2018年7月27日金曜日
AIは「受付」になる
何でも知っている神様のようなAIを開発しようと思えば、膨大なシステムになってしまうだろう。しかも、それが正しいかどうかを検証するには、同じく神様のように何でも知っている人をあてがわなくてはならない。こんなことは不可能だ。
ではどうするかというと、「専門化と統合」になるはずだ。医者の診療科と同様、専門と細分化が進めば進むほど構築は容易になる。だが問題は統合の方で、的確な専門AIにたどり着けなければ、そもそも正しい答えは得られない。
例えば、専門分野が違えば答えが全く異なってしまうような文言があったとする。統合AIは、どちらのAIに訊くべきか(どちらのAIからの答えが質問者の答えに適しているか)を判断しなければならない。
質問に対する答えを用意するAIと、質問者が求めている答えが何なのかを推測するAIは、学習目標が異なる。こちらを鍛えるのは、それ自体が一つの学問となるほど難しいのではないか。
これがGoogleアシスタントのようなものであれば、A/Bテストで鍛えられるのではないか、というのは早計だ。恐らくはそんなに単純なものではない。単体の文言ではなく、その個人の個性や前後の文脈からも内容は変わってくるはずだからだ。
統合AIは専門家AIの存在自体を認識していなければならないし、ユーザのフィードバックを自分自身と専門家AIの両方に還元しなければならない。しかし、自分が間違ったのか専門家が間違ったのかを判断できないと、専門家が誤ったフィードバックを受けてしまう。
この問題をストレートに解決する方法は当面はないのだろう。ではどうするかと言うと、対話をするわけだ。要は、「それはXXとXXの分野のどちらで訊いていますか?」と素直に訊けばよい。この方法はエレガントではないので、そのうち新しい手法が開発されるのだろうと思う。
その方法とは、単独ではなく長期に渡る文脈が問題を絞り込む、ということを実現するもので、単純にインプットを増やすのではなく、時系列での絞り込み(ないしはリセット)をする仕掛けだ。AIが単純に幾つも並んでいるのか、「忘れるAI」なのかは分からないが、その辺の技術はまだ未研究の分野であり、ブルーオーシャンでもある。研究者の奮闘に期待する。
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