2017年11月30日木曜日

AIセーフティ設計


いつの間にか、自動車はコンピュータだらけになっている。このため、車のクラックという新たな脅威が発生している。鍵を開けられたなんてことはまだカワイイほうで、高速度運転中に急ハンドルするようなことも、理論的には可能だ。

自動車の場合、制御を奪われることは命の危険があるから、話は深刻である。物理的、理論的に様々な対策がされているにしても、対策には対策がある。今のコンピュータでもいたちごっこが続いているから、ある時点で相手が強くなる可能性は否定できない。

自動車はまだ物理的な存在であるから、物理的にエンジンと車軸を切り離すとか、「ケーブルを切る」ようなセーフティを付けることは可能だ。工業機械によくあるような「緊急停止ボタン」を付けることも考えられるだろう。それはそれとして、肝心のコンピュータセキュリティをどう向上させればよいのか。

自動車の場合、一般のサーバシステムと違ってリアルタイム且つ分散制御であり、アーキテクチャはかなり異なる。また自動車の型や規模によっても違う。技術者の市場規模は小さい。そんな中で、自動車ベンダが脅威と感じるのは、高度な知識を擁するクラッカーだろうか。それともAIだろうか。

自動車を1台買ってきて、これにAIを繋いで、「自動車の制御を乗っ取れたら勝ち」というゲームを強化学習させる、そんな時代がくるかも知れない。例えば、ハンドルを右に10°、左に10°を2秒サイクルで3回切れれば勝ち、とか、走行状態でエンジンを停止できたら勝ち、などだ。

これは自動車にとってはかなりの脅威ではないか。なぜなら、自動車はほとんどの時間オフラインだし、アップデートが頻繁にあるわけでもない。OSのように毎月パッチが配布されるようなものでもない。一方で攻撃は何時起こるかわからないからだ。

そこで考えるのが、自動車側にもAIを搭載し、「乗っ取られたら負け」「防御できたら勝ち」のゲームを強化学習させる、つまりAI同士の対決をさせるシステムだ。この場合、攻撃側AIももちろん自動車側が準備する。

この場合、「ハンドルを2秒サイクルで2回左右に10°切られたら三度目を阻止する」というものであってはならない。結果としてそうなってしまえばもちろん負けだが、阻止自体は不正な通信であることを見抜く必要がある。そうでなければ、独立したセンサを付けて非常スイッチにつなげれば実現できてしまう。

AlphaGoZeroと違って対等の勝負ではないから、学習環境には少し工夫が必要である。恐らくは勝敗判定マシンが別途必要であろうし、受け側(自動車側)の学習の効率は極めて悪いだろう。全自動ではできず、人手が必要になるかもしれない。

それでもこれを進めていくことでお互いが切磋琢磨し、脆弱性はどんどん塞がれていく。そして外部コンピュータ側の負荷ないしは通信量が一定以上になったら、つまり攻撃側のコストが見合わなくなったら、セーフティは一応完璧になったと言えるだろう。

なお、この手法は、自動車に限らずあらゆるコンピュータシステムに適用可能と思われる。小さい制御システムから始め、他のインフラにも適用される時がくるだろう。

2017年11月29日水曜日

究極カスタマイズDM


今でもDMは多数届くが、殆どは速攻でゴミ箱行きだ。それでも良いのが今のDMのモデルなのだろうが、資源の無駄であることこの上ないし、個人的には心象も悪い。もっと効率を上げられないだろうかと考えた場合、そのひとつの答えは「その相手に極端にカスタマイズすること」である。

百貨店の会員などであれば、顧客が買った品物のデータを基に好みを分析することは許されるだろう。あるいは顧客の家族構成や体のサイズなども推定できる。その上で、例えば年に4回、その季節の「その人(家族)へのお勧め」を強く打ち出したDMを作るのだ。
このためには、例えば同じ系列店の遠くの店の情報などは飛ばしてよいし、明らかに好みでないモノへの情報も減らしてよい。その代わり、顧客に似た顔・体系のモデルに着せたイメージを添えたり、サイズがあらかじめ記入されていてクリックひとつで購入できる専用Webページへ誘導するなど、究極のカスタマイズをする。

他にも、子供の年齢に合わせたイベント(七五三や受験など)、誕生日、結婚記念日などに合わせて、着る物だけでなくパーティのプランや贈り物の提案をしたり、買ったものから趣味の推定をして関連商品を提案する、収入レベルを推定して保険や年金を提案する、年代や家族構成からくる共通の悩みや相談事に答える(塾の選択や実家の整理など)なども考えられるだろう。

紙でのDMでは困難だというなら、メールでも良い。また、カスタマイズのための苦労の大部分は、AIによる分析に頼るようにすれば、労力はさほど掛からないはずだ。
ポイントは、気持ち悪くない程度に私生活への介入をすることだ。やり過ぎると嫌われるし、やらなさ過ぎると今までと変わらない。この加減も人によって違うだろうから、やはりカスタマイズの範疇になる。

2017年11月28日火曜日

遠隔地からの音声指示


音声認識が高度化してくると、電話で遠隔地から指示をしたくなってくる。例えば外出中に知人が訪ねてきた時に鍵を開けたいとする。その知人から電話が掛かってきて、「今玄関にいるんだが」と言ってきた。そこで「今開けるよ」と言って、続けて「Alexa、今知人が来ているから家の玄関のドアを開けてくれ」と言うと「わかりました。家の玄関のドアを開けます」と言って開けてくれる。

ここには、従来のスマートホームとは少し違った経路と手順が存在する。まず、その知人が本当に玄関の前にいて、しかも空き巣に脅されていないことが確認できなければならない。従来のスマートホームであれば、専用のソフトを立ち上げて、カメラを確認して、知人が確かに玄関前にいて、他の誰もいないことを確認してから、画面をタップして鍵を開けるところだ。このためには電話ではなくネット接続が必要で、しかも知人からの電話への応対中には操作できない。

つまり、自分の電話をAlexaが盗み聞きしている必要があり、またAlexaは自宅の鍵を開錠する権限、玄関前カメラで知人や他人を認識できる能力が必要だ、ということになる。当然本人認識も必要だ。

つまり、「今玄関にいるのは知人ではありませんが大丈夫ですか?」「知人だけでなくバールと目出し棒の男もいますが大丈夫ですか?」と言うこともあり得る。これは人が応対するなら当然の回答だ。

あるいは、スマホから顔を離すと自動的に玄関カメラの映像が転送表示され、開錠ボタンと通報ボタンが並んで表示される、ということも考えられる。これも、既存の電話ソフトに割り込んでの使い方をする必要がある。

「できる」と「使いやすい」「使い物になる」の差はここにある。当面は電話をいったん切って操作するしかないところ、電話で済ませるためにはまだ必要な機能がたくさんある。また、電話の際はセキュリティも気になるところだ。上の例で言うと、話者と機器の管理者が同一人物であることの確認をどうするか、などが挙げられる。

Alexaに単純にレシピを積むだけでは、これは解消しないと思われる。Echo前提のレシピと、遠隔からスマホで呼び出すときのレシピは分け、後者はある程度電話会社やソフトベンダが組んで根元を固める必要があるのではないかと思う。

2017年11月27日月曜日

画像レタッチの音声UI


画像の修正にはそれなりの技量が必要であり、ソフトがあっても使いこなすのはなかなか難しい。だが、最近の機能の向上は興味深い。邪魔なものを画面から消す作業などは、どうやっているのだろうかと思う。

これが発達していくと、「この人物のシミとほくろを消したい」という曖昧な指示にも対応できていくのではないかと思う。更には静止画から立体を起こしたり、それに骨格を推定させて動かしたり、というところまでも可能になるかもしれない。

例えば「人物を左側に立たせて、背景は海で、砂浜が広がってて、あ、人物は女性ね。太陽の位置はもっと左。人物のポーズはね・・・」としゃべり続けることでポスターや動画CMが出来上がっていく、といったことはもう見えてきているのではないか。

これには二つの側面があって、曖昧な指示を(想像を含めて)受け止めることができる、また細かい技術的な知識やソフトの操作が不要になる。これによって、感性さえあれば素人でも高品質な作品を作ることができるのだ。

最後の微修正は人間が直接作業するとしても、ここまでがあっという間に作れるのなら、広告は相当に低コストにできることになる。これは広告業界を震撼させるほどのインパクトがあるはずだ。それは、裾野が広がるところから始まり、業界全体でのコストが減っていくことで、需要は変わらずとも市場規模(額)が減少していくことで進む。

これは画像だけでなく、例えば書類のレイアウトひとつとっても似たようなことが考えられる。例えば学園祭のポスターが今のプロが作った広告並みになるとか、地域商店街の広告が動画付きになるとか、社内のちょっとした資料でもプロ並みのレイアウトになり、イメージ図や事例が豊富になり、直感的にわかるようになる。

プロ自身が使うことでその質が大幅に向上することは考えにくいので、裾野とプロとの差が縮まることにもなっている。これはちょうど、音楽がたどったのと同じような道に思える。LinkedInで探してきた時給1500円のフリーランスに頼んでもそれなりのものができるのなら、電通に頼むのも躊躇しようかというものだ。中小からどんどん離れていき、大手も値引き要求が強くなっていく。

それでもタレントやコピーライターが直ぐにいなくなるとは思わないが、今までのようにはいかなくなるのではないか。市場には高品質なデザインが溢れるがその価値は下がる、そんな世の中になる可能性は高い。

2017年11月26日日曜日

職業の絶対量は減っていく


AIが職を奪う云々の話の中で、「職業」そのものが総量として減っていく、ということは真剣に考えられているのだろうか、と思う。

言うまでもなく、AIやロボットが進化した際の究極の姿は、映画「ウォーリー」の如く、全てをロボットに任せて人間は何もしない、というものだ。で、ロボットやAIを誰が動かすのか、故障したときはどうするのか、そのコストを誰が負担しているのかと考えると、故障は自分自身で直し、AIが自分で考え、コスト(エネルギー)も自らが生み出す。つまり、本当に人間は何もしなくても生きていける。
その途中過程は無論存在する。
  1. さまざまな職業がAIとロボットで置き換わり、その従事者は失業するけれども、その職業自体は低コストで運用可能になるため、あちこちで色々なものが安くなる。これは物質だけでなくサービスも含まれる。
  2. 人間の能力はAIやロボットに大きく劣るため、生活保護層から抜け出るための難易度は上昇する。これにより生活保護比率は上昇する。
  3. 生活保護層の比率が拡大するということは、すなわち生産層(非生活保護層)の人数や比率は減る、つまり職業を持っている人の数そのものは減っていく、ということになる。
  4. 食料生産、エネルギー生産にロボットが大きく進出してくることで、生産層の生活保護層への負担が減る。また、ロボットによるロボットの生産や修理が本格化することで、ロボット自体のコストも安くなる。
  5. ある組織体(例えば会社とその家族)の中だけで計算すれば、その構成員が生活するためのコストがマイナスになる、という現象が起こる。つまり、ロボットが使うエネルギー生産、ロボットの修理が全て組織体内で収支し、更に食料や衣料の生産が十分にでき、また余った生産物やエネルギーを売ることで、その組織体内ではできない残りのこと(例えば医療)ができるようになる。
  6. ロボットの進化によって、組織体内ではできないことはどんどん減っていき、また組織体の必要規模も小さくなっていく。まずは国レベルで収支が取れれば、世界のいかなる国からも独立して過ごすことができるようになる。この時点で国際的な紛争は大きく減少する。資源争いの観点ではなくなり、宗教的対立も豊富な経済が心情を緩和する。
  7. 最終的に、組織体のサイズは家族レベルにまで落ちる。この時代には生活保護者は徐々に組織体に取り込まれていき、生活保護の概念自体がなくなる。
ここに至るまでの年数は、今の発達具合から考えるに、数十年程度ではないかと思う。自分の子供か孫くらいの間に、こんな世界がくる可能性はズバリ「ある」と言える。

この過程では、変化の狭間に取り残される人が出る。最先端の技術者や経営者として生き残る覚悟がない大部分の人は、どこかで失業して生活保護層に落ちることになる。だが、それとても必ずしも好ましくない未来ではない。

生活保護層が少ないうちはまだ肩身が狭いだろうが、例えばその層が30%になったら、50%になったらと考えると、そちらの方が有権者の数が多いわけだから、政策がそちら寄りになると考えるのは自然だ。生産層の所得税を95%にするとか相続税を100%にするとかといった事態が発生することは十分に考えられることだ。

更に時代が進むと、本当に生産層はゼロになってしまうかもしれない。ここで「ウォーリー」の世界が完結することになる。

2017年11月25日土曜日

AIと点数化


https://deeplooks.com/

これは、顔写真を投稿して、5点満点で点数を付けてくれる、というサイトだ。何の尺度なのかもはっきりしないけれど、恐らくは美人度なのだろう。バックグラウンドの仕掛けが分からないながらも、ある程度は信頼できる点数を付けてくれているようだ。

AIの機能の一つとして、こういった曖昧なものに一定の基準での数値化ができることが挙げられる。もちろん精度をどう評価するかというのはあるけれども、こういったことが瞬時に判定できることは、世の中の仕掛けとして新たな側面が出てくるように思う。例えばどんな数値化がされるのか考えてみると、以下のようなものが挙げられる。
  1. 職務質問をすべき人物の基準を与える。警官がライブカメラを胸や帽子に装着しておき、AIの指示によって職務質問をする。これは恣意の防止にもなるし、精度の向上にも繋がる。
  2. 論述試験に対する点数を与える。採用面接における合否を与える。
  3. 市場にてセリの値段を決める。鮮度の目利きをする。
  4. レストランの格付けを行う。個々の料理の味を評価する。
  5. 乱暴な運転と機敏な運転の評価をする。自動車に付けておいて、事故の際、量刑の参考にする。
  6. 個人の性格や能力を点数化して、適職マッチングを行う。
  7. 受験で、定期的に能力の向上を推定して、勉強の参考にする。
  8. 生活習慣病の危険を数値で指摘し、防止策も同じく数値で(量的にも)アドバイスする。
点数化は何らかの序列化をも生み出す。今まで曖昧だった序列が明確になると、迷惑もあるだろうが効率も生まれる。例えばスクールカーストなんてものもあったが、あれは単なる心理的な力関係。人間性や学力で恣意のない点数が付けば、カースト(乗り越えられない壁)ではなく単なる序列になる。何時でも追いつき追い越すことが可能であり、そうされないための一定の努力は真っ当なものだ。

また、AIのアドバイスが適切なバックグラウンドを持っていることは、一種の信頼になる。このため、例えば医者のアドバイスは聞かなくてもAIのアドバイスは聞くかもしれないし、メンターの言葉にしても、一般論ではなく自分にカスタマイズされ、効果が確率的に予想できるとなれば従うだろう。

そうなれば、不摂生の類は大きく減ることになるのではないか。「これをしなければ糖尿病になる、失明する、心筋梗塞で倒れる」という言葉にリアリティが生まれるからだ。それも、しなければその分確率が高くなり、危機が迫ってくる実感も出る。

不摂生と言っても健康上のそれだけではない。仕事をサボる、人間関係の構築や修復をサボる、キャリアプラン育成をサボる。あらゆる面で、「人間として好ましい状態」へのサボり具合が数値化されるわけだ。もちろん能力は加味されているので、純粋に個人のサボりたがり具合までが数値化される。これは結構恐ろしい世界だ。

だが、総じて言えば、これは全体的には人間性の向上に寄与し、極端な犯罪や歪んだ性格を抑制し、世の中を良くする方向に動くはずだ。また、能力だけでなく努力が正当に評価されれば、本人にとっても納得のいく評価や給与体系ができ、精神的にも不満の少ない社会が形成されていくのではないか。

2017年11月24日金曜日

ボストンダイナミクス


ボストンダイナミクス社がソフトバンクに買収されたのは、もうだいぶ前のことだ。この会社はロボットを研究していたのだが、最も有名なのはBig Dogという名の四足ロボットだ。蹴っ飛ばされてもけなげに起き上がる姿で有名だ。他にもすべる、くずれやすいといった足元の不安定なところを歩き回る技術が秀逸だった。

これは米国の軍での売り込みを狙っていたところ失敗し、ソフトバンクに買収された。ではソフトバンクでどんなことを狙っているのかといえば、当然ながら軍ではなくtoBやtoCの市場だろう。それも警備や応対とは違う、「悪路を含めての移動」が念頭にあるわけだ。

軍事目的においてもその用途は「荷物持ち」だったわけで、民間になっても主用途はやはり荷物持ちだと思う。高齢者が買い物を頼んだり、尾道のような坂の多い町で郵便を配達したりする姿は容易に想像できるが、もっとぶっ飛んだ応用を考えてほしいものだと思う。

個人的なことを言えば、それで真っ先に思いついたのが山岳救助犬だ。セントバーナードに酒樽をくくりつけて、というのと同じで、ヘリコプターやボットでは近づけない、風の強い雪山での遭難などに当たる。しかも、束で行ってその場でテントを設営したり、担架を担いで連れて帰ってくれたりということすら期待できる。もちろん登山時の荷物持ちとしても有用だろう。

大きさ的な話をすれば、アンデスのロバ、つまり乗り物としてもちょうどよい(これ以上小さいと不安)。もちろんアスファルトの平地では非効率だが、地方や新興国ではちょうど良い場面も多いのではないか。

また、足元が悪いという意味で言えば、都心にもそういうところはある。歩道など狭いところでは、例えば電柱を避けてとか、側溝を踏まないようにとか、3段だが段差があるとか、車輪型の乗り物では不都合があるところも多くなる。

例えば宅配なら、2、3台これを積んで近所まで行き、エレベーターのない低層アパートや坂の上の数軒の荷物を纏めて積んでいく、あるいは高齢者や障害者が、玄関からアスファルトの平地にある車に乗るまでの繋ぎに使う、ということはありうることだ。また、もし宅配業者が大量導入してくれれば、大規模災害時に何とか物流を途切れさせないためにも使えるだろう。

宅配はボストンダイナミクス自身も意識していると思うが、日本の国土の狭さ、玄関までのアプローチの多様さについてまで意識しているだろうか。この技術がブレイクできれば、人が多く道が狭い、高低差があるなどの国や地域ではずいぶん重宝するだろう。

2017年11月23日木曜日

わけが分からないまま病気が治る


従来の医療が演繹的だとするなら、帰納的な病気の治し方というのがあるかもしれない。それは、多数のセンサに囲まれた健康な人と病気の人のさまざまなギャップを埋める、という施策である。

病原菌やウィルスが直接的な原因だとしても、免疫の強さで発症したりしなかったりという違いがある。そこにはもちろん遺伝的な違いがあるだろうが、同じ年齢性別体格であってもなる人とならない人がいる。その人たちの違いは従来は分からなかったが、もし大量のセンサと24時間監視があったとして、更にAI的な分析が加われば、違いが分かるかもしれない。

例えば食事の間隔や量、栄養素の違い、騒音や職場ストレス、運動などだ。こういったことは、単独でイベント的にされる研究を除けば、常時計測されることはなかった。そしてそれにしても、計測されるのはせいぜい1種類か2種類だったろう。可能な測定を全部且つ常時することで、複合的な原因が分かるかもしれない。例えばストレスと特定の栄養素の不足と運動の疲労が重なったときに発症の確率が三倍になる、などだ。

その因果関係さえ分かれば逆を行えば良い訳だから、AIからそのように指示をすればよい。条件のうち二つは変えられないが残り一つはコントロールできる、というのであれば、それを改善すればよいわけだ。そういった組み合わせが病気毎に多数あり、日々AIの指示にしたがって生活をコントロールしていけば、健康で長生きできるようになる。

それは世知辛いかもしれないが、基本的にはストレスがなく規則的でバランスの良い生活をすればよい、ということになるのではないか。従来の問題は、どの程度それを外すとどの程度病気になりやすくなるかが分からなかったことだ。だから上手くすれば、糖尿病や高血圧などの成人慢性病の多くが防げるかもしれない。

従来は漫然と「タバコはいけませんよ」「野菜を取りましょう」だったのが、「昨日あなたはタバコを何本吸ったので、今日は2本にしましょう」「野菜をあと20g多くとりましょう」といった指示に変われば、更にそれを守らないと「昨日も指示に従わず5本吸ったので、今日と明日は禁煙しましょう」「一昨日と昨日に野菜不足が続いているので、野菜ジュースを1週間毎日コップ1杯飲んでください」といった具体的指示に変われば、人は守るようになっていくのではないか。

2017年11月22日水曜日

日米ベンチャージョイント


日本人は改善が得意だが画期的な発想の転換が苦手、米国人は全く新しいことを始めるのは得意だが詰めが甘い。この仮説が正しいならば、そこで両者が協力すれば、画期的なものが出来上がるのではないか。こう考えるのは自然なことだ。

日本側は米国ほど起業に熱心ではないから、改善のみを請け負って実働+特許収入の定量を頂く、というような仕掛けを日本側で準備し、有望なベンチャーを見つけては売り込む必要がある。

これは従来で言うエンジェルとはまた少し違った動き方だ。結びつく側の日本人は技術オンリーで経営や仕掛けには興味がない人が多いから、その面の補佐も含めてくっつけてやる必要がある。当然、言語やコミュニケーションツールの問題、文化の違いの教育など、橋渡し自体にもそれなりの負荷が掛かる。単純にカネを出してやればよいというものではない。

ベンチャーの探し方も重要だ。アイデアは秀逸だが詰めが甘いプロジェクトを選ぶ必要があるし、相手側に相応の人材が不足していることの見極めも必要になる。成功報酬にするにしても、何らかの見返りは欲しいところだろう。

マッチングと経営の監視をするのがここの役割だ。税理士や会計士、また経営バランスを見る監視役のような人が必要だ。MBAのようなレベルではちょっと心許ないが、実務の経験はそう感嘆には積めないから、ここはAIの出番かもしれない。

で、ここまで考えて思ったのだが、この新エンジェル自体は何も米国ベンチャーとのジョイントだけで役に立つものではなく、国内でも十分に需要があるのではないか、ということ。恐らく今の日本で一番不足しているのは、ベンチャーでの経営感覚ではないだろうか。ここさえ強化できれば、日本はもっと活性化するのではないかと思う。

2017年11月21日火曜日

ご飯付きおせち


この時期になると、クリスマスケーキやおせちの予約が活発になる。おせちで不満なことがひとつあって、値段が高すぎるのはその一つなのだが、ご飯が付いてこないことだ。

おせちには、もちろん縁起物を食べるという一面はあるのだが、外出や訪問、行事が多い時期に食事の準備片付けを簡素化する意味もある。味付けが濃く保存が効くものばかりになっているのはそのためだ。

今の時代、冷凍冷蔵があるから、保存性を必要以上に重視する必要はなくなっているし、電子レンジも一家に一台ある時代だ。制限食の弁当も普通に冷凍で宅配される。それに比べると、未だにおせちにおかずしか入っていないのはどうかと思う。

ただのご飯にするとそれはもはや弁当になってしまうが、ここに「縁起物かつご飯もの(ないしはもち)」というジャンルを作った上で、おせちの重箱の量を倍にしてこれを詰めておく、というのが欲しい。寿司の類にしてしまうとおかずも兼ねてしまうから、薄味をつけて少し具を散らす程度のものを何種類か用意するのがよいかと思う。CAS冷凍にすれば餅もいけるかもしれない。

重箱の半分はこれにするとして、例えば三段のところを六段にして、それに合う保冷段ボールと保冷剤をセットにして宅配する。これで三日はほとんど炊事をせずに過ごせるようになる。

2017年11月20日月曜日

外商ロボットカー


外商と言えば、百貨店でセレブ客を扱う、雲の上の存在だった。だが百貨店の最近の凋落は著しい。これもネット発達の弊害かもしれないが、まだ逆転する方法はある。それは、外商の対象拡大だ。

外商が行っている訪問販売のターゲットを下に広げる。つまり、年間数百万円使う客ではなく、数十万円の客にまで広げるのだ。但し、そうすると効率は悪くなるし人も必要だ。そこで使うのが、AIとロボットカーである。

今の時代、外商トップ社員がやっていたような顧客情報の把握は、AIでできる。もちろん精度は劣るだろうが、それは客も承知だ。二流社員でもAIの補助があれば1.5流の対応はできるだろう。

見せ筋としての新作、売れ筋としての標準品とセール品を組み合わせ、顧客のサイズや好みに合わせた衣類、靴、装飾品などを選び、車に載せて訪問する。家の前まで車で乗りつけ、車内で接客するのだ。DMやメールで募集し、予約制にする。必ずしも買わなくてよいことは、初期には強調しておいて良い。

訪問頻度や品揃えは、実績を基にAIが毎回最適化する。また、売れない日が続けばDMを止める。店舗ででも売れればまた再開する。技術の発達に合わせ、更に下位層にまで広げつつ、最終的には接客をロボットに任せるというのも考えられるだろう。ここまで来れば、一気に規模を拡大することができる。恐らく、田舎ではこの敷居は下げた方が効果的だ。

ここまで来ると、年に一回買うか買わないかという客でも、セレブ気分を味わうために使ってみようかという気になる。すると意外にも購買率は上がり、消費は拡大するかもしれない。

2017年11月19日日曜日

ジェスチャー入力


Googleが「Teachable Machine」というサイトを公開しているのだが、これが秀逸だ。3つの違った状態を表す画像を、PCカメラから入力することができるようになっている。アウトプットは3つの違った画像を表示するだけとか音声を流すとかだけなのだが、入力が自分のPCのカメラ(TV電話で使うあれだ)なので、手近なものを映して学習させることができる。例えば、怒った顔はウサギ、普通の顔はカメ、笑った顔は狸の画像を表示することができる。

単に「画像による学習」と言われると何に使っていいものかと悩むが、この、言わば「自撮りカメラ」と機械へのインプットを結びつける技術は、簡単な応用がある。ジェスチャー入力だ。

もちろん遊びでも使えるが、実用も侮れない。整理するとこのようになる。
  1. 手近にキーボードがなく、(遠くの)カメラから映されている状態で、そのカメラ経由で情報を伝える。
    1. イベントの雑踏の中で、怪我人が出たことを通報する。
    2. お化け屋敷でお化け役が次のアクションのタイミングを図る。
    3. 飛行機の誘導員のボディサインを飛行機自身が認識する。
    4. 信号が故障したときの誘導員や警官のジェスチャーを自動車が認識して信号と同等に扱えば、自動運転車でも速やかに動ける。
  2. 目の前に顧客が居て、キーボードをカチャカチャさせるのは失礼な状態で入力する。
    1. 保険や銀行窓口などでの相談で使用する。
    2. 病院での問診に使用する。
  3. キーボードの苦手な人がジェスチャーで入力する。
    1. 重役による稟議をうなづきと首振りで識別する。
    2. 高齢者、幼児、障害者などの意思確認に使う。どちらかといえばエビデンスで使うのかもしれない。
  4. 銀行強盗に「動くな」と脅されているときに「目で合図する」。
  5. 手話ができる人が手話で入力する。
Googleが既にフリーソフトにして配ったり、無償のデモサイトを作っているような技術である。それほど高価なものにはならないはずだ。安価なソフトでも、広い応用が期待できる。

2017年11月18日土曜日

海洋高度差発電


パナマ運河とスエズ運河のように、大きな大陸で隔たれた海洋同士の間には、必ず海面の高低差がある。この高低差を利用して、単純に水力発電をしようというのが、題記の発電法だ。

経路は膨大な長さになるが、完成してしまえば水門の開け閉めと日々のメンテナンス程度の問題で済むため、コストはあまり掛からない。一般的な潮汐力発電と異なり、水流の速度をかなり自由に調節できるため、海水への暴露に伴う付着物の問題は相対的に小さくなる。高低差がなくなったり逆転することがないため、構造もシンプルになる。

生物学的汚染は若干考えられるが、元々運河が通っているところでもあり、それほど大きな問題には思えない。また、相手が大洋であるため、発電程度の水量で高低差が埋まることは考えられない。取水口排水口付近の環境が若干変わる程度で、大きな問題にはならないと考える。

最初のトンネル掘りが問題になりそうにも思えるが、今の運河と同等、取水口と排水口の高低差があればよく、多少であれば途中経路が海抜より上になっても問題ない。パイプを敷設した後に中を海水で満たせばよい(出口を塞いで最高部から海水を注入するだけ)。また、同じ原理により、何本でも併設できる。パイプは、石油パイプラインの技術がある程度流用できるはずだ。

日本でも、日本海と太平洋の高低差を利用した発電ができないかと考えてみたが、高低差が少なく途中の山越えが困難に思える。その苦労の分を超えて経済的効果があるかは厳しそうだ。

2017年11月17日金曜日

AIのIQ


https://srad.jp/story/17/10/11/0517233/

まさに「AIのIQ」とも言うべき指標が登場したようだ。この指標の原理や正しさ加減については評価しないが、原理的には人間が受けるIQテストと同じで、テストを受ければよいのだから、たとえ今は不完全でも、そのうち信頼性のあるテストが出現するはずだ。

従来はここが曖昧だった。つまり、どの程度賢くなれば仕事に使えるのか、あるいは他社比較で自社のAIが優れていることをどう示すか、などだ。この手の指標がまず出てきたことを歓迎すると共に、次のステップで何が起こるのかを考える楽しみが出てきた。

過去にPCやスパコンで起こったように、ランキングが出て、そのテストに特化した(卑怯な)学習方法が出ては批判され、そのうちIQよりもその効率(学習効率やコスト効率など)が重要視され、…ということは必ず起こるだろう。

一方で、AIに特殊な事情として、初期はともかく、そのテスト問題は人間がやるようなものとはかなり異なってくるはずだ。問題数が異常に多かったり、極端に複雑だったり、正解のない問題まで出てきてもおかしくない。恐らくテストの作成にもAIが使われ、人間の頭脳の限界を超えた空中戦(テストを作成する側と解く側のバトル)が繰り広げられるのではないか。

その究極の問題は、地球シミュレーションではないかと思うわけだ。従来の、気象に関するものだけではなくて、その上には人類や動植物まで居て、テロや戦争や経済封鎖まで起こるように作ってある。そうしておいて、地球にとって望ましい状態を多要素で定義しておき、それに近づくために何をすれば良いのかを当てる(探す)、というゲームだ。

もちろん禁止パラメータもあるだろうが、単純に戦争や殺人を全面禁止してしまうと直ぐに行き詰まる可能性もある。このため、ある程度そのルールは緩くなる(今でも国家元首は戦争を始める判断が可能だ)ことも十分に考えられる。

もしそうだとしても、AIが人類抹殺なんて極端なことに走るとは思えないのだが、例えばバカな大統領を選んだ国民が個別に行方不明になるとか、環境破壊が著しい企業の幹部の首が飛ぶとか、極端なサイコパスが世間から隔離されるとかいった、要所を押さえることで持続性を目指すようなことは、もしかしたら起きるのかもしれない。

あるいは、今の人道的な政策を否定する可能性もある。例えば弱者救済や医療の進歩で救える命であっても、敢えて見捨てる方が理に適っている、という判断をするようなことだ。

今の神は基本的に何もしないが、究極のAIもやはり何もしないものになるのかも知れない。もしそうなら、やはり神は居るのかもしれない。

2017年11月16日木曜日

初期のAIは八方美人になる


答えを求めるような実用的なAI、今ならSiriやコルタナやGoogleアシスタントのようなものが今後発展するとしても、その返す答えが個性的になるとは思えない。多分、同じ質問をすると同じ答えが返ってくるのではないか、と思う。これは八方美人とも言える。実際のところ、ベテランのコールセンターのお姉さんと話しているような気分になることがよくある。

この先に個性のあるAIが出てくるとしても、それは個人の好みを反映するからであって、つまり同じ人に対してはやはり同じ答えを返すはずだ。であれば、Siriとコルタナのどちらを選べばよいのかは悩ましいことになる。

そこで出てくる、AIの個性とは何だろう。特定の目的、例えば乗り換え案内に対しては同じ答えが返ってきて当たり前(むしろ違っていてほしくない)だが、雑談や心理的な相談なら、気分によって人を選ぶはずだ。

ただ、その人格すらも切り替えができるとしたらどうだろう。例えばSiriの中にさらに複数の人格がいて、自由に呼び出せるとしたら、それらすら皆一緒になるかもしれない。厳格な父、優しい母、奔放な弟、テキトーな友達、など等。

もちろん、技術の進展の途中では優劣が出るだろうが、個人的にはこの手の技術はそんなに難しくないと考えている。つまり人間の満足する程度には直ぐに進歩してしまい、ベンダは横並びになってしまうのではないか。

その先には、例えば芸能人や著名経営者など、著作権で保護されるような人格が出てきて、それを囲い込みするような事態が考えられる。それは単に芸能人の声で目が覚めるようなものではなく、個人の性格やスケジュールを全て知った上で、その仮想人格の個性が加わった応対をするものになる。

このときには、実用と雑談が入り混じり、経営や人生上の重大事を決めるときの相談や擬似恋愛まで含まれた、かなり個人の好みに密接した受け答えがされるようになるだろう。
ここまでくると、むしろそこに高い付加価値が生まれ、高値で取引されるような事態も起きるかもしれない。そこでは社会適応障害の危険が新たに芽生えるのだが、それはまた別の機会に。

2017年11月15日水曜日

ロボット化と貧困層の富裕化


AI化、ロボット化によって奪われる職の代わりになるものは何だろうと考えていて、それは貧困層が豊かになることかもしれない、と思った。ちょっと矛盾するようだが、そう思える根拠もある。

今の日本は、世界的水準で言えば「ものすごく」便利な国だ。コンビニはあちこちにあり、街中にタダで飲める水道も多数ある。気候は温暖であり、寒い冬でも公共の場には暖房が入っているところが多い。治安も良い。東日本大震災の時に作られた仮設住宅を見て、「自分の家より良い」とつぶやいた外国人は多かった。生活保護の仕掛けもある。

そんな中で、中下位の職業がAI化、ロボット化されたとする。その結果、例えば1食200円でカレーが食べられるようになれば、給料が安くなっても食べていけるだろう。携帯電話を格安のものに変えれば、固定電話がなくても職探しができるし、ある程度の娯楽にもなる。ネットカフェにシャワーがあれば、何日も風呂ナシで臭くなって敬遠されることもない。リサイクルショップやネットフリマも充実してきている。LED電球は安くなり、数年で元手が回収できるレベルになった。

つまり、収入は減るが支出も減る、ということだ。このうち幾つかはテクノロジーの進歩とは一見関係ないものも含まれているが、間接的には恩恵を受けているし、何れも最近富に発展してきたものだ。

AIやロボットが増えることで失われる職業はどの層を直撃するのか、色々と意見はあるけれども、比較的簡単な判断をしているホワイトカラーの下位層、年収で200万~400万円程度の層が危ないように思える。一方で、そういう層の成果物は外食やクリーニングなどのコンシューマー向けサービスが主力だろうから、そこの値段も下がる。

意思決定層が減っても実務層はそう簡単には減らないから、ユーザーから見れば単に安くなっただけに見える。そうすれば年収下位層にとっては給料が上がらずとも生活は楽になる。一方で生活保護層の収入は変わらないから、その間はいわば圧縮されることになる。

つまり、個々人で見れば確かに失業や派遣社員化で年収が落ちる場面はあるが、同じ年収層で新旧を比較すると、物価が下がる分楽になる。一方で生活保護層の人数は増えるにせよ、生活保護に入った時点でそれ以上年収は下がらなくなるからやはり楽になる、という構図だ。

これの究極の姿がベーシックインカムである、と言えるかもしれない。もちろん生活保護を受けていない世代にそれを支払うかどうかというところは違うが、その層がほとんどいなくなれば、実効としてはあまり変わらないからだ。

生活保護を受けているのは最貧困層であるはずだが、それでもまともな家には住め、医療費はタダ、食べ物も(拾ったり自分で育てる必要なく)なんとか買ってこれる、コンビニも当然使用可能、ちょっと節約すればギャンブルも可能。こんな国を新興国はやはり羨ましいと思うのではないか。

2017年11月14日火曜日

レインボーウェーブ無線電力伝送システム


鉄人28号は何度かアニメ化、実写ドラマ化されているが、このうちの一つで使われていた用語で「レインボーウェーブ」というのがあった。鉄人28号はリモコンで操縦するのだが、この電波を乗っ取られるのを防ぐために使われる、一種の暗号化兼ジャミング防止機構である。

7種類の電波を使うのでこう呼ばれるのだが、この7種の電波はお互いに干渉しない、という設定である。これを聞いてピンと来たのだが、電波がお互いに干渉するその基本原理は、波長が逓倍になっていることである。従って、干渉させないためにはお互いの波長が素数の関係になっている必要がある。

ここで、無線電力伝送に話は飛ぶ。無線で電力を伝送するには幾つかの方法があるが、多くは電磁波や電磁誘導の原理を使っている。実はこの方法には大きな問題がある。電磁波にせよ電磁誘導にせよ、受電する設備には金属線が使われるが、その金属だけが受電して周りにある他の金属に受電してしまっては大変なことになる。盗電くらいならまだカワイイほうで、下手をすると発熱発火してしまうからだ。

しかも、これは電力伝送なので、情報受信と違って信号の内容で選別するわけにはいかず、受電そのものを防ぐ必要がある。しかしこれは至難の業だ。なぜなら、同じ長さの金属なら同じように受電をしてしまうからだ。

至近距離ならまだ抜け道はあるが、10m程度の距離の電力伝送であってもこの問題は深刻になる。今の世の中、電線やコイルは電子機器の中に溢れている。どこにどんな長さの電線があるかは予想できない。それが例え1W程度の小さな電力であっても、機器を発煙発火させるには十分だし、今考えられているような10W~100Wクラスになれば、状況はさらに深刻になる。

ここまで来て、話は最初に戻る。もしそのような状況にあっても、送る電力が複数の、相互に干渉しない周波数に乗って送られるなら、一つの周波数に対応する電力はその分少なくなるので影響も小さくなるはずだ。そしてこの時の波長は素数になっている。

幾つでもよいが、例えば7つの素数(2,3、5、7、11、13、17)でこれを送ることで、関係ない金属が、たまたま波長が合って受電してしまう危険を、1/7にまで減らすことができる。これがタイトルの提案の内容だ。

もちろんこれだけで十分かと言えばそんなことはないだろうとは思うが、検討してみてほしいと思う技術だ。

2017年11月13日月曜日

未病期補助腎臓


日本人の腎臓の能力は、国際的に見ると弱いそうだ。家の近所にも人工透析の施設があるが、あそこに通う人たちの多くは車椅子で来る。本来は死ぬところを生きていられているのだからありがたいことではあるが、生活は不便そうだ。

腎臓が弱いことが始めから分かっているのでれば、通常の人工透析よりもっと負担の少ない簡易的な人工腎臓を若いときから埋め込んでおくなどして腎臓を補助してやれば、年を取ってから厳しい透析を受けずとも、楽にずっと過ごすことができるかもしれない、と考えてみた。

この場合の人工腎臓は、例えば従来の能力の1/4~1/10程度の能力でもよい、とする。その数字の適正範囲は後から議論するものとして、それで日頃かあら腎臓の負担が軽くなれば、その分腎臓の機能低下も緩やかになる。それが寿命を超えるようにすれば、透析は不要である。

一生透析が必要ない人が多い中、この積極的医療を行う人がいるとすれば、それは未病不健康の人だろう。ここに保険適用があるかどうかは議論の余地があるだろうが、将来的なリスクと改善の見込みについてある程度AI的な手法で数値が出れば、その補助割合まで含めて検討に値するはずだ。

薬物投与による治療でも、同様のことが言える。95%ラインを越えたら積極的に治療することによって深刻な症状に至る人が何%減るなら、そこに至る治療には意味がある(ない)と論じることができる。

このためにはどうしても治験が必要だが、今の段階では保険適用外になるため身動きがとれない。長期的な治験になるため協力者の数を確保することも必要である。まずは厚労省と医者を巻き込んだ議論が望ましいと思われる。

2017年11月12日日曜日

光鍵


今の電子錠はBluetoothなど無線を使うものが多いが、無線通信は周囲に漏れるので盗聴される恐れがある。暗号化されていたとしても、暗号化の方法が不味いと意味がなくなる。具体的にはワンタイムパスワードになっていなければダメだ。そうしなければ、暗号化されていようがいまいが、同じ波形を送ると開いてしまう。

それはそれでよし。だがもう一つ大きな問題がある。それは、バッテリが必要であることだ。多くの場合は乾電池で1年、などと謳われてはいるものの、ちょうど切れ掛かっているところに長期旅行が入ったとか、ぎりぎりのところで急に気温が下がってダメになったとかいう心配がある。AC電源という手もあるが、停電には同じ懸念が出る。例えば震災時に何とか家にたどり着いても鍵が開かないのでは、最後の気力も萎えてしまう。

この対策は二つ考えられる。一つ、は外部から電源が供給できるように、電源端子を出しておくこと。実際、この手の製品はある。乾電池を押し当てるものだ。ただこの場合、ここに電磁ノイズを掛けてコンピュータを誤動作させる手法がある。また、高電圧を掛けて焼き切ってしまうと、永遠に空けられなくなる。もう一つは、通常の鍵を残しておくことだ。これではピッキングへの脆弱性が残ってしまう。

これに対し、①物理的鍵の鍵穴はつけない②バッテリが切れる心配がない③電磁ノイズ攻撃に強い、という特徴を持つ鍵として、提案するのが題記の「光鍵」だ。

この鍵は、鍵穴に差し込んでひねるという点では物理的鍵に良く似ているが、鍵の凹凸パターンはない。ひねるための板状の構造はあるが、それはシリンダーを回す力を伝えるためのもので、ロック解除は別の方法で行う。

この鍵穴の奥には、太陽電池が仕込んである。また、鍵には電池とLEDが仕込んである。鍵穴を奥まで差し込むと、鍵がこれを検知して(凹凸のパターンをスイッチにする)、LEDを光らせる。

まず挿すことで鍵が光る。これを鍵穴の太陽電池が拾って発電し、ロック解除の回路を動かすための電力を得る。続いて鍵が特定のパターンで点滅し、これがIDとなってロックが解除される。ロックが解除されている時間は数秒なので、この間に鍵を回して空ける。

この原理は、シリンダーの中に小さなピンが入っていて、条件を満たすとこのピンが電磁石で引っ張られ(あるいは押され)、回転可能となる。この電力は太陽電池の発電によるものなので、数秒で尽きてピンはまた元に戻ってしまうが、そうすると回転しなくなる。いわゆる「プランジャー」の一種だ。

発光パターンの組み合わせは好きなだけ増やすことができる。鍵穴の中でのみ発光するから、必ずしもワンタイムパスワードである必要はないが、せっかくだからそうした方がよいだろう。この場合、時計式だと鍵穴側の電池が必要になってしまうので、チャレンジ&レスポンス式が良いだろう。また、違うパターンで何回か(例えば5回)解除を試みられると、一定時間(例えば2時間)は反応しなくなるようにする。総当り攻撃への対抗策だ。

もし電池がなくなるとしたら鍵(外)だから、コンビニにでも行って買ってくれば済む。光にしか反応しないから電磁ノイズ攻撃や高電圧で焼き切ることはできない。シリンダー内に全て内蔵するようにすれば、既存の鍵との交換も容易だ。

技術的に難しいのは、鍵穴側の省電力設計だろう。LEDの光程度で動く電子回路はさほど難しくないが、プランジャーだけは電力が必要だ。鍵側の電池を余り大きくすることはできないし、防水且つ頑丈に作る必要もあるから、電池交換を頻繁にするのも困難だ。プランジャーの材質選定や形状など、物理的な設計も鍵を握る。

この方法では、電子鍵の「鍵穴に触れずに開錠できる」「鍵の形態でない、例えばカードやスマホなどでも開錠できる」という利点は失われる。ただし、一つの鍵で複数の鍵を開けられたり、逆に鍵を無効にする、一時的に有効な鍵を作る、などはできる。用途に応じて使い分ければよい。

2017年11月11日土曜日

マウスピース型歯磨き器


自分の小さい頃は、歯磨きは一日三回食後にすることになっていた。だが最近歯医者に行くと、一日三回とは言われない。何時でも良いから定期的にしっかり磨いて歯垢をよく落とすこと、リセットすることが大事、と言われる。他にも、虫歯の科学は進歩しているようだ。

虫歯になったら削るほかなかったのだが、再石灰化の原理が分かってきたことで、軽度の虫歯では様子見になることも増えている。フッ素の効果やフッ素塗布についても昔は知らなかった。また、銀歯金歯クラウンしかなかったところ、プラスチック(レジン)やセラミックなどが出てきている。初めてレジンで治療した時は感動したものだ。何せ一回で済むのだから。銀歯の場合は型取りをして仮詰めをして、何週間か後に再度セメントでくっつけたものだ。削り方もだいぶ浅くなった。これも科学の進歩のおかげだ。キシリトールガムもフロスも歯間ブラシも、街中で簡単に手に入るようになった。何れも昔はなかったものだ。

それにしても、なぜ歯はあんなに複雑な形をしているのだろう、といつも思う。馬の蹄のように隙間なく詰まっていれば虫歯にもならないのに。まあ愚痴ではあるけれども、一生のうちに歯磨きに費やす時間やカネは相当にもったいないと思う。もっと簡単に、虫歯を防止することはできないものだろうか。

例えば、スタートレックの時代の歯磨きはどうするのだろうか。自分だったら転送プログラムを組んでおいて、一日一回、目立った虫歯菌を転送する。あるいは、マイクロマシンに歯磨きをしてもらうというのもあり得る。今の技術でやるなら、カスタムでマウスピースを作って、中に機械的な仕掛けを埋め込むというのはどうだろうか。マウスピースを噛むだけで歯磨きが終了する、というものだ。

マウスピースの中で行うことは、やはり物理的に擦るということになるのだろうが、歯の形に合わせた植毛を超音波で一斉振動する、というような荒業は使えそうだ。磨いた後の歯ブラシの掃除が大変そうに思えるが、高濃度の洗浄液に漬け置くだけで溶かす方法もある(コンタクトレンズの要領だ)。歯ブラシにしても、超音波振動するなら細いナイロンでなく、ある程度太い丈夫なものでもよいはずだ。フロスの必要性もぐっと減るだろう。

洗口液を口に含んでマウスピースを加え、30秒。後はマウスピース自体をざっとゆすいで終了。週に一回、ブラシを外して漬け置き洗い。こんな感じであれば、磨き残しもなく、手も疲れないから、高齢者でも一日何回でも磨ける。虫歯予防にも口臭予防にも効果的ではないだろうか。


というようなことを考えていたら、本当に出てしまった。入手可能になるにはまだ時間が掛かるようだが、できるなら試してみたいものだ。

2017年11月10日金曜日

不死は可能か


技術が進歩することによって、今まで不可能だったことが次々と可能になってきている。最近感心するのは癌治療の進歩が非常に早いことだ。余命何年というその余命の間に新薬が開発されては延命できる、なんてことが繰り返されれば、何れ癌は治療可能な病気になるかも知れない。

それでも尚、不死は不可能というのが大方の認識ではないかと思う。120歳程度を大幅に超えて生きている人はいない。不死の生物もいない(ベニクラゲは事実上不死だが、あれは再生を繰り返しているだけ)。だが、何れにしても不死が不可能であることの証明にはなっていない。

将来的に不死が実現するかどうかと言えば、可能性はあるというのが自分の見解だ。もし命が単なる複雑な化学現象であるという自説が正しいなら、その異常を抑えるための方法はあるはずだからだ。

そこで注目するのが、冒頭の癌治療だ。癌細胞の基本は、何が癌細胞かを特定した上で、そこに薬や免疫を働かせることで癌細胞を死滅させるものだが、老化についても同じことが言えるのではないか。つまり、(癌ではないが)老化した細胞を特定して死滅させられれば、老化していない細胞が分裂してこれを補うことで老化が抑えられるのではないか。

ただ、これではいわゆるテロメア説の解決にはなっていない。こちらには癌細胞の活用の他、iPS細胞などの未成熟細胞を使う研究が進んでいる。不要な細胞を死滅させ、必要な細胞を増殖することができれば、テセウスの船よろしく永遠の命ができることになる。

今それができないのはとんでもなく難しいから、ただそれだけで、実際には可能であり、人類の英知が(それが滅ぶ前に)進化すれば、永遠の命は可能になると信ずる。

2017年11月9日木曜日

ドコモの優良誤認疑惑


1日に1回遊べ、最大で3ポイントが当たる、というキャンペーンがあった。これは三択(A、B、Cの中から一つを選ぶ)のオンラインゲームだったのだが、やり始めて45日連続で外れ、絶賛記録更新中である。三択問題をこの回数連続で外れる確率はもはや1億人中で1人以下のレベルであり、既にドコモの契約者数を超えているから、明らかに疑わしいと言える。

この手の抽選では昔から疑惑がつきもので、縁日のくじが全部外れだったとか、マンションの抽選に仕掛けがあったとか、実際にバレた事例もある。

このキャンペーンで当たるポイントは1ポイント1円であり、いくらスマホで気軽にできるとはいっても一日1回しかできないから、まさかドコモともろう大会社がそんなセコいマネをするとも思えないのだが、逆に言えば正しくやっている証明らしき文書は何も記載されていない。だから、三択だから1/3の確率で当たりますよなんてどこにも書いてない、ということは、言おうと思えば言える。だがもちろん、それでは景品表示法違反の疑いが出る。

正しくくじをやってますよ、景品表示法に違反していませんよ、実際に想定した確率で当たってますよ、というのは、何らかの第三者認証が必要ではないか。それも書類を出せばおしまいというのではなく、何らかのスヌーピングで実際に監視を行って結果を自動分析するようなことをする。

AIで監視するならば抜き打ちや抜き取り検査でなく全数検査で問題ないはずだ。そのためのAPIを用意し、それに対応することを何とかマークで表示すれば、優良誤認でないことが容易に分かる。これはユーザにとっても企業にとっても嬉しいことではないか。

このAPIは、言ってみればプロクシであるから、指定URL内を通過することもこれを確認する手段になり得る。これを独法なり第三セクタなりが運用することで、より健全な社会を実現できると思うが、どうだろうか。

2017年11月8日水曜日

私は結婚したくありません


先日、新聞で見かけた読者投稿だ。18歳の女子高生。曰く、結婚したくない、行動の自由や将来の選択肢が制約されるから。子供も儲けたくない。自由が制約され、出費もかさむから。そんな自分を大人は非難するが、どちらも個人の自由ではないか。他人に迷惑は掛けていない。何が悪いのか。

Yahoo!知恵袋などにも定期的に出てくる話題だし、それに対する回答(意見、反論)も大体は見ているつもりだ。大きくは以下のようなものだろう
  • 単純に賛成する。その通り。個人の自由。
  • 考え方には賛同しないが、結論自体には社会制度の不備や貧困化と絡めて賛成する。
  • 子供を生み育てるのは社会貢献・未来への投資であり、それをしないのは良くない(けしからん、非難されるべき、税金や控除で差をつけるべき、等)。
  • 結婚して子供を持つのは(苦しいけど)楽しいよ、今は分からないかもしれないけど。
自分の意見は、最後のものに概ね似ているが、少し異なる。それは、この人の精神はまだ十分に発達していない、というものだ。

例えばマズローの欲求段階を例にとるなら、この人が結婚や子供を拒絶する理由は何れも「安全の欲求」近辺のレベルでしかない。つまり、まだ自分自身のことしか考えが及んでいないのだ。恐らくそれだって、老後の介護や年金の問題を詳しく検討できているとは思えない(考えが甘い)。周りの人には迷惑を掛けていないと言うが、その周りの人の多くはこの人より精神的に大人であって、この人が考え及ばない迷惑(心配と言った方が適切かもしれない)をしていることだろう。その多くは、上の意見のうち「反対」の意見と似たようなものだ。

子供を持つ親なら誰でも(例外はあるだろうが多くの場合)、自分の子供が可愛いし、元気に育ってほしいし、場合によっては自らの命を掛けてでも守ってやりたいと思っている。それは自己犠牲の愛であり、慈愛である。また、社会への一定の貢献はしたいと思っている。社会制度(例えば生活保護)にぶら下がりっぱなしで何も考えない、という人はごく少数だ。

人間、自分一人で稼ぎ、生活できるようになってからしばらくすれば、身近な人の不幸や苦労を気遣い、助けてあげたいと思うものだ。その究極の姿は仏でありマザーテレサなのかもしれないが、そこまで悟りを開かずとも、血縁くらいには多少なりともそう思うだろう。

その際、自分をどの程度犠牲にできるかは(もちろん経済状態にも拠るけれども)心の高みに比例する。精神的に子供であるほどその程度は低く、大人であるほど高い。ゼロであれば立派に子供である。縁日に金魚掬いをして、結局親が世話することになってしまうのはよくあることだが、この人にとって、子供は犬よりも手間のかかるペットくらいにしか見えないのだろう。

ただ、高校生ならまだ親の保護下にあるだろうから、精神的にはまだ子供だろう。昔は18歳と言えば元服後だし、戦前くらいまでなら自分の子供どころか日本を背負って立つくらいの甲斐性はあったものだが、今の時代、大人になるのには長い時間が掛かる。18歳でこの程度か、と嘆くほどの事態ではないと思う。

それに、今の大人にしても、単純に好きになったから結婚し、子供ができてしまってから初めて自己犠牲の愛が芽生えた、なんて人も多いはずだ。情報が多すぎる今の世の中だから目立ってしまうが、さほど心配する問題ではないのではないか。

2017年11月7日火曜日

ポップアップテントの工夫


金属の円形枠を捻って折り畳めるタイプのテントが流行っている。投げると広がって元の大きさに戻る手軽さから、色々なものに応用されているようだ。だが、二人用でもまだ大きく、リュックサックに入れる程度にはならない。これを何とかリュックに押し込める大きさにできないものだろうか。

一度ひねったものを再度ひねることはできないだろうかと考えたが、どうも構造が複雑すぎて頭が廻らない。他に考えられるのは分割することだ。

例えば、フラードームないしはサッカーボールを半分にしたような構造を考える。五角形ないしは六角形を形作る各面に一つづつ、金属の輪を当てはめるものとする。この輪はテント布とは別に折り畳んで缶詰の中に入っていて、まず布を広げて中に入り、各面のポケットにこの輪を入れて広げるとピンと張るようにする。

こうすると、布の張力の助けを借りて、真ん中が空洞の(柱のない)比較的大きな空間を確保できる。これなら折り畳んだときに従来のポップアップテントのそれよりも高い比率で小さくできる。

何面体に作ろうとも自由だが、できれば金属輪の大きさのバリエーションが少ない方がよい。正二十面体なら1種類、サッカーボール型なら2種類。もっと複雑にもできるが、この程度が望ましいだろう。面の数が増えれば増えるほど球体に近くなるが、組み立て撤収の手間も増えるからここはバランスが必要だ。また、背を高くしたり横に長くしたりと形状のバリエーションも自由自在になる。これも嬉しい。

こうなると投げるだけで組み立てられる見込みは少なくなるが、折り畳みで小さくなるメリットは大きいと思う。個人的は普通の三角テントの添乗の低さは苦手で、これができればぜひ検討したいと思う。

2017年11月6日月曜日

自分の仮想人格


最近のオンデマンド広告は、ユーザが見たWebページを基に、出す広告を選んでいる。あまり適切な広告が出ているという気がしないのだが、これが今より遥かにマシになったとしたらどうだろうか。なお、目的を広告に限定せず、またネット上の活動だけでなく、スマホのあらゆるデータを使って学習するものとする。例えばキュレーションメディアの記事選択エンジンも、類似のことをやっている。

これらは各々目的があるのでそれしかやっていないが、広い意味で言えば、これらの推奨エンジンは、あらゆることに対して自分の好みを知っている、ということになる。使い方によっては、あるいは見方を変えれば、これらを総合したものは、ネット側から見れば本物の自分と区別がつかない、というところまで行くかも知れない。

これには主に二つの効果がある。一つ目は、買い物に限らず、「次の休みに何処に出かけたらいい?」とか、「今日は何を着て行ったらいい?」といった問いにも、自分が好みそうな答を返してくれるようになる。

買物でも、Amazonのページを延々とめくらなくとも、好みの商品をきちんと上位に表示してくれたり、膨大な本やインディーズの音楽から好みに近いものを選んでくれていたりする、ということができる。これは労力の削減に繋がる。

二つ目は、それが何万人も集まれば、仮想の街を作ることだって可能だ、ということだ。これはシミュレーションに通じる。Amazon側からの視点で見てやると、新しい商品がどれだけ売れるかをあらかじめ予想することができるし、ニュースを流すときにA/Bテストをする(二種類の記事の書き方を試す)ようなこともできる。

更に精度が向上すると、自分の仕事を代わりにやってくれるかもしれない。その時は失業するときだが。

2017年11月5日日曜日

強風救助ロボット


近年の台風は、更に勢いを増しているように感じる。風速50mで車が横転、70mで木造家屋が倒壊、などというから、もう人間の住むところではないように感じる。

そんな中では、徒歩での避難は当然できないし、家の中にいても危険、となる。それでも要救助者が視認できたらどうするか。今までなら何もできなかったが、自動運転ロボットがあれば可能かもしれない。

半球型、ないしは更に平べったい形状の車であれば、風がかえって車を地面に押し付けてくれるから飛ばされない。この形状で外壁を作り、中に一人を退避させられるだけのスペースがある自動運転車を要救助者に近づけ、中に入ってもらうということは可能ではないだろうか。形状が多少いびつでも、地面から空気を吸い上げて地面に吸い付くようにすれば耐えられるだろう。

また、風上にロープを固定してコーン(円錐)状の物体を送り込むと、コーンの直後は風が弱まる。これを利用して要救助者に近づけ、コーンの中に入ってもらった後にロープを引っ張る、ということも考えられる。コーンの形状を大きくしてやれば、レスキューが風の死角に入って要救助者に近づけるかもしれない。この場合、コーンは3箇所以上からロープで固定して、各々のロープは張力をモニターしてコンピュータ制御するなどが必要になるかもしれない。

2017年11月4日土曜日

付加価値付き自動運転タクシー


自動運転が実用化されると、タクシー業界はもろにその影響を受けるはずだ。ドライバーが失業するとしてもタクシーという形態は残るはずだが、価格競争に陥ると会社の方も存続が危うくなる。そこで業界は、付加価値を付けることで生き残ろうと考えるはずだ。
免許・認可の問題はあるにせよ、ランクや特色を付けたタクシーを色々と揃える、というのは充分に考えられることだ。どんな付加価値があるのだろうか。
  1. とにかく早く着くタクシー。制限速度いっぱい、カーナビの渋滞情報を駆使して、1秒でも早く着くように努力する。極端な話、周辺の自動運転車と連携して(有償で)道を譲ってもらうなども可能とする。
  2. とにかく静かなタクシー。加速度制御やサスペンション、防振ゴムなどを工夫して、揺れや振動が少なく、また吸音材遮音材により外の騒音から隔絶した空間を作り出す。救急車や傷病者の移動用としても最適だ。
  3. ペット可のタクシー。ペット用のスペースを用意し、カゴに入れなくても可とする。もちろん防臭素材でできていて、オゾン消臭も効いている。
  4. 貨物タクシー。スキーや引越しなど、荷物が多くても対応できる。
  5. 車椅子タクシー。2台以上の車椅子が入るようにする。病院往復の場合は割引がある。
  6. オフィスタクシー。無線ネット・Chromebook・タブレットなどを完備。移動中に仕事やネットサーフィンができる。
  7. 仮眠タクシー。リクライニングシート、暗い室内、防音、目覚ましアラーム付きで、時間を指定してわざとゆっくり走ったり、途中で休憩したりする。
  8. カラオケタクシー。まあ名前通りだ。
  9. ラブホテルタクシー。これも名前通り。ラブドールタクシー、同伴タクシー、耳かきタクシー、添い寝タクシー、膝枕タクシーなど、風俗系サービスの活用。
  10. 映画タクシー。映画を見ながら移動する。映画の上映時間に合わせてぴったり到着するように速度を調整する。
  11. 高級タクシー。高級車、シャンパン1杯サービス、など。
  12. 雑談タクシー。高度なAIを備えたロボットが話し相手をする。あるいは太鼓持ちタクシー。慰めタクシー。
  13. マッサージタクシー。マッサージチェアないしはマッサージベッドが入っている。シートベルトとの併用が問題だ。
  14. 酸素カプセルタクシー。降りるまでの間でサイクルを調整する。
  15. 落語タクシー。ロボット噺家が一席設ける。本物も呼べるが高い。
  16. ゲームタクシー。アーケードゲーム機が入っていて、到着まで遊び放題。VRゲームなども面白そうだ。
  17. TV電話タクシー。大画面ディスプレイを備え、移動しながらTV会議ができる。エグゼクティブ向きか。
  18. 団体タクシー。複数台で移動する際、お互いをTV電話で繋いで会話し放題にする。また、信号の切れ目などで離れすぎたらお互いに調整して、離れすぎないようにする。
  19. 観光タクシー。今では人間がやっているが、時間や料金を決めたらその範囲で見る観光スポットとそのルートを提案し、その通りに巡回する。
  20. かざすだけでその場所に行ってくれる目的地カード。電子マネーで支払いも自動にする。いざというときのために子供に持たせておく、酔っ払っても帰れる、など。呼ぶときのボタンも付けておくとよい。
  21. ドラマチックタクシー。到着までのルートをドラマチックな演出にする。例えば世界を救うためのミッションにする、結婚してしまう昔好きだった人への告白に間に合うか、ゾンビに襲われている街からの脱出、宇宙旅行、など。音声だけでもいいが、MRやVRを併用すると効果が高い。
  22. 教養タクシー。単なる教養コンテンツからVRコーチによる実践指導まで色々。英語学習や護身術、行先の雑学、など。
考えると色々出てくるものだと自分でも感心する。真面目なもの、実現性のないもの、色々あるけれども、この中から一つでも二つでも出てくれたら嬉しい。

2017年11月3日金曜日

高精度GPS応用


http://juggly.cn/archives/230495.html

GPSの精度を上げる方法には色々あるのだが、補助電波を使うなどの手法が必要なものだった。これはGPS電波以外何も使わずに30cmまで精度が出るとのこと。これは期待大だ。
GPSの精度が上がってまず助かるのは、当然ながらカーナビ、マンナビの類だ。高速道路の下の一般道を走っているのを間違わずに識別できるし、ランニングと自転車漕ぎも間違えない。

ドローンの自動操縦も楽になるはずだが、ここでは別の応用を考えたい。ドローンの飛行規制をGPSで自動制御する、というのがそれなのだが、これは単純な高さ規制だけではない。空間を立体的な碁盤目にして、ここは通れない、などと指示できるようになる。

例えば、高さ幅奥行き2mのメッシュを用意して、この中心から60cm以内を飛ぶように、などと指示を出しても守れるわけだ。もちろん風の影響があるから緩衝帯は必要だが、SFに良くあるような、空中に仮想的な「通路」を作ることができる。

これには別の意味もあって、例えば高層ビルの窓から何m以上離れなさいとか、カメラを向けてはダメとかいった規制も掛けることができる。これをオンラインで提供してリアルタイム更新することも可能だろう。そうすると逆に、自由にドローンを飛ばせる場所が増えるのだ。

一律に規制をしようと思えばどうしても安全側に倒れてしまうから、今の日本でドローンを飛ばせるところはかなり限られている。だがGPS規制が認められれば、制御装置のあるドローンについては飛ばせるところが増えるわけだ。人気の撮影スポットのようなものもできるだろうし、何よりドローン人口が増えるだろう。

その規制は、自動車のそれなどと同様に厳しくなり、例えば制御装置を封印して定期的に監査するようなところまで行くかもしれない。それはそれで良いと思う。そのようなドローンは識別信号を出したり異常検知したりといった機能も規定されるだろうから、識別信号のないドローンは撃ち落していいとか、管理統制の効く世の中になるはずだ。

また、以前も提案したような配達ドローンも、識別信号で本物と区別できたり(識別信号の詐称は法で禁止される)、リアルタイムで位置が分かるなどと便利になるだろう。

2017年11月2日木曜日

EMP対策


最近、にわかに話題になってきたのがEMP攻撃だが、これへの対策は考えていなかった。というのは、太陽フレアへの対策とこれは基本的には同じであり、太陽フレアの場合はほぼ対策不能、と考えてきたからだ。だが、日本がEMP攻撃を受けた場合と太陽フレアの場合は、細かく考えれば違いがある、ということに気づき、考え直している。

まず、太陽フレアの場合に諦めた経緯について整理しておこう。数百年に一度程度の大規模な太陽フレアでは、世界中の電磁的記録が全てダメになる。これは、例えば住民情報、預金、税金、会社の(電子)書類、オンラインサービスのデータ、個人のHDD、USBメモリ、スマホ、Blu-Rayレコーダーの録画、CD、FDD、全てだ。

もしバックアップをとっていたとしても、そのバックアップが破壊されてしまうし、もしバックアップが無事でも、レストアすべき機械は全て壊れている。また、バックアップを保管するには鉄の箱にでもしまうしかなく、中と外をケーブルや無線で繋ぐことはできないから、毎回バックアップの度にその鉄の箱から出し、再度しまう必要がある。こんな手間は無理だ。

機器も一緒にしまっておけばよいとも言えるが、まあスマホくらいが関の山であり、更にはその後充電は当分できない(充電器もしまう?)し、無事だったとしても廻りの大部分の機器は死んでいるから、活用は無理だ。

それに、そういう状況では情報遺失云々どころの騒ぎではないのだ。例えば乗り物の多くは相当のダメージを受ける。信号機も送電線も壊れ、となると上水もダメ。都会に住んでいる人はたちまち飢え、水不足に陥る。1週間もすればバタバタと死人が出る、そのくらいのダメージなのだ。

だが、日本がEMP攻撃を受けた程度であれば、海外にバックアップを作っておくことは可能だし、海外脱出という手もある。機械類も海外から輸入できるから、復活は早いだろう。そう考えれば、何かしらのEMP対策を行う意味はあるというものだ。

自分の場合、サーバを一つ立てて、そのバックアップは海外のオンラインサービスを利用している。丸ごとではなくデータだけだが、情報のバックアップはほぼ問題ない。だが幾つか穴があった。

まず、手元のスマホとPCが一度に壊れる事態を想定していない。普段はどちらかが壊れたら反対側の機器で認証していたのだが、両方壊れると手でパスワードを入れなければならない。使っているパスワードは安全性のために覚えられないほど長いし、2要素認証も掛けている。これは別に考える必要がある。

もう一つは預金だ。預金データは電子化されているから、銀行からデータが消えてしまう。このときにどう対処したらよいのか分からない。手元に金の延べ棒でも持っておくのが良いのかも知れないが、これでは運用できないし、何より不便だ。

EMP攻撃の後、海外に脱出するにしても、パスポートと現金は必要だし、空港もダメージを受けているだろうから直ぐには脱出できない。パスポートを銀行の貸金庫に預けていたとして、銀行がダメージを受けたなら、自動倉庫式の貸金庫は動かないし、通常タイプであってもそもそも銀行が開かないだろう。海外から機器を輸入しようと思っても、Amazon.comにアクセスできない(機器がないし通信網も止まっているはずだ)。電話も同じ。郵便も止まっているだろう。つまりアクセスの手段がない。

そのタイムレンジは、震災のそれとは大きく異なるだろう。恐らく十年単位だ。海外脱出しか生きる道はないように思えるが、近隣国も同様の被害を受けている恐れがあり、ゴムボートで韓国や台湾に逃げるというのも良策とは言えない。

ここでは二通りの考え方ができる。まず、人口過疎地に疎開して農業などで食いつなぐ、というもの。二つ目は、海外からの支援はあるだろうから、それにすがる、というものだ。何れにしても、可能になった時点で海外に脱出するというのは、選択肢として残したい。

この二つの考え方の何れも、何も準備する必要はないものだ。だが海外への脱出に関しては、一つ準備できるものがある。外国の金融機関に預金をしておくことだ。

もちろんそれは投資資金でよい。換金性の高いものを少々、残りは日本がダメになると上がる(価値が高くなる)ファンドでも買っておくとよい。日本を含まない海外株や債券が考えられる。できればその金融機関のクレジットカードやデビットカードがあるとよい。

そうすれば、海外に到着したら直ちに現地の通貨を下ろして、初日からホテルに泊まれるはずだ。その後は職探しをして、家を探して、・・・と、普通の海外移住と同じ手順を踏む。つまり、海外移住をあらかじめ想定して、情報を集めておくことは、立派な準備だ。

これらの考えは結構壮大な話なのだが、もっと身近な話として、懐中電灯やラジオを鉄の箱にしまっておこう、などということは当然考えられることだ。

2017年11月1日水曜日

う○こID


以前、冗談で考えたことがあったのだが、恐らくは世界で一番小さいRFIDである日立のミューチップは、殆どがシリコンと金銀でできていて、食べ物に混ぜても害はなく、消化もされない。

噛み砕かれるものもあるだろうが多くは残るだろうから、一定の割合で食べ物に混ぜておけば、何を食べたかはう○こを調べれば「正確に」分かる。食品トレーサビリティの究極の姿は、ミューチップを食べ物に混ぜ込むことだ。

もちろんそのチェックはトイレで行われる。問題なければそのままだが、ひとたび問題が起こればう○この履歴は逆に辿られ、誰が何を食べたか(出したか)が分かる。時間も大体分かる。こうすることで問題の特定は自動且つ完璧に分かり、あっという間に沈静化可能となる。

これは健康管理にも有効だ。素材の量、調味料の量まで推定可能だから、栄養バランスが悪いとか間食が多いとかの警告も自動で出せる。家族一人ひとり、どこで何を食べたかを追跡することなど従来は不可能だったが、これなら可能だから、生活習慣病の因果関係なども精度高く推定することができる。

薬にも混ぜておけば、服薬実績が自動で採取されるから、こちらの管理にも有用である。

元々はTRONの発想である。坂村健博士万歳。

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