを直ちに写真に撮る。これをしばらく繰り返しておくと、ソフトに自分の嗜好が推定される。
これは家計管理ソフトの一機能としておいても良い。だが家計管理とは別に目的があって、一つは健康管理、もう一つは買い物管理だ。前者は簡単で、レシートから買った食品の情報を得て、個人や家族の平均的なカロリーバランス、栄養素バランスを算出する。ここで主に書くのは後者だ。
レシートから何を買ったのかを推定できれば、どの商品をどういう間隔で買ってきたのかが分かる。となれば、どの程度消費してきたのか、次には何時頃買うことになるのかが推定できるはずだ。そうなれば、それを見越して買い物計画を立て、ネットスーパーや通販のカートに自動で入れ、後はボタンを押すだけの状態にして提案することは可能だ。
更に、スーパーの安売り情報と突き合わせたり、嗜好から推測するお勧め商品などの提案もできるはずだ。それを並べて、やはりボタン一つで追加できるようにしておけば、売るほうも買うほうも嬉しいだろう。
これによってオンライン購入の比率が上がれば、更にその精度は上がり、外出の必要も減っていく。必要なものが常にある状態になり、余暇も生まれることになる。問題となるのはその精度と「おせっかい度」だろう。あまりにピッタリだとかえって気持ち悪いとも思われかねないし、外しすぎていればそもそも見切られて使われない。
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