2018年3月6日火曜日

AI省力化の方向性


https://japan.cnet.com/article/35114383/

深層学習による自動着色によるカラー版マンガ、だそうだ。これはなかなか面白そうだ。
知っての通り、マンガやアニメは日本では盛んだが、その生産者の所得は低い。着色の手間が省けることで作業者の数を減らすことができれば、相対的に所得は上がる。AIの「良い使い方」の一つだ。

ただ、AIがいきなり仕事を全て奪うわけではないが、上の例で言えばアシスタントは半数以上リストラの憂き目に会う。その人たちが生き残るためには、やはりAIを使うことになるのだろう。つまり、その人たちもAIを使って作品を作り出すのだ。

こう考えると、AIが使われることによる方向性は、三つあることになる。一つはコスト低減による報酬の増加。二つ目は個々の仕事における品質の向上。三つめは同業他者が多数出現することである。そして更によく考えてみると、これは別にAIに限ったことではない。

確かに色塗り作業そのものは機械に置き換わってしまうが、その上にある仕事のコストが安くなれば、多数の人が使えるようになる。昔は音楽家などは貴族の周りにいるほんの一握りだったが、今ではほぼ誰でもチャンスがあるのと同じように、使用者の数が増えれば、つまり個々の人間の生活が豊かになる方向に向かえば、生き残りは考えられるだろう。

問題は、そんなに上手くいくかどうか、定量的にはイケるのか、だろう。上の例で行くと、漫画家とアシスタントが百人いて、年間10本の連載があったとする。AI導入でこれが同じ人数で年間20本になったとして、単価が半分になれば万々歳だが、恐らく最初の10本が3割減、新しい20本は7割減、トータルでは市場規模が減る、ということにならないのだろうか。

AIはここにこそ力を注ぐべきで、その方向性とはマッチングである。つまり多様な個性にできるだけピッタリの作品を生み出すことで、適切な人に適切に提供できるようにし、単価を維持ないしは向上させるのだ。そうしないと単なる粗製乱造になり、業界全体が疲弊してしまうだろう。

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