2018年3月19日月曜日
オンラインゴージャス窓口
銀行や郵便局、役所などに行くと、カウンターがあって、その奥には事務所が見えているのが普通だった。だがコンピュータが発達して事務作業が減ると、この「後ろの人達」がそこにいる必然性はなくなる。ではこの人達を首にするのかというとそういうわけにもいくまい。
そこで考えるのは、カウンターではなくサロン型にして、顧客スペースをゆったりと作り、また数を増やして待ち時間を減らすことだろう。これはサービスの向上であるので言い訳も効く。少子高齢化、コンピュータ化の行き着く先は、こういった過剰(?)接客サービスなのかも知れない。
ただこの場合、(業務処理能力が高くとも)接客能力の低い人材を上手く使わなければならない。そこにはAIの支援が必要になる。あるいは対面ではなくアバターを操り、オンライン接客を主に担当するようなこともあるかもしれない。そちらにしても、今までの(効率優先の)簡素なものから、(接客優先の)ゴージャスなものに変わっていくはずだ。
例えば、顧客のPCを全画面にしてもらい、全てを受け側が操作して表示する。声紋・虹彩・顔骨格認識等で本人認定して、入力も音声で行い、操作と会話の過程は全て電子証明書付きで記録することで、顧客にキーボードを一切触らせないで仕事が完結する、といったものだ。
背景としての技術も多く必要になる。例えば相手PCがウィルス汚染されていても、あるいは悪意を排除して安全な取引ができるような仕掛けができるだろうか。PCやタブレットの低解像度カメラで虹彩認識ができるだろうか。通信路の暗号化はできるとして、大量のビデオ通話の保管は容量的に大丈夫か。など等。だが、何れは通る道、とも思える。そしてこれが確立すれば、かなり明るい未来が待っていることにもなる。
窓口とオンラインの違いが事実上なくなること、ユーザ体験がこれ以上ないほど簡単になること、この二つだ。もちろんケータイの故障など、物理的なモノのやり取りがある時もあるから、窓口が無くなるわけではないが、オンライン対応の質が対面とほぼ変わりなくなれば、ユーザと企業双方の効率と満足度は両方向上する。
特にユーザの満足度向上は重要だ。対面が今まで生き残ってきた理由の多くは操作の面倒さだが、これがなくなればオンラインへの移行は大きく進むだろう。
ここでキーとなるのは音声認識と言語認識で、従来より更に高度なものが求められ、補助ではなくメインで使える精度が必要になる。最初からここを目指すには、ただの認識技術ではなく、音声で確認してから先に進むような会話術を含めた開発が必要である。
例えば、特定のフォームを埋める、という作業一つとっても、そこが空白だったり間違った情報を入れられないように音声で内容を伺う、というのは結構高度な技だ。耳の遠い高齢者や思考のゆっくりした個性、勘違いに対応するのは、プログラムというよりはAIの仕事だろう。このような技術はまだ殆ど研究されていないはずだ。そしてこれが満たされれば、またAIは一段と実用的になるだろう。
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