2017年6月23日金曜日

テロ防止法


巷では共謀罪が話題だが、近視眼的な「根の悪い」方法だなあ、と思う。目先のテロを防ぐためには有用かもしれないが、長期的視点では最も悪手だ。

Wikipediaの「テロ」の項目にもあるけれども、一番根の良い方法は、弱者の支援だ。これを突き詰めると「世界皆中流化」である。クリントン氏の言っている方法でもまだ生ぬるい。世界の金持ち上位8人から全財産を奪って世界中に均等にばら撒く、くらいのことは必要だ。

この8人の資産合計4.26兆ドルを70億人にばら撒くと、609ドルになる。日本人からすると物凄く少ないように思うかもしれないが、人類の半数はこれで1年間生きられるのだ。そんなことをしてくれる人にテロを仕掛けたい、なんて思うはずがない。

そしてこれは、日々言われている「格差是正」そのものだ。この20年で日本も格差が広がったが、それは即ちテロの危険性が増したことを意味している。武器が小さくなっただの情報機器が発達しただのというのは本質的な話ではない。

テロは心の不満が起こす。だから、格差を放っておいてテロ防止法で締め付ける、なんてことは二重にテロを増長する。これは負のスパイラルであり、普通の人までをテロリストに育ててしまう。これを続けると、そのうち人類はテロリストと警察しか居なくなってしまうのではないか、とすら思う。

金持ち8人の話は極端にしても、難民救済や格差是正に関して、先進国家の取組みは余りにも貧弱だ。よほど大胆な策を取らなければ、お互いに殺しあうだけの世界に成り下がってしまうのではないか。

そこで考える、共謀罪に代わるテロ防止法の中身は、こうなる。
  • ソーシャルメディア等から(今回成立した)共謀罪相当の疑いが見つかった場合、ただ監視するのではなく、その旨を伝えた上で精神的・金銭的なケアを行う。
    • その主張が、社会的に見て理不尽なものであったとしても、精神的ケアは行う。
    • 恣意を避けるため、その疑いの程度はAIで自動判定する。
    • 生活保護条件に相当せずとも、相応の貧困が認められれば補助を行う。
  • 生活保護を、自治体ではなく国の責務として行う。つまり自治体はあくまで事務作業を代行するだけで、予算は国が持つ。
  • 生活保護レベル認定や処理は全て、申請に基づくのではなく国・自治体が自主的に行う。漏れがあった場合、不公平な判定などは国・自治体の責任を問う。
  • 生活保護下にあっても尚精神的安定がない場合は、同様のケアを行う。
  • 上記全てに関し、義務教育相当教育・職業訓練も含めた教育プログラムを用意する。無論、希望者は全員受けられるよう、充分な規模で提供する。
  • 制度上どうしようもない精神的不健康を是正するために、ケア要員は国内全ての法に関する改正の提案権限を持つ。
  • ケアが上手く行っているかどうかは常に評価し、ケア方法を持続的に改善する。
  • 以上を推進するケア要員育成・運用、生活保護他金銭的支援の原資として、「テロ防止税」を導入する。これは、極端な金持ち(例えば収入が二千万円以上)に限って徴収し、必要に応じて毎年調整する。法人も対象に含まれる。
尚、これは日本だけに適用できる。安易にヨーロッパやアメリカには拡大できない。というのは、事実上日本は殆ど難民を受け入れていないが、ヨーロッパやアメリカは大規模に受け入れているからだ。難民に同等の権利を認めてしまうと、必要な経費と人員は、日本とは桁違いに必要になってしまう。また、それを機に更に難民が増えてしまう懸念もある。難民を含めて同様のことを考えるとなると、やはり直ぐに名案は思いつかない。

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