2018年3月2日金曜日
ブロックチェーンHCI
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1102269.html
このニュースを聞いたとき、計算機リソースを多く使う通常のスケールアウトシステムをブロックチェーンに載せるものだと誤解してしまった。どうやって作るのかと思ったのだが、実態は証跡を中心とした簡易的なものだと分かり、納得した。同時にちょっとがっかりした。
HCIは原則としてデータセンターに構築するものだが、これをブロックチェーン上の分散システムとして構築することができれば、専用サーバは必要ない。個人が使っているPCの余り時間を提供して稼ぐことができるし、システムも堅牢になる。そういったアーキテクチャを考えてみた。
インターネットに接続したPC上に、特定の常駐プログラムをインストールする。基本はこれだけだ。このプログラムは、例えばバックアップソフトと同じように、システムの暇なときにリソースを使って仕事をする。
その仕事は、ブロックチェーンの採掘などではなく、実用的なプログラムである。それも他人が作った、自分とは何の関係もないプログラムだ。リソースを使った対価を仮想通貨で受け取る。
これは、例えばJava仮想マシンのようなものに、実用的な皮を被せたものだ。もっと本格的なVMでも良いが、そこは本質ではない。本質は皮の方にある。
まず、計算の仕掛けそのものは、疎結合の小さい仮想マシン(例えばJava VM)が集団として大きなサーバーをエミュレートする、それもスケールアウトまでエミュレートできる、というものになる。
ここには、計算を頼みたい側の人間が、そのプログラムと対価を設定して投げてやる。システムはそれを、計算機プールとなる多数の分散しているマシンに仕事を振り分け、結果を回収すると共に個々のマシンに報酬を振り分ける。当然、計算を多く行った者が多くの対価を得る。
SETI@homeと似ているが、大きく違うところが二つある。一つは、同じプラットフォームにおいて、複数の目的の異なるプログラムがうごめく、しかもそのプログラムは汎用であるということ。もう一つは対価を得るところだ。
計算プログラムやデータが、個々の端末から覗けるようでは困る。暗号化したまま計算ができなければならない。プログラム自体も、あまり単独では大きなものは乗せられないし、途中で不具合を起こしたり間違った結果を返すなどの可能性もあるから、その仕掛けは相当に複雑なものになる。
それでも、そういう枠組みが一度できてしまえば、今後の計算機モデルは全てこれにしまえば、SIが必要になる機会は減り、データセンタに頼る機会も減り、端末を持つ者は日銭を稼ぐことができるようになるだろう。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿