2018年10月1日月曜日

液滴化技術応用


https://japanese.engadget.com/2018/09/04/sound-based-liquid-printing/

久々に面白い研究を見つけた。超音波を使って、高粘度の液体でも液滴化して射出できる装置が開発されたそうだ。

高粘度というと直ぐに思いつくのが蜂蜜だが、これが例えば0.1mmの滴になるわけだ。これは想像力をくすぐられる。大きくは、以下のような応用が可能なはずだ。
  1. 微細な液滴にしてそれをコーティングすることで、粉状に作ることができることに関する応用
  2. 正確な計量ができることに関する応用
  3. 薄く散布ないしは噴霧することができることに関する応用
  4. 液溜まりを破砕することができることに関する応用
  5. 新しい物性の発見とその応用
1.として考えられることは、取り扱いが便利になることだ。例えば容器での保存やパイプでの輸送が簡単になる。サラサラの顆粒のような蜂蜜ができれば、塩のように食卓に並べて置くことができる。砂糖の代わりにこれを使う人は増えてくるのではないか。

2.で直ぐに思いつくのは創薬だ。従来扱いづらかった薬剤が新たに使えるようになれば、応用も広がるだろう。単に素材だけでなく、従来はカプセルだったものを粉剤にしたり錠剤にしたりすることもできる。粉にするだけで、コーティングを工夫することにより、胃で溶けず腸で溶けるようにするなどが可能になる。

3.で言えば、溶剤を減らした医薬や塗料、コーティングなどが考えられる。これも応用が広そうだ。単純に運搬の負荷が減るし、薄く均一に塗れるなら有効成分の量も節約できる。

また、食品でも応用が可能だろう。薄いバイオポリマーで食品を覆うことで、食感を損なわずに肉汁の流出を減らしたり、保存性を高めたり、極端な味や匂いを抑えた栄養補助食品を作ったりできる。サプリメントの作り方も、薬と同様バリエーションが増えるはずだ。

4.で言えば、代表的なのはバイオフィルムだ。超音波歯ブラシの原理はこれだったのかもしれない。となると、風呂や洗面所などのバイオフィルムは、超音波で剥がすことが可能なのではないか。単に超音波を当てるのではなく、引き剥がすような当て方になるから、その効率も高いだろう。

5.はまだ何とも言えないが、例えば新しい粘着剤や滑り止めができたり、光触媒のような抗菌消臭ができたり、光学特性の優れたコーティング剤ができたりする可能性がある。空中に噴霧することで抗菌できる、といったことも考えられるだろう。

研究はまだ初期のものだそうだから、長い目で期待しようと思う。

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