2018年7月12日木曜日
開いた医療チェーン
例えば医療改革において、最初の診察から結果、支払い、薬の受け取り、その後の経過、医療控除申請までを一貫して行いたいと思ったときにネックとなるのが、各々の業者が全て異なっているために接続ができないということだ。実証実験では無理やり繋げるのだが、それが終わってしまえば広まらない。こういう問題は至るところにある。
例えば薬局がオンラインになっていない、競合する別のお薬手帳ベンダに登録している、電子カルテのメーカーが違う、などの細かい問題が、それを阻んでいるわけだ。この解決方法は二つしかない。一つは全部を統合すること、もう一つは異なるシステムでも繋がる仕掛けを作ることだ。前者が広まらないのであれば、後者を考えるしかない。
これは、必ずしも新たな情報システムを作ることを意味しない。例えば薬局に無料で端末を入れましょう、という方向性では成功しない。なぜなら薬局のやり方を少しでも変えることが必須のシステムならば、必ず拒否するところが出てくるからだ。つまり、従来のシステムを「全く」変えてはならない。
これには多分に患者本人の努力が必要になる。もちろん連動しているところはそれに任せるにしても、例えば、医者や薬局から貰った書類を全て写真に撮る、必要に応じ紐付ける、といった作業だ。しかしそれさえできれば、バックグラウンドでOCRやAIを駆使して連携させることはできる。
例えば、日付と時間(写真を撮った日付時間とOCRで読み取れた日付時間)を見て、また処方を見て、これは風邪の治療であり医療控除の対象である、ということは分かる。これが健康診断であれば医療点数にはそう出るから自動で弾く。領収書と点数を見れば、複数の点数項目のうち、医療控除に必要なものだけを抽出できる。
あるいは保険料の通知書などと付き合わせて撮り忘れを指摘することもできるし、薬局のレシートからサプリメントを外して加算することだって可能だ。
医者に掛かっていることをGPS等から感知して音声を自動で録音し、文字起こしすることもできるだろう。そこから医者が言わなかった注意事項を検索して重要度別にリスト化することだってできるはずだ。
医者と薬局が連動していなくても、例えば処方箋番号で突き合わせることもできるはずだから、レセプトチェックにも応用できることになる。直接繋がっていなくても完璧でなくても良いから、こういったオフラインを間に挟んでも機能するシステムを構築すれば良いのだと思う。
これは医療に限らずあらゆることに応用可能だ。何でも写真に撮って、録音して、そこから分かることを最大限に活用する。そういう視点でのサービスは、まだまだ伸びしろがあるはずだ。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿