2019年4月27日土曜日

COMPが全て


過去何回か、完全栄養食「COMP」を紹介してきた。先行者としてSoylentはあったものの国内発売はされず輸入も困難な中、同じコンセプトにより国内で開発されたものだ。その後、BASE FOOD社がパスタとパンを作り、この業界を活性化してきている。

ただ、COMPにしてもBASE PASTAにしても、全く同様の困難とその解決アプローチがされていて、それは「同じものを食べ続けると飽きる」という問題だ。これを避けるために、「他のものと混ぜる、合わせて食べる」ということが提案されているのだが、その「別のもの」の栄養が偏っているがために、結局バランスが崩れてしまう、カロリー計算が困難になる、という新たな問題が出てしまう。

そこに来て、このニュースを見た。

https://www.moguravr.com/ar-ramen-yakisoba/

そうめんを食べながら、ARでラーメンや焼きそばを食べているかのような映像を見せることで、ラーメンや焼きそばの味になる、という実験だ。

これを見て思ったのだが、COMPを大量に積んでおいて、形だけ3Dプリンタで加工し、ARで色々な味を楽しめるなら、閉鎖空間(南極基地、宇宙船)の食糧問題はほぼ解決するのではないだろうか。

通常の肉野菜は保存期間が短く、冷凍など電力消費もあるが、COMPは粉なので、キチンと密閉して窒素置換すれば、数十年単位で保管できるはずだ。栄養のバランスも取れているから、栄養学的にはそれだけ食べていても問題ない。もしそうでないなら、混ぜる前の粉を各々保管しておいて、直前に混ぜる比率を変えれば良い。

以前の提案では、これに味の要素を加えないとダメだ、と思い込んでいた。しかし、このARの要素を加えられるなら、味の要素は不要、ないしは最低限で良いことになる。食感の問題がARで解決するかはまだ不明だが、もしそうならなくても、その程度を大いに低減できる可能性は高いだろう。

本物の食料を冷凍で持って行くことは否定しないにしても、大げさな植物工場や動物飼育をしない、ないしは最低限にして、大部分をCOMPにすることは可能かもしれない。あるいは非常食と位置付け、それを快適に食べる手段としても良いかもしれない。

この「非常食を快適に」という考えは、大規模自然災害にも適用可能だ。非常食の賞味期限を大幅に伸ばせれば、また保管が簡単になれば、栄養バランスが完璧になれば、多少の不便を補う効果はあると思う。

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