2019年4月15日月曜日
全部掛かりつけ医で
今の医療系情報サービスや、国・自治体の医療情報連携サービスなどには、大きな視点の欠如があると思う。それは、ユーザ体験は今までも変わらない前提だ、というところだ。つまり、複数の医者に掛かることは変わらない。その時間も交通費も、患者持ちだ。
日本人は総合病院が好きだが、その大きな理由は、複数の診療科に一度に掛かることができる点だろう。だが、そもそも何で病院内部で連携して、診察は一度に纏めてもらえないのだろうか。つまり、最初に診察室に入ったら、まあ検査と処置は別の部屋でするにしても、ずっと同じ医師と話したいのだが。
今、できない理由は簡単で、その医師は全ての診療科の専門家ではない、ということだ。だが、複数の医者に掛かれば当然齟齬は起きるはずで、薬の重複などは都度話し合いで決められる。そのための生身の人間(医師)同士の話はまた必要であり、更にはその病院ではないところで出た薬も考慮しなければならない。
しかし、そんなことは、インターフェースとしての総合医が前に出て、背後で連携してくれれば良い話ではないだろうか。その方が医者にとっても患者にとっても好ましいことではないか。それにハイテクが必要なら、投入すればよい。そしてその総合医=町医者、掛かりつけの医者であるべきではないだろうか。
総合医の手元にはタブレットがあり、専門医ネットワークに繋がっている。総合医はタブレットを見ながら問診し、触診視診など簡単なものはその場で行い、その情報をアップする。そして専門医から必要な追加検査のアドバイスを得る。その場でできる検査、できない検査については、あらかじめそこに登録されている。検査が終わればそれをまたアップし、専門医の意見を総合して、総合医が診断を下す。それに基づき、また必要な処置のアドバイスを得、処置を行う。もちろん、専門医に診せるべきとなればその旨伝え、紹介状も電子で送ればよい。
この、背後にいる専門医は、AIでも良いし、遠隔地の24時間センターなどでもよい。このサービスを受けることで、総合医は従来よりも広い目で患者を診ることができる。総合病院の一区画でこのサービスを提供すれば、従来よりも楽に儲けることができるだろう。患者の待ち時間も短縮できる。
この、背後に入る専門医ネットワークだが、極端な話、LINEでも良いわけだ。まあもう少しセキュリティやデータのやり取り、証跡管理、課金などは欲しいからもう少し高級にするにしても、Slackに毛の生えたようなものでも良いかもしれない。責任分解点は最終的に総合医だが、緊急時や遠隔医療ではその総合医自体もサービスとして立てて、末端の患者との対峙はインターンや看護師だけでもよい、ということも将来的に考えられるだろう。
電子カルテがどうとかお薬手帳がこうとかビッグデータがそうとか、そういうカネのたんまり掛かるものは別に考えるとして、こっちの方を先に何とかして欲しいと思うのだが。
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