2018年10月27日土曜日
OpenStackの行く末
Walmartが、Microsoft Azureと契約を結んだそうだ。OpenStackを捨てたわけではないが、OpenStackの最近の勢いのなさを見ると心配になってくる。
CloudStack、OpenStackは、各々プライベートクラウドの標準的な構築モデルとして進化してきたわけだが、プライベートクラウドそのものが今や下火である。独自クラウドでもこれらを使ってもさして変わらず、AWSやAzureを使うのが主流になりつつあるイメージがある。二極分化と言っても良いかもしれない。
その差の大きな原因は、クラウドそのものではなく、その上で動くサービスの多様化だ。AWSの上で動くサービスの数はもはや把握しきれないほどで、便利なものもいっぱいある。しかしOpenStackではそれらを全て自力で構成しなくてはいけない。もちろん自分で調整できる強みはあるものの、量で圧倒されている。それが悪貨であっても、駆逐されるには十分だ。
今後、プライベートクラウドは駆逐されていくのだろうかと考えるに、さすがに軍事や政府系ではこれはなかろう。自治体はだいぶ駆逐されるかもしれない。そんな中でプライベートクラウドが生き残るには、AWSのような高機能化が必要になるはずだ。
OpenStackは進化が速く複雑なことで有名だが、そこで技術者をとられていては前に進めない。プライベートクラウドが生き残る道は、「アプライアンス化」しかないと思う。すなわち、ハードウェアとしては単純なものを用い、接合も適当にすれば繋がること、信頼できないハードを除外したり性能のボトルネック検知するのを自動化する、などだ。AWSに存在する同等機能をデフォルトで実装するのもアリだろう。
要するに、ローレベルのことを一切気にせずに構築でき、上位のアプリケーション開発に集中できるようにすべきなのだ。このためには移植不可、全部新規開発、というような大胆な設定をしても構わないから、ローレベルでの細かい改造は一切不可、自動調節にすべきである。
このためには当然、ある程度の冗長化が必要であり、従来の細かいチューニングに頼るよりは計算機資源が多めに必要となる。これを呑んだ上で、上位を簡略化する。アプリケーションの方が高いわけだから、ここが簡単にできることを示せば十分に生き残るチャンスはあるし、このクラウド自体をパブリッククラウドにすることでシームレスなローミングやBCMが可能になる。
OpenStackはオプションが多すぎるのだ。もっと上位レベルのシンプルさを目指してカプセル化を進めれば、まだ生き残るチャンスはある。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿